「話数単位で選ぶ、2021年TVアニメ10選」への参加記事です。
過去、2014年、2017年、2020年と三回参加させて頂いています。
「話数単位で選ぶ、2021年TVアニメ10選」ルール
・2021年1月1日~12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。
・1作品につき上限1話。
・順位は付けない。
規定に従い以下、順不同です。
1:『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…X』第8話「お見合いしてしまった…」
2:『SSSS.DYNAZENON』第10話「思い残した記憶って、なに?」
3:『かげきしょうじょ!!』第5話「選ばれし乙女」
4:『オッドタクシー』第4話「田中革命」
5:『ウマ娘 プリティーダービー Season 2』第13話「夢をかける」
6:『ラブライブ!スーパースター!!』第3話「クーカー」
7:『古見さんはコミュ症です。』1話「コミュ01「喋りたいんです。」」
8:『ゾンビランドサガ リベンジ』第7話「マイマイレボリューション SAGA」
9:『小林さんちのメイドラゴンS』第9話「いろいろワケがありまして(エルマざんまいです)」
10:『無職転生』第22話「現実(ユメ)」
1:『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…X』第8話「お見合いしてしまった…」
監督:井上圭介
アニメーション制作:SILVER LINK.
脚本:笹野恵
絵コンテ:戸澤俊太郎
演出:戸澤俊太郎
作画監督:服部憲知、松田萌、上田彩朔、木村拓馬、小幡公春、井本由紀、高橋美香、徳田夢之介
放送日:8月21日
去年も触れたように制作会社SILVER LINK.は毎週気軽に楽しめるエンタメ作品を提供し続けてきてくれていて、昨年に続いての二期となったこの作品もお気楽極楽な軽みを魅力としているのだけれど。
絵コンテ・演出=戸澤俊太郎さんの8話だけは趣が違い、大胆な構図、これでもかと散りばめられた暗喩、際立って美しい背景美術が目を引く、まるで別作品のようにシリアスな恋愛もの、込み入った心理扱う類の作品を思わせる画面、演出に。
話数単位で面白いTVアニメを選ぶというなら、正に相応しい回。
はめふら2期8話。例えば花たちと(紋白)蝶のモチーフ(紋が白い/無地、家門に囚われず、とイメージでもあるのかな)、花にたどり着いた時、ニコルもフレイも恋愛対象を見つけたというより、進むべき/あるべき自分の道を見出すというニュアンスだったのも面白い。
— 相楽 (@sagara1) 2021年8月21日
はめふら2期8話、花に辿り着き止まる蝶。
— 相楽 (@sagara1) 2021年8月21日
・フレイ「(カタリナの魔法省入りが)もしそれが実現すれば、私にとっても大きな希望となります」
・ニコルとフレイの別れ際。
・フレイ「いつの日か、魔法省でカタリナ様と。一緒に働けたらいいね」
・Bパートラスト、ニコル自室の艶やかに花開いた月見草に pic.twitter.com/3tK3kANwyQ
たとえばルナール『博物誌』でhttps://t.co/zY7G0xFpbz
— 相楽 (@sagara1) 2021年8月21日
「二つ折りの恋文が、花の番地を捜している」とされたりモチーフをあえて恋愛から外した(ニコルも恋は既に明らかだったところで、それに正直な生き方を見出した)アイデンティティに結びつけた話にしてたのが。
もっとも普通に恋愛絡みで
— 相楽 (@sagara1) 2021年8月21日
「彼女の婚約者は彼女のことを愛している」
→蝶が飛んできて花に止まる
「じゃあ彼女はどうなんですか?」
→まだ止まっている
「今はまだ…そうではないようだが」
→蝶が花を離れていく
という場面も面白かったけど。 pic.twitter.com/dUBFsCdc5O
自分と相手の心とコミュニケーションを隔てる壁。
— 相楽 (@sagara1) 2021年8月21日
壁、椅子、それに花の壁というのが面白い。他のお見合い相手とフレイとで飾る花が赤い薔薇から黄色い花(後の光の十字架と虹の場面でも一面その花が舞うので多分フレイを象徴する。なんの花だろう)に変わる。 pic.twitter.com/cBUX80RQuC
赤い薔薇は周囲から観たニコルのイメージなんだろうか。
— 相楽 (@sagara1) 2021年8月21日
一方、ニコルの自室には夜に咲くという月見草が置かれ、中盤でうなだれた彼とつぼみのままの姿があり、Bパート最後では艶やかに花開き蝶が止まり彼は顔を上げている。花言葉には「無言の愛」などがあるそうな……こちらが知られざるニコルかな。 pic.twitter.com/693m7Vns0x
開かれるべき心を縛る、枷や牢の格子のような窓枠。
— 相楽 (@sagara1) 2021年8月21日
時に十字架のように映るのも一種、定番かと思えたりする。で、それを前フリとしてこの挿話で最も美しい場面が現れる。 pic.twitter.com/4SNbE1ieYu
(お見合いの最初の場面から出ているフレイかあるいは彼女の今の心のあり方を象徴するだろう黄色い花が揺れた後)光の十字架が現れ、頭上には虹の橋が架かり二人を繋ぎ、解放する。あまりにも美しい場面で驚いた。 pic.twitter.com/d6NWGozHZn
— 相楽 (@sagara1) 2021年8月21日
「何より、他の人を思うあなたと、共に生きることになってしまう女性がかわいそうです」の場面、フレイさんの顔に影が差していくのも綺麗。
— 相楽 (@sagara1) 2021年8月21日
なお虹の橋が架かるところ、静止画像でも示すとこう。
紋白蝶のモチーフも現れ、挿話の素晴らしいイメージが結集しているような一場面。
本当に美しかった。 pic.twitter.com/PcaHUlIpxX
もちろんまず本編そのもの、次いで手掛けた人が興味深いけど、割と人気あるシリーズの2期の一挿話で突出したやり方を認め任せるディレクションも面白いなと思ったりした。
絵コンテ演出=戸澤俊太郎さんはどうも制作出身で主に演出手掛けてきた人であるらしく、過去絵コンテ担当は黒沢守さんと共同で炎炎ノ消防隊1期4&15話とのこと。
FODで先行配信された『平家物語』(TV放送は2022年)4話でも演出を手掛けていて、今後も注目の人だと思う。
※リンク先から連投
2:『SSSS.DYNAZENON』第10話「思い残した記憶って、なに?」
監督:雨宮哲
アニメーション制作:TRIGGER
脚本:長谷川圭一
絵コンテ:五十嵐海
演出:佐竹秀幸
作画監督:五十嵐海
放送日:6月4日
一見して冒頭から「あ、この回はすごそう」と分かり、
ダイナゼノン10話、絵コンテ・作画監督=五十嵐海(演出=佐竹秀幸)であからさまにいつもと異なる構図と絵柄、空気でお届けするこれまでのベスト回だった。原画な皆さんはこんな面子とのこと。 pic.twitter.com/nMOqVniTjX
— 相楽 (@sagara1) 2021年6月4日
各話絵コンテを収録した『SSSS.DYNAZENON STORYBOARD BOOK 10』巻頭で、
監督・雨宮哲「第10回のストーリーはプロットから五十嵐海くんにやってもらっています。これこそ僕が何もしていない回と言っても過言ではないです。特殊な回に見えるとは思いますが、ダイナゼノン全体の物語を表すならばこうだよね、という回です」
アニメーションプロデューサー・志太駿介「五十嵐海くんが中心になるのは脚本うちの段階から決まっていて、演出を誰に頼むか考えて第5回に続き佐竹秀幸さんにお願いしました。佐竹さんは五十嵐くんがやりたいことを生かしつつ、演出を入れてくださると思ったので(中略)最終的には50~60カットくらい五十嵐くん自身が原画を描いています。彼と親交の深いアニメーターの方々にも入ってもらって、力の入った話数になりました」
とコメントも寄せられている回。
時間も空間も、世の理もなにもかも呑み込み捻じ曲げられるのかもしれない究極の自由。もっとも「怪獣」らしい「怪獣」との対峙を巡り、蓬、夢芽、ガウマ、暦がそれぞれの起きてしまった過去、あり得たかもしれない過去と向き合い、それでも後に蓬が言う「かけがえのない不自由」を選びとることに繋がる道筋が描かれていて。
