ランス10、雑感。

 

今年の連休始めから終わりまで。幾つかSFやアニメ方面のイベントには行ったりもしつつ、他は寝ても起きてもひたすらランス10を遊んで、概ね一区切り(全ENDコンプリート、実績80~達成)つきました。

ランス10がどんなゲームなのか、どんなシリーズの総決算だったのかはこちら↓に素晴らしくまとまっているのでまずそちらをどうぞ、としつつ。


折角80時間くらい遊んだことだし、一区切りついた直後に思わずプレイ済みの人にtwitterのDMで延々3時間くらい感想やりとりさせて頂いたりもしたので。

概ねそこから引っ張りつつ、少し雑感を。

※(自分の発言をオレンジ、雑談相手の方の感想は緑色で表示しています。流れに合わせて一部編集も)。

なお、以下はランス10プレイ済み前提の人向け、ネタバレ配慮一切なしです。宜しくお願いします。

 

二部の構造、シリーズの締め方

「二部がルドラサウム接待プレイだったのなんかとても面白くて。
「あなた≒プレイヤー≒ルドラサウムが満足して楽しめたら、作中世界も幸せに続く。大満足できたはずなので大団円です。良かったです。良かったですね?」
いろいろメタ的に提示されて、綺麗に閉じられる。
「満足して楽しめましたか?」ではなく、「もちろん、大満足で楽しんで頂けましたね?」という自信満々な姿勢なのも、ごく個人的にもその通りだからとても心地よかったです」

 

「よくもまあ締めたなという感があり……。しかし魔想さん子供化とか、長期間にわたるスルーパスが決まる構成とか、なんか30年続く超大作がこんなに綺麗に終わるのか……という感動があるんですよね……」

 

「締め方といえば、最後のクルックーさんの笑顔CGもあるわけですが。
シィルさんだと本当に純粋な含みのない笑顔になるので、いろいろ、いろいろ、いろいろと込み込みのこれで締めてくるのは個人的にとても好きですね」

「クルックー笑顔締めは最高に最高でしたがやっぱり最後はランスとシィルの絵で締めてほしかった感があります(ラストはそうだけど……)
まあでも第二部の話だと当然の帰結……」

「ランスの物語の締めならシィル、ルドラサウム世界の締めならクルックー、で、1枚絵では後者が選ばれて。シィルさんはエンドロールの看取りの方に、という感じですねー。
この手のメタネタの締め方と言うか描き方としても、あの笑顔の一枚画とやりとり、んでもって「答えならばもう聞いた」とその後の会話で、これくらいの示し方で描くの、とても洒落て綺麗で良かったです。」

「まあそもそもランスの締めではあってもルドサラウム世界がこれで締めなのか問題がありますが」
「ああ、確かにそれはありますね」

源氏物語光源氏・薫大将問題?みたいな話(あまりにも魅力的で強烈なキャラクターの主人公が主役から降りると、その子供世代とか後継者とかを主役に据えて二部とか続編とかを描くときに見劣りせざるを得なくて困る)で、第二部でランスが(終盤まで)主役を降りて、その子供の話にする……と「格」がどうにも保てなくてしんどい、とか、厄介な問題をうまいことすり抜けてたのも良かったなー、と。
二部の主人公の性格としても「なんだかよくわからない」「何を考えてるのかわかりづらい」としばしば評されたりとか、選択肢にやたら奇抜なのや乱暴なの置くとか。
ルドラサウムinなので好き勝手だったり無茶やったりするのはそりゃあまあ当然に、というのメタ的にも良い扱いと示し方だったりしてなるほどなー、と思ったりも」

「なんか仲間内でワイワイ楽しくやってる時のTRPG(の参加者)っぽいんですよねー。もともとランスはTRPGが原型にあるときいたことがあるようなきもしますが」
「ゲーム(特にエロ一般問わずノベルゲー)、小説(特にSF,ライトノベル)について、今30代~50代くらいの作家へのTRPGへの影響はめちゃくちゃ大きい印象はよく受けますね。ランスに限らず。タイプムーン関係なんかも勿論そうで」


