「北村薫好きに101の質問」







0 北村作品を知ったきっかけは?

19歳の時、サークルの討論会準備会の休憩時間に、隣の席にいた相手の持っていた本を、なんとなく借りました。それが、『秋の花』でした。

1 北村作品関係のサイトをどれくらい知っていますか?

幾つでしょうね。特に意識して数えたことはありません。

個人的な感想を言えば、自分なりのデータベースを作られているサイトが幾つかあるのが、「いいな」と思います。

2 関係サイトに出入りしていますか?

数年遠ざかっていましたが、最近、たまに。

3 出入りしてる方に質問です。そこでのHNをこっそり、教えてください。

「J.N」とか「斑猫」とか。

4 この質問を知ったきっかけって何ですか?

Google検索で、たまたま引っかかりました。

5 あなたが北村薫の作品に触れたのはいつですか?

「0」で答えました。

6 触れてすぐ、ファンになりましたか?

翌日には『空飛ぶ馬』と『夜の蝉』も買っていましたね。

そして、「織部の霊」の一節を読んだ時、決定的に捕まってしまいました。

7 先生に覆面時代があったことを知ってますか?

知ってはいますが、北村作品を知ったときには既に覆面作家ではありませんでした。

8 最初に作品をよんだとき、女性と男性どちらだと思いました?

特に意識しませんでした。

9 一番初めに触れた作品はなんですか?

「0」で答えました。

10 一番好きな作品をひとつあげてください。

あえて一作、となれば「織部の霊」。

自分の思い出からも、また、読み込むほどに、その一作に作家・北村薫の様々な要素が詰まっていることが分かってきたことからも。



また、シリーズもの以外の作品としては別格の存在として、「ものがたり」を挙げておきたいです。

『推理作家になりたくて 第五巻 鍵』で、北村先生が自作の中から「ものがたり」を選ばれたと知った時は、言葉にできないくらい嬉しく思いました。

11 逆に好きになれない作品はありますか?

ありましたら、答えられる範囲でお願いします。

強いて言えば、しばらくの間、『水に眠る』の「弟」は、あまり好きではありませんでした。

読み手の年齢や環境のことも大きかったのだろう、とは思います。

二十代も中盤を越えてから読むと、いい作品だと感じるようになりました。

12 好きなシリーズはありますか?

まず、何より、《私》の物語です。

13 身の周りの友人などに北村ファンはいますか?

いたら、何人いるかもお願いします。

特にファン、という人はいませんね。

14 落語に行ったことありますか?

あります。

15 「私」シリーズで落語を観たくなりましたか?

「聴きたく」なりましたね。

16 新潟に行ったら柿の種を買おう! と思ったことありますか?

いえ、別に。

ただ、実際に行くことがあったなら、その時にそう思うかもしれません。

17 北村先生に会ったことありますか?

ありましたら感想を書ける範囲でお願いします。

サイン会、講演会などで。

特に講演会を聴くと、やはり、本質的に《教師》である人なのだろうとつくづく思わされます。

18 コミックスになった北村先生の作品を読んだことありますか?

南天祐『蘭と韋駄天』。

こうした絵柄は好きなので、楽しく読めました。
特に、喜んでいる時の主人公の表情や、バイトする名探偵の姿は必見!
未読の方、お勧めです。
…あ、そういえば、『冬のオペラ』の方も買おう買おうと思っていて、そのままにしていました…。他の人に勧めている場合じゃないですね…。
(追記:後に買いました)


ただ、個人的には「三角の水」での主人公の怒り方の描写と、『蘭と韋駄天』の椿さんの二つの発言、

「いいのよ。あなたに一生懸命はとってもよく似合うわ」

「…でも真実は多くの場合 現実に裏切られるものではありませんか?少なくとも わたしにはそう思えるのですが」

の扱い、表現は、自分の持っているイメージと違いました。
…でも、「ゴチャゴチャ言ってないで、お前が描いてみろや」という話ではありますね。

19 北村作品のTVドラマは見ましたか?観た方は感想を一言。

ちらっと見たようにも思いますが、よく憶えていません。

20 映画「ターン」は見ましたか?こちらも、観た方は感想を一言。

観ました。

綺麗な映像だったと思います。

21 「ターン」のビデオもしくはDVDは持っていますか?

持っていません。

22 北村先生のインタビューが載っている雑誌は購入する派?立ち読みする派?

掲載時にリアルタイムで漏れなく追う、とまではしませんが、出来る限り、後でまとめて大きな図書館や大宅文庫などでコピーするなどして持っておきます。

23 北村先生の作品が載っている雑誌は、本になるまで待ちますか?待たずに読みますか?

