野木亜紀子脚本『アンナチュラル』『MIU404』『犬王』『カラオケ行こ!』他感想
映画『ラストマイル』公開を機に、振り返りを兼ねてまとめてみた。
振り返ると『アンナチュラル』『MIU404』、そして『ラストマイル』という流れにおいて「犯人の動機や事情」の扱いの変遷がひとつ、面白いなと思う。
あえて一線を引き踏み込まない『アンナチュラル』。
一方で『MIU404』はそこに踏み込んでいくものの最大最悪の犯人、『ジョーカー』のごとく何が本当で何が嘘か判別付き難い相手に対しては色々と示唆はしつつ、あえて「これ以上わからない」そして「わかる必要もない」で済ませても良いようにも思えるところも味かと思えた(犯人などよりも、犯人が愚かで利用される存在と見下した人々の物語、彼らによって犯人が追い詰められるあり方にこそ重点がある)。
その上で『ラストマイル』では犯人の動機や事情を極めて重要で大事なものとして扱い、その思いを無にはしないとしつつ、その行動を決して肯定もしなかった。
そのバランス感覚。