ラーメンズ第15回公演「アリス」〜ラーメンズが、凄い。

ラーメンズが、凄い。
北村薫の「そこまで言うのか」という手放しの絶賛に肩をドンと押されるようにして、初めてライブで観たけれど、その賛辞は単なる贔屓なんかじゃなかった。
こんなに笑った二時間は、記憶にもなく、有り得もしない。


あれだけ単純な舞台が、始めから終わりまで、実に賑やかに見える。
パントマイムの場面でなくとも、視線の動き、口調のちょっとした変化でも、想像の視界は目まぐるしく姿を変えていく。まるで、水の代わりに想像力がぐるぐると廻される洗濯機に入れられたよう。この面白さは、ライブで観ないと断じて本当には伝わりはしないと思う。これほどまでに喚起される想像の眼に無数のものが映りこむ舞台において、その時、その時にその世界の何処を観ていたいかは、観る人一人一人によってあまりに違う筈だからだ。他の誰の編集であろうと、他人に提供される視点でこの舞台を観るのは、相当のフラストレーションが溜まってしまうだろう(後になってこの公演のDVDが発売されたら、実際に買ってみて試してみようと思う)。
稀有な才能の組み合わせと、そして《同時代性》というものは、これほど大きな力を振るうものなのか。きっと、江戸や明治の時代に歌舞伎や落語を観た人々も、同じような思いに恍惚となったのだろう。


また、カーテンコールで、二人がそれぞれ「アリス」の「ア」って何ですか?「リ」は?「ス」は?と掛け合いで答えていったが、これは本当にアドリブで答えているんだろうか。
一発目の片桐仁の「リ」が見事過ぎた。あれでは、後にどんなネタも続けられない!!
しかし、それでもなんとかひねり出した、小林賢太郎の最後の「ス」の答えも技あり。綺麗に、柔らかく舞台を締めくくった。
公演は24日まで。千秋楽24日には何とかもう一度観に行きたいと思う。


・・・あと、二番目の話は多分「ゴトーを待ちながら」ということなんだろうな。
ゴドー、緒形拳が出てるやつをいつかテレビで観たなぁ。


※カーテンコールの「ア」「リ」「ス」(うろ覚え。背景色と同色文字で記述)。



●片桐
あぁーー、やっちゃった・・・
両陛下の前で、
滑った・・・。


●小林
あぁ・・・ この空気の中だ
両陛下の前だろ、
滑るのも仕方ない


●片桐
あぁ! どうしよう。
両陛下、
すげぇにらんでる!


●小林さん
あぁ・・・
(悩む)
両陛下が・・・
(かなり悩む)
・・・少し笑ってくださった


幕。