『ミステリーズ!』と『オール読物』は買っていますね。

24 先生にファンレターを送ったことありますか?

作品に出会って6年経った最近になって、ようやく送りました。

25 ミステリーファンですか?

ミステリをミステリと意識して読み始めたのは、北村作品に出会ってからです。

とても、「ミステリファン」などと自称する気にはなりません。

26 謎ギャラなどの先生の作品ではない紹介本のようなものをどう思いますか?

まだ、紹介作品の多くを未読であることを申し訳なく思います。

27 「ゆず」って聞いたら何を思い浮かべますか?

果物。ミュージシャン。

北村先生の愛猫の名だと思い浮かぶのは、その後です。

…『ミステリー迷宮道案内』(ダ・ヴィンチ編集部)にあった特集企画、「ミステリー作家の愛猫自慢とオススメ猫作品」の先頭を飾っていた北村先生一家を映したものくらいに、《幸せ》という言葉が似合う写真はそうそうないでしょうね。

28 キャラメルボックスという劇団を知っていますか?

一応。

29 知っている方に質問です。何か見たことのある劇はありますか?

新宿で『エトランゼ』を一度観ただけです。

追記:後の『SKIP』は四度観ました。

30 先生の作品はハードカバーが多いですが、文庫化するまで待ちますか?

文庫が出ていない作品は、ハードカバーで買っています。

追記:機会があり、《私》シリーズなどはハードカバー初版を手に入れたりしています。

31 ハードカバーと文庫(もしくは新書)のどちらも持っている作品はありますか?

1999年以降にハードカバーで出た作品は、基本的に両方持っています。

32 シャンディーガフをしたことありますか?

ありません。

33 冬のオペラを読んで京都に行きたくなりましたか?

いえ、別に。

ただ、何かの機会に京都に行けば、作品を思い出すでしょうね。

34 「六の宮の姫君」で芥川竜之介の「羅生門」を読もうと思いましたか?

それまで芥川すらろくに読んだことが無かったので、「羅生門」に限らず、色々と読みました。

35 北村作品にでてくる他作家の作品を読みたい人ですか?

「読まないでいるのは勿体無い」と思います。



例えば、この上なく緻密に編まれた「織部の霊」の中にただ一つ、白皙の頬を汚す痘痕のように目立つ問答があります。

それがなぜそうなっているのか。

その疑問は、その問答で触れられている作品を読むことで、日に照らされた雪のように溶けるわけです。


※「青空文庫」へのリンク

泉鏡花『外科室』

三島霜川『解剖室』

そうしたことに一度気付けば、他も読まざるを得ない。

「どこで気付くか」は人によって様々かとは思いますが、あれだけあれば、何かがひっかかるのではないかと思います。



もっとも、こんなことを書く自分にしても、まだまだ膨大な未読作品があるんですけどね…。

人に何やら言っている場合じゃないだろう、と。

36 北村作品に出てきたモノが読後、気になるときありますか?

何かを見たとき、北村作品を思い出すことはよくあります。

37 裏切られた! と思った作品はありますか?

全くありません。これからも無いでしょう。

38 これだけは自慢! という北村先生に関する何か持っていますか?

   ありましたら、こっそり教えてください。

ありますが、書きません。

こっそり隠しておきます。

39 北村作品で一番好きなキャラは誰?

庄司(吉村)江美。

40 逆に嫌いな(好きになれない)キャラは?

一人挙げるなら、『ターン』の柿崎。

あれはいわば、北村薫の作品世界で描かれた、村上龍の作品世界の主人公なんだろうと思います。

41 一番好きなシーンはどこですか?(作品名・内容でお願いします)

「「簡単にいってしまえば嫉妬なんですが、もっといえば、この世に人間として生まれたからには何者かにはならなくてはならない。自分がどこまでのものになれるのか、という息苦しいような不安なんです。地団駄を踏みたいような思いです。

「その時、叔父はすっと立って、ついぞそんなことはないのに、いきなり僕をかかえ上げると、きつくきつく抱き締めてくれたのです」」

(「織部の霊」)



それを別格として、続くものを他に幾つか挙げるなら、

「津田さんは、《きっと》が似合う人だったのだろう」

(『秋の花』)


「今は身を守るためではなく、小鳥の嘴は動き、鷹を刺したのです。」

(「ものがたり」)


「《お前から、バレー取ったら何が残る》っていわれて、《わたしが残ります》って返事して、たたかれたそうです」

(『スキップ』)


「弥生原優子は本気で怒りました。」



「---弥生原優子は、その晩、薬を飲んで、死んでしまった」

(『リセット』)



42 北村先生の作品を友人たちに広めたことありますか?

