『魔法少女リリカルなのは』シリーズのカルトな魅力について

ここ数日、『魔法少女まどか☆マギカ』の感想をmixiでやりとりしていた中で。
相手のマイミクシィの人が、まどマギ以前の「魔法少女モノ」を代表する傑作『魔法少女リリカルなのは』(第一期監督は新房昭之)シリーズを未視聴とのことで、「それはいけない!」と思わざるを得ませんでした。
それはそうです。あの世紀のカルトアニメを見ずして、「魔法少女」については語れないと確信します。


夢と希望を叶える魔法の力……ただし、魔法=火力。
火力で立ちふさがるものを圧倒できる者だけが、夢と希望を語る資格があるのだ!!


魔法少女リリカルなのは』の力強過ぎる主張には間違いなく、一見の価値があります。


魔法少女はやがて魔法を失い/手放し、成長を手に現実の世界へともどって行く」……そんなテンプレートを蹴倒し、魔法を手放すどころか、「魔法幼女が成長と共に、次元を股にかけた魔法使い組織の権力中枢に食い込んでいく」という、驚きのカルトアニメです。


以下、軽くあらすじを紹介していくだけでも、その偏った魅力は伝わるのではと思います。


そんなわけで、主に三期に渡ってのあらすじを語ることで、僕が愛してやまない『魔法少女リリカルなのは』シリーズの魅力を紹介出来ればと思い、日記にしてみました。


なお、『魔法少女リリカルなのは』『魔法少女リリカルなのはA's』『魔法少女リリカルなのはStrikerS』全期に渡ってネタバレを含みます。といいますか、ネタバレそのものです。
それで魅力が薄れるシリーズでもないと思いますが、気にする未視聴の方は以下、ご遠慮下さいm(_ _)m
































○第一期『魔法少女リリカルなのは


平凡な小学生高町なのは(9歳)は、ある日出会った、ユーノと名乗るフェレット型の魔法生物に渡された、人格を備え喋りもする魔法の宝玉・レイジングハートによって眠っていた強力な魔法の資質に目覚め、次元を超えた魔法世界の治安組織「時空管理局」の現地嘱託協力者となる。
ユーノの依頼により強力な魔力を秘めた宝石「ジュエルシード」を集める中、同じものを集める魔法少女フェイト・テスタロッサ(9歳)とその使い魔アルフとの戦いが始まる。
時空管理局は彼女を犯罪者として対処を迫るが、なのははどこか哀しい目をしたフェイトに事情を聴きたいと願う。
そして聞く耳を持たないフェイトと争奪戦を幾度も繰り広げる中、高町なのは(9歳)は


引けない事情を抱えた相手に「お話を聞かせて」もらうには、まずは力で相手をねじ伏せるしか無いのだ


という、彼女をその後一貫して揺ぎ無く支え続ける危険思想にたどり着く。


その後の9歳の魔法幼女同士のタイマン勝負------牽制、フェイント、罠、忍耐、大技同士の炸裂など、高度な戦術を駆使した空中魔法戦が第一期最大の見せ場。


また、物心ついて以来母親に虐待を受け続け、それでも母親に役立つことを唯一の存在意義としていたフェイト(9歳)がその母から存在を否定されて一時廃人状態になるものの、まもなく相棒である喋る魔法の戦斧・バルディッシュと共に

「私の、私たちの全ては、まだ始まってもいない。 だから、ホントの自分を始めるために、今までの自分を、終わらせよう」
と健気すぎる名台詞を吐いて復活する一幕と「全てが終わった後、二人の魔法幼女(9歳)が友情を確かめ合う」くだりは、感動の二大名場面としてファンの尽きぬ涙を誘っている。
個人的にも、アニメであれだけの名場面はそうそう無いと思う。


なお、犯罪者として処罰されそうだったフェイトは、魔法少女になって以来なのはが関係を深めていった、時空管理局のエリート親子・ハラウオン母子とのコネが最大限に活かされ、温情ある処置が図られることとなったのだった。


○第二期『魔法少女リリカルなのはA's』


第一期から半年後。時空管理局嘱託魔導師高町なのは(9歳)は突如現れた謎の魔法騎士に襲われる。窮地に陥ったなのはを助けたのは、自らも嘱託魔導士となったフェイト・テスタロッサ(9歳)だった。


今回の敵は世界から魔力を集め、自らの完成を目指す「闇の書」。その謎の主と、付き従う四体の魔法騎士たち。
魔法騎士達が操る古く強力な魔法に一度は敗れるなのはとフェイト。


しかし、その時、二人の相棒レイジングハートバルディッシュが立ち上がる!"危険?だからどうした。俺達にもやつらが扱うのと同じ力を寄越せ!主人にも俺達にも、再度の敗北はありえない!"という旨を強烈に主張した男前過ぎる魔法の杖もとい魔法武器(デバイス)達と共に、新たな力を得た二人の魔法幼女(9歳)は厳しい戦いへと再び飛び立つ!


