6月の読了本その他まとめと雑感

<本>

A・ブラックウッド 他『怪奇小説傑作集1 英米篇Ⅰ』(平井呈一・訳/創元推理文庫/新版)6/1
岡嶋二人『99%の誘拐』6/2
岡嶋二人クラインの壺』6/3
文藝春秋編『「運命の法則」アンソロジー人間の情景1』6/4
文藝春秋編『「おんなの領分」アンソロジー人間の情景2』6/5
上遠野浩平『オルフェの方舟―ブギーポップイントレランス』6/6
文藝春秋編『「愛の迷宮」アンソロジー人間の情景3』6/7
文藝春秋編『「こんな人たち」アンソロジー人間の情景4』6/8
文藝春秋編『「人生の達人」アンソロジー人間の情景5』6/9
文藝春秋編『「奇妙なはなし」アンソロジー人間の情景6』6/11
文藝春秋編『「別れのとき」アンソロジー人間の情景7』6/16
文藝春秋編『「動物との日々」アンソロジー人間の情景8』6/17
渡辺保『芝居の食卓』6/18
おーなり由子『きれいな色とことば』6/19
シャーロット・アームストロング『毒薬の小壜』(小笠原豊樹・訳)6/20
遠藤徹『弁頭屋』6/20
筒井康隆虚人たち』6/22
コードウェイナー・スミス『鼠と竜のゲーム』(伊藤典夫浅倉久志/訳)6/23
橋本治『大江戸歌舞伎はこんなもの』6/29
シオドア・スタージョン『夢みる宝石』(永井淳・訳)6/30

<映画>

ポセイドン6/6

<DVD/ビデオ/TVなど>

史上最大の作戦(The Longest Day)』6/1

■ワールドカップ中継

<グループリーグ>
『ドイツ×コスタリカ』6/9
イングランド×パラグアイ』6/10
『アルゼンチン×コートジボアール』(録画)6/11
セルビア・モンテネグロ×オランダ』6/11
『日本×オーストラリア』6/12
『ブラジル×クロアチア』6/13
『スペイン×ウクライナ』6/14
『アルゼンチン×セルビア・モンテネグロ』6/16
『ガーナ×チェコ』6/17
『日本×クロアチア』6/18
『ブラジル×オーストラリア』6/18
『ドイツ×エクアドル』6/20
『アルゼンチン×オランダ』6/21
『日本×ブラジル』6/22

<決勝トーナメント1回戦>
『ブラジル×ガーナ』6/27
『スペイン×フランス』6/27

<準々決勝>
『ドイツ×アルゼンチン』
『イタリア×ウクライナ

<演劇・落語・歌舞伎など>

新宿紀伊国屋ホール/Studio Lifeトーマの心臓』6/4
歌舞伎座/六月大歌舞伎夜の部6/4
ボローニャ歌劇場『アンドレア・シェニエ』(ホセ・クーラ、マリア・グレギーナ主演/東京文化会館)6/10
小林賢太郎プロデュース公演/KKP#5「TAKE OFF 〜ライト三兄弟〜」(本多劇場)6/11
モーリス・ベジャール・バレエ団『バレエ・フォー・ライフ』6/16
メトロポリタン歌劇場『椿姫』6/17
メトロポリタン歌劇場ドン・ジョヴァンニ』6/17
メトロポリタン歌劇場ワルキューレ』6/18
モーリス・ベジャール・バレエ団『愛、それはダンス』6/23
シアターコクーンヴァージニア・ウルフなんかこわくない』(大竹しのぶ主演)6/24
歌舞伎座/六月大歌舞伎昼の部6/24

<漫画>

わかつきめぐみゆきのはなふる』6/5
草川為『十二秘色のパレット』①②6/7
草川為龍の花わずらい』①②6/7
二ノ宮知子のだめカンタービレ』⑮6/13
草川為『十二秘色のパレット』③6/13
草川為『めぐる架空亭』6/13
久米田康治さよなら絶望先生』③6/13
藤田和日郎からくりサーカス』1〜42巻6/1〜6/15
椎名高志絶対可憐チルドレン』⑤6/16
岩永亮太郎パンプキン・シザーズ』⑤6/16
久米田康治さよなら絶望先生』④6/21
おがきちかLandreaall』⑧6/28

