アニメ『クジラの子らは砂上に歌う』(イシグロキョウヘイ監督)についての諸々を、毎週の放映に合わせて随時まとめています。
プリンセス・プリンシパル感想まとめ
アニメ『プリンセス・プリンシパル』、毎週放映時及びその後の諸々の感想などをまとめたものです。
プリンセス・プリンシパルの「女王」の過去と今後、プリンセスとの関係について(6話放送時点)
以降、いろいろ(ごく控えめに言って)強引な仮定やその積み重ね、あやしげな推測の濃度が普段より更に色濃い話です……と一応、断った上で。
プリンセス・プリンシパルの中で女王というキャラクターについて、その今後についても過去(プリンセスとの関係)について、私、気になります!という話(憶測)を少し。
※なお、作品全体についての諸々はこちらのまとめもどうぞ。
『プリンセス・プリンシパル』感想等まとめ
https://togetter.com/li/1133020
最初に大まかな流れを書くと。
1:底層の対極としてのロイヤル
2:女王にとってのプリンセス→女王は入れ替わりを知ってはいないか。むしろ最大の共犯者では。
3:予想される女王の犠牲(惨死)
4:プリンセスにとっての女王という人物
5:女王の権力/ノルマンディー公との力関係
といった話となります。
1:底層の対極としてのロイヤル
まず、こちらの6話感想で非常に見事に書かれているように
プリンセス・プリンシパル:第6話『case18 Rouge Morgue』感想(イマワノキワ)
http://lastbreath.hatenablog.com/entry/2017/08/14/193810
6話(おそらく予告の文章からは7話も)作中の下層に生きる人々と社会からの扱われ方が描かれもしていた所。
今後、対極となる上層、王室や貴族達のそれも描かれるのでは……という予想があります。
その際、プリンセス(やかつてのプリンセスたるアンジェ)、ノルマンディー公(、貴族の娘であるベアトリス)に加え、頂点たる女王も重みをもって描かれるのかもしれない、作品全体にも(先程の感想における下層の話のように)大きく意味を持つものとなるのかも…と思えたりもするわけです。
それに、プリンセスが「女王になる」という目標(女王になり、そして自らとアンジェが隔てられず共にいたいと切望するように、人を隔てる「壁」(おそらく即物的なそれに限らない)を崩し望まず隔てられた人々も再び繋げたい)を掲げている所。
◯現女王はどういう人物なのか
◯現女王とプリンセスとの関係
◯王国における女王の権力/ノルマンディー公との力関係
といったあたりはごく自然に重要になるのではとも思えます。
もちろん、これまで描写がごく限られている女王について現時点で言える確たることはごく僅かだとは思えるのですが。
幾つか推測と言うか憶測はできるのかもしれません。
ここでひとつ、特に興味深いのはプリンセスとの関係です。
中でも。「女王は入れ替わりを知っているでは?むしろ最大の共犯者では」と憶測したくなる所があります。
2:女王にとってのプリンセス→女王は入れ替わりを知ってはいないか。むしろ最大の共犯者では。
アンジェとプリンセスの入れ替わりの経緯は今のところ、ごく僅かな回想や会話をもってしか描かれていません。
まず、二人がなんのために入れ替わっていたのか(現時点では)分かりません。
気まぐれだったのか、切実な欲求に押されてのことだったのか、幼心に抱いた強い目的があったのか、それらの複合なのか、等々。
また、シャーロット=かつてのアンジェの立場が「プリンセス」であることは確かな一方、入れ替わったアンジェという少女はどのような生まれと境遇の少女であったのかも大きな(そしてきっと重要な)謎です。
3話アバンでの
「言ったでしょう……あなたの力で私を女王にして欲しいの」
(回想カットを挟み)
「まさか……あの時の約束」
という「約束」も魅力的な謎としてあります。
それでも、3話時点の10年前、彼女たちが7歳ほどの時に入れ替わっている時に革命が起き、他の多くの人々と同じく二人が唐突に分かたれたのだろうとは概ね推測できます。
ここで、そのわずか7歳の少女たちが行った入れ替わりが、彼女たちも含め予想し得ない分断によって継続され、そのまま10年に渡って問題とされることなく無事に続いている……。
改めて考えてみるなら、たとえプリンセスが権力構造の中で「空気姫」だとしたところで残されたプリンセスがただ一人で成し遂げるのはあまりに難しかったのではなかったかと思えないでしょうか。