黒沢清『回路』オマージュでは?との評判をよく目にした、人間が地面や壁にシミのような影だけを残し、前兆も動きや音もなく唐突にスッと消えてしまう描写(ただし、絵コンテでは例えばカット69について同じく黒沢清監督の『ドレミファ娘の血が騒ぐ』、101について『そして人生は続く』と参照作品の記載があったりするけど、『回路』について言及はない。ただ『回路』を観ると個人的にも似てるなあ、とは思う)をはじめとして、例えばカメラの視点の取り方・構図でも、場面転換のタイミングでも、単純にキャラクターの感情を乗せた表情の画でも……他諸々、"一つでもこういうのあってくれると嬉しいな"と思うような描写が1分に数回以上、1話で数十回あり、驚くばかり。
クライマックスはなんといっても南夢芽と姉の香乃とのやりとり。
ダイナゼノン第10話「思い残した記憶って、なに?」。
— 相楽 (@sagara1) 2021年12月13日
絵コンテのカット200「内要」欄に書いてある、キャラクターの台詞でもなく演出指示でもない、その場面の南香乃についての一言を読むためだけでも、
『SSSS.DYNAZENON STORYBOARD BOOK 10』https://t.co/GcnROs6Ge4
お勧めだったりする。 pic.twitter.com/RI3FsTcIZU
もちろん本編を観るだけで図抜けた面白さを味わえる回なのだけど、先にも触れた監督コメントで「作品に関わる人、絵コンテを読む人がいるって前提のもと、人を楽しませることを考えて描いています」とある絵コンテを併せて読んでいくとより楽しい。
度々蓬に肩入れしたコメントがついていたり、夢芽(いつもひらがなで「ゆめ」と書かれている)の心に寄り添おうとしたり、終盤のバトルで盛り上がる、盛り上げる、盛り上げようとする気持ちが絵に文字から滲み出している(ように見える)。
終盤カット283以降、「音声」の指示入れてく部分の文字がしばしば漫画の描き文字になっていたり、飛び出してくるような勢いのある画(時々枠もはみ出てたりする)を見ていると自然と笑顔になってしまう。
以下、あえて本を参照しないと分からない書き方にはするけど、この挿話でも一番の見せ場、カット258から282は絵コンテでも、あるいは絵コンテには絵コンテならではの良さが溢れていて嬉しい。
文字での場面の解説、意図、指示等では例えばカット148での「内心なんで俺ばかりと思っている」、カット164での叫びは「よもの気持ちだが同時にゆめの気持ちも反映する」、カット182での「お前そんな声出たの?というくらい声出す」といったあたりもぜひ、映像本編と共に読んでいって欲しいなと思う。
なお、放送当時から南姉妹のやりとりと共に、あるいはそれ以上にたまらなく惹かれたのがバイトリーダーこと、稲本さんと山中暦との逃避行だったのだけれど。
ダイナゼノン10話、現実では(7話)散々振り回した末に「これからはうちの人、もっと大事にしないといけないってわかった。本当にありがとう。私さ……」と聴いていられず電話を切るしかなかった言葉をぶん投げてきたかつての憧れの同級生が、選ば/べなかった選択肢の先で破滅的な逃走に誘ったけど、 pic.twitter.com/02dHgBoU95
— 相楽 (@sagara1) 2021年6月5日
そこに先がないなんて知ってたよ、少し先に行き詰まるのでもすぐそうでもどうだっていいよ、それでも良かったんだよ、とこの顔で笑う。全編見事な場面、すごい画ばかりの10話の中でもひと際強烈だった。
— 相楽 (@sagara1) 2021年6月5日
なお、その後、
現役高校生の蓬が、そんな33歳無職が人妻に抱く未練と感傷なりそこから訣別する決意なりにとりつく島もない態度で、醒めた声で引きずるように連れ戻すやり取りの質感もたまらなく良かった。
— 相楽 (@sagara1) 2021年6月5日
あ、すごくごめん。ちゃんと確認してなかった。これhttps://t.co/lOBj5yWY4l
— 相楽 (@sagara1) 2021年6月5日
一番決定的な所の前で動画キャプチャ切れてしまってた。ダメすぎる。
さっきの流れと笑顔を見せた上で、その上でより致命的なのが最後のこれ。ほっとけば人生壊れるね。仕方ないね……。蓬くんの塩対応、正解過ぎるね……。 pic.twitter.com/RgJ0gQkyVc
どうも絵コンテ記載のコメント(例えばカット219、「……別にいいでしょ?本物じゃないよ。多分」とセリフのあるくだりの「稲本はハナから信じてはいない」)や、ボイスドラマ第9.9回「イイ先輩」で
「本当は学生の時、もっと色々やっておけばよかったって!家とか!学校とか!しがらみをぜーんぶ捨てて!バイクとか二ケツして!海とか見たかったんだもん!!どうせ!私は何もできなかったんだもん!」
と後輩バイトの蓬に愚痴り倒すくだりあたりを鑑みるに。
稲本さんはその行為に出た当時から、いつか"あの時はやんちゃしたなー"と後に振り返ることも織り込んだような、何もかも振り捨てる"フリ"、逃走ごっこをしたくて巻き込んだだけっぽく……飛び去る札束にも構わず海岸で浮かべた屈託のない笑顔もどうもそういうことらしい。
つまり、もし逃げ出さずにそうしてその手を取ったとしても、暦のその先に稲本さんとの波乱の未来なんてなかった。有り得なかった。山中暦、かわいそうだ……。
そして、そんな現実を思い知らされながらも、なんとかせめてかっこつけようとした彼への蓬くんの仕打ちが……。
ダイナゼノン10話のこの場面。
— 相楽 (@sagara1) 2021年12月13日
絵コンテ「内要」欄に「かっこいいこと言おうとしてさえぎられる暦」とあるのなんだか死体に鞭打たれているようで切なくて、山中暦、強く生きてくれ、応援してるから……と思わずにはいられない。 pic.twitter.com/wXBnbMStHd
なおダイナゼノンは10話に限らず登場人物たちの青春模様、特に蓬と夢芽を巡る描写がずっと素晴らしくて。
例えば11話でのそっと口にされたこの一言、
ダイナゼノン11話…………。 pic.twitter.com/VR9QazK2qz
— 相楽 (@sagara1) 2021年6月11日
夜道を歩く二人の長回し、
ダイナゼノン11話、昼間に墓の前で寄り添いもたれるリュック、夜の街で寄り添いもたれるようなビルの影、長回しで並んで歩いていく二人……。 pic.twitter.com/eUC0fFj9Jk
— 相楽 (@sagara1) 2021年6月11日
そこに至るまでの遠かった道程……。
ダイナゼノン、5話のここ
— 相楽 (@sagara1) 2021年5月5日
「たしかに……どんぐらいの恋人の設定にしとけばいいのかな」「は?」
とか、
「…チュロス?」「はぁ…めっちゃ砂糖散る」(長々と咀嚼とその音)「……うまい?」「うん」
とか、とにかく良いなー、好きだなー。 pic.twitter.com/xMpyxL46U4
それにその周辺も……たとえば序盤というかおそらく1話時点以前からずっと蓬を好きだったんだろう金石さんの挙動をずっと追って行ったりするのも実に楽しい作品だった。
ダイナゼノン12話。金石さんは押したくないところもそれはもう多分にあっただろう背中を押して。
— 相楽 (@sagara1) 2021年6月18日
そんな姿を、左端からずずいと。
#SSSS_DYNAZENON pic.twitter.com/djiScS9uuj
例えば今回とり上げた10話がそうであるように、ダイナゼノンでは「怪獣」というモチーフと青春模様は深く結びつけて描こうとされていたかと思えるので、こう言ってしまうのはやや申し訳なく思う所もあるのだけど……正直、放送当時も今も、強くこう願わずにはいられなかったりする。↓
ダイナゼノン8話。バスでの座り方と手すりに対応する、心の距離と壁。
— 相楽 (@sagara1) 2021年5月22日
Just Because!5話https://t.co/Shm8mBZ4sl
のそれを思い出したりした。
雨宮哲監督(やグリッドマン関係で組んでる皆さん)いつかJust Because!みたいな延々青少年の日常芝居と心理描いてく作品やって欲しい。#SSSS_DYNAZENON pic.twitter.com/AzNMDtrSCi
3:『かげきしょうじょ!!』第5話「選ばれし乙女」
監督:米田和弘
アニメーション制作:PINE JAM
脚本:森下直
絵コンテ:森田宏幸
演出:安藤貴史
作画監督:塚本歩、茂木海渡、福井麻記、下地彩加、三橋桜子、日高真由美
総作画監督:髙田晃
放送日:8月1日
インタビューでは伝えきれなかったのですが、小野寺先生こと飛田展男さんのお芝居・言葉が、本当に自分の胸に響いてきたので、山田さんが心を開く演技が出来たように思います。
— 佐々木李子@12/25(土)クリスマスライブ!!! (@sasakirico) 2021年8月3日
