○未央、凛、卯月で三者三様のアイドル像から観る『アイドルマスターシンデレラガールズ話』6話感想
http://d.hatena.ne.jp/skipturnreset/20150220
○【前編】7話概説&本田未央特集
http://d.hatena.ne.jp/skipturnreset/20150304/
○【中編】島村卯月&渋谷凛特集
http://d.hatena.ne.jp/skipturnreset/20150305/
前編で出した目次、
1:「7話って、どういう話だったの?」という全体的な流れ。
2:本田未央の島村卯月にも決して劣らない尊さについて。
3:島村卯月もまた「人間」らしい「人間」だろう。
4:渋谷凛も未央と一緒に謝らなければならなかった理由/凛の1話と7話。
5:7話はNG以外の11人にとっても再出発(特に前川みくと双葉杏、多田李衣菜に注目)。
6:7話の挿話内での演出及び過去話との対比演出のまとめ。
7:その他もろもろ。
の5、6、7について書いていきます。
5:7話はNG以外の11人にとっても再出発
繰り返しになってしまってすみません。
例によって前編の「1:「7話って、どういう話だったの?」という全体的な流れ。」の中で既に大まかには触れている話ですが、改めて諸々補足を。
まず前編で触れた話を簡単にまとめると。
a:PとCP14人であくまで自分たちの問題として解決させてみせ、城ヶ崎美嘉に「部外者」として遠慮させた展開の見事さ。
b:CP内での役割分担が段々はっきりしてきている。
c:特に前川みく、年少組(赤城みりあ&城ヶ崎莉嘉)、多田李衣菜がそれぞれ異なる意味で全体の「代弁」を果たしている描写が巧い。
d:7話では14人の中で最も謎めいている双葉杏の描写においても興味深いところがあった。
といった話になります。
城ヶ崎美嘉を「部外者」に留めた展開の見事さと意味
aの「PとCP14人であくまで自分たちの問題として解決させてみせ、城ヶ崎美嘉に「部外者」として遠慮させた展開の見事さ」についてもう少し書くと。
まず、PとCP14人の再出発ということを強調しているという話であり。
また、7話の「再出発」は3話で掛けられた魔法、夢が解けての、改めての第一歩であるわけですが。
『シンデレラガールズ』7話。言うまでもなく高雄監督の演出が素晴らしい回でした。いつも騒がしいCP部署なのに、今回は寒々しく雨音が響いています。劇場版での高雄監督の担当パートとも似た部分が多く興味深いですね。
— 郄橋龍也 (@t_takahasi) 2015, 2月 21
3話で掛かった魔法が解け、改めて自分たちの足で階段を上り始める…というのが大きな流れですが、描きたかったのは、杏仁豆腐さんからのメモに書かれていた『家での卯月はいつも癖毛を気にしている』と『卯月ママ(母ではない)はパッション属性』この二点でしたね!(達成、感無量←バカ)
— 郄橋龍也 (@t_takahasi) 2015, 2月 21
無論、「魔法」は(主に)3話の大成功(とそれであまりにも「私達の心の中にあった光の海」の眩さに目を奪われてしまったこと。端的にいってしまえば(Pを始め多くのサポートあってのことなのでやや語弊があるんですが)ビギナーズラックの成果に対する陶酔)を指すわけで。
ここにおいて、その「魔法」をもたらした(良くも悪くも)立役者である城ヶ崎美嘉の介入の余地なく、数日間の激動を経て彼ら自身の手で問題を解決させたことは、大きな意味があり、それを強調する脚本・演出でもあっただろう、ということです。
みくにゃんは今回も大活躍
続いて、b,cについて。
特にMVPは今回もまた、前川みくであろうと、正直に言えばみくにゃん贔屓の自分としては思えるわけです。
前川みくについては第一話からその動向を特に注視してきてもいますし。
○アニメ版「アイドルマスターシンデレラガールズ」1-○(随時更新)話の前川みくについて
http://togetter.com/li/771731
いえ、贔屓せずとも、割合客観的に観てもそうではないかと考えてはいますが。
以下、ききょう(@haihole_kikyo)さんによる一連の感想と最後の結論の通りではないかと。
