なんだかとてもデマっぽい対談記事です。
「田中優×小林武史 緊急会議「今だからこそできる話がある」」
http://www.eco-reso.jp/feature/cat1593/20110318_4983.php
http://www.eco-reso.jp/feature/cat1593/20110319_4986.php
メインの送電線の話などは気になる話題で、全てデマとは言えませんし、大して検証できる知識も素養もありませんが、それでも明らかに気になるところも。
そこで21日夕方に掲載サイト「エコレゾ ウェブ」の意見・問い合わせフォームから質問を送ってみました。
この日記で質問内容を公開しています。
こういうサイトって、こういう質問にまともに対応してくれるものなのですかね。
田中さん、わたしとても気になります。
といいますかね。
「とにかく悪いのは東電、政府、そして原発推進派!彼らの陰謀や隠蔽を暴き、利権を切り崩せば問題はすぐに解決!対案?ほら、我々の予測ではこんなバラ色のプランが!」
って、思えば、とても聞きおぼえがある類の主張ですよね。
ほら、あの、二言目には「政権交代!」か「自民が官僚が…」って言ってた民主党というのがいて……。
彼らが掲げたマニフェストなるものの実態がなんであったかは今や周知の事実です。
さて、この田中優さんのご主張も、同様の机上の楼閣であるのか、真に役立つ合理的な提言であるのか、慎重な検討が必須であることは当然ですね。
これだけの提言をされた田中さんの側でも、根拠のある疑問には真摯に応えて頂けるよう、期待したいところです。
※4/3追記
記事公開の10日後の3/29、記事に「お詫びと訂正」が出ています。
http://www.eco-reso.jp/feature/love_checkenergy/20110319_4986.php#e_teisei
なぜ10日間も掛かったのかは不明ですが、明確に訂正が出されたのは、とても良いことだと思います。
ただ、相変わらず元論文の紹介・リンクは何故かありません。
今後読者に"考えて欲しい"という目的の対談なら、出来る限り話題に上げたことは論拠や出典を明確にすべきというか、技術論をするならば最低限のマナーです。
"どんな疑問や間違いに対しても訂正すらしない"という訳ではないことはわかりましたが、依然として、とてもマナーが悪い論者だと思います。
そもそも、この人が訂正した犬吠崎の話。
今になって言い始めた煽りではなく、少なくとも一年以上前からの持ちネタみたいですね。
PJnews「イラク戦争を検証する田中優さん、トークライブ開催=大阪・阿倍野」
2010年03月01日 08:27 JST
http://www.pjnews.net/news/291/20100228_1そして日本として「鳩山政権が二酸化炭素25%削減といっていますがそのほとんどが産業からの排出です。特に日本全体の半分は200事業所(発電所、鉄鋼、石油関係など)が出しており、それらが対策すれば25%等簡単に削減できます。特に犬吠埼に風力発電所を建てると東京電力の1年分に近い電力をまかなえるというシミュレーションも出ています」とした
こんな問題がありすぎるネタが一年以上もった/もってしまったのは、検証に当然必要な論文の情報を出さなかったからこそでは。
論文と見比べれば、素人目に見てもあからさまにおかしい主張ですから。
問題の本質って「センセーショナルな意見が結果的に間違っていたこと」ではなく、「センセーショナルな意見を出す際に当然必要な論拠を出さないこと」なんですよね。
十年以上も活動家やっていて、それすらも分かっていないのなら唯の馬鹿ですし、分かっていてやっているなら、それ以上にタチの悪い煽り屋の山師なんだろうと思いますね。
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田中優×小林武史 緊急会議「今だからこそできる話がある」
http://www.eco-reso.jp/feature/cat1593/20110318_4983.php
http://www.eco-reso.jp/feature/cat1593/20110319_4986.php
を読ませて頂きました。
些か気になる記述がありましたので、感想を送らせて頂きます。
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小林 それは、漁業への影響はないんですか?