飛田さんの演技がなければ出来なかったお芝居でした。。ご一緒させて頂けたこと。本当に感謝です🌹#かげきしょうじょ!! https://t.co/uzpXbC12qd
なんといっても声楽講師・小野寺を演じる飛田展男さんが圧巻だった回。
演技ってすごいな、と素直に思わされる。
そこで励まされ称えられる佐々木季子さんによる山田彩子の歌にも展開に相応しい力があり、説得力に満ちた話数だった。
3話、4話同様に森田宏幸絵コンテの苦悩と痛み、絶望を描く画と演出の力強さと共に、まず見上げるべき星を皆に示し、その身に未来の星を宿してみせる渡辺さらさと、それに手をのばし漠然とでも"トップを目指す"と初めて逃げでない願いを得た奈良田愛もそれに対峙し得る強度で伸びやかに提示され。その上で絶望の先で具体的な夢のビジョンとそれに値する天禀を鮮やかに証した山田彩子が描かれた回。
なお、小野寺の説得場面の台詞の内容に目を向けると、心身共に追い込まれた少女にまず話を受けいれ聞き入らせ、諭すと共に根拠をもって力づけ、建前でない本心もむき出しにのせて絶望から救い上げ、そして彼女自身に彼女の力と未来を信じさせていく構成と論理も綺麗に整っていることが分かる。
ごくごく僅かな調整を除いて台詞は原作漫画そのままで、そこの良さは(言うまでもなく傑作の)原作由来。そうした魅力が傑出した演技や歌の力や、映像の力で更に引き立てられているのが嬉しい。
全話を通じて原作からアニメへの翻案にあたり構図、動きの流れ、台詞の改変等々、諸々の工夫が繊細に積み重ねられた作品で原作を参照しつつ見比べていく楽しさも大きい。
5話を観ていくだけでも無数にあるけれど、例えば以下のように。
説得力!!の塊だったhttps://t.co/7bMY3teQLz
— 相楽 (@sagara1) 2021年8月3日
傑作回『かげきしょうじょ!!』5話をまた観てた。
反射して映るもの。原作にはなかったアニメ独自の演出も目を引いた。
まず、紅華を目指すと決めた日々、バレエレッスンの床。辛かったけど、まなじりを決して挑み、やってみせる足取りを映す。
続いて、 pic.twitter.com/E1WXIvssQn
紅華に入って味わう厳しさ。無理にでも痩せるため故意の嘔吐を繰り返す、誤った努力を続ける山田彩子の顔を写す便器の水面。こんな無残な水の反射描写、なかなかにないと思う。
— 相楽 (@sagara1) 2021年8月3日
そして間違いと限界を訴え痛む背中を鏡が映す。それに向き合うことすらできずに逃げて行く。きつい追い込みの描写。 pic.twitter.com/52rDhGdygg
でも、それらもすべて、花開いていく様を引き立てるものになる。
— 相楽 (@sagara1) 2021年8月3日
やはり、すごい話数だったなー、好きだなー、と。
『かげきしょうじょ!!』5話、他に言及しそびれていたこととしては例えば観劇の帰り、さらさが朗々と台詞を口にしだすと、その声は開けた路上ではあり得ないだろう響き方で描かれていた場面。100期生の皆には劇場の客席で聴くように響いたということ。こうした音の演出も映像ならではのものかと思えた。 pic.twitter.com/WHY0b6nhAm
— 相楽 (@sagara1) 2021年8月3日
『かげきしょうじょ!!』2話で多用されているように思え触れた、https://t.co/vOidgVitGT
— 相楽 (@sagara1) 2021年8月6日
こちらの記事https://t.co/PvrRzQi1Co
に言うレンズ効果の中のピントの表現、特に遠近の人物について。
よく使われるものなので特に目立つ場合にだけピックアップすれば良いかと思うのだけど。
『かげきしょうじょ!!』5話でもやや目立つところがあるようにも。
— 相楽 (@sagara1) 2021年8月6日
例えば、そこに居るだけで視線を奪い周囲をかすませるような現役のスター、時代のトップと目される里美星(と城花るり)の存在感。 pic.twitter.com/03UQm48zbU
すこし面白いのが、和やかに集団の一員としている状態(1枚目)から、
— 相楽 (@sagara1) 2021年8月6日
「やっとやりたいことが見つかったから、本気だす。やるからには上を目指す」
とトップを目指す宣言に入ると、視線を集めそれを受け止め、杉本紗和も霞ませる存在感を放つ奈良田愛。 pic.twitter.com/kOYXgKJ9zt
何より好きな歌のレッスンの場でも特に劣る存在としてピントが合わされ、背後には一際目立つ愛とさらさが焦点から外れ並ぶ。彼女たちが浴びるのは称賛であり、山田彩子が浴びるのは非難だとでもいうように。
— 相楽 (@sagara1) 2021年8月6日
倒れる際は遠近等とはまた別のピントの合わさり方(朦朧とした意識の反映)かと思うけど。 pic.twitter.com/gmQtYplaXC
ピン送りで描かれる辛さ。深夜の暗いトイレで鏡に映るやつれた自分の顔を見つめ苦悩の世界に沈む中、痛む背中を押され、驚き振り返ると、目の前に嫌になるほど綺麗な顔がある(山田彩子にピントをあわせ現れた奈良田愛をぼけて映していたカメラが、奈良田愛に焦点を合わせ山田彩子がぼやける) pic.twitter.com/jxbW7Is6CX
— 相楽 (@sagara1) 2021年8月6日
ところで話は逸れるけどそれに続く場面、闇の中に独り取り残される人物が逆転する構図も鮮やかだと思う。
— 相楽 (@sagara1) 2021年8月6日
見ての通り大いに傷つきつつ、これを後に「平気」だと言えるhttps://t.co/xJthBfDRHV
奈良田愛。 pic.twitter.com/IrkO2dpPPD
小野寺の激励を受け復帰し、その本来の歌を聴かせるべく前に出ると(歌う時はもちろん前に進み出る時から)山田彩子の上に画面があるべき焦点を結ぶ。
— 相楽 (@sagara1) 2021年8月6日
ただその流れだと4枚目でこそ山田彩子に強く焦点があてられ他の皆はぼやけていそうなものでは?という話があったりもして、やはりやや強引な見方かも pic.twitter.com/uYeinVamBD
あといわゆる同ポジということで、例えば1枚目「いつも謝ってばかり」の場面と、復帰して「前に出」る2枚目→3枚目の場面をこう並べても良い感じ。 pic.twitter.com/apZthlWJ5H
— 相楽 (@sagara1) 2021年8月6日
その歌の力を知っていた星野薫が(サラブレッドなのに受験に失敗し続けた自分と違った、はっきり優れた)長所があるのになぜそうしないと苛立ち続けた思いにも応えるように前に出ているのだし。
— 相楽 (@sagara1) 2021年8月6日
同じ位置関係の中、復帰後2枚目3枚目では1枚目に比べ画面の焦点がはっきり山田彩子に合わされている。
なお、各話について、大傑作である原作漫画との対照についても随時触れつつの感想はこちら。
比べていくことでアニメ版が重ねている試みと工夫の数々が伝わってくるし、もともと大傑作の原作漫画を更に楽しく読んでいくことにも繋がるかとも思う。
それだけに全体に尺が不足気味だったのが惜しくもある。
特に原作1巻の国広先生の挿話を削ったことにより10話だけでなく作品全体として紅華の受け継がれていく歴史、バトン、思い(そして紅華だけにも留まらずこの国に生きる、あるいは時代を生きる者としても)、芸の意義、芸に生きることの意味といった重みが大きく損なわれてしまっているのは非常に厳しく、そこらへんがどういうことだったのか未読の人にはぜひとも原作漫画を読んで欲しいところ。
一方でこのアニメ版が尺が十分にありさえすれば諸々をどのように見事に描けたかはたとえば第八幕「薫の夏」で十分に示されていたかとも思えるので、おそらくいろいろな事情があるのだろう中、取捨選択というのは厳しく難しいものだなとも思わされたりする。
じっくりと落ち着いて描く形でのこの先の物語、二期の実現を期待したいところ。
4:『オッドタクシー』第4話「田中革命」
監督:木下麦
アニメーション制作:P.I.C.S、OLM Team Yoshioka
脚本: 此元和津也
絵コンテ:木下麦
演出:大庭秀昭
作画監督:土信田和幸、山縣亜紀
総作画監督:中山裕美
放送日:4月27日
物語全体に仕込まれた企み、軽快な会話、各話を補完するだけでなく物語の別の層も見せつけてくるオーディオドラマとの連動など、劇の構成・会話・ユーモア・絵柄等々で幅広くユニークさと高い完成度を併せ持った作品の中で、単話として圧倒的かつこの作品の中でもなお異質な魅力を放つのが第四話「田中革命」。
