折木奉太郎の本棚、千反田えるの本棚、伊原摩耶花の本棚、福部里志の本棚についてのあれやこれやです。
折木奉太郎の本棚は以前、twitterで作者アカウントの投稿で公開されていたものでもあるので、その当時のあれこれを拾って出しています。
折木奉太郎の本棚
「折木の本棚.txt」です。本棚のモデルなので、一人一冊縛りとか小説縛りはないです。http://t.co/H6x3UkPL
— 米澤穂信 (@honobu_yonezawa) 2012年10月31日
@honobu_yonezawa 「米澤穂信を作った「100冊の物語」」http://t.co/ywwkZ4f4 と比較させて頂くととても面白いです。例えば塩野七生二冊が折木供恵の旅とリンクする形で興味深いです。『パイド・パイパー』⇒『渚にて』が奉太郎らしいと思えます。
— 相楽 (@sagara1) 2012年10月31日
メディアミック用に用意した資料ですが、極力2000年時点で刊行されているものを揃えました(石燕はいきなりの例外です)。 RT @sagara1: /これは原作の「2000年に高校入学の奉太郎」の本棚なのでしょうか。アニメ版の「2012年に高校入学の奉太郎」のそれなのでしょうか。/
— 米澤穂信 (@honobu_yonezawa) 2012年10月31日
おお。お気づきになる方がいらっしゃるとは思いませんでした。最初は『パイド・パイパー』だったのですが、「いや、それは私の趣味だろう」と思って変えたのです。 RT @sagara1: /『パイド・パイパー』⇒『渚にて』が奉太郎らしいと思えます。
— 米澤穂信 (@honobu_yonezawa) 2012年10月31日
@honobu_yonezawa はい。分かるような気がします。『パイド・パイパー』という作品とそれを書いた作者の姿勢はいずれ奉太郎が目指すべき境地とでもいうべきもので、高校一年の奉太郎の本棚にあるのは違うかな、と思えたりします(続く)
— 相楽 (@sagara1) 2012年10月31日
@honobu_yonezawa 1942年に深く戦争に(パンジャンドラム開発にまで)関わっていた英国人作者が国同士が存続を賭けて戦う大戦の中、各々が「こんな時、人は自分の国にいなくてはいけません」と責務を果たさんとしつつ……(続く)
— 相楽 (@sagara1) 2012年10月31日
@honobu_yonezawa 争いそのものの悲惨さを痛感し、それらと関わりない幼い子供たちをその災いから遠ざけたいと強く願い、行動する(続く)
— 相楽 (@sagara1) 2012年10月31日
@honobu_yonezawa その責務と子供たちへの思いにおいて、英国民の老人や、瓦解した国際連盟の職員やドゴール派のフランス人漁師とも重なるものを、ゲシュタポの少佐にも認める眼が描かれる(続く)
— 相楽 (@sagara1) 2012年10月31日
@honobu_yonezawa 奉太郎が避ける「当事者」であることをとことん引き受けながら、立場にとらわれず物事を捉え、「今、ここ」で為すべきことを為す物語。それが『パイド・パイパー』だと思えます。
— 相楽 (@sagara1) 2012年10月31日
@honobu_yonezawa 例の100冊は米澤作品との関連も楽しみつついろいろ読ませていただいたのですが、『パイド・パイパー』は中でも特にお気に入りの一冊なのだろうな、と感じられたことを思い出します。
— 相楽 (@sagara1) 2012年10月31日
『明治断頭台』を読む→必然、ミステリおもしれー!となる→ミステリ揃え始める→ミステリはあまり読まないという描写とズレる、という理由で外しました(『妖異金瓶梅』も)。 RT @koizumi0919: 山田風太郎の作品が明治断頭台や忍法帖などの小説ではなくエッセイなのが良いですね
— 米澤穂信 (@honobu_yonezawa) 2012年10月31日
@honobu_yonezawa @koizumi0919 一度裏返したものは更に裏返る……ミステリに限らず、例えば『八犬傳』や『忍法忠臣蔵』あたりでも山風のそういう作風に接した場合、奉太郎が凄い勢いで山風にハマってミステリ方面にも行きそうで(続く)
— 相楽 (@sagara1) 2012年10月31日