「広めようとした」ことなら。

43 北村先生の作品を読んでファンを辞めたことありますか?ありましたら、きっかけは?

ありません。

44 辞めた方に質問です。何で復活しましたか?

×。

45 織部の食器を買いたいですか? もしくは、作りたいですか?

織部に象徴されたものには強い興味があります。

しかし、織部そのものにはそれほど興味はありません。

46 ずばり、ラーメンズとは?

抜群に、圧倒的に「上手い」。

けれど、それは「面白い」につながっているのか……としばらく思っていましたが、実際に観て、あまりに面白さに脱帽しました。

47 新しい土地に就職や通学もしくは住むことになりました。図書館を探しますか?

探します。

48 「図書館利用者カード」何枚持っています?

2枚。

49 「図書館利用者カード」最高何枚持っていましたか?

3枚。

50 新しい図書館に行くと、つい北村作品を探したことありますか?

ありますね。

51 「一日一冊の読書」を目標にしたことってありますか?

ありません。

52 おーなり由子さんの作品を読んだことありますか?

何作かは。

ただ、自分がその時の"今"、それほど惹かれる作品ではありませんでした。
追記:後に北村先生が解説を寄せた「あこがれくじら」を読み、好きな作家の一人になりました。

53 「西條八十」この読み方を答えてください。

さいじょう やそ。

54 北村ファンに会ったことありますか?

あります。

55 女性の方に質問! 優介と良介どちらが好み?

   男性に質問! 外と内の千秋さんどちらが好み?

優介と良介は別人ですが、千秋さんは一人ですね。

56 執事に憧れますか?

いいえ、全く。

57 本屋や図書館などの本関係のバイトしたことありますか?

   もしくはしたいと思いますか?

ありません。

楽しいでしょうが、バイトという年でもありません。

58 出版事業に興味ありますか?

あります。

59 編集者と小説家。すぐになれるとしたら、どちらになりたい?

編集者。

60 探偵とその助手、あなたはどちらに向いてますか?

どちらにも、絶望的に向いていないでしょう。

61 北村先生をミステリー作家だと思いますか?

北村先生の本格へのこだわりには興味があります。

でも、私自身はあまり「ジャンル」による区分に関心がありません。

62 北村先生より好きな作家さんがいますか? いましたら、教えてください。

いません。

63 とこちゃんからの質問。

   「えっぱい」の後は「お」と「し」どちらが正解だと思います?

「正解」…?

64 円紫さんのような記憶力は欲しいですか? もし、もっていたらどうしますか?

パス。

ただ、一言書いておくなら、誰しもが連想するのは『象は忘れない』では。

《それでも》欲しいか、という考えになると思えます。

65 北村作品に何か影響されたことってありますか?

本を「読む」ということの基本を学んだと思います。

66 作品もしくは先生に関する思い出深いエピソードをひとつ教えてください。

パス。

こっそり隠しておきます。

67 もし、北村作品の主人公に茶髪や金髪の女の子が出てきたらどうしますか?

北村先生は「自分の分身として」、そうした主人公を描くことは、まず、有り得ないのではとは思います。

「「他人」が染めるのをどう思うか」という問題とは別次元の問題として、「自分」がそうすることはない。

もしも出るとしたら、その主人公にはそうするだけの極めて切実な理由があってのことになると思います。

68 実際に友達になれるなら、どのキャラと友達になりたいですか?

庄司(吉村)江美。

69 このキャラ理想! って、いますか? そう思うことに、抵抗ってありますか?

]

人物単体としてはいません。

《その取り巻く環境と共に》という条件付であれば、《私》。

70 「盤上の敵」は怖い? 普通?

『盤上の敵』に限らず、北村薫はとても怖い作家です。

71 「六の宮の姫君」は難しい? 普通?

《私》の物語全体が難しく、そして一方でとても親切です。

『六の宮の姫君』ではその難しさ、親切さが、《二人の作家を巡る物語》という形で集約されているのだと思います。



むしろ、シリーズの中で突出して「難しい」---わかる人にはわかる、という引用や暗示に溢れている---のは『朝霧』だと思えます。

72 「スキップ」のラスト、どう思いますか?

当然、あれしかありえません。

《帰れる》ものなら、冬に椿も落ちはしない。

73 映画「ターン」を観た方に質問。

   原作との変更事項にびっくりしましたか?