「30年も書いてきて作中でも4?5年? ぐらい経ってランス君がなんか普通に英雄みたいに成長しているのもいいんですよね……」

「ランス自体の変化もですし、ランスの善性?みたいなのを子供という形で多面的に分割して描いてるのすごく面白かったですね」

「第二部、子どもたちがだいぶ厄介そうに語られていたのでドキドキしながら読み進めていたのにみんなめちゃくちゃいい子たちで笑ってしまいました」

「ダークランスさんへの善性のぶっこみっぷりがすごい」

※ダークランスさんの「笑顔」について語られる場面のキャプチャいくつか送信。二部友情イベントでの「どうやら、あなたの兄はよく笑う人らしかった」他。
「そしてやっぱり第二部ラストバトルみたいな無茶苦茶な状況になっても平然と向かっていくのがランスで、ランス以外にはいないし、ランスがいなくなったらもうこの世界もまあ終わりだよなー……というのが非常に寂しいな……とおもうのでした……」

「老衰死大往生まで描くというのは定番ですけど、綺麗な締めですね」

 


膨大なキャラそれぞれの、端役に至るまでの魅力、食券イベント等


「食券イベントだけで延々5,6時間は読んでいたような……めちゃくちゃ良いのがいろんなところにありますね」

「食券イベント、どれも短編小説みたいに本当に出来がいいんですがパッチ前はキャラランダムなせいで本当に集めるのが苦痛だった……」
「食券イベント、大変良いのが多かったので、メモ代わりにキャプチャで残してたりも。いや、統合のキャラ情報からイベント再生すればいいんですが。見直す時、わかりやすいよーにみたいな。そんな暇あるのかどーかはともかく」

(※DMのやりとりでは適時キャプチャ送信しながらやりとり)

 

トルストイとか完全モブやんけ! みたいなキャラのヤツまで地味にできがいいから困るんですよね……」

トルストイ食券イベントすごく良い感じ(半分クリームさんイベントですが)だったの良かったですね……」
「二部始める前に食券イベント数時間延々読んで、それからやっていて。例えば早雲さんの食券イベント2つ目みてた後なので「ちょっと。なにやってんだおい」となったり、その後闘神大会で大健闘してたのは大変良かったりもしましたね」

「ウスピラ&サイアス、ケッセルリンクメイドさん方面、パパイヤ&ネルソン父子とか、ランス中心とはまた別の関係性の話とかも好きでしたねー」

「地味にガンジーの食券イベントが衝撃的です」

ガンジー食券イベント、アレックスさん(食券3イベ出てくる場合には)5ターン経過で死んじゃったから……)の立場が……うう、アレックスさん……。

アレックスさん、食券3イベントはしみじみと良いのに。例えばさっき挙げた早雲さんの食券2イベントあたりとも併せて読みたい感じで」

「アレックス、本当に悲惨……」

「エロピチャさんのめげない生命力、活力が素晴らしい、ということで、まあ。エロピチャさん食券3イベントで露骨にはっきり「そこに隙があった」と吐いてるのが強くて良いですね」

「強いというか、異能生存体というか……”どんな状況にあっても最強の男を虜にしてみせる”という特殊スキルを感じる」

「しかしまあ、状況考えるとアレックスさん(生存時)にもガンジーさんにも良いように未来が拓けそうなので、その意味でもエロピチャさん、たいへん強くてよいですね」
「ここらへんのフラグが立つとはじめて千鶴子さんあたりも食券3イベントを選択できるように……とか「フラグ管理複雑すぎるだろ!」ともちょっと。いや、まあ、内容的にも仕方ないというか当然ではあるんですが」
「カオル・ウィチタもかわいそうでした……」

「カオルさん卒倒はかわいそうだった……(確かに明らかにあおりを受けて不幸になってる……)」
「たしかに、別に搾取しているわけではないですからね。

しかし史実としてはたぶんふたりとも死んでるのが悲しい……

(一部のリズナ魔人化ルートではガンジーは死んでるので……)」

「ウィチタさんはガンジー再婚イベントでも、そしてそれ以上にたしか自身の食券イベントでもランスに「カオルさんはガンジーのためなら本気で死ぬしそれわかったけど、お前そうじゃないんじゃない?」と言われてたのかわいそうでした……」

「ウィチタとカオルはその辺のキャラクタの書き分けがけっこうぐっとくるんですよねー。ふたりとも忠誠度は高いけど──という。マアその分かわいそうですけど……」
「キャラクターの背景設定とか関係性描写、ゼス方面は他に比して層も深みもやたら充実している感じが」

「ウルザ周りもいいですからねー」

「キャラクター人気投票、ウルザさんに一票かな……(ウルザさん贔屓)」

「そんな中でネルソンさん食券イベントは楽しかった……。

「従って! 現状を打破するためには!現体制の転覆しかない!」

「 「そいつの食券イベントもあるんかい!」というのが今回何人もいましたがネルソンさんもその一人で、そして相変わらずアホだった」

「ネルソンさん、食券イベント2では技能に振り回される哀愁とギャグぶん投げてきながら、3になるといきなり親子の良い話(パパイヤさんと併せ読むとなお味わいが)になって、すごく良かったですね。