@honobu_yonezawa @koizumi0919 山田風太郎という作家は外せない、かといって奉太郎という的を射抜きすぎるのも問題……いかにも選ぶのに悩まれていそうだと思えたりしました(不躾に勝手な推測を重ねてすみません)
— 相楽 (@sagara1) 2012年10月31日
(なんだか「@(米澤穂信アカウント)」でtwitter検索すると、「乗るしかない、このビッグウェーブに」という感じで楽しいな)
— 相楽 (@sagara1) 2012年10月31日
方針 : 原則としてミステリ禁止。原則として2000年時点で刊行済み。取り寄せなくても街の本屋さんで買えること。時が経ってもそれほど古びないこと。高校一年生に、あまり私の趣味や願望を押しつけないこと。
— 米澤穂信 (@honobu_yonezawa) 2012年10月31日
@honobu_yonezawa キングから『図書館警察』、あえてカーシュで『犯罪王カームジン』(「『壜の中の手記』ではなく)、小栗蟲太郎で『人外魔境』(黒死館ではなく)……狙っているというより避けているというか、「奉太郎の本棚」というにしても多少ひねくれ過ぎなようにも……
— 相楽 (@sagara1) 2012年10月31日
折木には読書案内をしてくれる人がいないので、「何でそっちから読むんだよ!」というもどかしさも裏テーマでした。 RT @sagara1: /……狙っているというより避けているというか、「奉太郎の本棚」というにしても多少ひねくれ過ぎなようにも……/
— 米澤穂信 (@honobu_yonezawa) 2012年10月31日
@honobu_yonezawa こちらの選出方針 https://t.co/UIS6NbzA を拝見して「一般論としてそうあるべきだなあ」と思うと共に、北村薫先生の「≪私≫(と円紫さん)の物語」の≪私≫が触れる作品群の選ばれ方の踏襲というか、オマージュとも思えたのですが(続く)
— 相楽 (@sagara1) 2012年10月31日
@honobu_yonezawa ≪私≫のそれが概ね「そうだよね」「なるほど」という王道を感じさせるのに対し奉太郎は「え。」「そこからかい!」というもどかしさ。読書に限らずいつも優れた「案内」に出逢い続ける≪私≫と「案内」をしてくれる人がいない奉太郎、というのも興味深いです(続く
— 相楽 (@sagara1) 2012年10月31日
@honobu_yonezawa 代わりに≪案内≫というには強烈過ぎる地理的にも時間軸的にも大きな視点を突きつけ、節目節目で強烈な誘導をかけてくる姉 http://t.co/XgwlN1S5 と、ぐっと踏み込んでくる千反田えるがいる(特に≪私≫には奉太郎にとってのえるがいない)。
— 相楽 (@sagara1) 2012年10月31日
@honobu_yonezawa (続き)そんなこんなで、北村薫ファンとして、また米澤穂信ファンとして、今回の「折木の本棚.txt」は滅法面白いリストと思えました。重ねての不躾な質問にお答えいただき、ありがとうございました。
— 相楽 (@sagara1) 2012年10月31日
@honobu_yonezawa amazon書影付きで応答込みでまとめられたものを見ながら http://t.co/zvhDFXb9 重ねて諸々思うことがあり、鬱陶しくてすみませんが、又いろいろと。
— 相楽 (@sagara1) 2012年10月31日
@honobu_yonezawa 「杉浦日向子漫画から『百物語』『風流江戸雀』あたりでなく『とんでもねえ野郎』なのはとんでもねえな……いや、この選択は結果として凄く似合うのか」と思えたりしました。
— 相楽 (@sagara1) 2012年10月31日
@honobu_yonezawa 「『ゲイルズバーグの春を愛す』は奉太郎、萌えポイントだなあ」と。『人魚變生』⇒『ラスト・コンチネント』はデビュー作でなくなった分、やはり「なぜこれから?」感が強まるなあ、と。
— 相楽 (@sagara1) 2012年10月31日
@honobu_yonezawa 『交通死』『死因事典』『死言状』『渚にて』『ある首切り役人の日記』『死因不明社会』それに登山系の一連の作品……並べられて眺めると、こう、なにか、じわじわと来るものがあります(続く)