みくが爆発して未央に説教する、という予想を6話以降非常に多く見たのだが、7話を観た今、やはりこなかったな、という感想で落ち着いた。5話で独り空回りしていることに気付き、"皆"の中に明確にコミットしたみくが過度に自分に引き寄せた説教をするとは端から思わなかった
— ききょう (@haihole_kikyo) 2015, 2月 20
みくは5話で「焦っちゃった」と反省してるし、皆に素直に謝り、デビュー組を応援する。6話でその姿勢は更に顕在化した。6話未央を責めないわけはないのだけれど、感情を爆発させるとは思わない。そこは既に乗り越えたよ、みくは。ただし、今回も危うい場面がなかったわけではない
— ききょう (@haihole_kikyo) 2015, 2月 20
5話のPが人だかりを掻き分けて踏み出した一歩は、今回の一歩と同じような価値を持つものだったと思う。そこでみくは「待つ」ことを信じられた。しかし、6話でPは同じ過ちを繰り返し、今回は二の足を踏んだ。この状態で「待つ」選択はみくにはしんどかったろう
— ききょう (@haihole_kikyo) 2015, 2月 20
7話でみくは「プロ失格」と未央を非難したけど、その言葉は弱弱しかった。そして、この状況でみくが取ったのは、プロジェクトがどうなるかという心配、そしてPへのアプローチだった。Pの一歩、そして発言を信じて「待つ」選択をしたみくは、解決の矛先をちゃんとPに向けている
— ききょう (@haihole_kikyo) 2015, 2月 20
その点で、腹をくくったPが今一度「待っていてください」とラブライカ・未デビュー組に告げるシーンは大きい意味を持つかな、と。あの態度、そしてあの言葉はみくがあの時一番欲しかったものではないかと思うのだ。そしてその言葉を信じて、成功したことは大きい
— ききょう (@haihole_kikyo) 2015, 2月 20
部長が来た時に「プロデューサーを、待っています」って応えているのみくなんだよね。そのPが出ていく直前に、「信じて待っていようと思えたのに」と先頭に立って詰め寄るのもみく。ここは5話の延長戦。未デビュー組とPの物語はちゃんとここで、みくが代表する形で描かれている
— ききょう (@haihole_kikyo) 2015, 2月 21
みくにゃんマジ尊いというそれが言いたいだけです
— ききょう (@haihole_kikyo) 2015, 2月 21
色々と解釈を加えた後の今になって改めて7話観てしめやかに泣いている。みくが待っていたんだなぁ、というのでもうほんとにほんとにほんとになぁ…。
— ききょう (@haihole_kikyo) 2015, 2月 23
Pがみく達に「待っていてください」と語り、後に部長がPの過去を語るシーン、BGMは夕映えプレゼントかな?1話で卯月が夢について語るシーンと同じBGMですね
— ききょう (@haihole_kikyo) 2015, 2月 23
@haihole_kikyo そこで、
「プロデューサーを…
待ってます」
と言うのに前川みく以上の適任はいない、その重みたるや……という。
7話でみくは他にも多く活躍してますが、やはり第一にはここですね。
pic.twitter.com/9ONjux7TGl
— 相楽 (@sagara1) 2015, 2月 23
@sagara1 このシーンは最高でしたね。みくのこうした立ち回りもあって、"NGだけの"問題でも、"Pだけの"問題でもなくて、"CPの"問題なんだとちゃんと印象付けられたように思います
— ききょう (@haihole_kikyo) 2015, 2月 23
PとCP14人の打ち解けた触れ合いは2話との対比
見出しまんまの話ですが。
「改めて。シンデレラプロジェクトを、進めていきたいと思います」
「一緒に、一歩ずつ…階段を登っていきましょう」
CP全員(杏も)「はいっ!」
針が進む。
そして、Pの「笑顔」。
なお、この後のやりとりも含む流れは、
pic.twitter.com/LKHrTql8Es
— 相楽 (@sagara1) 2015, 3月 4
2話アー写撮影。
卯月「プロデューサーさん!一緒にどうですか?」
みりあ「ねえねえ!」
P「いえ…皆さんでどうぞ」
CP全員「えぇーーーーー」
撮影監督「撮るよー。笑ってー!」
CP全員「(笑い声)」
7話との対比。