   びっくりした方は、その変更事項をお願いします。

いえ、別に。

74 自分は活字好きだと思いますか?

漫画も映画も大好きですね。

75 では、本好きだと思いますか?

読むのは好きですが、愛書家では決してありません。

むしろ、本の扱いはかなりひどいですね。とてもひどい…。

76 野球は好きですか? 好きな球団ありましたら、どうぞ

   (※熱くならないようお願いします)

横浜ベイスターズ

77 涙した北村作品はありますか?

パス。

78 読んで「おい(― ―#)」と思った作品ありましたら、教えてください。

   できたら理由もお願いします。

ありません。

ただ、「意地悪だ」と思ったことなら幾度も。



例えば、「心には 翅もあらん 蝸牛」の句について、さらりと「---季節のものを、と思いましてね」などと言わせていること。
《青柳の緑の糸を繰りおきて夏経て秋ぞはたおりは鳴く》の句を、「『古今著聞集』か何かに出て来たので、覚えてる」と、芥川を卒論にする《私》に言わせていること。
「空飛ぶ馬」の童話談義での、高岡正子に挙げさせたアンデルセンの二つの童話のこと。


本当に、意地が悪いと思わされます。
…本当に、春日部高校で宮本先生の授業を受けたかったと思わされます。

79 読むと「ほっ」とする北村作品は?

「はるか」(『水に眠る』)

80 北村作品に関する場所で行きたい場所はありますか?

一人で行きたかったところには、幾つか行きました。

81 北村作品ファンなら、これは読んで! という作品、ありますか?

山田風太郎『戦中派不戦日記』。

82 ワープロ持ってますか?

パソコンなら。

83 サイト経営者に質問。北村コンテンツもっていますか?

もっています。

84 北村作品の色ってあると思いますか?

色ではなく、移り変わっていく空のイメージが浮かびます。

85 北村作品で、この曲ぴったり! テーマソングに! という曲ってありますか?

『秋の花』の津田真理子について。

ドビュッシーアラベスク第一番」。

86 北村作品に出てくるキャラで、

    このぜひ人で! という俳優・芸能人などはいますか?

いません。

87 ドラマ化、コミックス化、映画化をどう思います?

驚かせたり、悔しがらせたりしてくれる作品があれば、と思います。

88 何か、メディア化してほしい作品はありますか?

「ものがたり」。

できるものならば。

89 「リセット」はメディア化されると思いますか?

する人がいるなら、されるんでしょうね。

90 思う方に質問。希望のメディアはありますか?

いえ、特に。

91 北村作品に触れて自分は変わったと思いますか?

思いますね

92 「この質問はしないの?」って質問ありますか?

「「小説が書かれ読まれるのは、人生がただ一度であることへの抗議からだと思います」という言葉について、自分なりに考えてみたことはありますか?」


「《私》の名前について、考えてみたことがありますか?」

93 「スキップ」のように、突然おばちゃん(もしくはおじちゃん)になり、

    なおかつその間の記憶が一切なくなったら……と思うとどうですか?

《それでも》落丁した過去を全肯定する---そんなことは出来ず、「受け入れて」しまうのだろうな、と思ってしまいますね。

94 「ターン」のように、一人きりで毎日繰り返しになったら

    生きていけると思いますか?

《ターン》している間は、死ぬ方向へも意志と力が動かないものでしょう。

《ターン》から抜け出る兆しが見えたときが、危険だと言われます。

その通りでしょうし、そうでしたね。

95 「リセット」のように記憶をもちつつ、

    生まれ変わるのということにあこがれますか?

    もしくは、怖いと感じますか?

文字通りの輪廻転生ということなら、全く信じません。

当然、憧れることも怖いと思うこともありません。

そうではなく、《伝わる》《伝える》ということなら、これは誰しもが経験することだと思います。

96 北村ファンなら、これは常識!

    というモノや言葉など、何でもよいので一つ挙げてください。

「小説が書かれ読まれるのは、人生がただ一度であることへの抗議からだと思います」

という言葉の意味を考えること。

97 北村作品を甘いと思う?辛辣だと思う?

「怖い」と思います。

98 北村作品を一言で表すと?

《それでも》。

99 北村先生に何か一言!

パス。

本当に伝えたくてどうしようもないことなら、御本人に届くように伝えようと思います。

100 最後に何かどうぞ。

「どんな質問を置くか」というのは難しいと思いました。

時には、出題者が予想もしない受け止め方をされることがある。
自分で質問を100個揃えるとしたら、と考えると、特にそう思います。




2004年5月4日に回答。