演劇

歌舞伎座七月大歌舞伎(昼の部)『夜叉ヶ池』『海神別荘』

「夜叉ヶ池」は、「春猿演じる百合・白雪姫二役は予想以上に綺麗だったなぁ」という他は、段治郎の萩原晃がなぜか第一声(「水は、美しい。……いつ見ても、美しいな」)から感覚的にひどく反りが合わなかったことや、その後の「海神別荘」のインパクトの強烈…

モーリス・ベジャール・バレエ団『バレエ・フォー・ライフ』

モーリス・ベジャール・バレエ団『バレエ・フォー・ライフ』(五反田ゆうぽうと)に行く。 一階一桁列センターでの観劇。 厳しく抑制し、統制された上でのエネルギー。過去を称え、深く敬意を捧げた上で、それを継ぎ、超えて行こうとする意志。 初めて観たけど…

ボローニャ歌劇場『アンドレア・シェニエ』〜マリア・グレギーナってスゴイなぁ!!

1階5列目左ブロックでの観劇。 某内閣総理大臣が来てた……1階中央通路に面した20列目センター。下手なブーイングが飛んでいたが、ツマラナイことをする人がいるなぁ。 ともあれ、そんなことはどうでもよくて、マリア・グレギーナという人、スゴイ!! オペラ…

わらび座「ミュージカル『銀河鉄道の夜』」(Theatre1010/初日)〜「ケンタウルス、露を降らせ!」

「ケンタウルス、露を降らせ!」 なぜだか、無性にこの言葉の響きが好き。 その台詞が、このミュージカルでは幾度も鮮やかに響き渡り、その度に、なんだかそれだけでも嬉しくなってしまった。 ------『銀河鉄道の夜』は原作に加え、ますむらひろしの漫画版(…

「歌舞伎座五月公演/團菊祭」夜の部〜「吃又」の又平は、「吃りゆえ」に苦しんでいたのだろうか?

■「傾城反魂香」/将監閑居の場 浮世又平 :三津五郎 又平女房おとく :時 蔵 土佐将監 :彦三郎 ■上「保名」/下「藤娘」 保名 :菊之助 藤の精 :海老蔵 ■「黒手組曲輪達引」 番頭権九郎/花川戸助六(二役):菊五郎 紀伊国屋文左衛門 :梅 玉 鳥居新左衛門 :…

新橋演舞場五月大歌舞伎(夜の部)

「石川五右衛門」 序幕|大手並木松原の場/洛西壬生村街道の場 二幕目|足利館別館奧御殿の場/同 奧庭の場 大詰|南禅寺山門の場 石川五右衛門 :吉右衛門 此下久吉 :染五郎「京鹿子娘道成寺 」 白拍子花子 :福助「松竹梅湯島掛額」吉祥院お土砂/火の見櫓 …

蜷川幸雄『タイタス・アンドロニカス』〜傑作!!(感想途中)

さいたま芸術劇場で『タイタス・アンドロニカス』を観る。大傑作。 劇の優れた構造は、高度な様式美により鮮烈なイメージとなり、明確なメッセージを持って観る者に押し寄せてくる。 役者陣も、いずれも見事な演技。 タイトルロールを務めた吉田鋼太郎は今ま…

「マッスルミュージカル春公演 M-DOGS」〜わかりやすい面白さ。ただし、欠点多数。特に構成や音楽ははっきりいってダメ。

今回がマッスルミュージカル初体験。 とにかく、どこまでもわかりやすい面白さはいいと思う。中でも、最初の15分の賑やかさと迫力は特筆もの。 舞台の後方の扉がバッと開かれ、横浜湾とそれを挟んで向こうの別イベントの盛り上がりを借景にし、犬の着ぐるみ…

『秘密の花園』唐十郎原作・三田佳子主演/Theatre1010〜すいません、最初から最後まで、さっぱりわけがわかりませんでした……。

------これ、一体、どういう劇だったんだろう。 どんな舞台であれ、観劇中、あるいは観終わった後には、「この劇全体は、また、特に印象深かったあの場面、あの演出はどういう意図があり、意味があったのだろう」と自分なりの仮説を立ててみることにしている…

こんぴら歌舞伎観劇旅行

4/21-22の一泊二日で四国こんぴら歌舞伎(第一部)観劇旅行にいく。 勿論、第一部・第二部ともに行ければそれに越したことは無かったのだけれど、生憎、うまく予定が合う予約可能なツアーがそれしかなかったので。 21日12時に羽田から飛び、昼に善通寺を観光…

新国立劇場『カヴァレリア・ルスティカーナ/道化師』

格安のチケットが出ていたので、一階一桁代センターの席。 「とりあえずオペラってどういうものなのか、聴いてみよう」 という段階にしては実に身分不相応だけれど。 ただ、例えば歌舞伎にしたって、むしろ観る回数が少ないうちにこそ、一幕見席や三階B席よ…

