落語

さん喬『品川心中(上・下通し)』〜金蔵をひたすら流されるふわふわした人間として描き、後半も復讐に陰惨な色がつかない独自演出。サゲもオリジナル。

「さん喬を聴く会」は去年から通い続けて五度目になる。寄席のトリでも長講で知られるさん喬師匠だが、この会ではそれに輪をかけてたっぷり演り、かつ、普段は掛けないような噺も出てくるのが嬉しい。 今回は、締めくくりに予告が出ていた『百年目』、そして…

前進座劇場『米朝・小米朝親子会』

よね吉 「時うどん」 小米朝 「狸の賽」 米朝 「鹿政談」 (仲入り) 米八・曲独楽 小米朝 「百年目」 東京で国宝が一般公開される、数少ない機会を逃すわけにはいかない。 しかも今回は子供連れ(むしろ、小米朝師匠がメイン)。 何とか最前列のチケットも…

鈴本演芸場五月上席夜(主任・権太楼、仲トリ・小三治)〜権太楼『鰻の幇間』に爆笑。これぞ喬太郎!?小三治『千早振る』の後に『お富さん』!

のいる・こいる・漫才 正朝 「唖の釣り」 小三治 「千早振る」 (仲入り) とし松・曲独楽 喬太郎 「お富さん」 小菊・粋曲 権太楼 「鰻の幇間」 横浜にぎわい座での『志らく百席』から直行で鈴本へ。途中、上野駅前で軽く食事したりもしたので、付いたのは5…

横浜にぎわい座「第十二回志らく百席」〜いかにも立川流らしい批評的な視点、現代的な映像感覚の強調に注目。

志ら乃『反対俥』 志らく『時そば』 志らく『小言幸兵衛』 (仲入り) ダメじゃん小出(コメディー・ジャグリング) 志らく『お藤松五郎』 左の桟敷席から観劇(にぎわい座の桟敷は段差があって足を下ろせるので、楽でいいと思う。例えば、コクーン歌舞伎の…

鈴本演芸場五月上席夜(主任・権太楼、仲トリ・小三治)〜権太楼『はてなの茶碗』への大きな疑問

さん喬「天狗裁き」 小三治「出来心」 (仲入り) 正楽・紙切り 市馬「片棒」 小菊・粋曲 権太楼「はてなの茶碗」 連休中だというのに仕事が夕方頃まで入ったため、鈴本についたのは六時過ぎ。 のいる・こいる師匠の漫才の途中から立ち見で観た。 ちなみに、…

「銀座らくごアーベント(小米朝、小朝ほか)」〜小米朝の「掛取り」

三遊亭王楽 「宮戸川」 三遊亭歌武蔵 「風呂敷」 春風亭小朝 「豆腐小僧」 (仲入り) 林家いっ平 「四段目」 桂小米朝 「掛取り」 さいたま芸術劇場で「タイタス・アンドロニカス」を観てから駆けつけたので、会場についたのは王楽の噺の途中(終演後の吉田…

池袋演芸場・四月下席(29日)昼/さん光改メ柳家甚語楼真打昇進披露公演〜昇進・襲名披露ならではの大入りと賑やかさ

「これが池袋か!」という驚きの大入り。 連休直前の土曜ということもあり、「これが池袋か!」と驚かずにはいられない大入り。 中入り前には入り口の衝立が取り外され、そこにも人が立ち並ぶ大混雑。 熱気溢れる客席……である一方、後方の立見の人々の間から…

「東京かわら版」2006年4月号の新真打・柳家三三のコメント。

今月の「東京かわら版」の、今春真打に昇進した五人の噺家のコメントから、小三治門下の大期待株として知られる、柳家三三。 好きなのは<せつない噺>。例えば「つるつる」や「三年目」。失われた時間が描かれているものです。それって取り返しがつかない、…

柳家三太楼師匠に一体何が……?

……落語界でここ数日、大きな話題となっていることとして、柳家三太楼師匠に何かがあったらしい。情報がともかく少ない上に錯綜していてよくわからないが、「破門」「廃業」などという信じられない言葉が見掛けられることすらある。権太楼師匠の公式ページ掲…

新宿末広亭三月中席夜の部〜主任・権太楼、仲トリ・さん喬

18時頃から入り、6列目くらいの真ん中辺りに座って聴く。 演目は、春風亭正朝「看板の一」 柳家さん喬「天狗裁き」 柳家三太楼「宗論」 古今亭志ん輔「野ざらし」 桂文生「人形買い」 柳家権太楼「立ち切り」など。 以下、簡単に感想を。 正朝「看板の一」〜…

何とはなしに、「現代において噺家であること」が何を意味するかを想像してみる。

それにしても、ちょっと想像するだけでも------談志師匠の『現代落語論』を読むまでもなく------「今、噺家であるということ」というのは、まったくもって大変なことだろうと思う。 例えば、二十年、三十年と落語を聴き続け、支え続けてきているような玄人筋…

