話数単位で選ぶ、2022年TVアニメ10選【※スマホ閲覧用軽量版】

「お前の記事、

ファイルサイズ大きすぎだか読み込み多すぎだかで自分のスマートフォンからだとエラーでて読めないよ。2022年だか2023年だかにスマホから読めない記事とかやめろ」

 

ともっとも過ぎるご意見を頂いたので、スマホからも読める(と思う。少なくとも手元の端末だと……)軽量版としてこちらの記事にもまとめ直しました。すみません。

 

以下、改めて。

 

「話数単位で選ぶ、2022年TVアニメ10選」への参加記事です。

現在は個人ニュースサイト「aniado」さんが集計されている企画で。
過去、2014年2017年2020年2021年と四回参加させて頂いています。

 

単位で選ぶ、2022年TVアニメ10選」ルール

・2022年1月1日~12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。

・1作品につき上限1話。

・順位は付けない。

 

規定に従い以下、順不同です。

 

1:『連盟空軍航空魔法音楽隊ルミナスウィッチーズ』第5話 「まっしろリボン」
2:『まちカドまぞく 2丁目』第6話 「夕日の誓い!まぞくたちの進む道」
3:『ぼっち・ざ・ろっく!』第12話「君に朝が降る」
4:『明日ちゃんのセーラー服』第7話「聴かせてください」
5:『Extreme Hearts』第12話「SUNRISE」
6:『虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』2期第6話「 "大好き"の選択を」
7:『Do It Yourself!! -どぅー・いっと・ゆあせるふ-』5話「DIYって、どこかに・いばしょが・ようやく」
8:『メイドインアビス 烈日の黄金郷』第12話  「黄金」

9:『86-エイティシックス-』22話「シン」
10:『プリンセスコネクト!Re:Dive Season 2』4話「駆け出しの名探偵
〜ミロワールに想いを寄せて〜」

 

 

1:『連盟空軍航空魔法音楽隊ルミナスウィッチーズ』第5話 「まっしろリボン」

監督:佐伯昭志
アニメーション制作:シャフト
脚本:山﨑莉乃
絵コンテ:徳野雄士、佐伯昭志、春藤佳奈
演出:白石道太
作画監督:浅井昭人、渋谷勤、細田沙織
放送日:7月31日

折り紙にあしらわれた青い花と亡き妻/母が愛した青い桔梗、自分を偽るお姫様とクーポラのだまし絵、差し出された白いリボンを付けた姿を鏡で見て慌てるシルヴィと夜の窓に映るまだ拙い自分の踊りを見つめ練習に励むジョー……終始、象徴の使い方が巧く、そして締めの品が良さが素晴らしい。

この挿話を通じて描かれ抜く、言葉にされずとも伝わる思い。今は伝われずとも確かに示され、いつかきっと伝わるだろうという思い……この5話ほどの構成美を誇るオリジナルTVアニメの話数は極めて稀だと思えるし、『ルミナスウィッチーズ』という作品全体についても同様に思う。


放送前は個人的に関心が強くなく「『放課後のプレアデス』『アサルトリリィ』佐伯昭志監督の作品なら」という興味で観始めた所、1話からだんだんと好印象が強まり、そしてこの5話で惚れ込んでしまって。
急いで未見だった過去作『ストライクウィッチーズ』1期2期3期、『ストライクウィッチーズ劇場版』、『ブレイブウィッチーズ』等々を配信で観ていったら……7話で『ストライクウィッチーズ』6話で描かれたエピソードと14年越しに物語が繋がるという展開にも出会うことに。


※5話の諸々の描写について、また、以降の話数や過去作絡みの諸々等についての細かい話はこちらで↓

『ルミナスウィッチーズ』6話以降も素晴らしいエピソードが最後まで描かれ続けいったことで、最初は5話について組んだまとめだったものが、結局作品全体の感想まとめともなった。
個人的に、得難い、幸福な出会いだったと思う。

 

 

2:『まちカドまぞく 2丁目』第6話 「夕日の誓い!まぞくたちの進む道」

監督:桜井弘明
アニメーション制作:AQUA ARIS
脚本:大知慶一郎
絵コンテ:岡本英樹
演出:野上良之
作画監督:上田彩朔、浅尾宏成、中熊太一、谷川政輝、大木良一、大塚舞

