2004-08-22から1日間の記事一覧
2004年5月初めに、野田秀樹演出・オペラ『マクベス』を観た。 すると、「砂糖合戦」で《私》が、イタリア統一の空気と重なり「結びのところが一層華やか」と語ったそのフィナーレにおいて、《称えられるのは王となるマルカムではなく、マクダフである》こと…
自信はあまりないのだけれど、「空飛ぶ馬」の童話談義で触れられたのは、この作品ではないかと思われる。 そして、その話の展開は、《私》が覚えていたものとはかなり異なる。 確かに少年は一生、不具のまま生きることになるが、その後の展開は……。 フロベー…
後に《私》自身がそう語るが、この本を読んでいるということは、「砂糖合戦」の時点で少なくとも『ボヴァリー夫人』は読んでいて、そこで次を読む強い興味も持ったいたということ。 そうした少女が「ピノキオさん」を観ているわけだ。 なお、『ブヴァールと…
この小説から、一節が引かれるとするならば、次のくだりになるだろう。 「あなたは勝とうと思って賭けるわけじゃありませんでしょう? わたしだってそんなつもりじゃありません。わたしが賭けるのは忘れるため、でも、忘れることなんてできませんわ。昔のこ…
『殺された天一坊』は珠玉の傑作。 その作品と『殺人鬼』は、一冊の本にどうしても併せて収録したかったのだろう。 後期クイーン問題との関係について、一度考えてみるのも面白いだろうと思う。 『街の灯』の桐原道子。「彼が殺したか」の登場人物と同じ名前…
その代表作の一つ『未来のイヴ』を併せて読むと、よりわかりやすい。 《求めて手に入らぬもの》がある。 そして、仮にそれを得ることになったならば、それは手中にした途端、それは跡形もなく消え去るか、求めていたものとは違うものとなる。《そうなるべき…
併せて読むと、《私》があの引用で何を言いたかったかが伝わってくる。 自らがそういう存在であると知ること、ある時わかってしまうこと。 《知》の哀しみ。
まず何より、読んで底抜けに面白い本。 『文学部唯野教授』を思い起こさせる。 そして、解説にあるように、原題は『Changing Places』。 《私》が「あの人」と隣合わせでペルリオーズの『レクイエム』を聴くことになった経緯、そしてそのことで《私》が感じ…
カミュ『カリギュラ』を思い起こさせる。 《私》がオペラ『マクベス』の感想として語った、《個人》VS《世界》という構図との関わりについて、いずれ考えてみたい。 『空飛ぶ馬』が世に出たのが、1990年。 「アド・リブ」の主人が役者だったのは、「二十年も…
二つセットで、『黄表紙廿五種』を事実上指定。編者が巻末で「我が出版界空前のことであり、また到底マネの出来ぬ一種の組版芸術だと自信する」と誇る通り、「ともかく理屈抜きで面白かった」というためには、この本で読むことが必要。例えば、同じ黄表紙作…
[関連作品メモ]覚え書き。 北村薫関連作品について幾つか。