観終わってすぐ書いた感想


ぶっちゃけ、《生身のターミネーターが暴れ回り殺しまわるのをハラハラドキドキ観て愉しむだけ》の映画だと思えました。


ある意味、『魔法にかけられて』と双子ともいえそうだと。
違いといえば、ディズニーは『LOVE&PEACE』を高らかに謳い、コーエン兄弟は「SEARCH&DESTROY」を大いに満喫させてくれるだけで。
そして、両者とも、とにかく問答無用に面白いです。
上映時間の間、全く飽きが来ません。


そして、『魔法にかけられて』と以下の部分、全く同じ感想書けちゃいます。


ちなみに、別にこれを観たところで人生について特別深く何かを学んだり、《また一つ賢く》なったりはしないシロモノなのですが。
元々、作るほうもそんなことを願っていないでしょうし、観るほうだってそうでしょう。
しかし、まぁ、《だからどうした!》という話ですね。
これくらい面白ければね。もう、他に何も要らないでしょう。
といいますか。
例えば、この映画を観て、《病んだアメリカ》だとか《人間存在の恐ろしさ》とか、そういう御託並べる気には全くなれません。


だって、わざわざ《ベトナム戦争》(《頑張ったで賞》をあげたい髭のおじさんはベトナム帰還兵)や《西部開拓時代》(《今の時代についていけない》と終始お嘆きのトミー・リー・ジョーンズ演じる保安官の叔父も保安官で、インディアンな皆さんに恨みをかって自宅で虐殺されたそーです)なんてキーワードが出されてくるのって、そういう評価への予防線なんでないかなぁ、と。


つまり。
今日のシャンテシネで上映前に流れたCMでも宇宙人なトミー・リー・ジョーンズ秋葉原に衝撃を受けていたわけですが。

正にそのイメージで《オラぁ現代の病んだ連中にはついていけねーだーよ。昔はよかっただーよ》と延々愚痴を垂れる保安官さんが一方にいらっしゃいますね。
でも、その《良かった昔》なる時期が《具体的にいつ頃なのか》は不明確ですが、例えば、当時のベトコンの皆さんなり、更に時代を遡って北アメリカ大陸の原住民の皆さんなりがそれぞれ《当時はどんな時代、どんな世界だったか》について過去を振り返って語ることになったとしたら……。
まぁ、ごく控えめにいっても《保安官》さんとは一味違った意見を持っているであろうことは、割合自然に想像がつくわけで。


そうなると、どう考えてもあの保安官さんに一方的に共感するわけにはいきません。
で、そもそも創り手側もそうするようには仕向けてませんよね、きっと。たぶん。おそらく。
一方で、《ならばより範囲を広げて《世界の悲惨さ》ということで》となってしまうと、もはや個人的には《ああ、そうですか。悲惨ですねぇ。そうですねぇ》以上の感想を持ちようがなくて。


だから、もしこの作品を他の名作映画と比較するというのなら。
比較対象は、『ターミネーター』が最適なんじゃないかなぁ。


あと、もしも『アカデミー作品賞』に『魔法にかけられて』と『ノーカントリー』のどちらが相応しかったという問いがあったとしたなら。
私なら、まったく迷わず『魔法にかけられて』だと答えます。
ここで、どちらが作品の出来として《上》かなんかなんてことを論じたいとは思いません。
しかし、《どちらが好きか》と聞かれれば、疑問の余地は全くありませんから。


ちなみに。
《『エリザベス・ゴールデンエイジ』の方がそのどちらよりも遥かに《作品賞》には相応しかったよね》
というのが更なる本音ではあります。