総作画監督大塚舞
放送日:5月13日

これまでの話の総決算を、キャラクターと、その暮らす街角と空と、1期主題歌と連動させて描く。
極めてハイテンポな演出でずっと進んできた作品が、その笑顔を見ての涙だけはこんなにもじっくりと描く。

物語としてもアニメとしてのこれまでの描き方全体も、全てがこの2期6話終盤で迎えた(ひとまずの)クライマックスに収束し描かれる様が圧巻だった。

詳しくは以下のtweet引用の日付部分(2022年5月14日)のリンク先でツリー表示される一連の投稿でどうぞ。

 

なお『まちカドまぞく 2丁目』が好きな人は12/19日配信の

「「まちカドまぞく 2丁目」スタッフトークイベント~眷属たちの集い~」

ニコニコ動画のプレミアム会員向けタイムシフト視聴で観るのも(勿論、未見なら)お勧め。

以下の投稿から連投で、配信の感想メモも。気になる人はどうぞ。

 

3:『ぼっち・ざ・ろっく!』第12話「君に朝が降る」

監督:斎藤圭一郎
アニメーション制作:CloverWorks
脚本:吉田恵里香
絵コンテ:斎藤圭一郎
演出:斎藤圭一郎
作画監督:けろりら
放送日:12月25日

1つの話数の中でも全話を通じても精緻に構成され。
アイディアに溢れ凝りに凝った演出で、手描きにこだわるライブ作画で、素晴らしい楽曲の数々で……いつも最高に楽しませてくれた傑作。

 

その良さは1話から順に、原作とも細かく比較しつつじっくり観ていくと(例えば下記リンク先のまとめでも読んでいって貰えば……)絶対により良くわかるかとは思うのだけれど。

ともあれ、ここでは12話とそこに至る流れについて。

12話は最終回らしく、積み重ねられた様々な流れが結実した回であるといえるかと思う。

 

最もわかりやすいのは以下の投稿からの一連の流れかと思うので、少し解説してみると。

まず12話のライブで喜多ちゃんはこれまで自分を救い続けてきてくれた自分のヒーローのピンチを救うヒーローになってみせ。それができたから「皆に見せてよ。本当は…後藤さんは凄くかっこいいんだってところ!」と11話で言えなかった言葉を口にできたのだという流れがあり。

それは5話自販機前で「本当の夢」を語らず/語れず、8話ライブ後でひとりが「本物のヒーローに見えた」から、その光に救われて自分も夢を追い、また星の輝く夜空を仰ぎ見ることができるようになったから「本当の夢」を口にできた流れの反復であって。

 

そして作品全体、1話~12話を通じて出会いのその時からからずっと伊地知虹夏は後藤ひとりを光の中へと誘い連れ出してくれる存在で。
同時に虹夏にとってやはり出会いの時から「とんでもなくヤバい状況をいつも壊しくれたのが、ぼっちちゃん」、闇を払う光だったという構図があると思える。同様に喜多ちゃんは出会の時からひとりにとって周りに馴染み自然にチヤホヤされる眩しい存在な一方。喜多ちゃんにとっても出会から惹きつけられ、すぐ私のヒーローになってもいた。
ひとり⇔虹夏
ひとり⇔喜多
という二つの関係性をいつも太い軸に描かれてきた作品であったかと思える。

 

では山田リョウは?といえば。

ひとりはチヤホヤされる自分に。
虹夏は夢を叶えられる自分に。
喜多ちゃんは(虹夏の夢同様伏せられ続けていて、原作では3巻で明かされる話だけど)「特別」を持つ自分に。
三人とも、今の自分から変わりたいと切実に願い続けている中で。

