2006-02-15から1日間の記事一覧

吉野朔実の作風〜突き詰められる《だから》と、安易な《それでも》の否定。桜庭一樹の二つの小説への感想の流れから。

《それでも》を志向しなくても、認めざるを得ない力を持つ作品と作家たち ここまで、「《だから》に留まり、《それでも》を志向しない作品は人の心を打たない」という原則を延々と書いてきたが、勿論、なんにでも例外というものはある。 例えば、舞城王太郎…

桜庭一樹『少女には向かない職業』〜徹頭徹尾、《だから》の小説。《それでも》は全くない。

『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』の発展進化版 端的にいって、この作品は2/8に読んだ『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』と非常に似通ったものだが、小説としても、ミステリとしても、こちらの方が遥かに整っていると思う。 つまり、この作品でも、作中のトリ…

ボブ・トーマス『アステア ザ・ダンサー』(訳:武市好古)読了。

敬意と熱意を持って、希代の天才の情熱とこだわり、その周囲を彩った人々との関わりを描いた傑作。 どんなに詳しく感想や評を並べることよりも、まだまだ未見のものが多い、フレッド・アステアの映像や歌により多く触れていくことが、何よりこの作者とアステ…