文鳥舎寄席【サンタローdeナイト・フィーバー! vol.4】〜三太楼師匠の『崇徳院』についての感想を中心に。

三鷹の「文鳥舎」という、毎週さまざまな企画・イベントを行っている喫茶店&居酒屋でのイベント。店のスペースをぎっしり埋めた40人程度の椅子席がほぼ満席という盛況(三太楼師匠の最初のまくらや、後で第四回目を迎えたこの企画に何度か足を運んだとい…

鈴本演芸場二月中席夜の部〜さん喬『百川』の噺を「わかりやすくする」工夫の数々。ギャップをおかしみに変える小三治の『百川』と比較して。

目当てはさん喬師匠。 主任のさん喬師匠(以下、他の噺家も含めて敬称略)目当てで、鈴本へ行く。1/3程度の入り。 基本的に、日曜は平日に比べればずっとマシだが、土曜に比べると入りは少ない(明日は仕事だとなると、土曜に比べて笑いにくいからか)。また…

亀戸・蕎麦『東庵』そばきり寄席〜柳家三太楼師匠に厚かましく色々なお話を伺う…。

亀戸・蕎麦『東庵』そばきり寄席に行く。 江戸賀あい子というミュージシャンの方の演奏を挟んで、柳家三太楼二席。『初天神』と『紺屋高尾』。 終演後、蕎麦を頂く打ち上げの席で、三太楼師匠にいろいろとお話を伺う機会を得る。 ……プロの、しかも相当好きな…

「らくご℃ー1グランプリ」in池袋演芸場

若手落語家による裏芸トーナメント「らくご℃ー1グランプリ」を観る(池袋演芸場)。 出演は歌武蔵・文左衛門・丈二・栄助・つくし・ロケット団。司会に三太楼。 馬鹿馬鹿しくて面白かったが、落語家はやっぱり噺をしてくれた方が楽しい。当たり前だが。

「さん喬を聴く会」〜さん喬「うどん屋」「お神酒徳利」

深川江戸資料館の「さん喬を聴く会」に行く。三回連続三回目。 この二年間、小三治とさん喬の寄席定席・主任興行や独演会などによく行く。 一年あたり、小三治20席、さん喬30席程度か??さん喬「うどん屋」「御神酒徳利」。 ごく普通の出来。ただ、両方一時…

米朝・枝雀師弟の奇跡のような一対を成す『はてなの茶碗』及び『鴻池の犬』

だからこそ、米朝・枝雀の師弟が演じた(といっても、DVDで観ただけなのだけれど)『はてなの茶碗』『鴻池の犬』はそれぞれ、奇跡のような一対の物語だと思える。米朝が見せる茶金の度量と、枝雀が描く油屋の必死さ。師の語るクロの鷹揚と、愛弟子によるシロ…

さん喬、権太楼、志の輔、三者各々の『井戸の茶碗』

また、『井戸の茶碗』という噺を巡る、さん喬、権太楼、志の輔という実力者三人の演出の違いは、その対照が実に鮮やかで興味深かった。 権太楼の屑屋・清兵衛に焦点を当てた庶民の強かな生活力と武士のタテマエへの抗議、志の輔の中間・良助に力点を置いた現…

桂枝雀七回忌・歌舞伎座での小三治『一眼国』

特に、枝雀七回忌歌舞伎座での『一眼国』(旅人を枝雀、小屋の興行主を自らに擬し、その時限りの追悼の一席とした)や今日の『千早振る』で見せた、小三治の機知と粋。そして、さん喬が『柳田格之進』『井戸の茶碗』でみせた、"あえて"現代人の視点、近代的…

小三治・米朝二人会(相模原市民会館)〜米朝の情、小三治の粋

・・・・・・・・・・・・ 吉弥「河豚鍋」 三三「短命」 米朝「鹿政談」 (仲入り) 小米朝「七段目」 小三治「千早振る」 ・・・・・・・・・・・・米朝の「鹿政談」のサゲ(豆腐屋⇒豆腐=切らず)にあわせ、「千早振る」を語る(「からくれなゐ」⇒豆腐カス…

連続ドラマ「タイガー&ドラゴン」

今週金曜夜から始まったドラマ、「タイガー&ドラゴン」が、驚くくらいに面白い。 よく出来た構成だなぁ。よく知らないけど、ジャニーズの岡田准一って、意外と巧いんだなぁ、、、 ただ、これ、特番一発じゃなくて連続ドラマでやって、ホントに視聴率取れる…

桂枝雀七回忌追善公演〜二つの『代書』、小三治の今日この時限りの『一眼国』

【二つの『代書』】 生前の枝雀の姿をそのまま伝える、ビデオ落語『代書』。 この公演で映されたそれは、サゲが大食いの形であることから、DVD集に収録された形より古い、初期のものなのだと思われました。 その演出の差に驚かされます。サゲだけでなく、同…