でも、その一方でいくら願っても変えられない、そして変えるべきでないことがあるし、それでいいんだ、それがいいんだと語り、体現するのが山田リョウの立ち位置。

特に4話でリョウがひとりに教え諭した、

「個性捨てたら死んでるのと一緒だよ」。
「バラバラの個性が集まってひとつの音楽になって、それが結束バンドの色になるんだから」

はこの作品が家族とも友人とも恋人とも違う「バンド」という独特な関係性、在り方を描く作品と示す核心的な台詞だとも言える。

こうして山田リョウが示し支えるベース/基盤があってこそ。

ひとりは「私俯いてばかりだそれでいい猫背のまま虎になりたいから」と。
虹夏は「鳴り止まなくてなにが悪い青春でなにが悪い」と明るさでわがままに押し通し。
喜多ちゃんは「指先が硬くなるたびこの意志も固く」しつつ「星灯りのように光り出せわたしだけの音」と歩んでいくことができるのだと思う。

 

なお、そんな山田リョウが自分の大事なものを託し懸けていたバンドが解散して闇に沈んでいた時に救い出してくれた光は言わずもがな、伊地知虹夏で。
きっと、それからもずっと光であり続けてる。

 

そんなこんなでどこまでも賑やかに楽しく、しかし、がっしりとした関係性の太い軸を持って緻密に繊細に原作からの多数の翻案を交え描かれてきたアニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』、見事にその良さを結晶化させたような最終回12話だったと思う。

 

なお、12話の中だけでも

・1話との対比として、意図して構図を重ねて描かれている場面の数々

・ライブ場面の細かい演出の数々

等他にもいろいろな見所があるのでそこらへんについてはこちらから。

 

4:『明日ちゃんのセーラー服』第7話「聴かせてください」

監督:黒木美幸
アニメーション制作:CloverWorks
脚本:山崎莉乃
絵コンテ:Moaang
演出:Moaang
作画監督:川上大志
放送日:2月20日

この作品は1話から12話までどの話数でもこうした10選に含めるに相応しいだろう画、構図、物語、キャラクターの魅力に満ち満ちているだいぶ特異なアニメなのだけれど。

中でも7話は画と構図についてもトップクラスでありつつ、特に抜きん出た「音」の演出、そしてこの挿話で(蛇森生静と共に)クローズアップされる戸鹿野舞衣というキャラクターの発する圧倒的な引力のために特別な話数になっていると思える。

 

中でも圧巻だったのはこの場面。

このアニメの中でも、ベストといえる描写だったと思う。

 

※7話及び他の話数についての詳しい感想等はこちら↓


5:『Extreme Hearts』第12話「SUNRISE」

監督:西村純二
アニメーション制作:Seven Arcs
脚本:都築真紀
絵コンテ:岩畑剛一、西村純二
演出:細田雅弘、深瀬重
作画監督:橋本貴吉、関根千奈未、鞠野黄英、ジョンヒジン、平田賢一

総作画監督:新垣一成、奥田泰弘
放送日:9月25日

12話で最も素晴らしいのはまずなんといっても、それまで挫けず揺るがぬ意思を示し続けてきた主人公・葉山陽和が、シンデレラ・ストーリーを成就させての喜びと誇らしさでいっぱいのはずの晴れ舞台で唐突に泣き崩れ立ちすくんで。

そして周囲を見回し、立ち直り、感謝の言葉を大きく叫んでまた歌い踊り出す場面。

12話前半では陽和率いるRISEの他メンバーは、彼女の泣いた所も怒った所も見た事がない、見せてくれていない……それは多くを背負わせすぎてる為だ、もっと支えられたら、支えていかないと、そうできる私たちにならないと……と話す場面があって。

更にステージ前MCで陽和は優勝し今ここにいる事を夢のようだと、メンバーの支えと観る人達の応援に感謝したいと口にしていて。

その上で、かつてない大きな舞台で歌い踊り会場全ての喝采を仲間たちと受けた時、はじめてその巨大な「実感」が襲ったことを描いた場面なのだと思う。

これまでに重ね続けてきた努力、耐えに耐えてきた諸々、出会った多くの人から受け取った思いと支え、抱き続けてきた夢、現実になった想像……多くの思いが複雑に混じり合い単純な言葉で表現などできないしすべきでもない在りかたを、こうして示す。

 