「そいつの食券イベントもあるんかい!」といえば、小早川秀秋……もといビヨンホウさんはランスと親バカコンビ結成しますし……」


「名前忘れた時を戻して時間軸の中をランダムに意識が飛び回っている聖女の子モンスターの食券イベントとか、完全に梶尾真治短編でおもしろかったな……」

「聖女モンスター4種の名前いちいち覚えてらんなくて僕もこんがらがってますが……あのイベント良かったですね。その手の話の定番として、こちらにとっての出会いの場面を……というシチュエーションでしたが、定番をしっかり上手く描かれるのは良いものです」

「(該当イベントのキャプチャ送信しつつ)改めて読むとうん、梶尾SFっぽいですね……情感先行、年数とか規模とかやたら壮大、みたいな(?)

聖女モンスター、食券イベントも大と小で別扱いなのちょっと面白かったですね。存在/キャラクター自体とその描写がそのまんま、(世界)設定語り(の一部)という観もあって、ちょっと優遇されている感じ」

「たしかエマノンのどこかの短篇にセラうんたらと同じ設定のキャラクタがいたはずなんですよねー。たぶん元ネタなんじゃないかな。で、そうそう、そこ分ける必要あるか!? という本気を感じましたね……大と小で別扱い」


「ランス10、なにげに紀伊とかずっと前からいますけど何か? みたいな良キャラクタの追加が多い……」

紀伊さん初出だったのか……誰だろ?と思いつつ。このキャラも食券イベント面白かったです。「一服盛った」の天丼オチ……良かった。素晴らしかった」
「ずっと前からいるような顔して実は10初出ってのが何人もいたんですよねー。ケッセルリンクメイド部隊とかみんなデザインが良すぎるのもひどい」

「目の前の虐げられた女性絶対救う魔人ケッセルリンクさん、それをいいように利用されて追い込まれても、ペルエレさんに(分かっていて)裏切られても満足して消えていく。

これ、勇者のアリオスさんとのえげつない対比にもなっていて、むごいな、とも思えましたね……まあ年季が違う、ということでもあるっぽいんですが」
「勇者はえげつないほどウザく描かれていましたしねー。ここまで勇者がウザい作品はほとんどないのでは(シナリオレベルでウザいというか、ゲームレベルでウザいし)」
ケッセルリンクさん周り、最も古い使徒シャロンさん関連が特に好きでしたが。ケッセルリンク本人の食券3イベントのランス評がものすごく良かったです。

(該当場面キャプチャ送信しつつ) 

「……夢を見せるのが上手いな、君は」

は短く鋭く、とてもとても好きなフレーズですねー」

「夢をみせるだけじゃなくてその夢を基本的に自分でも信じ切ってるのも凄いですよねー。それでいて後半シリーズでは「このままじゃマズイな……」みたいなけっこう戦略的な視点がでてきているのもおもしろい」

「まあでもランスの食券イベントが異常におもしろいのも、ここまで9作のキャラクタの積み重ねがあり、膨大な世界設定とキャラクター数があり、色んな能力者もいて、とやりたい展開をやろうと思ったらいくらでも組み合わせを考えつける積み重ねがあるからだろうなあとおもったり。その点やはり他の作品とは格も歴史も違うということなんでしょうね」

 

二部の悲しみ「あるある」話、見当かなみさん、ウルザ・プラナアイスさん、ランス6ゼス崩壊関連


「でも第二部でかなみがぜんぜん出てこなかったのとか悲しすぎるんでもっとかいてほしかった……」

「しかしあの生まれ変わり制度、かなり恐ろしいなと思ったり……。かなみの娘、せっかくかなみとランスの娘なのに完全に鈴女だし……せ、せっかくのかなみの娘なのに鈴女にのっとられた……」
「蘭とすずのところで生まれ変わり云々解説したので(ところで「北条すず」ってネーミング凄かった(?)ですね。『この世界の片隅に』は北條すずなので……)、どうみても鈴女が生まれ変わってるというのはわざわざ説明しないんですよね」

「そうそう、少なくともシナリオ中では説明されないんですよねー。実はレベルいくつだったか忘れましたけど娘(ウズメ)のカードで明かされてたりするんですが」

「LV90/240しか登録されていない……性別女パターン2主人公の統合への登録兼ねて4週目で入手目指します……」
「ウズメ、地味に選択を間違えると第二部では仲間にすらならないのがかわいそう……」