ヒロインの危機を感じ取ったタクシードライバーの主人公が急いで駆けつけようとする時、危うく轢いてしまいそうになった、ちょうどスマホゲームでガチャの大当たりを引き当てていた冴えない青年……でもそんな青年にも彼なりの物語があって。
人は誰かが主人公の物語のモブではなく、誰もがその人の物語の主役だ……そんなごくごくまっとうな視点も感じさせつつ。
展開されていくのは自分の平凡さに苦しむ少年が平凡をこじらせにこじらせ、無理やりそんな自分でも輝ける"物語"を求め狂っていく半生で。
ほぼ全てが概ね斉藤壮馬演じる田中の独白で進む、異様な迫力と"人はこうして歪んでいくことがある"という強烈な説得力を湛えた挿話になっている。
なお『オッドタクシー』はアニメ本編の他、アニメ脚本を元にした漫画版、ノベライズ、それに『オッドタクシーオフィシャルブック』もとても面白いのだけれど。
『オッドタクシーオフィシャルブック』収録の田中を演じた斉藤壮馬インタビューでの役の解釈、演じる上での工夫、手応えを感じることができた場面等についての談話が何についても簡潔明快でかつ面白く、本編と照らし合わせてとても納得もいくもので。
演者としても、演じ方をこうはっきり言語化できるところもすごい声優さんなのだなと思わされた。
オッドタクシーを、特に4話「田中革命」を好きな人は必読の内容だと思う。
5:『ウマ娘 プリティーダービー Season 2』第13話「夢をかける」
監督:及川啓
アニメーション制作:スタジオKAI
脚本:永井真吾
絵コンテ:及川啓、成田巧、小野勝巳
演出:成田巧、及川啓、吉川志我津、にしづきあらた、佃泰佑
作画監督:中島順、ハニュー、福田佳太、桐谷真咲、坂本俊太、辻智子、鍋田香代子
放送日:3月30日
改めて振り返っても圧巻の最終話、作品としてもこの年を代表するTVアニメだったと思う。
ウマ娘2期13話「夢をかける」。改めて観返すと、1話にこれだけ凄いものがいくつも詰め込まれてるの、いっそ怖いな。
— 相楽 (@sagara1) 2021年12月13日
例えば、有馬記念出走ウマ娘をなめるように全員映していく、レース描写に本気すぎるカット。 pic.twitter.com/C2E4LDnobM
ウマ娘たちが夢を抱いて駆け、その姿がまた誰かの追いかける夢になり、叶わず失われてもまた新たな夢が芽生え得る。メインとなるトウカイテイオーとメジロマックイーンだけでなく、ライスシャワーとミホノブルボン、https://t.co/B4EvFIuPal
— 相楽 (@sagara1) 2021年12月13日
ツインターボとトウカイテイオー等々繰り返し描かれた、
「ユメヲカケル」物語の、「常識する覆し、諦めすら置き去りにした」凡百のフィクションより更に物語的な史実に基づいた走りによるクライマックス。 pic.twitter.com/jCFXQ0guT5
— 相楽 (@sagara1) 2021年12月13日
1期から言われ続けていた「いやウイニングライブってなに?必要なの?」なんて話を遥か彼方に蹴り飛ばす、華麗なテイオーステップや pic.twitter.com/iEhKr10NM6
— 相楽 (@sagara1) 2021年12月13日
全力でかわいさを極め描かれるナイスネイチャ。
— 相楽 (@sagara1) 2021年12月13日
増尾将史アニメーションプロデューサー曰く
「Liveシーンのネイチャ可愛いくならなかったら人生終わるって宗圓さんに言ったのはいい思い出です笑
宗圓さんネイチャ最高やったで!」
とのtweetも。 pic.twitter.com/PgWqYbNB4X
これからも受け継がれ新たに紡がれていく夢と担い手。
— 相楽 (@sagara1) 2021年12月13日
美しい幻想のレース。
最後にうまぴょい伝説斉唱。 pic.twitter.com/a499g3Ym9f
圧倒的なレース描写、ウイニングライブ映像、優れたメイン&キャラシナリオ等々で2月24日サービス開始からゲームアプリが爆発的な人気を得ていく中で。
3月30日放送で、そこはアニメならこうだ!とばかりにこれだけのレース、ライブ、物語の描き方が示されたのは、相乗効果も感じられて本当にすごかった。
……なお、ウマ娘に引っ張られてつい、人生で初めて実際の競馬の馬券も買い始めてしまい。桜花賞でメイケイエールと共に3000円が虚空に消えていって以降、GⅠレースはだいたい毎回1000~2000円の単勝一点買いでレースを愉しんでいるのだけれど、未だに皐月賞と秋の天皇賞しか、つまり、エフフォーリアでしか的中してくれていない。
でもきっと、有馬記念もエフフォーリアが勝ち、素敵な一年の締めくくりにしてくれるはず。そう信じているから。あなたの夢はなんですか。私の夢はエフフォーリア。駆けろ、駆けてくれ、エフフォーリア!
※12/26追記
エフフォーリア、やってくれた!
エフフォーリア、最強!エフフォーリア、最高!!
6:『ラブライブ!スーパースター!!』第3話「クーカー」
監督:京極尚彦
アニメーション制作:サンライズ
脚本:花田十輝
絵コンテ:京極尚彦
演出:大島克也
作画監督:伊礼えり、加藤愛、西村彩
ダンスパート絵コンテ・演出:京極尚彦
ダンスパート作画監督:佐藤誠之、鄧佳湄、水野辰哉
総作画監督:斎藤敦史、佐野恵一、冨岡寛
放送日:8月8日
25分間×3回の放送前までシリーズ作品とはいえ、ほぼなにも知らなかったキャラクターたちにここまで入れ込んで応援したい気持ちで見入らせるのは、信じられない手腕。
特に3話でライブに入っていくまでの段取りが巧かった。
唐可可の部屋での、嵐千砂都が帰ってからの構図と動きはもうずっと大好きな感じなのだけど。
— 相楽 (@sagara1) 2021年8月9日
特にここ。抱きしめる動きと、しばらく唐可可の顔を見せず、見せた時にこの表情なのがすごい。後のライブ当日「大丈夫、大丈夫…」とつぶやきながら震える可可の場面にも繋がっていく。 pic.twitter.com/uvuVo53NJ6
『ラブライブ!スーパースター!!』3話のここ。
— 相楽 (@sagara1) 2021年8月9日
澁谷かのんが唐可可の、その提案からの流れでこのライトの海を咄嗟に広げてくれた嵐千砂都の、観に来てくれた妹と母親、期待してくれる観客たちの心を静かに受け止める「間」もとても大事で、そういうとこがこう巧いとすごく嬉しい。 pic.twitter.com/HznqeFwAs5
そしてダンスシーン。
「Tiny Stars」
— 相楽 (@sagara1) 2021年12月13日
冒頭からこれまでの二人の足跡を綺麗に写し撮ったような歌詞で歌なわけだけど。
「(信じてる それだけじゃ)叶うわけないよ」の唐可可の表情、
「(止まらない 止まれないよ)まだちいさくても」の二人の手の表現とか、
何度観て聴いてもたまらない良さだな……。 pic.twitter.com/Up3rmQ8nNu
この作品には1,2話から構成の巧さ(1,2話冒頭↓)
ラブライブ!スーパースター!!。
— 相楽 (@sagara1) 2021年7月18日
1話冒頭「よしっ……。……これで何も聴こえない」
から、
2話冒頭「やった!やった!人前で!!歌えたーーーっ!!」
に移り変わっている澁谷かのんさん。
この面白人間、好きにならずにはいられない。 pic.twitter.com/RdfN9swWtO
もあれば、シリーズものならではの過去作の印象とうまく重ねたりその上に打ち出したりといった技も繰り出しつつ。
ラブライブ!スーパースター‼︎2話の唐可可さんから、なにかもしくは誰かの影を感じる。 pic.twitter.com/YU2uMMIu7V
— 相楽 (@sagara1) 2021年7月18日
メインキャラクター5人の中でも圧倒的な澁谷かのん、唐可可の魅力が輝き溢れかえってたのはなんといってもこの3話かと思う。
なお、これはもっと後、9話時点での感想なのだけれど、
澁谷かのん、決めるところはかっこよく皆を引っ張りつつ決める一方、逃げとか隙とかズルさとか愚痴とか、弱さからにじみ出る人間味もいちいち大きな魅力になってるカリスマで、すごいキャラクターだなー。 pic.twitter.com/EXgyvIz1cx
— 相楽 (@sagara1) 2021年9月26日
重ね重ね、とにかくキャラクターの魅力が強烈だったな、と。
今年、これだけ終わって欲しくなかった、放映終了の次の週になって今週はその放送が無いというのが悲しくて寂しくて仕方なかったという点において『ラブライブ!スーパースター』を上回る作品は無かった。
例えば最終話のこの唐可可。
これが大正義だ。 pic.twitter.com/iK1FdeMgSB
