各々の「シンデレラ」へ続く螺旋階段。/アイドルマスターシンデレラガールズ12話感想

アイドルマスターシンデレラガールズ第12話「“The magic needed for a flower to bloom."」感想です。


デレマス感想過去記事はこちらをどうぞ。

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http://d.hatena.ne.jp/skipturnreset/20150406


7話で「一緒に、一歩ずつ…階段を登っていきましょう」とCP14人+P、15人の再出発が描かれ。


8話〜11話でNGの3人、ラブライカの2人に続いて9人も各々ユニットとしてデビュー。
そして迎えた12話。


まず、それぞれがユニットとして抱え育んだ思いや絆、気遣いが「全員」での挑戦を躊躇わせたり障害にもなりそうだった流れが一度は示され(Aパート)。
それが鮮やかに解消された(Bパート)挿話かと思います。


それと、(劇場版アイマスにも参加していた)絵コンテ:神戸守さんの特徴、凄みが目立った話数だったかとも思えます。


また、舞台となった合宿所の一致をはじめ、「劇場版『THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!』」との対比が目立った回でもありました。



各ユニットの固い絆と結束からの、ユニット相互の衝突。そしてその解決


各ユニットの絆と思いが、他ユニットとすれ違い、ぶつかってしまう



「螺旋階段」という話には後で少し長く触れますが。
CP14人とPとはひたすらまっすぐに次へ、次へと「一緒に階段」を登って行くのでなく。
一度解決したはずのものと似たような問題に幾度も繰り返し悩み時に苦しみもしつつ、巡る螺旋のように少しずつ先(≒上)へと進んで行っている、といったイメージです。


ここからの連投でまとめて書きますが。
7話で「一緒に」と確認され、8話〜11話の各ユニットを巡る挿話でも中心となったその話数でデビューした面々だけでなく、いつも周囲の心身両面でのサポートが示され続けて順調な歩みが描かれていった一方で。
12話では「一緒に」といっても特に強い絆がもう芽生えている各ユニットが、それぞれ抱える思いやユニットの仲間を心配するがために「全員一緒に」という新たな試みとぶつかってしまう、築かれた絆が障害へと変わり「一緒に」が危うくなる……という流れが見事に描かれていたかと思えます。



少し自分で補足すると。
未央の悔しさは未央だけのものでなく、ユニットのものでもあることが夜中のやりとりで確認されています。
でも、強い意気込みのあまり焦りも交じるそれは智絵里を怯えさせたり杏の反発も受けたり、翌日の新田さんの提案への反論(未央)や疑問(凛)にも繋がり、異なるユニットあるいは全員との間では齟齬となって立ち現れて来てしまってもいました。


同じ夜。杏の、

「今日やってみてわかったじゃん。全体曲今からやって、皆で合わせるなんて難しいんじゃない?」

「無理に詰め込んで本番で失敗…なんてことに」

は当人の省エネ主義からまず出ているものであるだろうと思えますが。
全体を冷静に俯瞰してのごくまっとうな判断とも言えそうです。
ただ、それがユニットの仲間の(かな子と)智絵里をひどく動揺させてしまったことには結構気にしていた様子も。
で、杏の失敗をきらりがフォローしに現れるのもなんとも良い関係です。

ちなみにキャンディーアイランドの三人のところに来た時に掛けた言葉は

「ん?どしたのぉ?」

であった一方。
きらりが縁側で身を縮めて「あのね…」と悩みを明かした時に(その間のやりとりをあえて時間経過飛ばして省いた上で)新田さんは

「そう…智絵里ちゃんとかな子ちゃんがそんなことを」

と返していて。
CIの三人に対しては「状況も心理もよくよく察した上であえて明るい声を掛けてみせた」ということが裏打ちされたりもしているかと思えます。


ここで、明けて翌朝。

未央「だから、もっと練習しなきゃ」
智絵里「ひっ…」
未央「じゃないとフェスに間に合わないよ!」

のすぐ後の

杏「このままやってもエネルギーの無駄遣いな気がする」

は本音でもあれば冷静な判断であると共に。
今度はよりはっきり智絵里をかばっての発言でもあったのでは、と個人的には思えます。

ちなみに、

「きらりはね、皆で歌うのって楽しいかな、って思ったんだけど。ユニットの練習も大変でしょ?両方うまくできるかどうか、不安な子もいるんだな、って思うと」

という思いは、ユニットの仲間であるみりあと莉嘉には、(みりあが)アスタリスクの二人に食って掛かったやりとりからも分かるように共有(「皆で歌うの楽しい」)されていたりもします。


