漫画
ECCENTRICS (1) (小学館文庫)吉野朔実の最も興味深い作品について、ネットで面白い論考を見かけたので、それに付け加えるような形で、以前考えたことなどをまとめてみた。 その論考というのは、「やっぱり読書はおもしろい」というサイトの「「吉野朔実「エ…
やたらと良心的にいい仕上がりをしているファンブック。 楽にやろうと思うなら、適当なゲストをガンガン呼んで「俺/私の熱い思いを書くぜ!!」でガリガリとページを埋めることも出来ただろうに、非常に親切に、その《世界》をより楽しむための周辺情報を、…
この作品でも全篇に満ちている、この作者特有の、ゆるゆるの甘ったれた雰囲気が好き。 ちなみに、(これを含めて)今まで読んだ宇仁田作品八冊中のベストは『スキマスキ』。
相変わらず、いい作品だなぁ。 新キャラクターの名前の由来は、基本的にはここ(Wikipedia「椎名高志」)を参照として、後の小ネタとしては、黒巻節子の苗字は「クロマキー」、「NUOVO ristorante Paradiso」は「Nuovo Cinema Paradiso(ニュー・シネマ・パラダ…
数冊まとめて読んだ初期の作品及び、代表作とされる『オモチャたちの午後』と比べ、実に対照的な作品。 はっきりいってしまえば、1990年代前半に書かれた初期の作品には、溢れるような思いと、表現ということに対する誠実さが満ちている一方で、それをあるい…
いろいろな評判からちょっと読む前から色眼鏡で見ていたのは申し訳なく思わされてしまった。 一言でいえば、まっとうに良く出来た作品。筋も描線も構図も台詞も、どれも高いレベルだと思う。 「ラプラスの魔」の設定と台詞なんて、個人的な趣味志向の上でも…
読むうちに、どうしてもSF漫画の金字塔『銀の三角』を思い出さずにはいられなかった。 ただ、説明をあえて排除し、詩情溢れる言葉と煌びやかな画で感覚と観念の一大迷宮を築いたのが『銀の三角』。 一方、『バルバラ異界』では、同様のテーマについて、多…
なお、上記の感想で「作者・編集者の」としたのは、『オモチャたちの午後』を読んで、上記の欠点を諫めないようであれば編集者としてどうかと思うし、実際、同じような指摘をしただろうと思うからだ。 この作品の掲載誌『ヤングユー』は2005年に休刊になって…
読む中で嫌でも気付かずにはいられないのは、主役二人の《仕事》が、具体的にはほぼ全く描かれないこと。 放送作家の台本が、主人公・友希が書くようになる芸能コラムがそれぞれどういったものか(特に前者)、読者にはろくに見えてこない。はっきりいえば、「…
《それでも》を志向しなくても、認めざるを得ない力を持つ作品と作家たち ここまで、「《だから》に留まり、《それでも》を志向しない作品は人の心を打たない」という原則を延々と書いてきたが、勿論、なんにでも例外というものはある。 例えば、舞城王太郎…
2/5に『知る辺の道』で初めて読み、気になっていた作家・紺野キタの『ひみつの階段』(全二巻)、『あかりをください』を読む。 『ひみつの階段』が、とにかく上手い。設定や物語は、定番の《型》------女子だけの寄宿舎での中学生活。時々、時を越えて過去…
昨日読んで、感想をまとめた『明日の王様』と同時に届いていた、谷地恵美子『サバス・カフェ』(朝日ソノラマ文庫版。全四巻)読了。少し、樹なつみ『パッション・パレード』を思い起こさせる。両方共、いい作品だと思う。 ……『サバス・カフェ』はちょっと、…
「はじめは、話題のサルでもいいです。 でも このサルは 脚本を書くサルです。」 数日前、なんとは無しに買った一巻が面白かったので、残りを買った。 今日、それが届き、続きを読むうち、次第に引き込まれた。そして------四巻の半ばのこの台詞で、完全に参…
紺野キタ『知る辺の道』、谷地恵美子『明日の王様(1)』を読了。amazonのリコメンドで出てきて、表紙と紹介文から取りあえず買ってみたのだが、両方、結構好きな作品。特に『知る辺の道』。これ、初出が『スピカ』や『Bstreet』か…。 『スピカ』の方は船戸…
椎名高志『絶対可憐チルドレン』(1)〜(3)読了。まず、主要人物の名前が面白すぎる…。 主役になる強力な10歳のエスパー少女三人の名前が、それぞれ「明石薫」「野上葵」「三宮紫穂」で、それを指揮する20歳の天才学者が「皆本光一」。エスパーの特務機…
「ぶ〜け」昭和57年8月号に掲載された「美味しいのがいい」をはじめとする初期作品を集めた短篇集。 これが、最近まとめて読んだ、この作者の文庫化されていない(『火消し屋小町』を除いた)作品群の中で、ダントツにいい一冊!(他の本の作品も軒並み良作…
二年くらい前に文庫版の『ベル・エポック』『永遠の野原』『5時から9時半まで』を読んで「いい作品を書く人だな」と思っていたけど、一週間前に何気なく『ベル・エポック』一巻を読み返すと、もう「いい作品」どころではなかった。夕方に読み始めると気が付…