— 相楽 (@sagara1) 2021年10月17日
どの瞬間もかわいすぎる。
そして「冬の星空の妖精」をイメージしたという衣裳も、
【お知らせ】
— κıƨαяαɢıчυυ (@KISAYU_) 2021年10月17日
「ラブライブ!スーパースター!!」12話に登場した「Starlight Prologue」の衣装デザインをさせて頂きました。メンバーカラーメインに冬の星空の妖精のようなイメージでデザインしました。#lovelive #Liella pic.twitter.com/67PrNSOwH1
およそ人の領域を超えた可憐さだった……。
ありがとう、『ラブライブ!スーパースター!!』。
ありがとう、唐可可、澁谷かのん。
7:『古見さんはコミュ症です。』1話「コミュ01「喋りたいんです。」」
総監督:渡辺歩
監督:川越一生
アニメーション制作:OLM TEAM KOJIMA
脚本:赤尾でこ
絵コンテ:川越一生
演出:川越一生
作画監督:早川麻美、近藤瑠衣、小川茜
総作画監督:中嶋敦子
放送日:10月6日
この1話が、衝撃だった。
『古見さんは、コミュ症です。』1話。びっくりした、なにこれすごいすごい。美少女描写も、細かい所作も、ナレーションも、OP映像もOP/ED曲もあれもこれも良い所満載過ぎるけど。中でも文字演出とタイミング、会話の間の取り方が異様に巧いのなんだろ。すごく驚いた。これからもめちゃくちゃ楽しみ。
— 相楽 (@sagara1) 2021年10月6日
『古見さんは、コミュ症です。』で1話絵コンテ/演出、あとOP演出も手掛けてる川越一生監督、これが初監督作品なんだ。https://t.co/7LXP9rfyLY
— 相楽 (@sagara1) 2021年10月6日
過去には三越一生名義で『恋する小惑星』5話絵コンテ/演出なんかも。後で確認しとこ。とにかく古見さん1話めちゃくちゃ良かった。びっくりした……。
『古見さんはコミュ症です。』1話。
— 相楽 (@sagara1) 2021年10月8日
冒頭、アニメオリジナルの登場になる黒猫に自分を重ねる古見さん(原作でもアニメでも時折、黒い猫耳生えるし)、でも、近寄ると黒猫は影の中から軽やかに抜けて駆け去っていき、独り取り残される。
でもこの1話の間に、 pic.twitter.com/4uhOHmGqK4
古見さんもまた近づこうとしてくれる人とも自分を隔てる影と光の境界から、「よろしくお願いします。」と書き記して踏み出すことで。
— 相楽 (@sagara1) 2021年10月8日
それが精一杯で逃げ去ってしまうけど、その先ではもう、光の中にいる。
良かったね。 pic.twitter.com/WWyHx7YILz
『古見さんはコミュ症です。』1話。
— 相楽 (@sagara1) 2021年10月8日
原作漫画のコマ割りをアニメに移す工夫をまるで感じさせずダメな場面でそのまま絵コンテみたいに使ってしまうような類のとは対照的に、本当にうまく、時間と空間の中の画・動きとして描く翻案。
例えば擬音の描き方(の一部)一つとってもホント、すごくいい。 pic.twitter.com/b9aFSLFbsJ
『古見さんはコミュ症です。』1話。
— 相楽 (@sagara1) 2021年10月8日
「今日の天気の話ですら 私には出来ません」は流れの中で強調せずに出されてくる。あえて、すっと長い文の一部としてすっと出される。それだからこそ、 pic.twitter.com/lf0RT5WW2v
見事に拾い上げてみせた只野くんの偉業が際立つ。
— 相楽 (@sagara1) 2021年10月8日
足を止め振り返り、それを見つめ打たれる古見さんの姿もだけど。ここの只野くんの手に込められた、その意志と心と機知の描写が本当にいい。 pic.twitter.com/4cGRuZcJRR
なお、「今日の天気の話ですら 私には出来ません」をあえて強調して出さないのは原作から。
— 相楽 (@sagara1) 2021年10月8日
ただ、こちらでは拾い上げる只野くんの描き方もおそらく、あえて左上の一コマの無言の間と抑えた表情に多くを託していて。アニメ版の演出も原作のこの抑制も共に各々良いなと思う。 pic.twitter.com/ZhDMtUA56G
他にも、例えば古見さん自身の体が示したのはしゃっくりだったけど。
— 相楽 (@sagara1) 2021年10月8日
アニメ版ではその代わりにチョークが泣く、蛇口が泣く、(原作では力入って「ガッ」と折れたところを)チョークが折れ飛ぶ、と描いていっていたのも翻案の性格なり方向性なりが出てるかなと思う。だいぶ強め、濃いめ。 pic.twitter.com/4vGJzw30AZ
で。この後の気持ちが溢れ出して止まらないような黒板の文字での交歓、そしてOP映像へとなだれ込んでいく流れはもう圧巻で、この1話、このアニメ、本当に凄まじいよね……。
— 相楽 (@sagara1) 2021年10月8日
『古見さんはコミュ症です。』で、極めて口数の少ない古見さんのCVは古賀葵さん。恐れとそれでも伝えたい気持ちとコミカルさと。この人といえばまず、のかぐや様は勿論、劇場版プリンセス・プリンシパル/アンジェ、ぼくたちのリメイク/志野亜貴、そして古見さんと、見かける度にすごいなーと思う。
— 相楽 (@sagara1) 2021年10月8日
"原作(漫画)に忠実なアニメ化"を志向するとき、されるべきはその印象を異なる媒体に合った形に翻案して写し撮ることであって。
それを特にラブコメの分野で、時にいっそ過剰なくらいの盛り付けをしつつ他を圧する見事さで為し遂げているのが『かぐや様は告らせたい』かと思えているけど、それにも匹敵し得る仕上がりだったと思う。
特に二人が黒板で筆談を繰り広げる場面はちょっと類例の思い当たらない卓抜さで、それをもって2021年TVアニメで最高の第一話は『古見さんはコミュ症です。』ではないかと思わせてくれる。たぶん、そう。
8:『ゾンビランドサガ リベンジ』第7話「マイマイレボリューション SAGA」
監督:境宗久
アニメーション制作:MAPPA
脚本:村越繁
絵コンテ:吉村愛
演出:金子貴弘
作画監督:野田康行、宮西多麻子、中本尚、宮地聡子、一居一平、佐々木守、和田伸一、袴田裕二
総作画監督:崔ふみひで、桑原幹根、山口仁七
放送日:5月20日
「時空を越えて伝説の少女たちがゾンビとして蘇り、アイドルとして佐賀県を救う「新感覚ゾンビアイドル系アニメ」」
※公式サイト「STORY」より
改めて振り返るならコンセプト時点であまりにわけがわからない、「そんなのどうやってまともな筋書きに仕上げるんだ?」と思える作品なのだけど。
特に2期に入って5話、7話、11話(、8&9話)と構成も見せ方も異様に優れた傑作回を揃えて来て、不可能を可能にしている観があり驚く。
中でも7話。
明快過ぎるほど明快な構成で、核心を台詞でもがっつり語っていて。
なんせ、夕暮れの河原で楪舞々が源さくらと後に
「私は皆さんとなんも変わらんと思っとった」
と振り返る話をし、やはり夕暮に教室で
「けど、違ったんです。顔色が悪いとかそういうことじゃなくて(中略)皆さんみたいに輝くためには、まずは私もこの佐賀でちゃんと生きんと」
と悟ることになったやりとりをして、終わり近くでこんな風に考えたんです、と流れも含めて懇切丁寧に説明してくれてるわけで。
ゾンビランドサガリベンジ7話。
— 相楽 (@sagara1) 2021年5月20日
夕暮れ、生の昼と死の夜の境のような綺麗な光が射す教室の場面。
「何度でも、何度でも立ち上がって、死んでも夢を追いかけるとが、わたしたちが生きるってことやと思うけん」(中略)「それが、フランシュシュ」#ゾンビランドサガ pic.twitter.com/dyby5wvXBZ
「うん、そこに舞々ちゃんが加わってくれた、すごく心強い!明日のライブ、絶対成功させようね!…うん?」「それが、フランシュシュ1号なんだ」「ま、舞々ちゃん、どうしたと…?」(中略)「忘れものですよーー…わたし!」#ゾンビランドサガ
— 相楽 (@sagara1) 2021年5月20日
このやりとりで楪舞々が"私が生きるってこと""私がどうあるべきか"を悟ってる、あるべき私、ありたいと思える私を拾い上げてるの、すごい会話と画なんだよなー。台詞としては特に「忘れものですよーー…わたし!」が本当にいい。#ゾンビランドサガ
— 相楽 (@sagara1) 2021年5月20日
