北村薫『太宰治の辞書』雑感

太宰治の辞書

太宰治の辞書


まずは一度読んだ。
読ませて頂いた。

「謎は往々にして、それが謎であることを隠している」
(「女生徒」p106)

「《謎》というのは、質問一、質問二といったように、問題用紙に書かれているわけではありませんね」
(「太宰治の辞書」p150)


「円紫さんと《私》」シリーズ(正直言って、この作品を「円紫さんシリーズ」とだけ呼んでしまえる読者のことは自分にはなんだかよく分からない)。
「L'histoire-----歴史」(「織部の霊」、『空飛ぶ馬』創元推理文庫版p13)
《私》の物語/歴史(イストワール)。
自分がこの物語の中に追う謎と追い方については中公文庫『ミステリ十二か月』解説で書いた。
これまでも、これからも、そうしていく。

ミステリ十二か月 (中公文庫)

ミステリ十二か月 (中公文庫)


「円紫さんと《私》」シリーズの発行元が『朝霧』までの東京創元社から、『太宰治の辞書』では新潮社に移った事情についてはよく知らない。
ただ、例えば本文が終わり、奥付が挟まれ。その後のページも含めて一冊の本であり、一冊の作品だろう。
良い形になっていると自分は思う。


冒頭収録の「花火」については雑誌掲載時に感想日記を書きもしたので、折角なので再掲。

北村薫「花火」(『小説新潮』2015年1月号掲載)雑感
http://d.hatena.ne.jp/skipturnreset/20141223

「女生徒」についてもtwitterで少し投稿してはいたりはする。