2006-02-01から1ヶ月間の記事一覧

スピルバーグ『ミュンヘン』〜《ギリギリの生存を賭けた者同士の間での《妥協点》を見出すための戦い》の苦しさを、末端から描く。

この映画は、『シンドラーのリスト』や『プライベート・ライアン』とは比べ物にならないくらい出来のいい、スピルバーグの傑作だと思う。 《正義》という虚構を綺麗に保っていられない状況で、その《前線》に放り込まれる人間の苦悩を、一方の側に傾いた強烈…

小川一水『ハイウイング・ストロール』〜いいゲームの企画になりそう。

『群青神殿』がアニメの原作の優れた素材なら、こちらはゲームの企画のいいベースになりそうだ。機種・武装・パートナー・ステージ・ミッションの選択、装備の開発、トレーディング、ボスキャラ、対戦機能、連携機能と、必要もしくは望ましい要素が素晴らし…

映画『ミュンヘン』、小川一水『ハイウイング・ストロール』

小川一水『ハイウイング・ストロール』読了。 品川プリンスシネマで、スピルバーグ監督『ミュンヘン』を観る。

チャンピオンズリーグ『バルセロナVSチェルシー』〜メッシ、スゲェや……。

2-1でバルセロナの逆転勝利。 ……あのボロボロのピッチでなんであんなプレーが出来るのかと唖然。特に、ロナウジーニョが凄いのは世界の常識として、あのメッシってガキ、化け物か。あの面子の中で好き放題やれるってどういうことだ。ボール取られないなぁ……1…

オルダス・ハックスリー『すばらしい新世界』(松村達夫・訳)〜この人の作品を読む時には、マゾヒスティックな快感がある。

最近、小川一水の基本的に前向きな箱庭シミュレーションものを随分読んできたので、少しバランスを、ということで有名なディストピアものの代表作に手を出してみた。 北村薫「朧夜の底」で、《私》が、 「私、イギリスっていわれて、すぐ浮かぶ小説家はオル…

小川一水『群青神殿』〜アニメの原作にぴったり

珍しく、箱庭シミュレーションものではない作品。 読んでの印象は、「アニメの原作にぴったり」。 あとがきの末尾にもアニメの話がちょっと出てくるが(女性主人公ががんばるシーンでは、『魔法使いtai』というアニメの「背伸びをしてFollow You」という曲を…

ハックスリー『すばらしい新世界』、小川一水『群青神殿』

小川一水『群青神殿』、オルダス・ハックスリー『すばらしい新世界』読了。 TVの録画放映、チャンピオンズリーグ『バルセロナVSチェルシー』を観る。

山田風太郎『戦中派動乱日記』〜日付を追っての点描(2)

2/7の第一回に続く感想。 昭和二十四年(1959年)2月28日。乱歩の「名作四編」と題したミステリ時評を引き写している。 坂口安吾『不連続殺人事件』、高木彬光『刺青殺人事件』、山田風太郎『眼中の悪魔』、大坪砂男『天狗』を扱った評。これ以前もこれ以降…

風太郎『戦中派動乱日記』の点描その(2)、ほか

DVD『アパッチ砦』『タワーリング・インフェルノ』を観る。 感想は明日以降で。 坂木司『切れない糸』読了。 ……自分の北村薫の読み方や、それに付随する問題と絡んで、大倉崇裕『三人目の幽霊』やこの作品には、今はどうしても素直に向き合うことが出来ていな…

小川一水『強救戦艦メデューシン』〜シミュレーションとして設定が良くない。

はっきりいえば、この人の作品の中では非常に出来が悪い作品だと思う。まず、大前提として、この人の基本的な志向は箱庭シミュレーションであり、その目指すところは「条件を単純化し、ある程度理想化した上で、《それでも発生する問題》を検討することで、…

小川一水『強救戦艦メデューシン』ほか。

半年前の北村薫×戸川安宣『ニッポン硬貨の謎』発売記念トークセッションに関する文章をようやく纏め上げ、送るべきところに送る。 それこそ清水の滝から飛び降りるような気分だが、いつまでも自分だけでこそこそ書いていても仕方が無いと思った。何にせよ、…

おーなり由子『ともだちパズル』、小川一水『ファイナルシーカー』

小川一水『ファイナルシーカー』、『強救戦艦メデューシン(上)』読了。 『おーなり由子作品集(2) ともだちパズル』 おーなり由子『おーなり由子作品集(2) ともだちパズル』を読む。 感想は、とても言葉にし難い。その前の『あこがれくじら』に並ぶ出…

小川一水『疾走! 千マイル急行』

●小川一水『疾走! 千マイル急行』(上・下)読了。 二分冊が必然である構成だと思う。一冊目で物語の下地が整い、二冊目の冒頭から、作者が真に語りたかったのだろう物語が始まる。 詳しい感想は更に他の小川作品も読み進めた後で、再度まとめる機会があるか…

トリノ五輪「フィギュアスケート女子SP」

元々スポーツ全般について詳しくもない上に、この競技についてもせいぜい五輪の度に何度か見た程度(よーするに、「キャンデローロみたいなオモロイ人、また出て来ないかなぁ」「カタリーナ・ビット、美しかったなー」「今回のプルシェンコもよかったけど、…

東野圭吾『予知夢』〜一連の物語のテーマについて。それと、オチはその《型》か。なるほど。

『容疑者Xの献身』を読んだからには、という第二弾。 基本的にネタバレ感想なので、大部分、白背景に白文字で。まず、第一章「夢想る(ゆめみる)」、第二章「霊視る(みえる)」について。 このどうしようもないくらいの後味の悪さは、無論、テーマに沿って…