「二部の二週目、仲間イベントでなく宝箱選んだらどーなるのかなー、とやってみたら全員サラッと、仲間にならずその後存在に言及されないまま進むのなんか見事ですらありましたね……」


「かなみに鈴女といえば、描き方の味としても、フレイア食券イベント3の締めとかも好きですねー。

(キャプチャ送信しつつ)


【ランス】

「なんてか、人生楽しんでるな……」

【ランス】

「忍者とかアサシンとか、闇の仕事する奴らって案外そんなもん?」

【フレイア・イズン】

「短いからねぇ。

色々と」


こう、二行に分けつつ、さらっとカラっと締める。

戦国ランスやって鈴女さん周りとくのいちの設定とか知らないとさらっと流しそうで、さらっと流されても別にいいけどね、みたいなテキストの出し方はとても好きですねー」

「割りとこの世界のくのいちやニンジャはさらっと死にますからねー」

「あ、そういえば、がっつり毒を仕込まなければニンジャ/くのいちもめちゃくちゃ寿命短くはならない、ということでかなみさんは(出てこないけど)二部でも元気にやってるのか。そうだった」


「ところで僕は二部でウルザさんが出てこなかったのが寂しかったですね…‥。これだけ魅力的なキャラが多いと、こういう「〇〇が(二部で)出てこない/活躍が少ない」といった話がそれぞれ出て来そうで。仕方がなくもあり、当然でもありつつ、しかし各々寂しさを抱える話ではありますねー。しかしエンドロールで出て改めて天を仰ぎましたが、ゼス崩壊って2004年。14年前ですか。マジか……。
(該当場面キャプチャ送信しつつ)


【ウルザ・プラナアイス】

「……私も限界は無しでいきますよ。ランスさんには負けません」

【ランス】

「………それが本気だからな、君は……」

【ウルザ・プラナアイス】

「ランスさんと対等でいられる女性が、少しくらいいてもいいでしょう?」


ウルザさん……」


(他の流れ挟んで)

「ランスシリーズって海外展開とかしていましたっけ/するんでしょうか。例えば中国方面に、ゼス方面魔物大将軍ツォトンが知識人を選別して大虐殺、愚民化政策を採る……という話を持ち出したらどうなるのだろう…… そういう厄ネタが、例えばゼス自動解放での描写とかで、作中の歴史、作中のキャラクターたちの思いとしてしっかり作中世界の出来事として昇華されて熱く示されていくの、本当に素晴らしいんですけどねー」

「ゼス自動解放は本当に熱い……というか国家体制の話としては完全にゼスというか6の出来がいいんですよね、9はキャラクタの話として好きなんですけど国の話としてはやっぱり6が一番好きだな……」

「ファンタジー世界の国家、政治、戦争、群像劇、恩讐/復讐劇、魔人アベルトのキャラ造形、かなりの部分、アベルトに対応するヒロインのウルザ・プラナアイス……うん、ランス6ゼス崩壊はやっぱり僕もシリーズ中で群を抜いて好きですね」

 

作中の死生観(?)、世界設定/メタ設定、その描写などについて


「ランス10、いきなりアールコートが死んだので凄いシナリオだ! と喜んでいたらあっさり生き返った(でも死ぬやつはさらっと死ぬのであった……)」

「僕は「アールコートさん!なんてことを!!!!!」と素で驚きましたね……」

「ゲームの設定が執拗にリーザスのコルトバさんを殺すべく動き続ける(コルトバさんが何をしたというんだ。暑苦しいからか?)」


「鈴女みたいなのをすっと殺せるのはやっぱ凄いシリーズだなーと思いますが当たり前に転生もするし場合によっちゃ幽霊になるしでけっこう死生観がゆるゆるな世界でもあるからなーとおもったりそしてそういう死生観がゆるゆるでランス自身も別に望めばいくらでも生きて冒険ができるのにそういう選択は選ばずに普通に老いて死ぬのがまたキャラクタとしていいなと」

「なんの説明とか入れずとも、そのキャラクターなら当然そうするという説得力にも満ちていて良かったですね」

「因果応報、罪と罰みたいな話も「それぞれであっていい」みたいな描写、すごく良いなと思いましたねー。

ルドラサウム世界はそもそも創造主がアレだから基本酷いのであって、その中で縦横無尽に振る舞うにはランスくらいでないとアレだし。

その中でとことん人間として生き抜く人間もリアみたいに(この人昔は気まぐれに人をいじめ殺す人間版メディウサみたいな人だったし、その後もまあ)善悪の彼岸で楽しく生きるキャラクターもいろいろいるけど。