草川為ガートルードのレシピ』全5巻
松井優征魔人探偵脳噛ネウロ』①〜⑥

<その他>

国立西洋美術館/常設展6/17
森下文化センター/「編集者が語るマンガの世界」第二回(講師:丸山昭)6/25
アニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」(〜第13話)
アニメ「魔法少女リリカルなのは」全13話
アニメ「魔法少女リリカルなのはA's」全13話



●読了本------先月に引き続き……

また、ろくに感想書けてない……。
月初にA・ブラックウッド 他『怪奇小説傑作集1 英米篇Ⅰ』について、平井訳の特徴と各作品の性格の関連について少し書いたくらい??
アンソロジーについては文章をまとめづらいとはいえ、ちょっとヒドイなぁ……。


ちなみに、「アンソロジー人間の情景」は、北村薫が折に触れて紹介してきた作品とやたらとよく重なった。それで、作品自体の感想のほか、その関連で色々と思うところもあったのだけれど、うまくまとめ切れずに自主的に没にした文章も幾つか。
また、この選集では正直に言って、六巻「奇妙なはなし」の都筑道夫の解説を除き、収録作品に較べて解説がいかにも見劣りする。
その上に更に自分で愚にもつかない文章を重ねて行くというのは、どうにも嫌で出来なかった。
……って、そんなことのせいにするのは駄目か。自分の気合と熱意が足りない。サッカーの日本代表にがっかりしている場合じゃないな……。

●舞台関連------こちらも先月に引き続き、知らない分野に更に首を突っ込んでみる。

オペラとバレエという、今まで縁遠かった分野にちょっと首を突っ込んでみる。
実のところ、普段歌舞伎や落語を観たときと同じくらい、色々と考えたり調べてみたりもしたけれど、自分で観てもろくなモノに仕上がらなかったので、感想は結局ろくに載せていない。
……ただ、今回の『椿姫』と、TV中継で観たネトレプコ主演の『椿姫』とを比較して、二つのヴィオレッタ像の違いと歌のイメージとをまとめてみた文章くらいは、はてなの方にはアップしても良かったかなぁ。
あと、それぞれそのものの面白さの他、この二つの分野をちょっと観ておくと、歌舞伎やミュージカル映画を楽しむ上で、少しプラスにもなりそう。


他の舞台では、StudioLifeは三度目(前二つは『死の泉』『白夜行 第二部』)。
小林賢太郎も三度目(ラーメンズ『ALICE』、Rahmens presents 『Golden Balls Live』。ただし、DVD等ではかなり観ている)。
ヴァージニア・ウルフなんかこわくない』を演出したケラリーノ・サンドロウィッチの舞台は、数年前のナイロン100℃フローズン・ビーチ』以来。


どれも、以前観たイメージ通りの面白さ。逆に言えば、それ以上では無かったけれど……。
StudioLifeはともかくまず、舞台化など不可能そうな《世界》をしっかり立ち上げてみせる力業が凄い。その中では脚本・演出だけでなく、照明の森田三郎という人の技術が光っているのではと思う。
また、今回の舞台についていえば、非現実的に《純粋》な作品世界と現実との仲介者として、レドヴィ(盗癖のある少年)の役割をクローズアップする演出が巧いと思わされた。


小林賢太郎の舞台はいつでも、《言葉》で自在にイメージを造り上げ、傾け、捻じ曲げていく感覚に驚かされずにはいられない。
……あえていえば、あまり小道具に凝らない方がかえって面白いのではとも思う。なんといっても、『ALICE』の圧倒的な出来が懐かしい。


ケラリーノ・サンドロウィッチという人の舞台は、なんだか《明るい壊れ方》をするという印象。
また、この戯曲についての感想としては、《中心に夫婦の21年間育て続けた一つの共同幻想がある》という核以外は、それを中心にどのような感情が渦巻いているのかが相当部分、役者の毎回の自由裁量に委ねられているようで、その自由度が興味深かった。


今月の歌舞伎に感想を書いていないのは……六月の歌舞伎座は、出来がちょっとどうかと思えたので……。
『身替座禅』、『荒川の佐吉』の仁左衛門は良かったけれど、夜の部の『二人夕霧』や昼の部の三演目には概ねうんざりさせられたし、『荒川の佐吉』も、真山青果の主義主張の押し売りがどうにも好きになれない。
ただ、真山青果については、《"それでも"人物の魅力に押し切られてしまう》というところに、もっと深く関心を持つべきなのかもしれない。