pic.twitter.com/vj1uHogove
— 相楽 (@sagara1) 2015, 3月 4
こういうことです。
この対比も、7話で描かれたのが「PとNG3人の再出発」に留まらず、「PとCP14人の再出発」であることを明確に示しているかと思います。
そして、今回もう一人特に要注目だったのが、双葉杏ではないかとも。
杏は例の「Uzuki's activity report」であくまで卯月視点ですが、
「杏ちゃんは……奥が深いです!」
と語られもした、おそらく視聴者にとってもCP14人の中で過去描写から最も性格が掴み難い謎の存在です。
※ちなみに。NGの3人にせよ他の面々にせよ、原作ゲームとは諸々設定や性格描写に変更が加えられているのは明らかですので。
原作における双葉杏とは諸々趣きの異なるキャラクターである可能性は大いにあることは大前提です。
で、まずは再掲。
未央に続き卯月は病気、凛も顔を出さない。
プロジェクトと自分たちの未来も危ぶまれる中。
杏「なんだか大変なことになってるんだね」
↓解決。
「改めてシンデレラプロジェクトを進めていきたいと思います」
この杏の表情。
pic.twitter.com/XZFIEfrtdQ
— 相楽 (@sagara1) 2015, 2月 20
続き)双葉杏は7話で「大変なこと」を経たからこそ、これまで閉じこもっていた殻を壊し抜け出て、晴れやかな再出発が出来たP(とNG3人の)の姿を目にした。
「働いたら負けだと思ってる」とある種の殻に籠る(?)杏はそこで、何を感じ何を思ったのだろうかと興味深く思う。
— 相楽 (@sagara1) 2015, 2月 20
@luiaska 先掲の表情からそのまま繋がる形でPの挨拶、杏もしっかり加わり返事、そして時計の針が一分進んでいます。
今回歩みを進めたのはNG3人とPだけでなく、他の面々、特に杏も……ということかと思います。
pic.twitter.com/Gmfw5A618R
— 相楽 (@sagara1) 2015, 2月 20
未デビュー組を代表する形で前川みくが「プロデューサーを、待っています」と重みをもって語ってみせ。
14人の中のイレギュラーであり続けている杏もプロデューサーにしっかり返事をしていることで「全員の」再出発であることが強調されている、という捉え方になります。
ついでに、過去話における、数少ない材料からの双葉杏に対する憶測を幾つか掲載しておこうかと思います。
まず、2話時点。
デレマス1,2話で楓さんの独自設定・扱いが鮮やかという話をみて思ったけど、双葉杏はどうなのかな。
みく関連で少し書いたhttp://t.co/aMTtHR16gx話の中で例えば島村さん、かな子、智絵里と杏は対置なのか、一緒のグループなのかちょっと気になる。
— 相楽 (@sagara1) 2015, 1月 20
ちなみに一応再確認すると、(前川みく)、島村さん、かな子、智絵里、杏という組み合わせはデレマスOPのこの場面の話。
pic.twitter.com/5Yv7qSJRnd
— 相楽 (@sagara1) 2015, 1月 20
練習を重ねてきたダンスでも凛や本田さんに遅れをとった「笑顔には」自信がある島村さん、気弱でみくにも弱音をこぼし、四つ葉のクローバーにすがりもする智絵里、原作Nカードより更にぽっちゃりのかな子。いずれも素の魅力で勝負のタイプだけど、劣等感や怖れが強そうでもあって。
— 相楽 (@sagara1) 2015, 1月 20
1話の「お願い!シンデレラ」が流れる中でもなんだかんだで画面の向こうに見入る様子だったし、シンデレラプロジェクトの面々の中で真っ先に出てくるのが杏でもあった。
pic.twitter.com/vhAvGfO08e
— 相楽 (@sagara1) 2015, 1月 20
続き)
先掲の前川みく関連も踏まえそんなことを思いつつ。
改めて、このデレマスあんきら二次創作漫画https://t.co/bNrFSGpkL7いい感じだなー、すごいなー、とも思うなどしていた。
— 相楽 (@sagara1) 2015, 1月 20
一話帰り道
きらり「ねえねえ杏ちゃん元気ないねぇ お腹空いちゃった?」 杏「んー…」 きらり「何かおいしーものでもたべよっか!」 杏「んー……」
