飛浩隆『グラン・ヴァカンス』関連の「SFマガジン」が届く。

早川書房のホームページから注文した、飛浩隆『グラン・ヴァカンス』シリーズの作品が掲載された『SFマガジン』のバックナンバー五冊が届く。

早速、「夏の硝視体」「蜘蛛の王(ちちゅうのおう)」「ラギッド・ガール」「空の園丁 廃園の天使Ⅱ」「クローゼット」を読む。
……ただただ、読む。ああ、幸せだ……。
感想?あー、なんか、これに関しては、しばらくは精神的な酩酊状態なんで、とても何か書く気になんかなれないや。確かに、直前に読んだ、グレッグ・イーガン順列都市』も凄くて、ある面においてはあんな化け物には誰も敵いそうもないけれど、こと《好き嫌い》の問題でいえば、『グラン・ヴァカンス』シリーズの方が五倍も十倍も好きだな。
ただ、「ラギッド・ガール」「クローゼット」あたりから、『順列都市』を連想させられる、という感覚はそりゃあ分かるな。ただ、意識的にも無意識的にも強烈にキリスト教を巡る議論の影響を受けた------かなり明確にそれへの《反発》という姿勢を持つように見える-------とことん《論理》に基づく感覚をベースにした世界に対しても、論理とそれを抱くモノとの《総体》というものを重視する観点から、《官能》という身体感覚をベースにした世界を構築している飛浩隆作品の独自性は際立っているように思えるけれど。
もっとも、『順列都市』の「ランバート人」に関する視線と、「デュオ」「象られた力」の人の手により創られ、独立した存在として自立していく《力》に対する観方のイメージとは、確かにスタンスとして重なって見えてくるものもあるかな。
……あ、こういうのって、一応は《感想》の端くれにはなるか。作品が発散する凄烈極まる刺激に対して、あまりにツマラナイ代物だけど。


ともあれ、予定通り、これに関する印象はしばらく寝かせておいて、周辺を漁っていってみよう。


ただなぁ、その「周辺」の代表格、「ラギッド・ガール」関連でどうしても読みたくなった、ジョン・ファウルズ『コレクター』というのは、既に3/14にamazonで注文しているんだけど、「下巻の配送予定日: 2006/4/15 - 2006/4/30 」というのがツライなぁ……。せめてそれまでの間に、既に届いている同時注文の上巻と、『魔術師』を読んでおくかな……。これで初めて読む作家なので、まだどんな作品なのだかさっぱり知らないけれど。


また、何だか他にもざっと目次を見るだけで興味を惹かれるものも多い。
リアルタイムで作者のホームページで予告を見て、その月のSFマガジンを買おう、それで読もう、と思っていたのに、なぜかドタバタしているうちに忘れてしまっていた、冲方丁マルドゥック・スクランブル』のプレ短篇だとか、グレッグ・イーガンの読み切りだとか、神林長平小川一水絡みの小説・記事・論評だとか。


……しかし、下手に読み出すと、「とりあえず、ここ十年くらいのSFマガジンとミステリマガジンの全バックナンバーを取り寄せて……」とか思い立ちかねない。そんなことになったら収拾がつかないので、ちょっと慎重に行こう。とりあえず、『マルドゥック・スクランブル"-200"』あたりだけにしておくか……。
大体、雑誌のバックナンバーということだったら、北村薫絡みで数冊手に入れている、故・瀬戸川猛資編集『BOOKMAN』の手持ちの分の通読あたりの方が先だな。とりあえず、手元にあるんだし。