教室の場面のすぐ後に文化祭の朝の「令和」「NEW ERA」と掲げた門の画を出し。「きっと皆さんもそれぞれの時代で、必死になってそれぞれの時代を生き抜いたんです(中略)だから私はフランシュシュを卒業して、この令和を、一生懸命生き抜きます」と台詞でダメ押しなんてのも。#ゾンビランドサガ pic.twitter.com/q7TISXVWHv
— 相楽 (@sagara1) 2021年5月20日
で、その上でキャラクターも物語もそれはもう生き生きとしてる。
過去話からの積み上げ。
開幕6分で1期1話冒頭の反復でもある怒涛の勢いで実質新キャラを放り込み、夕暮れの二つの会話場面の構図の美しさ、力強いライブ場面を押し出してくる。1期ED曲「光へ」の使い方も心憎い。
ストレートでくどい位の説明も好印象の熱さに感じられる。凄いの一言。
こんな描写にも
ゾンビランドサガ。1期2話で「くっそ、ぜってーあたしの「たまごっち」も死んどるやん」とかつては死んだ自分は己の中でも外でも何も育めない、希望の明日を抱けないと嘆いていた(1枚目)蘇った死者の二階堂サキに楪舞々 、今を必死に生きなくてはと悟った生者から「たまごっち」が贈られる2期7話。 pic.twitter.com/r7cCys2AEM
— 相楽 (@sagara1) 2021年12月23日
積み重ねられた意味と思いが籠もっていて楽しい。
なお、これだけのドラマを積み上げ、更に9話10話の佐賀事変回では作品という画を収める額縁の大きさや画全体の質感、ひいては格を定めるようなエピソードを見事な大きさで描き、感動の11話、12話の盛大なライブを力強く描きつつ……その上で作品の最後にあのオチが待っているという呼吸も、なんとも魅力的だと思う。
9:『小林さんちのメイドラゴンS』第9話「いろいろワケがありまして(エルマざんまいです)」
監督:石原立也(シリーズ監督:武本康弘)
アニメーション制作:京都アニメーション
脚本:山田由香
絵コンテ:太田稔
演出:太田稔
作画監督:岡村公平
放送日:9月2日
作品全体を通じて画面全体の構図から、細かなキャラクターの所作から、派手なアクションから何から異様なまでの丁寧さで描かれ続けた妙な迫力と贅沢さに溢れた作品。
時折、というか割と少なからず「いや本当に凄いし観ていて愉しいのだけれど、この場面でここまですごい映像にする意味っていったい……」と(勿論、単に観る自分の側がうまく捉えられていないからかもしれないけれど)思わされたりも。
小林さんちのメイドラゴンS、7話。小学生たちのサッカー。毎回毎回だし、この話でも他の部分もいろいろとだけど、いつもすごい作品だなー。 pic.twitter.com/zuGzQ5o2Xl
— 相楽 (@sagara1) 2021年8月19日
しかし、その凄さが話と噛み合っているように見えた時のこの作品は本当に素晴らしく感じられて。
例えばその一例が9話。
『小林さんちのメイドラゴンS』9話「いろいろワケがありまして(エルマざんまいです)」、いつも愉しい作品だけど、今回が一番好きかなー。
— 相楽 (@sagara1) 2021年9月3日
人間界で全力で働き遊び物想うドラゴンの日々。
華やかなアクションや豊かな表情等も勿論だけど例えば河原でバッグを預かる動き一つとっても良い作品だなーと。 pic.twitter.com/3tXeqLAZwL
『小林さんちのメイドラゴンS』9話
— 相楽 (@sagara1) 2021年9月3日
「祭り上げられるだけで本当に参加もしていないのに楽しんでいるのが滑稽で」「でも今は、捧げられた供物でなく、自分で買いにいけるじゃないですか」
とトールが言った話とも絡んで、全てを預けきらず頼り切らずバッグを持っていく翔太https://t.co/7CBvrmMWeO
千里眼の看視を断ちつつ、言伝もなく離れたことは反省し詫びる子どもたち、カンナから差し出された、何度も繰り返し「美味しかった」という花の蜜というのは綺麗な構成なんだよなー、と。祭り上げるのと異なる、親しみと感謝。エルマだけでなく才川にも差し出される花。 pic.twitter.com/hsfk3dLCpM
— 相楽 (@sagara1) 2021年9月3日
冒頭の"会社上層部に改善案を訴え続け、却下され続けるエルマ"という話も含め、5話でエルマとトールの過去として描かれた、エルマが人間との付き合いの中で得ることができなかった理想的な関わりが9話開幕から終盤までの間にずっと描かれ続けていったわけで。
細部の凄さが皆、そうした日常がかつて彼女が求めて得られなかった輝きだと示すことに繋がっていたかと思う。
そして。でもその上で、そんな輝かしい日々よりもなお、人間との間で満たされず足掻いていた苦しみの中でさえトールと親しく過ごしたあの頃は今よりもずっと楽しかった。その味はたまらなく美味しかったんだ!とエルマが叫ぶ。その激情を今度は華麗でド派手なアクション作画が彩ってくれる。
あるべきものがあるべき形で示されている、そんな満腹感を味わわせてくれる挿話と思う。
10:『無職転生』第二十二話「現実(ユメ)」
監督:岡本学
アニメーション制作:EGG FIRM
脚本:高山淳史
絵コンテ:平野宏樹
演出:羽迫凱
作画監督:五十子忍、今岡大、菊池有騎、寺本将梧、山村俊了、吉野彰敏、李嘉
総作画監督:二宮奈那子
放送日:12月13日
1話からずっと常に全方位にクオリティが異常に高くあり続けるおかしな作品ではあったのだけど。
とりわけ22話は構図も演出も背景美術も作画も演技も劇伴もその他諸々も、なんだか笑えるくらいすごい。
最終話である23話と共にこれまでの決算!という場で見事にそれをやり切ってみせる素晴らしさにただ感嘆するしかない。
無職転生22話、アバンの現実にならずこれからも決して叶わない喪われた幻想と繋がり……零れるワインと血のイメージ(1,2枚目)が終盤の「家族になって」と言ったエリスとの一夜、これから新たに紡いでいく繋がりに重ねられる(3,4枚目)のすごかった。で、再び何が起きたかも分からぬまま喪われる。 pic.twitter.com/bkB5qR2977
— 相楽 (@sagara1) 2021年12月12日
過去多くの作品での名演技も数知れず、無職転生のこれまででだって、例えば17話でも(1枚目)強くそう思ったわけで今更過ぎる話だけど、22話観てると浪川大輔は神……という思いが溢れてくるな。 pic.twitter.com/vzQ1lEVZZw
— 相楽 (@sagara1) 2021年12月12日
終盤の話数は揃ってこの『無職転生』という作品ならではの人間描写、人間観をそれに説得力を持たせるに足る強烈な映像の力で描く見事さに溢れていて、この作品だからこその人間心理の描き方なら例えば頂点は17話「再会」かと思えるけれど。
この22話の凄みにもまた圧倒された。傑作。
無職転生15話
— 相楽 (@sagara1) 2021年10月24日
「本当ですよ。読み書きや算術だってできるようになりました」
「あの…ギレーヌが」
「人は、…変わるんです」
ルーデウス、体験が言葉に重みを与えてるな。
いい話だった。
冒頭に全裸少女たちとそれを覗くシーン、怒る少女の親というルーデウスの前世のクズっぷりを象徴する pic.twitter.com/ALtzjUyfur
エピソードを思い出させもすれば、機会に恵まれ出会いと時間を経て変わっても引き続き残るクズさはある、変わらないところは変わらないところも描かれてたのをつい忘れそうになるくらいに良い話だった。
— 相楽 (@sagara1) 2021年10月24日
ずっとその両面を描き続けるところが明確な『無職転生』という作品の味なんだなとつくづく思う。
無職転生17話、事件以来アバンのパウロが過ごしてきた時間と増すばかりだった焦燥、ノルンはじめパウロに救われた人々がそんな彼を観る様子なんかを台詞無く描写で描いていく様なんかも、こういう描写のためにいつもの凄い映像の良さがあるんだよなーという感じだった。
— 相楽 (@sagara1) 2021年11月7日
あと無職転生17話、この"心の柔らかいところを押し破られ千切られ噛み砕かれてしまってボロボロです"みたいなパンの作画、空恐ろしいくらい凄かったね。 pic.twitter.com/W9e2Jd76Wb
— 相楽 (@sagara1) 2021年11月7日
無職転生17話、派手なアクションとかなくても、この作品でしか描けないことを描けているからこそ、これまでのベスト回だろうなー。
— 相楽 (@sagara1) 2021年11月7日
家族と自分の過去についてあえて語らず、ただ背中を推すルイジェルド、和解しても道中の苦難をやはりわざわざ話さないルーデウス、聞かないパウロと、見事なものだなー