きらり「きらりは何かあまあまなもの食べよーっと☆」 杏「ん……」 pic.twitter.com/3fmFIRGtOP
— かめれ (@chamere0n) 2015, 1月 17
続いて、5話。
杏も頭下げてる。見守るちひろさん。なんか保護者みたいだ。
杏もごめんなさい労働してる。さぼってない。
pic.twitter.com/gqDpmljoo3
— 相楽 (@sagara1) 2015, 2月 6
地味に杏の描かれ方が気になる回だったが、まとまらん。替え玉ことウサちゃんのぬいぐるみから始まる回だったのなぁ。個人的に、皆が「こうしたい!」って話してる横で杏が寝づらそうにしているのは印象的だったんだ
— ききょう (@haihole_kikyo) 2015, 2月 6
双葉杏の人物像は5話時点でまだ諸々謎だけど。
この辺に加え。
https://t.co/B1kI00MSWQ
https://t.co/IW5ZiF4AyQ
みくが爆発した時の表情も心に留めておきたいなと思ってる。
pic.twitter.com/6j3aHURP2K
— 相楽 (@sagara1) 2015, 2月 11
同じく、5話関連。
ニュージェネ三人のCDデビューはやっぱり3話のライブの時に楽屋に来てたお偉いさんのモデルが酒井正利https://t.co/TJLbtr7uZLで、中継映像観て気に入ったらしい描写があったから、それで今ならこの大御所が曲作ってくれる、という事情なんだろうな。
— 相楽 (@sagara1) 2015, 2月 6
続き)
「本田さん達をイメージした曲を書いて頂けるのはチャンスですし」
「あんな忙しい人に頼めるなんて、ラッキーだよ」
&
「新田さん達は第一弾、続いて第二弾、第三弾」
年長の新田組先行だけなら荒れなかったけど、ニュージェネ組は計画にない突発事態だったんだよね。
— 相楽 (@sagara1) 2015, 2月 6
続く)なぜPが事情を教えられないかというと。
部長「確かに、あの三人は良かった」
三人だけが初舞台を踏んでる(⇔新田「何もないから」)というだけでなくこうも認められたと伝わるともっとまずいことに。それは出来ない。
pic.twitter.com/jE1lfzWWdb
— 相楽 (@sagara1) 2015, 2月 6
また、ただでさえPや先輩アイドル、他の11人、裏方の人々のサポート、後押しがありタイミングや勢いも借りてどうにかプレッシャーに耐えて成功したところに、想像以上に高い評価を知らせるのはニュージェネ三人にとっても重過ぎる。
その面からも、やはり知らせられないよね。
— 相楽 (@sagara1) 2015, 2月 6
杏を除く8人は各々が実に素人っぽい揃って非現実的な自分のCDデビュー案を考えたけどとても採用できない。
ニュージェネ3人については大御所(たぶん酒井正利がモデル)に「本田さん達をイメージした曲を書いて頂け」てCDデビュー。
そんな格差、教えられるわけもない。
— 相楽 (@sagara1) 2015, 2月 6
このPに選ばれて集まった14人の中から再度Pに選ばれ3人+2人が先行CDデビュー。前者3人は一番遅れてきた新入り。それで荒れたけど、プロデューサーは残り9人も時期を選びデビューさせる計画を打ち明け、約束し、事態は落ち着いた……という流れと構図。それが(続く
— 相楽 (@sagara1) 2015, 2月 6
続き)「実はPは時期尚早と思っていたけど、部長や外部の大御所からも選ばれたことに背中を押されて3人はCDデビュー」と事実が伝わっては話が収まらない。
「誰か一人でもほんのすこしでも幸せにできたら」という智絵里などもますます萎縮してしまうかも。Pも難しい立場だった。
— 相楽 (@sagara1) 2015, 2月 6
デビューまでは、いつ誰がデビューするかを決めるPが何を考え、何を評価し、何を思っているかがとにかく皆、気になる(Pは関連する背後の動きを黙して語らないし)。
一方、
— 相楽 (@sagara1) 2015, 2月 6
続き)デビューしたならファンや業界関係者の評価や見方こそが(ニュージェネ三人が初舞台でそこにおいて好評を得て、それがすぐCDデビューという当初の計画外の更なる抜擢に繋がったように)より重要に。