そこで個人的に「そこには強力な協力者、共犯者がいたりはしなかったのだろうか?」といった仮定を弄びたくなったりしてしまうわけです。
以下、もう少し詳しく書きます。
革命、そして壁はこれまで繰り返し描写されてきたように唐突に人々を壁のそれぞれの向こう側、The Other Side of the Wallに分断してしまったものです。
2話でプリンセス(に化けたアンジェ)が語ってみせたように、突然幼なじみで長年連れ添って来た妻と離れ離れとされ会えず、致死の病を抱え再会を望んでいたモーガン委員。
6話ドロシーが語った、家出をした時に唐突に革命に遭い、そのまま父と分かたれた過去。
そして1話。
(なお、キャプチャ部分のアンジェの心情も勿論、「薬で黙らせて、エリックだけ運び出す」とアンジェが語った時のプリンセスの表情の変化、そしてその語られざる内面(現時点では特に6話アンジェと二人きりの時に話すプリンセスの夢・切望・野望・目標が参照先になるだろう)はとてもとても興味深いところです)。
更に、3話アバン冒頭(文字通り最初の台詞)。
「驚いたわ。あなたがスパイなんて」
「他に壁を越える方法がなかった」
他の人々と同じく二人の少女もまた、あまりにも突然にこうして厳しく分かたれるなどと、想像も想定もしていなかった筈です。
それから10年以上に渡り互いに分かたれた中で入れ替わりを続ける覚悟も、そのための準備も(とりわけ7歳の少女たちに)出来得なかったのではと思えます。
かつてのシャーロット、アンジェはただひたすらかつてのアンジェ、プリンセスとの再会を願った。
ただただひたすらに一途に、そのためにスパイとなった。
きっとOPで落下するプリンセスに向かって一閃、その思いをそのままに示すかのごとく激しくまっしぐらに飛翔していく姿のように。
そこにはきっと、とても魅力的な心の動きと物語が(仮に詳しく描かれることがなくても)あったのでしょう。
そして、一方のプリンセス。彼女の方はなぜ、そもそも<プリンセスであり続ける>ことを選んだのか。
これも実は同じくらいに、あるいはそれ以上に魅力的な謎であり物語かと思えます。
叶えたい目標(「あの時の約束」)があったからか。入れ替わりが露見した時の、本物のプリンセスたるアンジェの身を案じたからか。
いずれにせよ、急転する事態にただ流されるだけではこうはなっていないでしょうし、なりえない状況だったかと個人的には強く思えます。
そして、きっとそうした時、ただ流されるだけのキャラクターではない、まさに正反対のキャラクターなのだろうとも。
例えば4話、あの勁烈な意志に満ち満ちた欄干の場面を(できれば前後の連投も)。
例えば5話、独りで乗り込んでくるや否や瞬く間に堀河公の護衛を撫で切りにした100人斬りの怪物が、ちせと激しく切り合う脇をあえて敢然と駆け抜けた姿を。「これよりずっと細くて脆い橋の上に私は立っているんです」のプリンセスの足だけを映すシーンで足は苦しく震え続けているのだけど、前後も含めその声はまったく揺るがず、表情もその前には平然と微笑み、その後は厳しく見据えるという人物描写。#pripri
— 相楽 (@sagara1) 2017年7月30日
自分の安全を最優先しても十分妥当なところ、列車を止めるため百人斬りが自分を狙い振り下ろしすんでの所で防がれた刃の脇を軽やかに身を翻し迷いなく走り抜ける……自らの身の危険にはそう対するプリンセスが他者の犠牲を物語る血痕には立ち竦む……優れたキャラクター描写なんだよな。#pripri pic.twitter.com/VlP2BEZjay
— 相楽 (@sagara1) 2017年8月6日
これまでのごく限られた描写を思い起こすだけでも、そう想像せずにはいられないところです。
そして更に。
一方のアンジェが絶対に諦められるわけもなく一刻も早く叶えたい切望……プリンセスとの再会と二人で共に暮す未来のため、単に一人の少女ではどうにもならないからスパイとなりCボールを得たように(おまけに再会の時にはCボールなんて超貴重な秘密兵器まで与えている組織を欺き切れると判断した仕込みも、逃走ルートも、落ち延び先の家まで用意していたように)。そこまで方向性も成果もなにやらぶっ飛んだことをやってのけてきたように。
もう一方のプリンセスもそれに匹敵するあるいは(いつもプリンセスがアンジェに対して……とりわけ二人だけで接する時は優位であるように)なお上回ることを選び、成し遂げてきてたのではないかな、と。
※まったく隠す気もないのでいい加減丸わかりかもしれませんが、自分はあからさまにプリンセス贔屓ですので、そこは割り引いて読んでもらえるといいかもしれません。