その時、RISEのメンバーはまさに今、陽和を支える時だと自然に悟り、泣き続け立ちすくむ陽和が戻るまで場を守るし、観客も温かく待つ。

これまでに得てきたもの、これから引き受けて更に歩んでいくものが鮮やかに示され、更に大きな舞台がRISEを待つ。

ここまで物語もキャラクターも見事に描き続けられ、描写が積み上げられてきたからこその美しいクライマックスだった。

 

※単なる理屈や言葉では片付かない「実感」を描いた事例といえば、TVアニメでは例えば『宇宙よりも遠い場所』12話(全13話)の報瀬の号泣場面が挙げられるかと思う。

目にしたのは、その時からずっと歩み続けてきた自分の道程と。
そして、それを見ることが、(どんなにか見てやりたかっただろうに)見てやることができなかった人の姿だったのかと思う。
喪失の実感……と言葉にすればそういうことなのかとは思うけど、簡単に言葉で片付け得るものでも片付けるべきものでもないから、こうした表現となり、それが完璧なまでに相応しかった。

作品の終盤においてこうした「実感」を描き切ることができる作品はそれだけで傑作の資格を得ているとすら言って良いのかもしれない。


そして『Extreme Hearts』12話においてもう一つ感嘆させられたのが、最後に立ちはだかったライバルMay-Bee(メイビー)がライブ場面で体現してみせたもの。

"負けてなお格上"という、貫禄と敗北でも決して折れず……勝って得るべきものを得ることはできずとも負けたことで何も失いなどしないし、負けたままでいるわけもないと、その魅力と意思と在り方を映像と歌で示し切った姿。

挫けることなきレイジングハート、そのセットアップ。"Stand Up and Fight"の魂。

上記の動画部分からでも明らかなように、曲名「HELLO HERO」の「HERO」とは他の誰かでなく「わたしの胸の中に 宿る勇気」(であると共に「誰しも胸の中に 宿るヒカリ」)。

フルバージョン(各種サブスクで配信。歌詞はこちら)では明快に

「わたしを救えるのは わたしなんだって

 明日にSay HELLO

 いつでも 胸を張っていたい」

とも歌い上げる。

その自力救済の志向は(「HELLO HERO」の作詞は別の人だけど)いかにも(『Extreme Hearts』の原案及び脚本を手掛けた)都筑真紀らしいとも思える。

都筑真紀さんは今は昔、エロゲー方面で『ONE』(1998)『KANON』(1999)『AIR』(2000)が大きな話題を呼んだりもする中でも……ヒロイン陣が主人公に"選ばれない"なら"選ばれない"で少なくないケースで自分のことは自分でなんとかして道を切り拓くし、各々のルートでも主人公は手助けでやっぱり基本は本人が自身と向き合うという『とらいあんぐるハート』(1発売=1998、2/1999、3/2000)のシナリオ・原画を務め。

その後『とらいあんぐるハート3』のスピンオフから人気アニメシリーズに発展した『魔法少女リリカルなのは』でも幼女(高町なのは9歳)や幼女(フェイト・テスタロッサ9歳)や幼女(八神はやて9歳)や幼女(高町ヴィヴィオ、転生後年齢推定4~5歳)が過酷な運命に時に挫けそうになり、差し伸べられる温かな手に支えられつつも、肝心要なところは自ら立ち上がり戦い自分は自分自身で救う姿が描かれ続けてきてもいた。

それで、そのあまりに幼女(または少女)に過酷な運命をぶつけていく在り方とそれへの幼女(または少女)たちの向き合い方についてはだいぶ昔にちょっとアレな形で触れたりもしたのだけれど。

そういった諸々を鑑みると。

「ああ、都筑真紀さんも己の魂はまず己自身で救う自力救済の輝きを鬼畜外道な幼女/少女虐待を交えずともこうしてここまで綺麗に力強く魅力的に描けるようになったんだなあ、素晴らしいなあ」

と思わずにはいられず、その意味でも大変感慨深い話数でもあった。

 

6:『虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』2期第6話「 "大好き"の選択を」

監督:河村智之
アニメーション制作:サンライズ
脚本:田中仁
絵コンテ:ほりうちゆうや
演出:横手楓太
作画監督石井久美、市原圭子、粕川みゆき、亀田朋幸、後藤望、永山恵、林央剛、三沢聖矢、吉田雄一