そういった分水嶺となる話数だったりもするのかな。
— 相楽 (@sagara1) 2015, 2月 6
@sagara1 @extomato その辺りを踏まえた上で、杏の挙動を追ってみるとまた味わいが出てきそうかなと思ったり
— GiGi (@gigir) 2015, 2月 7
@gigir @extomato ただ、双葉杏の性格やアイドルという職業、現状や仲間たち、Pに対する認識・意識等はそれぞれ「原作ゲームとはどれくらい違うんだろう?」も含め、現時点で個人的には謎の部分が大きい感じです。諸々推測はできますが、精度がかなり怪しい。
— 相楽 (@sagara1) 2015, 2月 7
@sagara1 杏は他の子達に割り当てられているようなスタッフワークが免除されているようだというのも気にしたいところですね(蘭子もかな)
— GiGi (@gigir) 2015, 2月 7
@gigir ん?5話では"蘭子も警察官コスプレで客整理・誘導とかそういうの振られるし、彼女は素直にしっかりこなすんだよ"というのが示されてましたね。警官服の蘭子もかわいい。
pic.twitter.com/rUPhct3sCt
— 相楽 (@sagara1) 2015, 2月 7
@gigir 杏も逃げ回る程度(出社はしてるということでもある)にはなんかしら彼女なりの便利屋仕事振られてるみたいですね。レッスンはしてるのかな……。で、たぶん振られた話の流れに素直に応えることも書くと、
— 相楽 (@sagara1) 2015, 2月 7
@gigir 双葉杏は本編外ではありますが、デレマガ掲載のインタビューhttp://t.co/IkhWY5BAmbで「撮影を一回で決めて」とあるように、アイドルとして、何をどう見せるべきかを把握し実行することに長けている。これは原作からそうだったかと思います。
— 相楽 (@sagara1) 2015, 2月 7
これ、なぜ、長々と引用したかというと、今後描かれていくだろう、双葉杏のキャラクター性に繋がる話かと思えているからです。
前川みくが競争心や嫉妬心、不安といった(年少組の素直な表明を除いては)他のメンバーが表に出さない側面や、(原作ゲーム設定からの流れで)割と奇人変人っぽさは否めない面々の中で、実は一番の「常識人」の役割を担っていたともいえるだろうところ。
双葉杏は根本的に素直でまっすぐな気性の持ち主が目立つCPの面々の中で、それでも大小はありつつも「人間」として描こうとするならそれぞれ持ってはいる"素直になれない斜に構えた部分"を代弁……かどうかは疑問ですが、代表はしているのかもしれないな、と。
そして「杏を除く8人は各々が実に素人っぽい揃って非現実的な自分のCDデビュー案を考えた」ことと「
「撮影を一回で決めて」とあるように、アイドルとして、何をどう見せるべきかを把握し実行することに長けている」こともセットとして捉え得て。あの外見で実は17歳ということもあり、世間や「アイドル」というものについて一番しっかりと冷静に捉えているし、いざとなればその要求に見事に応えてみせられる、他の皆に足りていないものを持っているキャラクターなのかな、と。
あえて一言で言うなら「醒めて」いて。ミーハーに「キラキラ」に憧れる姿勢の対極としての「印税生活」「週休八日を要求」という話なのでは、と。
でも、そんな「醒めた」双葉杏が、他の皆の思いを代弁もしつつの前川みくの必死をあの立てこもり事件で間近に目にし、抱え続けた不安が解消されての安堵と喜びの涙と姿も見届けていて。
7話では一見「醒めた」風情で在り続けていたPが常になくあからさまに苦悩懊悩し、基本的に明るく楽観的、和やかで前向きな13人も「なんだか大変なことになってる」渦中に身をおくことになり。
その上で、Pと皆の再生、殻を壊し、爽やかな面持ちと笑顔で新たな第一歩を宣言したPと皆の姿を目にすることになった。
双葉杏にとって、それらの経験は何を意味し、何を思わせ、感じさせたのか。
ずっと「醒めた」ままで居続けられるのか。そこから外に「踏み込んで」行くとしたら、どんなきっかけで、どのようにして成し遂げられるのか。
なんだかとても楽しみなようにも勝手に思えます。
6:7話の挿話内での演出及び過去話との対比演出のまとめ。