— 相楽 (@sagara1) 2012年10月31日
@honobu_yonezawa (続き)「がんばれ、奉太郎。がんばれ、内向性こじらせ系高校生。メメント・モリからカルぺ・ディエムに行かないと!」とか応援したくなりますね……。
— 相楽 (@sagara1) 2012年10月31日
数年前のmixi時代から断続的にやりとりのある某氏からここ数日の所業について「僕が一番ガンダムを上手く操れるんだ!とばかりに前に出ていく姿勢、僕は好きですよw」とコメントを頂く。ありがとう。的確過ぎる評を頂いたこと、僕はきっと、忘れない。
— 相楽 (@sagara1) 2012年11月1日
2000年縛りはなくても良かった……。増補したい。
— 米澤穂信 (@honobu_yonezawa) 2012年11月1日
@honobu_yonezawa 「2000年縛りはなくても良かった」というよりも、原作(2000年高校一年)のリストとしては自然ですが、メディアミックスを意識、つまり2012年の高校一年奉太郎のそれだとすると直近12年の新刊・復刊がまるで無いというのはかなり不自然と思えます。
— 相楽 (@sagara1) 2012年11月1日
@honobu_yonezawa 傾向から考えて例えば『虐殺器官』(2007/2010)はむしろその不在が気になります。あと同じくSFはOKなようなのでこれだけ死・臨終をあからさまに好むなら例えば長谷敏司『あなたのための物語』が入っていたりするととても似合いそうと思えたりします。
— 相楽 (@sagara1) 2012年11月1日
(あとは例えば『銃・病原菌・鉄』(2000/2012)あたりもやっぱり不在が気になるかなあ>折木奉太郎の本棚.txt) ※米澤穂信を作った「100冊の物語」 http://t.co/ywwkZ4f4 のリストの方も眺めつつ。
— 相楽 (@sagara1) 2012年11月1日
折木の本棚.txt http://t.co/6uCDA5mD を改めて眺めて。奉太郎のメメント・モリっぷりが楽しい。『氷壁』『北壁の死闘』『遥かなり神々の座』『八甲田山死の彷徨』山岳小説の皆さんは皆、極限状態で死にかける話/『本覚坊遺文』『死言状』は死に行く者たちの残す言葉(続く
— 相楽 (@sagara1) 2012年11月1日
(続き)『夜間飛行』は作者の死の影も色濃い/『交通死』『死因事典』『毒の歴史』『死因不明社会』死に方にまつわるあれこれ/『ある首切り役人の日記』そのまんま。少なくとも12/100がこんな感じ。流れに合った増補なら例えば『拳闘士の休息』(1996/2009)なんて似合いそう。
— 相楽 (@sagara1) 2012年11月1日
寝る前にやっぱりもう一つ。米澤穂信を作った「100冊の物語」 http://t.co/ywwkZ4f4 でもメメント・モリな感じは結構強いのだけど、一方で対置される生命力として「食」関連の本が目立つ(続く)
— 相楽 (@sagara1) 2012年11月1日
(続き)『ヨーロッパの舌はどう変わったか』『食前絶後!!』『料理人』。えーと、あと『特別料理』……も?諧謔、ブラックユーモア含みになるのはとっても米澤穂信っぽい(続く)
— 相楽 (@sagara1) 2012年11月1日
(続き)一方、折木の本棚.txt http://t.co/6uCDA5mD で強く「食」に関わるのは『もの食う人びと』一冊。生命力というか「したたかに今を生きるぜ」という志向が足りない感じが出ているよね、という。
— 相楽 (@sagara1) 2012年11月1日
千反田えるの本棚
千反田えるの本棚。「自身にとって大切な本であったり、あるいは自分の環境を理解するための本」とあった上で。
— 相楽 (@sagara1) 2017年10月17日
クローディアの秘密。肩甲骨は翼のなごり。飛ぶ教室。モモ。フランケンシュタイン。不在の騎士。夏への扉。オズの魔法使い。西の魔女が死んだ。兎の眼。そして自由からの逃走って……
いやいやいやいやいやいやいや……切なさ乱れ打ちかよ。眺めてるだけでしんどいよ!!>千反田えるの本棚(『米澤穂信と古典部』収録)https://t.co/FHuFFnXatN
— 相楽 (@sagara1) 2017年10月17日
で。折木奉太郎の本棚にも千反田えるの本棚にも共通して入れられているフロム『自由からの逃走』を、二人は各々どう読んでいるのか。