ダンスパート絵コンテ:神谷宣幸、中山直哉

ダンスパート演出:戸澤俊太郎

ダンスパート作画監督:久松沙紀

総作画監督:横田拓己、冨岡寛、山本亮

放送日:5月7日

 

アニメ虹ヶ咲、特に二期のストーリーテリングは良くも悪くも

"過去がこう、今がこう、同好会の面々と関わっての足跡がこうであるからには、この人物がこの人物である以上そりゃあそうしますよね"

という徹底した詰ませ方、詰め寄り方が特徴と思う。
新しく加わったランジュ、栞子、ミアについては勿論、1期から続投の同好会の面々についても。


それは流れとして美しくもあれば作中人物としても、それを観る視聴者にしても納得の度合いが高いものになる一方、時にはやや"自分の意思で決断する"という趣きを損なっている印象もなくはない。
でも、例えばこの6話の優木せつ菜/中川 菜々(それに7話の三船栞子)くらい見事に決めてこられると感嘆が遥かに上回る。

それに至るお膳立ても含めて、実に見事な「選択」だと思わされる。

 

まずは以下の投稿からの連投で解説している話数をまたいだ、エールの繋がりと連なり。

 

そして、下した「選択」の上での、それを宣言する様が。

1期2期通じた作中のキャラクターが作中世界において他のキャラクターたちに見せる演出としても、作品が視聴者に見せる演出としても屈指、あるいはベストのものだったかと思う。

このくだりの画、構図、流れ、楠木ともりさんの演技等々すべてに渡る良さがこの虹ヶ咲2期6話を選出した大きな理由になっている。

 

それと「選択」の上での演出といえば、勿論ライブ場面についても。

虹ヶ咲2期6話、A・ZU・NA「Infinity!Our wings!!」の衣装はつまり、三人ともがそれぞれ異なる"美女でもあり野獣でもある"ということ。かわいく綺麗に、力強く自由に。無限の可能性!欲しいものは全部手に入れる!という宣言だろうと思える。

そして以下の投稿から例によって連投で解説している話として。

1期2期を通じ虹ヶ咲の特徴としてメンバーの在り方、同じ問いに対する答え・姿勢が全く異なっていて、それで良いとされることがあると思う。

例えば「「わがまま」でいいか」に対するものも面白い。

ざっくり、QU4RTZは自分がわがままになるのは嫌だったりなり切れない四人でA・ZU・NAはわがままな自分も認めていく三人な印象。

「本当に、いいんですか。私の本当のわがままを、大好きを貫いてもいいんですか?」(1期3話)
のせつ菜をはじめ「Infinity!Our wings!!」は歌詞といい映像といい、わがまま放題に全ての可能性を……こんなかわいい美女の顔しつつ、全部喰らう、血ぃ吸うたろか、という野獣宣言なわけで。

QU4RTZは2期3話でかすみについて「本当はすごくみんなのことを考えてくれるよね」彼方について「マイペースに見えて、本当はすごくお世話好きじゃないですか!」と語られて、エマの芯の強さは誰かをぽかぽかにするために発揮され、璃奈が周りを引っ張るのもよく状況を見てのものだったりするし。

例えば1期7話でも彼方が選ぶ道はわがままではない、とされていたりする。
「皆との同好会は、彼方ちゃんにとっても、大事な、失いたくない場所なんだよ。でも、遥ちゃんの幸せも守りたいの。そんなの、わがままだよね」
「そうかしら。それってわがままじゃなくて、自分に正直っていうんじゃない」 

そういう風に同じ問いに違う答えを出していいし、それがいい、という在り方であり、魅力なのだと思える。

 

※6話及び他話数のより詳しい感想はこちら。↓

 

7:『Do It Yourself!! -どぅー・いっと・ゆあせるふ-』5話「DIYって、どこかに・いばしょが・ようやく」

監督:米田和弘
アニメーション制作:PINE JAM
脚本:筆安一幸
絵コンテ:伊礼えり
演出:伊礼えり
作画監督:新井博慧
放送日:11月3日

 