これ、実は最初に目次書いた際に想定したものは殆どここまでの流れの中で触れてしまっているんですが。
大きなものとして、いわゆる「上手下手」の話があるので、紹介してみます。
あと、7話と1話(及び他話数も含む?)「門とドア」への注目は多分面白いと思うので、関心がある方は是非分析してみてやって頂けると嬉しいです(他力本願)。
詳しくやれば過去話の中でもその手の分析の意味が大きく、面白い回と思うので。
デレマス7話花言葉関連や。
上手下手なんかも踏まえつつのこのあたり↓
https://t.co/eIqCPwq0Bc
の詳細検討は誰か自分なんかよりずっと得意な人がやってくれると嬉しい。
— 相楽 (@sagara1) 2015, 2月 21
例えばガラスの靴のヒールが砕けてしまった後で、Pは346プロ内のガラス張りの自動ドアを駆け抜けて飛び出したり、本田未央のマンションの閉まろうとしたガラスの自動ドアに体をねじ込んで追いかけてるわけで。
— 相楽 (@sagara1) 2015, 2月 21
続き)そんな風に、例えば全編隠喩の山盛りてんこ盛りとしか思えないので、あの第1話以上に各方面から読み解き甲斐があってあってあり過ぎるデレマス7話かと思う。
全体的に概ね特に1話と対比されるものだというのも明らかすぎるしね。
— 相楽 (@sagara1) 2015, 2月 21
?「上手・下手の法則」という演出のルールがあります。超大雑把に言うと「上手(右)→下手(左)」の流れは「ポジティブ、能動的、未来」、「下手(左)→上手(右)」は「ネガティブ、受動的、過去」などの心情を表すというものです。こんな感じです pic.twitter.com/BQmwHZwROR
— スタハノフ運動 (@stakhanov4) 2015, 2月 21
? アニデレ7話はこの「上手・下手の法則」がきれいに反映されています。序盤、武内Pはほとんどのカットで「左側」または「右向き」です。アイドルたちの想いを受け止めきれず「逃げている」、Pのネガティブな心情が不安定な構図に表れています。 pic.twitter.com/f6xgydbXJe
— スタハノフ運動 (@stakhanov4) 2015, 2月 21
? 未央と武内Pがインターホンで会話する場面、ここでは二人とも「右向き」です。ともにネガティブな状況にある二人は、この時言葉も視線もすれ違っています。 pic.twitter.com/Pp0FxD0e6Q
— スタハノフ運動 (@stakhanov4) 2015, 2月 21
? 卯月との会話で気づきを得て、武内Pの心境が変化します(ずっと薄暗かった画面が、島村家の場面で初めて明るくなっています)。土砂降りの中、未央の家へ向かう武内P。この時、彼は初めて「左向き(未来)」に走り始めます。 pic.twitter.com/tTj5Ohz3gz
— スタハノフ運動 (@stakhanov4) 2015, 2月 21
? 未央と凛を説得する場面。Aパートと完全に立ち位置が逆転していることが分かります。逃げることをやめた武内Pは、二人を迷いの中から連れ出すことにやっと成功します。(お姫様の手を取る王子様のような構図にも見えますね) pic.twitter.com/ykTv3jlpaf
— スタハノフ運動 (@stakhanov4) 2015, 2月 21
? かつて男の元から去ってしまったシンデレラたちがいました(右向き=過去)。しかし新たなシンデレラたちは、困難を乗り越えて、階段の第一歩を踏みしめました(左向き=未来)。「フライ、ド、チキン!」 pic.twitter.com/keVRm3KDjW
— スタハノフ運動 (@stakhanov4) 2015, 2月 21
? この上手・下手ルールはアニメ業界ではしばしば慣習的に用いられていますが、古今東西すべての映像作品に当てはまる絶対的なものではないし、人によって使い方もまちまちだと思います…その辺ご理解ください。おわり。
— スタハノフ運動 (@stakhanov4) 2015, 2月 21
デレマス7話における上手下手に関して素晴らしいまとめが、実作者でもある方により、経験や実感にも基づく注釈(絶対的なものではないし、人によって使い方もまちまち)付きで出されていて嬉しい。
重ねて他力本願に、