田中 今の電気をまかなうのに、そんなに本数はいらないからね。東京電力が東京大学に委託して、犬吠埼に風力発電を建てたらどれだけ発電するかを調べたそうです。そうしたら出てきたデータが「東京電力がまかなっている電気が全部作れます」というものだった。犬吠埼の沖合だけで、だよ。
小林 すごい。
田中 そうしたら東京電力は「そのデータは公表しないでください」と言った。だけど、こっそりとインターネットに公表されていたのを僕は検索して見つけてさ。」
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とあります。その公表論文とは、具体的にどの論文でしょうか。
大事なデータですので、公表されているなら記事中でリンクをされるのが筋だと思います。
なお、自分で探させて頂いたところ、
「メソスケールモデルと地理情報システムを利用した関東地方沿岸域における
洋上風力エネルギー賦存量の評価」
http://windeng.t.u-tokyo.ac.jp/ishihara/paper/2007-7.pdf
だと思えるのですが、記事の内容あるいはそこから得られる印象と随分異なる内容のように見受けられます。
p12のまとめで3で、「海岸からの距離50km までの全海域を対象とした場合に,風力エネルギー賦存量は年間287TWhとなり,2005年の東京電力の年間電力販売量とほぼ等しい」とあります。
「海岸からの距離50km までの全海域を対象」は「漁業に影響」せず、「そんなに本数はいらない」のでしょうか?
勿論、犬吠崎以外のところに分散させればいいのでしょうが、都合良く設置できる場所は本当にそんなに多数あるのでしょうか?
更に、それはあくまで理想で、一応展望として現実的(?)なのはまとめ5の浮体基礎がどうこうという話で、(多分理論的な上限値で)海岸距離10-30kmで2005年度の東電発電量の14%程度、と書かれているように見受けられます。
100%が14%、という時点でなんだか随分話が違ってきてしまっているようです。
そしてそれ以上にこの「浮体基礎」云々という技術はどうも、これから検討すべき、と言うのが論文のスタンスのようですが、それはどの程度見込みがある話なのでしょうか?
仮に、本当に見込みのある理論・技術である場合、本当に広く検討されないくらい、日本の電力産業は腐っているのですか?
仮に、そんなに腐って強制力がある組織なら、なぜそんな重要な論文が少しばかり個人が検索するだけで、こんなにあっさり見つかってしまうのですか?
ようするにこの記事、「東電が悪い」「政府が悪い」という陰謀論ではないでしょうか?
その疑問を拭うには、あまりにも話題の扱いが杜撰過ぎます。
特に、「東電は公表させず隠している!でも、私は公開されているのを知っている!」というご主張で、その主張中でも元論文を紹介しないとなると、都合が悪い情報を隠しているのは、田中優氏もまるで変わらないとしか思えないのですが、いかがでしょうか。
こういう危難の時であるからこそ、情報の正確な発信には留意頂けるよう、お願いしたいと思います。
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追記。
関連情報は、こちらでもどうぞ。
※「犬吠埼に風力発電を建てたら」
http://togetter.com/li/114799
田中優という人について少し検索してみると、映画『ZERO:9/11の虚構』という映画に対するこんな寄稿が。
「陰謀論という名の陰謀」
http://zero.9-11.jp/voice/voice_01.html
こんな文章を読んでしまうと、田中優の発信する情報って、かなり疑ってかかった方が良いだろうと思えますね。
ちなみに、9.11陰謀論なるものについて、一応、検証は例えば菊池誠先生のこの日記などで。
http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/weblog/index.php?UID=1297272746
そんな陰謀論にホイホイ乗っちゃう人に”東電や政府は嘘や利権で素晴らしい技術開発や送電を妨げている!”なんて言われて、「その通り!」とはとても頷けないと思えませんか?
そして、この田中優という方。ただ対談記事載せてるだけじゃなくて、Mr.Children(ミスターチルドレン)の桜井和寿と、その音楽プロデューサー・小林武史(現代表理事)、坂本龍一で設立した「ap bank」って団体の役員(監事)だということです。
失礼ですが、このap bankさんという団体、今回の震災でも相当募金集めてそうなんですが、本当に信用に値する組織ですか?
勿論、対談記事と他のap bankの活動に直接の関連性は無いと思いますから、杞憂であるに越したことはないんですが、やはり、気になります。