トリノ五輪の「オトナ」な演出と、ここ数年の塩野七生の崩壊振りのあまりの対比


大脱線になるが、この開会式を見ていると、ごく自然に、中学高校大学と夢中になって読んだ大作家の、ここ数年のあまりにひどい崩れ方を連想せずにはいられなかった。

「「イタリア人よ立ち上がれ!」といわれて立ち上がったはいいが、「立ち上がり方がおかしい!」と怒鳴られるとすぐに正気に戻って見放した」と冷静に書いて見せた当の本人が、いまや同じように舞い上がって晒さなくてもいい恥をさらしているというのは、一体どういうわけでしょうか?塩野七生先生……。
「『ローマ人の物語』だって、カエサル登場あたりを境に、明らかに変になっています。『海の都の物語』の頃のあの醒めたバランス感覚は一体どこへ消えてしまったんですか?デビュー時から大きな支えになっていた編集者の方が亡くなったのは、そんなにも痛手だったんですか?そこをアホな取り巻きに付け込まれてヨイショ漬けにでもされたんですか?何もそんなところまで司馬遼太郎をなぞらなくたって、いいんじゃないですか!?
大丈夫です、晩年の小林秀雄ほどえぐい老け込み方はしていません。栗本薫ではあるまいし、今の状況だって、《かつては確かに大天才だった作家に起こった、もはや「過去の栄光よ再び」どころか、その進行を誰であろうと留めることすら出来ない、不可逆的にその精神・技術両面を蝕み尽くす腐敗》(自分で書いてみてもひどすぎる言葉かとは思うが、二十巻台くらいまでの『グイン・サーガ』に惚れこんだことのある人なら、おそらくわかってもらえる思いなのでは……)というわけではない筈です。まだ間に合います。お願いですから、早く正気に戻ってください……。」



……以降、「《芸術》の面から観たトリノ開会式」などは後から付け足すか、明日以降の日記で。