https://t.co/roRVHDNL3B
(続く
— 相楽 (@sagara1) 2015, 2月 24
続き)デレマス1話7話における「門とドア」(346プロ、自宅/マンション、鳥居、店、公園、レッスン室、CP部屋、P執務室等の。ガラス他材質や、出入りの仕方、入る者迎える者の反応等)の解説を、自分で全力でやるよりずっと見事にやってくれる誰かを期待し待ってたりする。
— 相楽 (@sagara1) 2015, 2月 24
続き)
なお「店」というのは具体的には凛の花屋(彼女の自宅でもある)で、他には1話時点で島村さんが通っていた養成所及びそのレッスン室あたりも明らかな対象になるかと思う。
— 相楽 (@sagara1) 2015, 2月 24
なお、関連する話として。
アニメファンのひとが、テレビ画面の上手(右側)と下手(左側)の観点から演出家の意図とその意味を語り出し始めたら、それは、富野由悠季の『映像の原則』(2002)を昨日の夜に読んだのだと断定して8割方まちがいない、っていう原則が、ゼロ年代にありまして、今も生きておるのですよ…
— えかきのルロアさん (@ruroa2) 2015, 2月 27
アニメにおける上手下手については以前、ヒグチさんも話題にあげてたな。
https://t.co/J4qZhkJLE0
↑からの連投&やりとりと。
あと、これ。
https://t.co/LoE2iSbrhg
ようするに。(続く
— 相楽 (@sagara1) 2015, 2月 27
※上記発言で触れている過去のやりとりを引用。
話は変わるけど、画面の上手下手(かみてしもて)で映像を読み解くという分析手法、やってみてわかったのだけど、あれは鉄の意志が無いと完遂できないのだと思った。
— ヒグチ (@yokoline) 2015, 1月 17
どういうことかというと、理論で読み解けない実物が出てきたとき、理論を曲げて例外とするか、自分の解釈を曲げて理論側に寄せるかという選択を迫られる。そして例外を認めるほど泥縄に縛られ、解釈を曲げれば後悔が残る、と思ったのだ。
— ヒグチ (@yokoline) 2015, 1月 17
@yokoline 「画面の上手下手」の話ってイマジナリーラインほど例外前提というのではないですけど、基本、徹底されている作品が大変稀な例外だし、徹底されているのが良いとも限らないというのは大前提の話かと思っていたんですが、たまにそうでなさそうな論調を見掛けたりは確かにしますね。
— 相楽 (@sagara1) 2015, 1月 18
@sagara1 そうですね、想定線を守ろうとすると上手下手が守られるので、隣接した議論だろうとは思うんですが、やはりこれらは「わかりにくさ」の減点を貰わないための理論であって、1番良い、トレードオフで加点を貰いに行く部分は例外であって、そこが難しいところでした。
— ヒグチ (@yokoline) 2015, 1月 18
これに関しては、上手下手(理論)というのは別に作品を分析する為の概念ではなくて作り手側が設計して入れ込む為のものだから。だから、どこまで積極的な意図が見出せるかというのもあって
— highland (@highland_sh) 2015, 1月 18
※引用終わり。以下、最初の発言の「ようするに」の続きです。
映像見て「あ、これは(上手下手の扱いが)だいぶ徹底されているな」と思える場合、「作り手の方がそれを意識してそういう意図を込めているもの」とそれなりの信頼度で仮定できるものかと思われ、「演出における制作側の意図の把握がやりやすくなる」という便宜的な意味合いが濃いのかなと思う。
— 相楽 (@sagara1) 2015, 2月 27
ページをめくっていく漫画だとまた大分別の話になったり、『映像の原則』を書いた富野監督本人の監督・絵コンテ・演出のアニメの場合なんかは当然ながら特別に有効だったりはするのだろうと思う。>上手下手の原則
多分「この作品は守れていない!」と減点の規準にするのとかは、とてもアレ。
— 相楽 (@sagara1) 2015, 2月 27
オレがカミシモをいつも気にするのは生来の左利き故に「所作」への没入すら常に脳内変換を掛けるようにしてるから…というのはおいても、まぁたとえば「なんでヤマトは毎作毎作必ず左向きに旅するの?」てあたりとか、あるときいちど気になればそこからカミシモへの興味って沸くよね
