『それでも町は廻っている』9巻/第71話「歩く鳥」の魅力

それでも町は廻っている 9 (ヤングキングコミックス)

それでも町は廻っている 9 (ヤングキングコミックス)

石黒正数それでも町は廻っている』待望の新刊は第66話〜74話を収録。


第71話「歩く鳥」がとにかく神懸っている。
構図に加え、明暗・陰影の付け方でいろいろやらかしてくれていて。
とりわけp132の一〜三コマが素晴らしく、特に三コマ目は高野文子リスペクトっぽい。

銀河鉄道の夜』を下敷きにしたストーリーにも降参(言わずもがなだけど座成はザネリだし、p132飛ぶ鳥はカササギだろう。同じくp132の男の子は「六つばかり」で女の子は「十二ばかり」かな)。

※参考:宮沢賢治銀河鉄道の夜』(青空文庫
http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/456_15050.html

で、再び上記p132三コマ目に戻って補足。
列車が「銀河鉄道」に見立てられているところ、その「内」と「外」との持つ意味合いは大きい。
その中で吹き出し部分(「おお 鳥が飛んでる」)を陰影及び形(上と右下の欠け方)で「内」を強調する手法も目立つ(この吹き出しに使われている手法って、他作品・他作家ではどんな作例があるのかな?)。


なお「歩く鳥」を読んだ後は5巻に戻り第38話「俺たちは機械じゃねえ」を読み返すことをお勧めしたいところ。
理由は読めば分かる筈。

それでも町は廻っている 5 (ヤングキングコミックス)

それでも町は廻っている 5 (ヤングキングコミックス)



他にも第67話「答砲悋気」でのエビちゃんは可愛すぎるし、べちこ焼きの話(第70話「大人買い計画」)が巧すぎるのはもう、読めばあまりにも明らか。
それと「70話で<時間SF+懐かしさと食べ物>をやって、直後に71話が来るという構成の見事さ」というのも強く言っておきたい。



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