桂枝雀七回忌・歌舞伎座での小三治『一眼国』

特に、枝雀七回忌歌舞伎座での『一眼国』(旅人を枝雀、小屋の興行主を自らに擬し、その時限りの追悼の一席とした)や今日の『千早振る』で見せた、小三治の機知と粋。そして、さん喬が『柳田格之進』『井戸の茶碗』でみせた、"あえて"現代人の視点、近代的な理知による批判を排除し、"かつて、このような生も有り得たかもしれない”という虚構のリアリティをとことん正面から打ち出すという、潔い美学には、ただただ感嘆させられた。