無職転生16,17話、作品の「人間」描写というか作品全体の(序盤の)中でもとにかく見せ場中の見せ場に絵コンテは連続で長井龍雪さんというの力強い配置だよなー。https://t.co/69JnuHUNZz pic.twitter.com/gwxX1Hen28
— 相楽 (@sagara1) 2021年11月7日
無職転生20話、素晴らしい表現力、画の力をもってルーデウス作、ロキシー像のコンセプトと魅力が遺憾なく伝わってきた。一体なににこれだけのリソースが注ぎ込まれてしまっているんだろう。全体的には温かく美しい家族愛の挿話なのだが……。
— 相楽 (@sagara1) 2021年11月28日
無職転生21話。
— 相楽 (@sagara1) 2021年12月5日
予告https://t.co/sY6Io3ha7t
時点で画面にいつも以上に凄みあるなと思ったけど実際そうだったなー。
アクション場面、何をしてるか結構追える速度や手数を除けば奇を衒わない動きを、手間暇を厭わない異様な密度で描いてどうにもならない圧倒的な力を表現してくる。面白かったなー。
このシーンをスローで再生してみたら、
— こんのたては //Celi dada, mimi nunu! (@tatehab) 2021年12月5日
ルイジェルドが12fpsで、
オルステッドのモーションが24fpsだった。
作画枚数の暴力で圧倒的格上感を演出するの、さすがっす・・・#無職転生 pic.twitter.com/Bfw02GgC16
2021TVアニメOP/ED10選
※楽曲だけでなく映像込みで。
1:「ユメヲカケル!」/『ウマ娘 プリティーダービー Season 2』OP
2:「木漏れ日のエール」/『ウマ娘 プリティーダービー Season 2』ED
3:「シナヤカナミライ」/『かげきしょうじょ!!』ED ※杉本紗和×山田彩子版
4:「Shake & Shake」/『美少年探偵団』OP
5:「シンデレラ」/『古見さんは、コミュ症です。』OP
6:「風と行く道」/『無職転生 ~異世界行ったら本気だす~』2期ED
7:「START!! True dreams」/『ラブライブ!スーパースター!!』OP
8:「未来は風のように」/『ラブライブ!スーパースター!!』ED
9:「愛のシュプリーム!」/『小林さんちのメイドラゴンS』OP
10:「Dark seeks light」/『世界最高の暗殺者、異世界貴族に転生する』OP
最近は放送開始から概ね早めの時期にOP/EDの(だいたいノンクレジット版の)映像がyoutubeで公式公開されることが多く、大変に嬉しい。
これからも、より広くそうあって欲しい。
例えば個人的に、好きなものだけまとめたものだけれども。
2021年アニメのOP/ED公式動画リンク集(自分用)https://t.co/f6zvoJgGYO
— 相楽 (@sagara1) 2021年11月12日
/暗殺貴族EDも公式にアップされてくれて嬉しい。
ところで2021年、竹下良平さんのお仕事はちょっと凄すぎでは。
2021年の仕事です。
— 竹下良平 (@ryoppe0905) 2021年11月19日
「呪術廻戦」ED2コンテ・演出
「Fairy蘭丸」4話コンテ、OPコンテ・演出
「無職転生」ED2コンテ演出
「先輩がうざい後輩の話」OPコンテ演出
「平家物語」9話コンテ演出
他にもまだ放送されてない作品ありますので、来年以降また見ていただければ幸いです。
よろしくお願いします。
なお、良くできたOP/EDは作品の性格や展開を見事に織り込んだり、面白い仕掛けがあったりするものだけれど。
例えばこういうの、毎週観るのが楽しみになって良いよねと思う。
お、暗殺貴族EDのノンクレジット版、公式にアップされてくれた。待ってた。https://t.co/fxXlslGS36
— 相楽 (@sagara1) 2021年11月12日
ただ「週を追うごとに変化していく映像を
是非お楽しみください」とあるの、具体的に5話と6話比べるとこうな訳けども、5話の笑顔のディアさんのキャプチャ画像載せて紹介しつつそれ、なかなかに。 pic.twitter.com/RWSYmaLmMK
暗殺貴族5話EDと8話ED。笑顔の少年から凛々しい青年(まだ14だけど)になってきているルーグさん、顔つきもこころもち細面になって笑い方が大人びてきてるディアさん。 pic.twitter.com/tiSsfHAK7d
— 相楽 (@sagara1) 2021年11月24日
なお暗殺貴族ED6話(1枚目)から7話(2枚目)で時間が経ち、8話の笑い方に先立ってディアさんの憂いも大人びて深まったりしている。
— 相楽 (@sagara1) 2021年11月25日
あとルーグさんが来てくれない時は約束のナイフが寂しく一つ本に乗ってるけど(6,7話)、やってきてくれれば(4,5,8話)ペンダントと寄り添ってる。 pic.twitter.com/x3qwKR8115
余談
■1:web配信限定で面白かったアニメ
企画のルール上「TVアニメ」限定で、web配信限定のものは含まれず、それはそういうもので当然なわけなので、余談として書いてみる。
ともあれまず、ネットフリックスの『ARCANE(アーケイン)』、色々とすごい。
Arcane(アーケイン)のバトル描写、特に7話「救世主の少年」の終盤、ここ以降から最後までアイディアの豊かさもそのバリエーションもキメの構図も動きのかっこよさも全部素晴らしくて、好きだよ。 pic.twitter.com/giVRRrqPhl
— 相楽 (@sagara1) 2021年12月5日
あと現時点で公開されている9話までの展開も踏まえたネタバレ含みの感想なのでリンク先連投での紹介としますが、ドラマとしては序盤そんなにハマれないという人も、3話終盤からぐっとのめりこんでいけるのでは、と。自分はそうだったので。
他にもyoutube配信の『Artiswitch(アーティスウィッチ)』もポップアートやCM等、深夜アニメ等ではあまり見かけない分野の味を前面に出したスタッフを中心にしたユニークな作品で良かった。
アーティスウィッチhttps://t.co/m02CoUREnG
— 相楽 (@sagara1) 2021年7月31日
youtube配信のオリジナルアニメ。TLにさっき話題が流れてきて、1話目からたいへん面白かったので強く推されていた4話まで観た(各話8分ちょっと)。なるほど、おー……。これ、すごくいいな。
アーティスウィッチ、なんといってもまず4話だけど。https://t.co/gjmqH593q6
— 相楽 (@sagara1) 2021年7月31日
色付きのクリスタル?ガラス?のファラリスの雄牛の鳴き声を幕開けとした内面世界の締めくくり、傘で世界を割り、癌細胞のような、目と口から黒い血を流す人の顔のような亀裂が広がり、黒い雨が降り注ぐ。余人を締め出した
自分だけの世界で、傘を閉じれば世界は、持ち主は終わる。
— 相楽 (@sagara1) 2021年7月31日
とても良かった。4話絵コンテ出合小都美さんはこういう象徴、暗喩の表現がとにかく巧い人という印象。いろいろあるけど例えば『となりの怪物くん』7話「2人の距離」での銀の天秤の演出とかとても好きだったな。https://t.co/Td3N5bnBlK
#05|Artiswitch(アーティスウィッチ) https://t.co/8Bqkl12BJe
— 相楽 (@sagara1) 2021年8月20日
アーティスウィッチ5話ゲストのCVは宮本侑芽さん。
話もモチーフ、象徴等々もあえて非常にベタにいく中での映像美みたいな。
王冠と蜘蛛のイメージ(添付2,3,4枚目)は黒く綺麗だったなー。 pic.twitter.com/nNzAs5Ut01
一応書くと、アーティスウィッチ5話でてぃあらが手にとったアクセサリーの王冠(もちろん「てぃあら」という彼女の名前に繋がり、彼女の在り方を象徴する)が最初から王冠部分が蜘蛛の身体、リボンが蜘蛛の足にも重ねられている。
— 相楽 (@sagara1) 2021年8月20日
■2:今年の劇場アニメ
個別の感想はここでは書かないけれど、観た作品全部が面白かったというの、ちょっとすごい年だったなと。
以下、題名だけ列挙。
閃光のハサウェイ
シン・エヴァンゲリオン
プリンセス・プリンシパルCH一、二章
FGOキャメロット後編
アイの歌声を聴かせて
ジョゼと虎と魚たち
ガールズ&パンツァー 最終章 第3話
映画大好きポンポさん
サイダーのように言葉が湧き上がる
シドニアの騎士あいつむぐほし
劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!!