パパイアさんとか気にしまくるキャラクターもいて、それはそれでそれで良い、という」

「それでもって、トドメの締めがあの法王クルックーの笑顔だったので、まあ、なんかすごいもの楽しませてくれてありがとう、と思えます」


「もうこんな作品は出てこないだろうなーと思うと悲しくなります。こんな作品のこんなの定義は凄く難しいけれども……」

「きっちりとしているところと鷹揚だったり曖昧なところがすごく良いバランスで編み込まれた、無類の傑作シリーズでしたね」

 

「一言でいえばメタ・ファンタジィと言った感じですがなかなかこのバランスと世界設定量は普通では無理ですよね……」

「バランスとか設定とかもそうですが、メインシナリオでも食券イベントでも、単純に「文章うっまいなー。文体とか単語の選択レベルとかでもなー」と思うこと多々あったりしましたし」
「だいたいここまで大勢のキャラクタを出して特に破綻なく集団の会話が成立させられるという点であらゆるシーンがうますぎるんですよね……どうキャラを作り込むかって点からしてレベルが違うんでしょうねー」

「これだけのキャラクターがそれぞれのキャラクターとして生きていて、誰かの下位互換とか誰かに価値観や作中で描かれた生き方ごと全否定される……とかおよそなってない印象なのもすごいですね。ある種のテンプレ、例えば見当かなみ=軽い、メナド・シセイ=ちょろい、なんかでもそれを崩さず揺らがさず、その上でキャラクターとして立たせる描写の妙がすごい」


「メタ視点の扱い方とかでも、ヌヌハラさんなんてキャラクター自体まさにその提示のために生み出されて活躍してるわけですが、なんというか「あ、こっちの世界のすごくちゃんとした人が造形して細部まで描いてるなこれ」というのすごく伝わってきて良かったですね。第四の壁とか観察者とかシュレディンガーの猫パラドックスとか、たぶんあえて単語として使わず(そういうの乱発して、その癖明らかになんというか「わかってなくて」イラつく作品、アニメや漫画、小説問わず結構多いですね……)テキスト組んでたような」

「第四の壁とかぜんぜん使ってませんからねー。ここまで一切出さなかったっていうのも凄いですし、ここであえて出した(というか設定をあらためて作ったのか)のもまあ第二部があるからでしょうしね。ヌヌハラさんもデザインがいいのがまた……。織音氏の才能が際立ちすぎている」

「ヌヌハラさんの語りが語りとして出す設定の在り方も、語り方そのものも、なんかもー、すごくしっくり気持ちよく聴けるんですよね。素晴らしかったです。

他にも例えばパイアールの特異点過ぎて誰にも伝わらず受け継がれない超技術、一方でマリアの危険性……みたいな話の扱い方も、ある種の定番でありつつ、定番の描き方がすごーーーーーーくしっくり来るの(自由都市シナリオ本編及びパイアール及びその姉の食券イベント)、とにかくもうめちゃくちゃ良いんですが、どう良いのか説明するとなると結構むずかしそうですね」


「さっきのセラうんちゃらのSFネタもそうですが、いろんなジャンルやら歴史の定番ネタを広く集めてくるところがまず凄くて、そこからのランス世界ならではの調理の仕方もうまいという神業ですよねー」

「ランス世界……作中世界への落とし込み方も良いですし。ネタの扱い方として、「あ、これ嫌だな。イラっとするな」というガワとか用語だけ借りてるヤツにありがちな悪いところがまるで無い(と思える)の、ホント凄いなあ、と。
あー……歴史・政治人物ネタとかはこだわる人だとアレかもしれないですが、まあ……そこらへんは個人的な相性が……」

「歴史・政治人物ネタはかなりアッパラパッパーな方に舵を切っているのがいちおう防御というか配慮なのかもしれませんね……」


「ともあれ、30年前にスタートした作品・世界とはとても思えないですよねー」

「そうなんですよね。これ、30年前にスタートしてるんですよね……どうやったらこんな風にできるんだろう。信じられないですね……」

 

 

 ……と、例えばこんな感じで。プレイしている間、ずっととにかく面白過ぎましたし。遊んだ人同士でいろいろ話出せば話題が尽きない名作だと思います。素晴らしい作品、大傑作シリーズでした。