例えば、アンジェが持つ貴重で強力なCボール(4話で描かれたように世界の動向すら左右する力の象徴でもある)に匹敵する切り札も持っていたりしないのかな、と。
例えば、国の(あとで触れるように権力構造的にはやや怪しいのですが少なくともある程度の力を伴った権威、象徴としては)頂点である、女王との共犯関係ですとか。
あるいは、こういっても良くて。
それほどまでにして自らの元に再び現れたアンジェの懇願を拒んででも、プリンセスがどうしても成し遂げたい目標。
単に一人の少女では勿論、力のない「空気姫」ではどうにもならないことに対して、(約束されていたわけでもない)10年もの年月を経たアンジェとの再会(しかも彼女がスパイになるだのCボールを携えているだのなんてことは想像もしていなかった)の前まではたしてプリンセスは何をしてきていたのかな、と。「親、兄弟、恋人、友人、壁によって離ればなれになったひとたちは大勢いる。いつか彼らの声が揃う時が来るわ、大きく、波のように」一話、二話の「彼ら」に向けたプリンセスの思い……ということで、例えばこのようにしてその内面、在り方が提示されていくキャラクターなんだろうな。#pripri
— 相楽 (@sagara1) 2017年8月13日
ここで、5話であのノルマンディー公が「東洋の島国に興味はない」のにわざわざあれだけ仕込み仕掛けさせる、それだけ警戒させるに値する何かをやらかすなり積み上げるなりしてきているんだろうなと思えるわけです。
逆に言うと、アンジェが現れるまで無策だったとはむしろ思い難いな、と。
4話で本は単に本ではなかったように。6話で積まれた本と山ほど差し込まれた栞が示唆するものは、
単に知識の研鑽や思考に留まるものではないのでは、と。ただ「待つ」のでも十年1人で無為に「待って」来たわけでもなく、アンジェが凄腕のスパイになったようにこちらも……と示唆する積まれた本と無数の栞。#pripri
— 相楽 (@sagara1) 2017年8月13日
冒頭書いたように(結構無茶な)仮定に仮定を重ねた話では勿論あるのですが、例えばそうだったら面白いな、嬉しいなと思えるわけですね。
そこを十分十二分に面白くし得る何か、極めて困難だっただろう7歳の少女たちの入れ替わりからの「プリンセス」であることの継続を成し遂げ得た理由、その二つの解になり得るものとして「女王との共犯関係」は面白かったりしないかな、とも。
ちなみにプリンセスというキャラクターについて「女王になるなんて目標を掲げているのに、なぜベアトリス以外と親しくしない(人脈を築き力を蓄えようとしない)のかな?」といった疑問を見かけたことがありますし、それ自体は割とまっとうな問い掛けとも思えるわけですが。
それについても「女王との共犯関係」という極めて強力(かつ、反面として下手に協力者を広げるとリスクが高くなってしまう)な切り札を最初から持ちそれに沿って諸々仕込みを進めていたから、という話だったりすると楽しいかなと。
そんなことを考えるなり妄想なりしつつ、ドロシー曰く「女王のお気に入り」だと語られるプリンセスと女王の描かれざるこれまでの在り方や、4話でノルマンディー公が脇に控えての……控えていつつ、強烈な押出しをみせ口出ししつつのやりとりを振り返ってみたりすると、いろいろと捗る……もとい面白いところがあったりなかったりするかもしれません。
そして、女王の今後(とプリンセス)については現時点でだいぶ物騒な話を予想することも一応、可能であったりはします。
3:予想される女王の犠牲(惨死)
4:プリンセスにとっての女王という人物
二つの項目を挙げましたが、ここではひとまとめとして扱います。
そしていきなりですが、話の前提と(してしまうものと)して。
5話の列車の顛末はこの作品全体の過去と未来とを暗示してはいないか、という話があります。
詳しくは先掲まとめの5話関連、
https://togetter.com/li/1133020?page=7
2017-08-10 19:48:58からのインクエッジさんの連投と関連する自分のtweetを参照してもらえればと。
えーと……といいますか、この項の結論まで概ねそこに書いてあったりしますね。
一部抜き出してまとめると。
プリンセスとアンジェが並走し衝突を回避させ停止させる列車をそれぞれ王国と共和国とに見立てた場合。
その制御部分である機関室についても後者は「コントロール」、前者は王室と重ね得るだろう、と。
ならばそこにあったプリンセスを立ちすくませた血痕はその場でのそれそのものという以上に何の暗喩と見て取り得るか……いう話です。