— 相楽 (@sagara1) 2017年10月17日
「米澤穂信を作った「100冊の物語」」とあえて一部重ねられ、一部あえて同じ作家の別作品を入れ込んだりしてある折木奉太郎の本棚。
色々と、面白い処ですよね。
伊原摩耶花の本棚
米澤穂信と古典部収録、伊原摩耶花の本棚。漫画縛り漫画染め。
— 相楽 (@sagara1) 2017年10月17日
右ページはまだしも……いや、藤子Fからミノタウロスの皿、カーラ教授から銀のロマンティック…わはは(例えば美貌の果実とかでなく)、楳図かずおからわたしは真悟とか「いかにも」過ぎるだろ……という感じなのだけど。それにも増して
左ページが……「圧」が高すぎる。
— 相楽 (@sagara1) 2017年10月17日
孔子暗黒伝、バナナブレッドのプティング(!!!)、人魚の森、冬目景から文車館来訪記、んでもって石の花(似合い過ぎる……)、絶対安全剃刀(なるほど「黄色い本」ではないんだなと思った)、吉祥天女(櫻の園ではなく、あえてラヴァーズ・キスでもない)、
続き)山岸凉子から天人唐草(表題作!)、少年は荒野を目指す(だから似合い過ぎるだろ。ECCENTRICSではないんだな、そちらに含まれる「カプートの別荘へおいで」でもないんだな、とはちょっと思った)、締めに寄生獣。
— 相楽 (@sagara1) 2017年10月17日
伊原摩耶花の本棚……あまりにも伊原摩耶花の本棚という感じだった。
伊原摩耶花、漫画の趣味が良すぎるのでブサイクになってバランスとって欲しい(京アニ版の顔だとお前、お前〜〜〜
— ぱ隹越九朗 (@mamalaider) 2017年10月17日
趣味がいいというかなんというか、あまりにも「らし過ぎる」のでちょっと読んでいて頭抱えたく(???)なりましたね。
— 相楽 (@sagara1) 2017年10月17日
ちなみに伊原摩耶花の本棚。締めが『寄生獣』ではなくて『風子のいる店』か『骨の音』……前者ならより完璧(???)だったかも、とぼんやりと思った。#何がだよ#お前の中でどういうキャラクターになってるんだよ
— 相楽 (@sagara1) 2017年10月17日
伊原摩耶花の本棚(『米澤穂信と古典部』収録)に清原なつの作品(なんだろう。『花図鑑』とか?)や『サンプル・キティ』を押し込む権利を幾らかで売って欲しい。#売り物じゃねえよ#そもそも発想が怖すぎるよ
— 相楽 (@sagara1) 2017年10月17日
伊原摩耶花の本棚。「本当は(より健やかな方向性としては)もしも何か追加されるべきだとしたら、例えば坂田靖子『バジル氏の優雅な生活』あたりなのでは?」とか思えなくもないけど。
— 相楽 (@sagara1) 2017年10月17日
個人的になんというかな……そう……もっといろいろとこじらせて欲しいんだ。
福部里志の本棚
同じく『米澤穂信と古典部』より、福部里志の本棚。
— 相楽 (@sagara1) 2017年10月17日
作者からの……なにやらキツいんだか優しいんだか両方なのだか悩ましいコメントが付された上で。
脳のなかの幽霊(なるほど)。ギリシア神話を知っていますか(うんうん)。FBI心理分析官(ああ、うん、好きそう)。(続く
スローカーブを、もう一球(沢木耕太郎とかも好きそう。一瞬の夏とか)。(チェスタトン)正統とは何か(おっ…!)。中核VS革マル(お前さあ……)。侏儒の言葉(あー……)。マーフィーの法則(うーん…)。聖の青春(名前の読み同じだね)。服従の心理(おいおい)。
— 相楽 (@sagara1) 2017年10月17日
仙術超攻殻オリオン&ベル☆スタア強盗団&(小林源文)ハッピータイガー(笑った)。(水木しげる)コミック昭和史で締め(なるほど)。
— 相楽 (@sagara1) 2017年10月17日
……ムック冒頭のインタビュー「<古典部>シリーズ15年のあゆみ」での里志に対する作者コメントも流れ弾が急所にあたって酷いことになった上に、
連投冒頭で触れた「福部里志の本棚」への作者コメントも(ごく個人的に、勝手に、こちらの問題で)なんだかしんどい。
— 相楽 (@sagara1) 2017年10月17日
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