まとめるなら。
ニュージェネレーションズ、キャンディーアイランド、凸レーション、アスタリスクが各々ユニット間で積み上げてきたものや相性の良さで互いに想い合い結束しつつ。
例えばNGとCI、凸レーションとアスタリスク……といったようにユニット間で懸ける思いや熱意、懸念がすれ違ったりぶつかったりしまっている様子が描かれていたのかと思えます。
そして、ソロデビューした蘭子の孤独と不安も。


互いに競い合いつつも、助け合い応援し合い「心をひとつに」


そして、そのユニット間のすれ違いと衝突を、互いに競いあいつつも、助け合い応援し合い、「心をひとつに」(蘭子)するためのスペシャルプログラムを新田さんが打ち出し、毅然として実行し切って見せたのがBパートの流れです。
何をすべきか迷った時の支えも、やるべきことに気づくきっかけも、決意したことを実行している時も、ユニットのパートナーのアナスタシアが新田美波を言葉以上に心と行動とで支え続けてもいた12話でもありました(こちらはAパートからずっと)。



ちなみに。


ここは蘭子語ではないことと共に。
ソロデビューだったからこそ一際その前の夜にも独り孤独と不安を抱え込んでしまっていた蘭子が「みんなで、心を一つにすれば」と期待と希望ももって素直に口に出来ている、という描写が鮮やかです。
先述したように(その蘭子の呟きのすぐ前に)大縄跳びの智絵里の失敗をすぐに「ドンマイちえりん!」「焦ることないよ!」と未央がフォローしたように、他の誰よりもその流れでそのキャラクターが発するべき台詞がここでも割り振られている、という話かとも思います。


(5話&)6話のやり残しの回収。新田美波(あるいはラブライカ)とNG




ラブライカは6話でしっかり心を一つに重ねて観客と向き合い、初ライブを充実したものとしてやり遂げ感激に浸る……そうできなかったNGとの対比という役を振られた関係で。
8話以降それぞれ丸々1話ずつを使って描かれた他ユニットたちに比べればやや掘り下げが少な目、新田さんが口にした「何もないから心配なのかな」という不安と課題も乗り越え切られていなかった……と、12話放送後の今であれば振り返ることができるようにも思えます。
すれ違いの夜の翌日、「心をひとつに」出来てからの花火の夜の新田さんの告白とそれへの反応を通じてNGもまた掘り下げられ、それぞれ一歩階段を登るという6話に引き続いてのNGとの関わりの深さもすこし、面白いところかとも思えます。


なお、リーダーとしての新田さんの活躍が目立った一方で、大切なことなので二度言うと。何をすべきか迷った時の支えも、やるべきことに気づくきっかけも、決意したことを実行している時も、ユニットのパートナーのアナスタシアが新田美波を言葉以上に心と行動とで支え続けてもいたわけで。
12話の活躍も見事に二人の共同作業、という観があります。



どちらも「心がひとつに」なったことの象徴的な表現でもあるかな、と思えます。



CP14人とPが一緒にひとつずつ登って行くのは(「シンデレラ」へと続く)「螺旋階段」


11放送時点(12話放送前)のやりとりなんですが、どこかで書いておきたい話なので、ここで載せてみます。





絵コンテ:神戸守



神戸守さんは劇場版アイマスにも関わり、特にその後半の合宿の場面に担当した箇所が多かったいう話などもあり、それもあっての起用だったのかな、とも。


ちなみに直近ではノイタミナ枠の二作品『四月は君の嘘』『冴えない彼女の育てかた』での大活躍(君嘘では全22話中、8話で絵コンテを担当、全てが神回という驚異の神戸守無双)が大変印象的だったかと思います。
君嘘での担当回についてはこちらで随時詳しく触れていますので、関心のある方はご参照頂ければと。

○『四月は君の嘘』感想まとめ
http://togetter.com/li/733123
○『四月は君の嘘』感想[二期]
http://togetter.com/li/768618

劇場版アイマスとの重なり・対比


ここまであからさまにあるいは重ね、あるいは対比を示してきているわけで。
おそらく、その意図も含め詳しく細かく追っていけばより一層面白いのでは、とは思えます。


いつもの。


ブログ向けに加筆&再編集した話の他、多方面の内容を随時、togetterでまとめています。
宜しければどうぞ。

○アニメ版『アイドルマスターシンデレラガールズ』(デレマス)感想
http://togetter.com/li/768711?page=1
↓12話分は下記リンク先から。
http://togetter.com/li/768711?page=82


例えばこんな話なども。


他には挿入歌の使われ方とその意味についての検討など、まあ、いろいろです。