●漫画------なんだか普段の月と較べても、冊数が多い。

藤田和日郎からくりサーカス』の一気読みと、初めて読んだ草川為のまとめ読みの他は、これまで読んできているシリーズの続編が中心。トータルの冊数はなんだかやたらと多くなっている。


二ノ宮知子椎名高志はいうまでもないとして、おがきちかという人も、とてもとても話の構成と展開が巧い作家。連載中の代表作『Landreaall』の本当の魅力が三巻まで読まないと伝わりにくかったり、イチ推しの短編「スーパーウール100%」(『ハニー・クレイ・マイハニー』収録)の幕切れの味も伝え難いものがあったりと、少しばかり厄介な作風ではあるけれど……。

ハニー・クレイ・マイハニー (ヤングキングコミックス)

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からくりサーカス』は、ゴチャゴチャとつまらない感想を書くのがはばかられる熱い作品。
……書こうと思えば多少は書けるんだけど、アウトラインを思い浮かべた時点で、自分でも鬱陶しく思えてしまった。


例えば、作中に取り入れられた数々の名作のイメージと、その変容。
「真夜中のサーカス」のイメージ全般とブラッドベリ『何かが道をやってくる』。
ローマの休日』と九巻〜十巻。
そして、宮沢賢治銀河鉄道の夜』の「蠍の火」のエピソードと、このシリーズの白眉といえる、二十五巻における、フランシーヌ人形の最期(これ、まず間違いなく「蠍の火」をイメージの下敷きにしていると思うんだけど、検索してもそういう評って全く見かけない。そういうものなんかな。原作のキリスト教的な自己犠牲のテーマに基づいたエピソードが、どんな風に換骨奪胎されているかというのはとても興味深いことにも思えるのだけれど)。


……ちなみに、wikipediaの「からくりサーカス」の項には、「『道化師』というオペラ作品が話の根底に流れており」云々という記述があるけど、そうなんだろうか?? そのオペラ、今年4月に新国立で観たけれど、別にこの作品とそんなに関連があるようには思えなかったのだけれど……。道化たちの名前なんかは、コメディア・デラルテ(※)の一般的な決まりごとだし。

コメディア・デラルテ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%A1%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%A2%E3%83%BB%E3%83%87%E3%83%A9%E3%83%AB%E3%83%86
サハラ戦後のストーリー------特に「黒賀村」周辺------の失速と言うのは惜しいけれど、二十五巻あたりまでの密度で全四十三巻突っ走れたら、むしろ異常過ぎるだろうとも思う。
最終巻はまだ刊行されていないので、ラストは知らないのだけれど、どんな終わり方をするんだろう?

●その他------ワールドカップ月間。

映像関連は、ほぼワールドカップ一色。
よく言われるように、結局のところ「オーストラリア戦のラスト10分」に集約されてしまった日本代表の敗退は残念だったものの、好試合が多い今回のワールドカップ全体には大満足。


「アルゼンチン×コートジボアール」でのドログバの奮闘、「セルビア・モンテネグロ×オランダ」でのロッベンの大暴れ、「アルゼンチン×セルビア・モンテネグロ」でのお祭り状態、「ブラジル×ガーナ」での微妙な実力差、「スペイン×フランス」でのジダンヴィエリの両ベテランの意地の奮起、「ドイツ×アルゼンチン」の壮絶な潰し合いとその中でもなかなかミスを犯さない技術と集中力、体力……。


勿論、これまでのベストは7月1日『ブラジル×フランス』での"ジダン大復活"という《事件》と、見事に蘇ったフランス代表のスーパープレー(絶対、途中で力尽きてプレーが低調になると思ってたのに……)。アレは凄かったなぁ。


個人的に贔屓のチームは開催国・ドイツ。質実剛健!決して諦めず、サボらず、常にやるべきことをやってくるチーム。
そして、華麗なパスワークとか圧倒的なドリブラーなんかはいないけど、全体的なミドルシュートの精度と威力は異常。こんなにミドルシュートが枠に飛び続けるチームなんて、みたことがない。
幾らなんでも(バラックはともかく)普段からこんなシュートを撃ちまくれているわけはないと思うので、自国開催の高揚の中での気合と集中力の為せる業なんだろう。いいなぁ、ドイツ。

●反省と課題

「とにかく、しっかり本についてのマトモな感想も書くこと」という、先月の反省が全く活かされてない……orz
えーと、、、今月こそがんばろう。うん。


以上。