また、5話との絡みでいえば、ちせにとって実の親である十兵衛との対決が描かれていた一方、回想もなく画面にはその姿も声もちせと過ごした日々も直接描かれはせずとも、ちせを愛し育てそしてその実父に殺された義理の親が決して小さくない存在として在ったところ。
もしも仮に7歳の入れ替わりの時からプリンセスと女王に(周囲の認識より遥かに)密接な関係があったとすると、また入れ替わりも承知の上であったとするとそれは情愛の通い合った(実の家族に匹敵あるいは越える)義理の家族と見て取れるかもしれません。
1話の時点で入れ替わりの示唆として出されていた(主にアンジェについての演出だと)と自分も思っていた
ところで1話冒頭の王室の写真の見せ方とか、Aパート最後、プリンセスとベアトリス、「アンジェさんってどこまで本当かよくわかんないです」(中略)プリンセスの顔をした少女と母の写真を映しながら「でも、言っているうちに本当になる嘘もあるわ」って、どうなんだろな。
— 相楽 (@sagara1) 2017年7月9日
ここも、プリンセスと女王の関係においても味わい深いものとして見えてくる……ととても面白いです(妄想力を高め、高まるままに身を任せるのです……)。
※なお、1話放送すぐの投稿ということもありアレなところもあって、4話で女王が「孫娘に犠牲になれと」と語ったように「少女と祖母」ですね)。
5:女王の権力/ノルマンディー公との力関係
最後に作中の王国における女王の権力について。
プリンセスはまず女王となることを目指すわけですが、女王が作中の王国の権力構造においてどの程度実質的な力を持ちえているのかは……今のところは正直、詳しくは分かりません。
「空気姫」などとも言われつつも、一族で継承順位4位であるプリンセスでも様々な場で丁寧で特権的な扱いを受けてはいますが、そこらへん、権威と権力の区別が難しくもあったり。
先程も触れた4話において脇に控える(にしては態度も大きい)ノルマンディー公と女王との関係も(少なくとも表面的には)ノルマンディー公優勢、単に助言ではなく、概ねその意向が強く(また国益にも沿うものとして妥当性も持つものであるならば)出されれば女王は逆らい難いといった描写にも見えます。
ベアトリスも、女王の覚え目出たいプリンセスであっても、それでは後ろ盾として危うすぎると有力貴族たちの名前を挙げ心を痛め決意を固めていたりもしました。
権威としてかなり威光は強く「君臨」している一方、統治においてはおよそ絶対的とは程遠い、といったところでしょうか。
6話の二人の会話でアンジェが懸念した通り、仮に女王となれたとしてもプリンセスの夢への道はきっと、あまりにも険しいのでしょう。
しかし、でも、、だからこそ女王の側からも「孫娘」と密かな共犯関係を持つ動機や意味が有り得るのかもしれませんね(かなーーーり我田引水っぽい話ですが)。
以上、だらだらと長くなりましたが、(特に内面に関わる)描写が少なく謎が多くそこが大きな魅力であるプリンセスと、それ以上に描写が少ない女王は実はこの作品の発端である10年前から密接に関わっているかもしれず。女王というキャラクターもまたプリンセス同様に面白く、そしてそこを掘り下げていくと外見も言動も抱える秘密も野望も欲も……存在全てが最高の上にも最高なプリンセスというキャラクターについて魅力的に妄想していくことができてちょっと面白いですよ……という話でした。
本編6話放送時点でのだいぶ無茶な与太話として、ご笑覧頂ければ幸いです。やってることが完全に暇人のそれ pic.twitter.com/D60TCV27mz
— 熊沢 (@1xw32) 2017年8月16日
冲方丁『テスタメントシュピーゲル 3(下)』シリーズ完結。ネタバレ有り雑感。
刊行間もないシリーズのネタバレ含むため、以下、しばらく空行を挟んでから本文。
読み終えてすぐの感想をとりあえず並べてみる。
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冲方丁シュピーゲルシリーズは最初から最後まで、誰も肩を並べられない疾走を続けた傑作だった。
その中ですら『スプライトシュピーゲルIV テンペスト』の世界統一ゲーム及びその近辺での超絶同時進行描写は圧巻。
マルドゥック・スクランブル、カジノでのアシュレイ戦と比べてすら、なお上回るかと思う。
当時、そのあまりの熱にあてられて雑然となにごとか書いたりもした。
「2008-06-04 冲方丁『スプライトシュピーゲルIV テンペスト』についてのメモ。」