敵が団体ならば、こちらも組織戦だ------巨大組織・時空管理局のバックアップを得た二人の魔法幼女(9歳)は敵の来歴と内情を調べ上げ、自身は戦いを望んでいなかった「闇の書」の主と魔法騎士四体を「闇の書」の核から切り離し、味方につけることに成功する。


その後繰り広げられる、なのは、フェイト、そして味方となった三人目の魔法幼女・八神はやて(9歳)と四人の魔法騎士、「闇の書」に因縁のあったエリート親子の子供の方(クロノ・ハラウオン)、ユーノ、アルフたちによる敵ボスの袋叩き祭り、及び最後にエリート親子の母親の方(リンディ・ハラウオン)が指揮する次元戦艦が主砲発射で悲劇を文字通り消し去る流れが、第二期最大の見せ場とされる。
ここにおいて高町なのはと仲間たちは、"単に個人の火力頼みではない、組織の力というものの有効性"を深く認識したのだった。


○第三期『魔法少女リリカルなのはStrikerS


夢と希望を叶えるため、更なる力を得るためには……なのは、フェイト、はやてがそれぞれの思いを胸に歩みだした『A's』より約十年後。
高町なのは(19歳)は時空管理局最精鋭部隊のエース魔導師、フェイト・テスタロッサ(19歳)は検察官と外交官と警察を兼ねたような強力なエリート職である時空管理官へと、大きな成長と出世を遂げていた。
そして、八神はやて(19歳)は強力な四体の魔法騎士を従え、高い指揮能力と政治センスをもった中央官僚として急激に頭角を現し、時空管理局の関係各部署や、強力な宗教団体の幹部などとも関係を深め根回しを繰り広げ、相当の権力を得るに至っていた。


そして、時は来た。
八神はやて高町なのはフェイト・テスタロッサを幹部として引き入れ、独自の犯罪対策部隊「機動六課」を設立。有為の人材を広く集め、素質ある少年少女の育成にも努めることとなった。
『StrikerS』では新たに登場した新人魔法少女(約一名魔法少年)たちを、恐怖の鬼教官・高町なのはが苛烈にしごき抜く様子が大きなみどころ。


そんな機動六課が対することになったのは、時空管理局の最高権力者も深く関わった陰謀の暴走。
魔法世界においても優秀な魔導師は数少なく、それは過激化の一途を辿る時空犯罪の取締における、大きな限界となっていた。
長年に渡り魔法世界の治安を守り続けた権力者たちは、人工的に強力な魔法使いを生み出すことで、問題の解決を図ったのだった。


しかし、生み出された人造魔導師たちが反乱を起こしたのだ。
そんな中、機動六課はあまりにも強力過ぎる魔導師が揃っているゆえに時空管理局から隊長格(なのは、フェイト、はやてと四騎士)が開放できる力を制限されていたこともあり、本部陥落、事件中になのはが保護し、娘のようにして育てていたヴィヴィオ(推定4〜5歳)をさらわれるなど、屈辱の敗北を喫してしまう。


だが勿論、そのような辱めを受け、既に"管理局の白い悪魔"(※アニメ内ではなく、視聴者から奉られた尊称)として恐怖の象徴となっていた高町なのはさん(19歳)が黙っていよう筈もない。


八神はやての指揮の下で機動六課の面々がそれぞれ活躍する中で、長らく続いた忍耐と抑制から遂に解き放たれた高町なのは(19歳)の鬱憤をぶちまけた空前の大破壊と、突然の大成長(10代半ばくらい)と反抗期を迎えたヴィヴィオへの鉄拳制裁による再教育とは、当然のごとく『StrikerS』最大の見所となっている。


なお、これまでも観てきたように、まず圧倒的な力をみせつけた後、真情を込めた話し合いと温情ある処置を行い、最終的には味方へと引き込むのが高町なのはさん(19歳)のスタイルである。


今回殲滅した人造魔導師たちも当然ながら、その例に漏れない。


更生を拒んだ一部主犯を除き、彼等もまた偉大にして慈悲深き魔王・高町なのは様(19歳)が主導する「お話聞かせて」メソッドを経て、彼女たちの仲間へと組み込まれていくのだった。



以上、『魔法少女リリカルなのは』シリーズのあらすじ紹介でした。
ちなみに、ほぼ誇張なく、本当にこの通りな話です。凄まじいですね。


一体全体、原作者兼脚本家(都築真紀)は幼女たち、少女たちに何を求めてしまっているのか。
それに熱狂し、欲望渦巻くかの地獄の祭典コミックマーケットにおいてすら、この数年常に群を抜いたグッズの売れ行きによって凶悪な存在感を示し続けるなのは狂信者たちは、この作品に何を見出してしまっているのか。


全般的に(特にA's以降の展開は)主要登場人物の年齢を一律10歳上にすると、殆どの展開が遥かに妥当になると思えてならない。


作品に対しても、その評価に対しても、いろいろと興味はつきません。
未視聴の方は、是非一度、ご覧になってみてください。



なお、フェイト・テスタロッサ(・ハラウオン)の可憐さについて」という作品そのものより遥かに重大かつ深遠なテーマについては別途大いに語りたいところではありますが、諸事情により、少なくともこの場では控えようかと思います。はい。