「歌舞伎座四月公演/六世中村歌右衛門五年祭」夜の部

本当はもう少し詳しく書いたり、文章を整えたりしたいけれど、最近ともかく時間が無いので、Mixiに書いた雑感を転載(使い分けができてないなぁ……)。 三階最前列中央での観劇(ようするに、無理しなくても花道七三が見える手頃な席)。 『井伊大老』 二年ほ…

藤原竜也・市村正親二人芝居「ライフ・イン・ザ・シアター」〜主演二人の持ち味を生かした優れた舞台。

初日は一昨日ということなので、今日観たのは全国公演の三日目ということになるらしい。 大傑作!------とまでは言えないかもしれないけれど、二人の優れた役者の持ち味を活かした優れた劇だった。 藤原竜也は------今までにも幾度となく思ったことだけれど-…

新国立劇場・ヴェルディ『運命の力』〜アンナ・シャファジンスカヤの圧倒的な迫力

井上道義指揮の東京交響楽団、キャストの目玉はレオノーラを演じたアンナ・シャファジンスカヤ。 ちなみに、席は、飛浩隆「デュオ」関連で購入しようとしていた(が、どこも品切れで結局入手できなかった)『ヴォルフ歌曲集』の予算(?)をそのまんま回した…

ミュージカル『TOMMY』〜どうしようもないダメ公演。

まったくもって、ひどい出来のシロモノ。 歌も、演奏も、演技も、演出も、舞台美術も、歌詞の訳も、ともかく全てダメ。 それなりに楽しめるのは、《遂にトミーの三重苦の原因が両親にもわかり、名医の元に連れて行かれ、両親が遂に諦めてそれぞれのエゴを剥…

DVD『キャッツ スペシャル・エディション』

アンドリュー・ロイド・ウェーバー自身が、オリジナル・ロンドン・キャストで手掛けた『CATS』の映像化。 あまりにも有名な名曲「Memory」を歌うグリザベラは、エレイン・ペイジ。 特にゴチャゴチャ考えずに、揃ってやたらと巧い猫達の群像劇に見入る。 グリ…

Theater1010『ベルナルダ・アルバの家』〜凝縮された一場面への長い助走

劇本来の要求とは異なり、この劇を制したのは一家の中心たる《母》=ベルナルダでも、その娘達でもなく------ 物語が長い助走を経て、一つの場面に見事に収束、昇華される、個人的に偏愛するタイプの整い方をした優れた劇だった。 ただ、この舞台は当初予定…

玉三郎の舞踊の特徴〜熱狂的な受容か、拒絶かの二択になる理由

玉三郎の舞踊はこの演目に限らず、その世界にとことん引き込まれるか、位相が合わず、ずれたままで釈然とせず終わってしまうか、両極端に分かれがちだと思う。例えば、私であれば『京鹿子二人娘道成寺』『藤娘』が前者の、『船弁慶』が後者の代表例だ。 ……な…

歌舞伎座二月公演(昼夜)〜玉三郎の舞踊と歌舞伎の《型》、ほか。

歌舞伎座でほぼ丸一日を過ごす。 昼:一階四列十*番。夜:一階五列*番(花道内側)。十一時から二十一時までぶっつづけで観劇。 ……先月十五日の昼夜に続いて、正直言って、金銭的にも、時間的にも、体力的にも、分不相応に文字通り身を削って観に行っている…

谷地恵美子『明日の王様』読了をきっかけに、蜷川幸雄、野田秀樹、尾上菊之助、藤原竜也、Studio Lifeと演出家・倉田淳、井上ひさしなどについて少し。

野田秀樹〜動きの演出への感嘆と、演じられるテーマの底の浅さ まず、野田秀樹。国立劇場でのオペラ『マクベス』、歌舞伎座での『野田版・研辰の討たれ』を観て、《なんて動きの演出の上手さだろう!(特に後者)》という感想と、それ以上に強く、《世界を一…

ラーメンズ第15回公演「アリス」〜ラーメンズが、凄い。

ラーメンズが、凄い。 北村薫の「そこまで言うのか」という手放しの絶賛に肩をドンと押されるようにして、初めてライブで観たけれど、その賛辞は単なる贔屓なんかじゃなかった。 こんなに笑った二時間は、記憶にもなく、有り得もしない。 あれだけ単純な舞台…

キャラメルボックス公演・北村薫原作『スキップ』。

12/11(土)14:00の公演(1階19列7番)で最初に見て、もう数回観たくなり、14日(火)19:00(1階23列23番)、16日(木)19:30(1階7列12番)と観ました。 三回分の感想について、16日の観劇後に出した感想アンケートを一部修正したものを、ここにアップしています…

バレエ『盤上の敵』

一つの小説を原作として、二人の振付家(上島雪夫、服部有吉)が、それぞれ違ったダンスを演出することが話題となった公演。とりあえず、ざっと感想を…。 ※一度観ただけの記憶で書いているので、かなりいい加減なところがあるかもしれません…。 公式サイトより…