長谷敏司『BEATLESS』のあらすじ(ネタばれ)をまとめてみた。

BEATLESS

BEATLESS

長谷敏司BEATLESS』のあらすじをまとめてみた。
たぶん、嘘は書いていない。


22世紀を舞台にしたボーイミーツガールの物語。
少年・遠藤アラトは頭も外見もごく普通の17歳男子である一方で、少女・レイシアは超絶美人のアンドロイドさん。


ある日の夜、自宅近くで不意に謎の超強力美少女アンドロイドに襲われたアラトを、割って入ったもう一人の美少女アンドロイド=レイシアがすんでのところで助け、アラトに「自分のオーナー」になることを要求------『Fate/stay night』そのまんまなような出会いをする二人。


それを少年は完全な偶然だと思っていたけど、少女からすれば完全な計算づく。
徹底した身辺調査に基づく選考理由は≪超絶チョロく、自分の考える未来に最も(性格だけでなく、家族関係(父親・妹)や過去に巻き込まれた事件など諸々ひっくるめて)都合のいい相手だから≫。
これだけ最悪のボーイミーツガールも珍しい。


出会いから一週間後、交際を報告された瞬間から「お前はだまされている!」と全力で止めに入る親友二人(リョウ、ケンゴ)。
にも関わらず、相手を≪自分の要望をなんでも汲み取って応えてくれる、最高に都合のいい女≫と思い込んでだまされ続けるアラト少年。


アラトは必要に迫られない限り物事を深く考えない、実にのんきで楽観的な人物だった。
そうして彼がひたすら状況に流されていると、交際からわずか数日の間でいつのまにか人類は衰退どころか終了目前まで突き進んでいた。
それに気づいためっぽう賢い親友・リョウ(アラトとは反対に、彼はとにかく物事を深くかつ悲観的に考えに考え抜くタイプ)に交際を改めて強烈に反対され、アラトがぼやく。

「つまり、こういうことか。僕のチョロさで人類がやばい」(p187)

後に判明するが、まさにその通りだった。


そうしていいようにアラトがレイシアに操られ続けた結果、たてつづけに物騒な事件が連続発生。
気がつくと、アラト&レイシアはレイシアの姉妹機たる美少女アンドロイド五人姉妹(レイシアも含めて五人)およびそれぞれのオーナーとの聖杯戦争……もとい生命と未来を賭けた生存闘争に巻き込まれ、二人の周囲にも被害を撒き散らしていくことになる。


アラトを案じてやはり交際を止めようとしたリョウの妹(アラトにベタ惚れの美少女で実はアンドロイド五人姉妹の四女・メトーデのオーナー)は、そのせいで瀕死の重傷に。
ケンゴはアラトに助けを求められて手を貸したばかりにアンドロイド五人姉妹の長女・紅霞に無理やりオーナー候補にされたりした挙句、犯罪者となり追いつめられて逮捕。
アラトとレイシアは激怒したリョウから二人揃って命を狙われ、リョウと彼がオーナー契約を結んだメトーデに追い回されて何度も殺されかけていくことになる。


≪この人の手を離さない。僕の魂ごと離してしまう気がするから≫と約束していたアラトだったが、実はレイシアには怪盗二十面相以上の変装能力があり、人類の誰と比べても桁違いに計算高く心ない魔性の女だったことも隠していて。
アラトがそれを知らされたショックで≪僕の手には負えない!≫と逃げ出し、ヨリを戻すまでひと悶着があったりもする。


ともあれ、交際開始から数カ月後。
アラトとレイシアのおつき合いは、レイシアの父親(レイシアたちを設計した世界最高性能の超高位AI・ヒギンズ)との≪お互いが考える幸せな未来像の食い違い≫から全力の殺し合いに発展。
レイシア曰く≪父親(ヒギンズ)の調子に乗ったやりたい放題で世界がやばい。一度殴りつけて半殺しにしないと≫。


親友リョウとメトーデは父親(ヒギンズ)側で参戦。
さらに親子喧嘩に父親の親戚38名(=世界に存在するヒギンズと同格の超高位AI全員)も介入し、世界中が数十年ぶりの大混乱に。
親戚総出の喧嘩の模様はレイシアによって全世界に向けて実況中継される。


全世界に公開の親子喧嘩は最後に膠着状態となるが、少女と父親それぞれの「私が考える明るい未来」について二択のアンケートが取られた結果、アラト&レイシア側が得票多数となったことが決め手となり決着。
それで父親が遂に折れ、親友リョウも二人の交際を認め、晴れてアラトとレイシアの二人は世界公認のカップルに。


人間とモノ(アンドロイド)という巨大な障害を乗り越えてアラトとレイシアが結ばれたことで、人間とモノとが一体となって未来に進む交際が全世界的な流行になっていく。
その流行をもって、これまでの「人類の歴史」は終わり、新たに「人類とモノとの歴史」が始まることになる。
少年のチョロさと少女の計算とが二つで一つのユニットとなり、見事に人類を変革しおおせたのだった。



なお、アンドロイド五人姉妹・二女のスノードロップはオーナーを持たない、≪人間なんて必要ない、私たち「モノ」だけの世界を作るよ!≫なターミネーターさんで、物語の要所要所でいろんな相手にやたらと喧嘩を吹っ掛けていく。
ポジション的には聖杯戦争バーサーカー(ただしオーナー不要)みたいな子。
三女のサトゥルヌス(オーナーに改名させられてマリアージュ)は、オーナーともども、レイシアが常に利害が一致するように展開を誘導していった結果、ほぼ中立の立場で戦争の見届け役をずっと果たし続ける。
言峰神父とギルガメッシュが建前じゃなくて最後まで見届け役であり続けちゃったよ、みたいな立ち位置。
まあ、「バトルロイヤルな形式を取ってる」というだけのことで、別にことさらFateを出すような話でもない気もするけど。