『円環少女』13巻から変態描写を抜粋。

さて。
ここまで延々としてきた話といい、以前のまとめ、

長谷敏司円環少女』感想まとめ
http://togetter.com/li/394707

といい、それだけ読むと『円環少女』という作品はものすごくシリアスで、理屈っぽく難しい一方の作品に見えてしまいそうで。
いや、確かにそういう面はあり、そこがものすごく好きではある。
あるのだけども……。


円環少女』の魅力はそれだけではなくて。


以下、物語が正念場を迎えた最終巻の中での「オカシイ」描写の数々を時折コメントも入れつつ抜粋してみることで、『円環少女』という作品に対しての感想のひとまずの締めくくりとしたいと思う。

「闇の中で明かりになる、スカートの短いメイド姿の少年が、彼を見上げていた」
(中略)
「ケイツさま、口がぼそぼそしてきました」
 メイド服にビスケットのかすをたくさん落として、リュカは頬をいっぱいにしていた。
「私は"そっち側"には行かんぞ」
 ケイツはぞわりと、身を震わせた。彼と幾度も相似弦(≪魔力≫)で繋がった男、魔導師公館の武原仁を思い出したのだ。ケイツ自身と同じく、世間に押し潰されてすり切れた男だった仁は、小学生の女の子と出会ったことで社会的にどんどん転落していった。
 三十五歳の彼にとって、人生はやり直しがきかないものだ。まだろくに始まってもいないのに、台無しになるのはご免だった」
(p12-14)


一心に自分を慕うメイド服のオカマ少年の萌え仕草に道を踏み外しそうになる擦り切れた35歳、≪ブラック魔法企業に勤めてるんだが俺はもう限界かもしれない≫ダメ社員・浅利ケイツ。

 白いバニースーツを着た魔法使いが、ピンヒールに網タイツ穿きの完全武装の下半身を誇示するように歩いてきた。
(中略)
「怖がることはありません。わたしは巫女です」
(中略)
「うちの宗派は、巫女装束はだいたい白ければいいのです」
(中略)
「わたしは、天盟大系の巫女、マチルダ・クリストリッツァ。この世界に、愛を探しに来ました」
(p39-40)


小学生を誘拐し約束の地・市川へ向かうバニーガール痴女魔法使い。なお、素晴らしい挿絵つき。

「変態はサドと全裸だけでいっぱいいっぱいです、変態はサドと全裸だけでいっぱいいっぱいです、変態はサドと全裸だけでいっぱいいっぱいです」
(p41)


さらわれる小学生女子の心の叫び。

「近くに『い』で始まって『わ』で終わる土地はないか? その地が、我々に強大な力を授けるのだ」
 紀子は、怯えて、怒りで目の前が真っ白になって、もうわけがわからなかった。
「い……市川?」
 窓の外で、馬のいななく声がした。走る車両が物珍しいのか、天馬が並走していた。妖精が、群踊りながら螺旋を描くように青空へのぼってゆく。まるで世界が市川を祝福しているようだった。
 神官団がざわめき、大神官が重々しく首肯した。
「四文字の地か。うってつけだ」
 マチルダが、はちきれそうな乳房の谷間におしぼりを押し込むと、今さらすまし顔を作った。
「承認します。あなたが、我らを『市川』に導くことを」
「導かなくても、このまま総武線に乗っていれば……」
(p43-44)


約束の地、市川。最近は仏陀とキリストもいるらしいそこは『円環少女』でも神々しい、愛に満ちた聖地。

<救援頼む! 救援頼む!! 湾岸は、今、愛の巣だ!>
(p83)


そして、市川発、東京を襲う<愛>の力。
愛の力はとまらない。

<ラバー・ワン。我々が、今、重大な局面にあることは理解していると思う。そこで、作戦の変更を提案したい>
(中略)
<我々がするべきは、戦うことではなく、愛し合うことだった。我々の作戦は、"愛"だ!>
(中略)
<状況がわからない。おまえたちは何を言っている、正気か?>
 管制官は冷静だ。だが、彼らは本当の愛を知らないから冷静でいられるのだ。辛抱たまらんとばかりに、切羽詰まった声が無線機から響いてきた。
<ハネムーン・ツーだ。ハネムーン・ワン、緊急脱出(ベイルアウト)する。もう我慢ならん、俺はやつらを抱きしめに行く!>
(p306-307)

ここで『宇宙戦艦ヤマト』ネタ……。

「……だいたい、神社の境内なのに、なんでバニーとかサンタなんだ。巫女で白い服なら巫女装束だろうが! おまえには心底がっかりだ」
「後半のお言葉、納得しましたが、前半は、あなたの趣味ではありませんか」
微妙な沈黙に包まれた。
「後半だけ、……納得?」
 仁は、生唾をのみこんでいた。
「わかりました。巫女の根性見せてあげましょう。今、ここで着替えます」
(p115)


この場面、主人公は世界の命運を賭けて真剣に戦っています。
戦っているんです。

「攻撃を防ぎ止めているのは、全裸のサムライだった」
(中略)
「甲冑など着るだけムダだ! 戦士ならば裸で来い!」
(p203)
「全裸の疾風が、今、吹き荒れる」
(p361)


円環少女』アニメ化の夢を全力で阻む錬金大系は最終巻でもとても元気に全裸。


最後は『円環少女』読者ならみんな大好き、僕らの王子護ハウゼンさんの発言で締め。

「君たちニ、ひとつ言っておくコトがありマス」
(中略)
「ジンでは君たちヲ斃せなかったようデスが、≪沈黙(サイレンス)≫ナド、我らの中でもっとも小物デス」
(p237)


どう考えても四天王ネタのAAが見えます。