梶尾真治『フランケンシュタインの方程式』『躁宇宙・箱宇宙』

梶尾真治フランケンシュタインの方程式』『躁宇宙・箱宇宙』読了。
高橋葉介『恐怖症博士』『黒衣 KUROKO』全四巻を読む。


表題作に加え、解説で出ていたほかの「方程式もの」の解決法を見ると、「SFというジャンルの決して小さくない一部分は、稚気とユーモアで出来ているみたいだなぁ」と改めて思わされる。楽しい分野だなぁ。


で、この一冊のお目当ては、「地球はプレイン・ヨーグルト」。「うわぁ……」としかいいようがない名作。
そういえば、《食》をテーマにしたSFといえば、アシモフの「美食の哀しみ」も好きだったなぁ。
更に脱線すると、ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア「恐竜の鼻は夜ひらく」(『愛はさだめ、さだめは死』)を読んでいたら、やはりアシモフの「父の彫像」(『木星買います』)を思い出した。久しぶりに、アシモフを読み返してみよう。


さすがに、題名をラストを飾る傑作「包茎牧場の決闘」にするわけにもいかない??
とんでもない題材をとことん正統派のSFのフォーマットに載せていることがたまらないおかしみになっている作品……って、どこかで同じこと書いたなぁ。まぁ、いいか。
「多重人格創世記」のノリも大好き。「一九六七空間」もこの人らしい佳作。


ところで、梶尾真治作品の解説は、作品評ではなくて解説者の梶尾作品との出会いや「いかにカジシンが愉快で素晴らしい人か」が語られることが妙に多い。というか、いってしまえば、マトモな作品評をみることがまるでないような……。確かに、解説するだけ野暮な作品を書く人だと思う。
また、作品の好み・優劣も比較的読者によらず一致しやすいのかもしれない。「時尼に関する覚え書」「美亜に贈る真珠」「おもいでエマノン」「地球はプレイン・ヨーグルト」……やはり、ここらへんの作品は他の梶尾作品と較べてもずば抜けた出来に思える。


前半は、なにかのフラストレーションを発散するかのよーなやりたい放題ぶり。高橋葉介版「笑うセールスマン」??後半は気分が収まったのか、随分丸くなった感も。
Kuroko 1―黒衣 (少年チャンピオン・コミックス) Kuroko 2―黒衣 (少年チャンピオン・コミックス) Kuroko 3―黒衣 (少年チャンピオン・コミックス) Kuroko 4―黒衣 (少年チャンピオン・コミックス)
高橋葉介先生、ラヴクラフトが書きたくなった模様。
珍しい、続き物の長編。