— インクエッジ@差別主義 (@02Curry) 2015, 2月 28
カミシモって「絶対に100%の維持はできない」演出技法だからこそ、その工夫に関心がある。どうしても流れ上、設定上、画面構成上カミシモのコントロールを全カットに掛けることはできない…できないものだからこそそれへの挑戦が好き。映像への組み込みの工夫や努力を見て取るのが好き。
— インクエッジ@差別主義 (@02Curry) 2015, 2月 28
カミシモ演出自体も効果ありなんて言い切れない。生理的な印象効果というより生理的な印象効果「のつもりで連綿と慣習化され続けてる」からこそ印象がかたちづくられてる面が多分にあると思う。無意識にも「カミシモだから」が先にきてて、汲み取る印象が類推的に構築されるってのは否定できない。
— インクエッジ@差別主義 (@02Curry) 2015, 2月 28
その他もろもろ。
記事内容の多くをtweet引用で構成していることからも言うまでもありませんが、アイドルマスターシンデレラガールズの感想に関しても、随時、twitterで最新話放送中や直後から延々書いたりRTしたりしています。
また、その内容を下記togetterにまとめていたりもします。
アニメ版『アイドルマスターシンデレラガールズ』(デレマス)感想
http://togetter.com/li/768711?page=1
そちらを読んで頂くと、作品に関してより幅広く様々な話題を扱ったりもしていますので、宜しければみてやって下さい。
7話関連については、下記URLのリンク先(の一番下の方)から。
http://togetter.com/li/768711?page=32
「Special Program」関連については、下記URLのリンク先(やはり下の方)から。
http://togetter.com/li/768711?page=41
※武内駿輔さんについての話題なんかも多数収録させて頂いています。
それぞれ、見てやってでも頂けると幸いです。
ちなみにこうしたまとめを制作・更新している意図や目的についてはいろいろあるものの(なお、金銭的な利益は全く発生してません)、基本的には「それが自分には楽しいから」ですが。
例えばこんな話も一応あったりはします。
.@sagara1 さんの「アニメ版『アイドルマスターシンデレラガールズ』(デレマス)感想」をお気に入りにしました。/現在、35ページある。こういうの、後になるとめちゃくちゃ貴重になるよ http://t.co/4YejAkFO9n
— ヒグチ (@yokoline) 2015, 2月 23
@yokoline こういうの「面白そうだけど見逃していた過去のTVアニメをレンタルで観る時なんかに、誰かが当時の興味深い諸々をこうした形で見えるように残しておいてくれたら嬉しかったのにな」といったことも思いながら、まとめていたりはしますね。
— 相楽 (@sagara1) 2015, 2月 23
@yokoline 具体的には今だと「『Another』とか『あの夏で待ってる』とか、誰かそういうの残しておいてくれていれば良かったのに」とか。
後から当時の空気とかを知ったり、めぼしい感想を漁るのとかって結構厄介なので。
— 相楽 (@sagara1) 2015, 2月 23
あと、持論として。
なんにせよ「結論としてどういうことなの?」という話なんかより、それに至るまでの過程にこそ、一層の面白さが宿っているものかと思います。
解釈なり解説なり、あるいは先行きの予測なりが「正しい」(そもそも「正しい」とは何か、という大きな問題が有りますが)なんて、およそ大した問題ではないんです。
どんな視点で、何に注目し、どんなアプローチで、どのような姿勢で作品から面白さを汲み取っていくか。他の人と感想や意見を交換し、相互に影響を受けていくか。
そういう話こそ、本当に面白いものではないかと考えています。
そうした活動を記録してもいきたければ、その渦中で愉しんで行きたいとも強く思います。
以上、三部構成の大変長い記事となりましたが、これでひとまず終わりです。
最後まで読んで頂いた方、ありがとうございました。