サマーゴースト
劇場版少女☆歌劇レヴュースタァライト
これ書いてる数時間後には『劇場版 呪術廻戦 0』観てくる予定。
■3:10選に入れ切れなかった好きな話数・作品
1:『ブルーピリオド』12話
2:『呪術廻戦』17話
3:『SK∞』5話
4:『PUI PUI モルカー』5話
5:『スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました』6話
6:『ゆるキャン△ SEASON2』
7:『ゴジラ S.P <シンギュラポイント>』
1:『ブルーピリオド』12話
ブルーピリオド12話。これでアニメ最終話かな?
— 相楽 (@sagara1) 2021年12月11日
最後も締めた森先輩の青耶木まゆさん、佐伯先生の平野文さん、9-10話が圧巻だった鮎川龍二の花守ゆみりさんと声の演技が非常に魅力的な作品な中、尻上がりに良くなっていた峯田大夢さんの矢口八虎の「後悔はないですよ。反省は山程あるけど」、 pic.twitter.com/JIGubojaLV
作中でもベストだと思うくらいに良かった。この声、演技での八虎と周囲の足跡をもっと観ていきたいので、ぜひ二期以降も続いて欲しいな。
— 相楽 (@sagara1) 2021年12月11日
ブルーピリオド。森先輩、佐伯先生、それに八虎もそうだけど。桑名マキの宮本侑芽さんhttps://t.co/QP558aIZeB
— 相楽 (@sagara1) 2021年12月11日
大場先生の和優希さん、橋田悠の河西健吾さん、出番少なめだけど種崎敦美さんの神山史も……等々、声の演技が本当に良いアニメだった。音響監督は菊田浩巳さん。https://t.co/cSwKameZEl
2:『呪術廻戦』17話
呪術廻戦17話。間合いの有利を神速のフルオート居合で迎え撃つ意図を、自ら間合いを放棄した上、投擲(いきなり目前に迫る描き方すごくいい)で機先を制し重ねての暗器に対処を迫ることで間も集中も崩す(暗器が視界に大きく広がり相手の姿が後ろに隠れることで示すの好き)描写、素晴らしかった。 pic.twitter.com/ZvJf1aCUcr
— 相楽 (@sagara1) 2021年2月6日
呪術17話のここ、間合いと間を巡る争いの中で互いの意図の解説をキャラクターの独白でさせてしまうと普通は怖さ、迫力、スピード感とか致命的に損なわれてしまう筈かと思えるのだけど、特に投擲の描き方でそれを(無理やり?)成り立たせているの本当にすごいんだよな。https://t.co/yaXGZJdTBP
— 相楽 (@sagara1) 2021年2月6日
『呪術廻戦』のアニメ、どうも原作者の意向でもあるらしい「ナレーションを入れない」という足枷によって映像がダレてしまいがちな欠点と、毎回毎回素晴らしいアクション作画との葛藤がある意味面白くあり続けた作品とも言えて。
その点においても17話のこの場面はとても好き。
『呪術廻戦』のラジオ。https://t.co/sCh8mPad14
— 相楽 (@sagara1) 2021年10月6日
4:29~。ナレーションはキャラによる説明と違う(でも原作だと説明として入れられるナレーションをアニメだとキャラクターの声で(例えば五条悟役の中村悠一さんが五条の声で)やらされる場合)感情を乗せるのは違うし、難しいね、みたいな話してる。
3:『SK∞』5話
『SK∞』は最初から最後までずっとずっと、実に愉しい作品。
なんといって愛抱夢(アダム)というキャラクターの面白さが際立っていて、ついでランガと暦の……まあ、うん、絆というのがあり、それらの良さが鮮やかなスケートのレース描写で描かれていくのが良かった。
それらが最も見事に炸裂していたのは(3話に続いての)五十嵐卓哉絵コンテの5話だったかな、と。
愛抱夢のラブハックという技が抗い難い必然の流れに背き遡るという象徴的なものであるところ、https://t.co/uthXR3vNJE
— 相楽 (@sagara1) 2021年2月6日
ランガがそれに真っ向から向かって「お前の想像ごと 遥かに飛び越えていく」(OP歌詞)の、引き続きイメージとして決まり切っていてそこも愉しい。 #sk_8
4:『PUI PUI モルカー』5話
モルカーはかわいい、人間は愚か。
意外なところから大きな話題になった素敵な作品だったな、と。
明るさ楽しさに満ちた5話が特に好き。
5:『スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました』6話
6話(と10話)、毎週気楽に楽しめるように全力が尽くされた愛すべき作品の中でも、特に愉しい話数。
どの時期にもこういう作品がぜひとも放送されていて欲しい。
『バビロン』2話絵コンテ・演出で話題になった富井ななせさんが助監督及び2話&10話で絵コンテ・演出も。
スライム倒して300年、6話観た。今回、画がいつにも増していい感じだったなー。(特にロザリー絡みの)斜めから見上げたりのぞき込んだりする構図とか、夜空に物思うロザリーの顔とか、ここのファルファの飛び込みから寝転がりとか。 pic.twitter.com/zWt9ZtR56S
— 相楽 (@sagara1) 2021年5月15日
スライム倒して300年の6話、これとhttps://t.co/0TdoGLkfuF
— 相楽 (@sagara1) 2021年5月15日
あと、もう一か所特に好きな場面挙げると夜中にロザリーが空に手を伸ばす場面(この後もだいたい良い感じなんだけど)かなー。 pic.twitter.com/41ZUbU6cUp
スライム倒して300年~、ずっと楽しい画と話が続いている作品ですけど6話は中でも明らかに良い話数だったので観測範囲でも話題でこんなブログ記事がhttps://t.co/2v1Mp5aikG
— 相楽 (@sagara1) 2021年5月27日
上がったりも。で、みんな揃って夜空に手を伸ばす前後とベッド転がりシーンが好き。いや、だってすごく良かったですもんね。
スライム倒して300年~10話、冒頭から、それに序盤でエミリーがふわふわ浮きながら横切るあたりから「あ、今回構図いい感じだな」ってなって。その後も全般特に家族カラオケ、締めのエールを叫ぶ場面あたり良いなーってなったけど。やっぱり絵コンテ・演出助監督の富井ななせ担当回。とても良かった。 pic.twitter.com/h765BbX5NX
— 相楽 (@sagara1) 2021年6月12日
6:『ゆるキャン△ SEASON2』
なんだろう。どの話数がどう、というより『ゆるキャン△』は『ゆるキャン△』であり、『ゆるキャン△』を観ている間は幸せな気分になる。この作品の放送は確実に見る人の幸せに貢献していると思う。
『ラブライブ!スーパースター!!』に次いで、あるいはそれに並んで今年最も終わるのが寂しかった、最終話翌週からこの作品の放送が無いことが悲しくて辛くてたまらなかった作品。
7:『ゴジラ S.P <シンギュラポイント>』
主人公二人を始め主要人物の多くが(世界を救う謎の使命感も懐きつつ)なによりまず知的好奇心に導かれて動いていたのがユニークで面白かった作品。
その上で物語の最後に「……え。まさか、これがやりたかったの……???この悪人面ども、揃ってそんな夢のために動いてたの!?」というあの馬鹿らしさ全開のオチが待っていたのが素晴らしいおかしみを湛えていて良かった。さすがは円城塔脚本……ということなんだろうか?各所のインタビュー等では繰り返し他スタッフ、特に監督の意向、関与の大きさを語ってもいたけれども。
ともあれ本編に加えファンブックも併せて、ぜひ。
2021年には他にも面白かった作品がたくさん、例えばタイトルを列挙するだけでも
王様ランキング
世界最高の暗殺者、異世界貴族に転生する
ヴァニタスの手記
月とライカと吸血姫
スーパーカブ
ワールドトリガー
ホリミヤ
イジらないで、長瀞さん
86-エイティシックス-
精霊幻想記
先輩がうざい後輩の話
シャドーハウス
BEASTARS2期
擾乱 THE PRINCESS OF SNOW AND BLOOD
NOMAD メガロボクス2
美少年探偵団
MARS RED
聖女の魔力は万能です
迷宮ブラックカンパニー
ジャヒー様はくじけない
不滅のあなたへ
BLUE REFLECTION RAY/澪
とりあえず思い浮かぶだけでこれだけあり。
作品全体でなく一部(例えば華麗なアクション場面とか)に限るなら、
海賊王女
Takt op.Destiny
あたりにも忘れがたい見どころがありもするけれど。
一つ一つ書いていくと冗長すぎるしキリがないので、名前を挙げるだけに留めてこのあたりまでで。
良いお年を。