DIY関連のお仕事をされているというのはだいぶ前にご本人のtwitterで情報が出ていたので、以前から楽しみにしていた絵コンテ・演出=伊礼えりさんの回。

色々長くなるので細かな良さの紹介は幾つか挙げるに留めるけど、何よりまず「TVアニメ観るのって楽しくていいなあ」と改めて強く思わせてくれる傑作回だった。

少しだけ例示。

 

※5話及び他話数のより詳しい感想はこちら。↓

 

8:『メイドインアビス 烈日の黄金郷』第12話  「黄金」

監督:小島正幸
アニメーション制作:キネマシトラス
脚本:倉田英之
絵コンテ:小島正幸
演出:小島正幸、垪和等
作画監督:伊藤晋之、大森理恵、川崎怜奈、小里明花、滝口浩喜、竹本未希、田中宏紀、谷紫織、寺尾憲治、福島勇三、橋妙子、山崎絵美
放送日:9月28日

「ファプタは…母のすべてを継いだ…と思っていた
だがヴエロエルコ お前がいた という記憶だけは
ファプタのどこにもなかった
ヴエコ
母は…たとえファプタであっても
お前だけは
お前だけは渡したくなかったのだ」

煎じ詰めればこの台詞、この場面を観たかった。

勿論言うまでもなく、そこまでが見事に描かれ抜いているからこそ輝いてもいた。

ファプタの久野美咲さんは勿論だけど、ヴエロエルコの寺崎裕香さんの演技がとにかく本当に素晴らしかった。

ありがとう、『メイドインアビス 烈日の黄金郷』。

 

またこのアニメが主役たちは勿論、描かれる世界や生き物たち、諸々の脇役たちも緻密に力強く描いていたことは、例えば成れ果てた後は一つ目の姿で描かれるパッコヤンさんを巡る描写からでも伺える。

パッコヤンさんについては他の人のだけれど、こちらのブログ記事をぜひどうぞ。

 

9:『86-エイティシックス-』22話「シン」

監督:石井俊匡
アニメーション制作:A-1 Pictures
脚本:大野敏哉
絵コンテ:石井俊匡

演出:石井俊匡
作画監督:成川多加志、真壁誠、伊藤美奈、波部崇、小川莉奈、稲田正輝、樋口香里、安田京弘
総作画監督川上哲也、杉生祐一
放送日:3月12日

概ね非常に陰鬱な空気の中、同じような展開が繰り返されもするライトノベルの原作1巻を1クールかけてじっくり描いていったアニメ1期は個人的にも全面的に好感が持てたとはいえず、twitterでのやはり個人的な観測範囲内での評判もそれほど芳しくはなかった。

しかし、そうした密度の高い描写は2期まで終えてみれば相応の、あるいは相応以上の意味と意義があるものだった……そう証明するような"花火"を通じて密接に繋がり合う『86』7話&22話の描かれだったと思える。

 

アニメにおいて、花火は非常にしばしば象徴的な形で用いられる。

その中でも、『86 エイティシックス』7話「忘れないでいてくれますか?」&22話「シン」の一組の挿話ほど花火を多義的なイメージの象徴として描いている例はなかなかにないかとも思う(まず、22話で爆散したモルフォの色鮮やかな火花は7話での革命祭の花火のリフレインだ)。

22話は7話の画、場面、台詞、仕草等をしばしば反復しつつ(後述するようにここぞというところで数回、7話のカットが引用されもする)、シンとレーナ、二人の主人公のキャラクターと足跡の核心を見事に描き出している。そのイメージの鍵に花火がある。

何よりまずこの7話&22話の圧倒的な素晴らしさを味わえたから、このアニメ版『86』を観ることができて良かったと思う。

上記についての諸々、詳細は以下のリンク先で↓。

 

10:『プリンセスコネクト!Re:Dive Season 2』4話「駆け出しの名探偵
〜ミロワールに想いを寄せて〜」

監督: 金崎貴臣
アニメーション制作:CygamesPictures
脚本:金崎貴臣
絵コンテ:坂詰嵩仁
演出:坂詰嵩仁
作画監督:福元陽介、普津澤時ヱ門、坂詰嵩仁
放送日:2月1日