東野圭吾『予知夢』、トリノ五輪フィギュア女子SP

東野圭吾『予知夢』読了。 フィギュアスケート女子SP(ショートプログラム)のTV中継を観る

東野圭吾『探偵ガリレオ』〜第一章「燃える」がいい。ただ、冒頭の記述について一箇所、少しばかり文句が……

せっかく『容疑者Xへの献身』を読んだのだから、ということで続編『予知夢』と共に購入した一冊。 五篇からなる連作短篇だが、出来栄えが頭一つ抜けているのが、第一章「燃える」だと思う。 ただ、《ミステリ》的な興味としてはそれほど惹かれるものはないの…

東野圭吾『探偵ガリレオ』ほか。

東野圭吾『探偵ガリレオ』、紺野キタ『夜の童話』『Cotton』読了。 なお、紺野キタの二冊は、同人誌として発表した短篇をそのままの形で収録したものとのこと。 あえて作品として話を「加工しない」ことが強く意識されているという印象。それらについて、個…

『PROMISE』〜いけいけ、ぼくらのコスプレ公爵!!

真田広之?チャン・ドンゴン?セシリア・チョン? ……ああ、まあ、確かにそんな人も出てたみたいだ、うん。 でも、そんなことはどうでもいいじゃないか!!さあ、ただただ、ニコラス・ツェー様を讃えよう! あぁ、もう、どうしようもなく最高、あの 怪人二十面…

映画『PROMISE』ほか

小川一水『こちら郵政省特別配達課!』読了。 品川プリンスシネマのレイトショーで映画『PROMISE』を観る。

トリノ五輪スピードスケート1000m決勝〜シャニー・デービスの革新的な勝利

余りにわかりやすい《歴史が変わる瞬間》。現実というのは想像以上に夢に溢れたドラマチックな一面も持っているという一つの証明。スピードスケート1000m決勝、スケート競技史上初の、黒人の金メダリスト(金に限らず初のメダリスト)、シャニー・デービスの…

鈴本演芸場二月中席夜の部〜さん喬『百川』の噺を「わかりやすくする」工夫の数々。ギャップをおかしみに変える小三治の『百川』と比較して。

目当てはさん喬師匠。 主任のさん喬師匠(以下、他の噺家も含めて敬称略)目当てで、鈴本へ行く。1/3程度の入り。 基本的に、日曜は平日に比べればずっとマシだが、土曜に比べると入りは少ない(明日は仕事だとなると、土曜に比べて笑いにくいからか)。また…

鈴本演芸場二月中席夜の部(柳家さん喬主任)ほか

小川一水『イカロスの誕生日』読了。 鈴本演芸場二月中席夜の部を聴く。 トリノ五輪スピードスケート1000m決勝をTVで観る。

谷地恵美子『すぐりの季節』〜作品に込める思いの、漫画ならではの手法による昇華の洗練------とその行き詰まり?

数冊まとめて読んだ初期の作品及び、代表作とされる『オモチャたちの午後』と比べ、実に対照的な作品。 はっきりいってしまえば、1990年代前半に書かれた初期の作品には、溢れるような思いと、表現ということに対する誠実さが満ちている一方で、それをあるい…

小川一水『導きの星』『復活の地』〜まずはアシモフファンとして、尽きぬ賛辞を。

両方とも、凄まじい作品。 まとめるのにはなかなか時間がかかりそうで、かつ、まだ手元に未読の小川作品があるのでまとまった感想は随分先になりそう。まずはとりあえず、中学高校という時期に、アシモフ(ちなみに、正確な発音に近づけて「アジモフ」だ、な…

小川一水『導きの星』、谷地恵美子『すぐりの季節』ほか

還暦を迎えた父の誕生日ということで、一家で某中華料理屋で夕食。 昨年生まれた孫(私にとっては甥)になつかれて実に嬉しそう。「還暦迎えての祝いに孫がいなかったら格好つかなかったなあ」とのご発言。……悪かったな、もう一人の息子のほうには、およそ孫…

『リオ・ブラボー』〜余りにも傑作であり過ぎて、何も特別に書くことが無い

……余りにも傑作であり過ぎて、感想もどうしようもなくありがちなものになってしまう。 物語の幕開けを告げる冒頭の唐突な殺人、後に明らかになる、その前のジョン・ウェインの行動の意味、納屋から突き出る馬の顔、酒場での犯人探しと発見、鉢植え投げからの…

Theater1010『ベルナルダ・アルバの家』〜凝縮された一場面への長い助走

劇本来の要求とは異なり、この劇を制したのは一家の中心たる《母》=ベルナルダでも、その娘達でもなく------ 物語が長い助走を経て、一つの場面に見事に収束、昇華される、個人的に偏愛するタイプの整い方をした優れた劇だった。 ただ、この舞台は当初予定…

SF作家小川一水〜要するに、古き良きSFの《センス・オブ・ワンダー》の再来だ!

小川一水作品へのまとまった感想は、以前に読んだ『第六大陸』に加え、最近読了した『老ヴォールの惑星』及び、これから読む『導きの星』『復活の地』『こちら、郵政省特別配達課!』『イカロスの誕生日』あたりを一通り読み終えてから書くことに決める。ある…

Theatre1010『ベルナルダ・アルバの家』、DVD『リオ・ブラボー』ほか

Theatre1010公演『ベルナルダ・アルバの家』観劇。優れた作品。 DVD『リオ・ブラボー』を観る。大傑作。 小川一水『復活の地』二巻まで読了。