「今、TVアニメの一つの話数にこんな人たちをこれだけ集めてしまってもいいんだ。そんなことがあるんだ」

という素直な驚きを覚えた、いわゆるSAKUGA回。

ところで一説?によるとこの面子の幾らかは『ゲーマーズ!』OP(の終盤)と重なっていて、

プリコネ2期4話アクション場面最大の華も後半のゴーレム戦であったことからも"あの感じを更に進化させた形でもう一度!"という趣もあったのかもしれないし、別になかったのかもしれない。

なお、ガンガン激しく動きながらもどんな動きか観る側が結構しっかり追える、追いやすい見せ方になっていたり、話も面白いしキャルさんは最高にかわいいしで、作画の魅力以外にも質が高い素敵な挿話でもあった。

なお、アクション描写がしっかり追える感じのものである一方、日常パートで再視聴重ねる前提の詰め込みなり上乗せなりも時折していて、そこもちょっと面白かった。

 

■2022TVアニメOP/ED10選


■2022年TVアニメ10選に入れ切れなかった好きな話数・作品

1:『機動戦士ガンダム 水星の魔女』

2:『王様ランキング』21話&『チェンソーマン』8話

3:『ヤマノススメ Next Summit』7話(、5話)

4:『モブサイコⅢ100』8話(、6話、12話)

5:『BLEACH 千年血戦篇』6話

6:『かぐや様は告らせたい』3期5話、3期12話

7:『ヒーラー・ガール』3話

8:『サマータイムレンダ』15話

9:『パリピ孔明』6話

10:『よふかしのうた』11話-13話

11~:『スローループ』『ラブライブ!スーパースター!!』2期『Engage Kiss』『錆喰いビスコ』『ヴァニタスの手記』2期『であいもん』『ダンス・ダンス・ダンスール』『その着せ替え人形は恋をする』『異世界おじさん』『怪人開発部の黒井津さん』『アークナイツ [黎明前奏]』『転生したら剣でした』『阿波連さんははかれない』『ベルセルク 黄金時代篇 MEMORIAL EDITION』他

 

ここで挙げた作品についても色々書いたけど、こちらでは軽量化のため割愛として、詳しくはこちらの元記事で……

 

 

 

今年の劇場アニメ&web配信限定で面白かったアニメ&OVA

※下記、赤字で記した作品についてはリンク先記事に感想も。

 

○劇場(アニメ)
THE FIRST SLAM DUNK
すずめの戸締まり
GレコⅣ
犬王
ぼくらのよあけ

かぐや様は告らせたい ファーストキッスは終わらない

マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!!
GレコⅤ
からかい上手の高木さん
鹿の王
ククルス・ドアンの島
私に天使が舞い降りた!

かがみの孤城
グッバイ、ドン・グリーズ!
ゆるキャン△
君を愛したひとりの僕へ
僕が愛したすべての君へ
オッドタクシー イン・ザ・ウッズ

 

○配信(アニメ)
漁港の肉子ちゃん
地球外少年少女
ARIA The CREPUSCOLO
ストライクウィッチーズ 劇場版
GレコⅠ
GレコⅡ
GレコⅢ
コードギアス 反逆のルルーシュI 興道
コードギアス 反逆のルルーシュII 叛道
コードギアス 反逆のルルーシュIII 皇道
コードギアス 復活のルルーシュ
雨を告げる漂流団地
バブル
海辺のエトランゼ
思い、思われ、ふり、ふられ

 

OVA/ネット配信/ドラマ等
サイバーパンク: エッジランナーズ
ウェンズデー
戦闘妖精雪風
スプリガン
ヴァンパイア・イン・ザ・ガーデン
スーパー・クルックス
Tekken: Bloodline
TIGER & BUNNY: TIGER & BUNNY 2:
BASTARD!! ー暗黒の破壊神ー
戦闘妖精少女 たすけて!メイヴちゃん

 

以上です。

あけましておめでとうございます。

本年も宜しくお願いします。