http://d.hatena.ne.jp/skipturnreset/20080604
ともあれ以下、最終巻とシリーズについて、少し。
- 作者: 冲方丁,島田フミカネ
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2017/07/01
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多くの人物について、むごい「凶運」に打ちのめされてからそれにどう対したかの「報い」、応報、報酬、清算といったものが示されていく。
広く悪運をもたらすものは、金と情報(と技術)で(あまりに複雑で容赦なくすべてを押し流す世界に「傷を残してやる」とか、流れのままに踏み殺そうとする力から逃れられないなら殺す側に回ってやる、あるいはそもそもただただ世界の中に自分の欲求だけしか見ていない技術者といった(特に数人の)個人の野心や強烈な自我も大きく働くけども、彼らの影を単に個人の範囲を超え広げ濃くするのは金と情報の力)。
そこで、絡まりあう濁流の多くの源となった「パンドラの箱」となった人物があのようなキャラクターだったのは(「ムニン」やキャラバンの影武者の正体とその解明等と共に)カタルシスというか爽快感は欠くかと思うけど、それでもバランス、とりわけ「悪」の示し方として、あるべきものだったかと思う。
「偉大なる龍王」と呼称される人物の繰り返し描かれる卑小さと、むしろそうして卑怯小心だからこそのもたらす害の大きさ、その象徴なような在り方は一個人/キャラクターの形をとった、制御し得ぬ総体としての雄大な世界の獣リヴァイアサンにも害悪の源としては並ぶ、いつだって世にはびこる悪龍の姿なのかなとぼんやり思う。
ここで、金、情報、技術、誰にもコントロールし得ない力についてはまさに清濁併せ呑みあらゆる方面から重く見られたアダー神父、そしてバロウ神父を通じ、決して否定的には描かれない。
そこもはっきり強く示されていた。
「特甲開発顧問の誰もが、将来の技術革新のため、持てる全てを注いだ。善も悪も判断がつかぬまま、時計の針を推し進めることだけを考えていたのだ。そんな私が、今ここで特甲レベル4の完成に命を尽くすのは当然ではないかね?(中略)その力を与えられた子供達が、君達という悪魔を退かせることだろう」(p292)
また、コントロールし得ない力について。
「多くは必然によって導かれた偶発的なものだ。世界経済が人間の意志でコントロールされたことなど一度もない。何もかもが混沌として次に何が起きるか分からない。混沌を最小限にするすべは一つだけ。沈黙だ」(p324)
というものについては。
p465で提示される「白と黒の二つの犠脳ユニット」、「白は<アポロン>------黒は<デュオニソス>-----ごく最近までメンデルとリヒャルト・トラクルだったもの」を保持して「いずれまたリヒャルト・トラクルのような沈黙の担い手が現れたとき」に備えつつ、沈黙に対する「メッセージ」を送る者が示される。
混沌を最小限にするのでなく、抑え込みもしながらなお、前へ、前へと推し進める。
三人×二組の少女たちについてまず、彼女たちの人生は続く、これから始まる!とその道と展望を(おそらくは概ね読者に、その想像に委ねる形で)拓き示しつつ。
描き出した世界全体についても前進への意志を、それを良しとするあり方を示した最終巻でもあり、シリーズ全体だったかと思う。
善、悪、それが複雑に交じり合った混沌の中、それでも時計の針は前に進み。
前に、より前に、より早く遠く進ませようとする人の業は尊くも卑しくもありつつ、全体として肯定されるべく在る。
そして、あまりにも複雑な混沌であっても。
それに対して人の意志と努力により、叶う限り秩序をもたらすべく足掻かれるべきであり。
「「我々の捜査技術は、特定の国や民族のためではない。要請があればイスラエルでも、パレスチナでも、イラクでも働く。
パーキンスが付け加えた。「国際法廷に科学的根拠のある証拠を提出するには、FBIを頼るのが一番なのですよ。今回もFBIの指導で七十万発の弾丸が回収され、最初の二十四時間で殺害された二万人が、どの順番で撃たれたかを明らかにしています」
(中略)
鳳の脳裏にその行為が-----めちゃくちゃな惨状を呈した現場で、死者の一体一体に触れ、臭いを嗅ぎ、調べ、記録する人々の姿がまざまざと浮かんだ。その中にこのハロルドがいた------ごく自然に/いるべき男として。途方もない仕事だった。累々たる死者を相手に、悲痛と疲労を押しのけ、混乱した世界に秩序をもたらす行為だった」
「「FBIきっての国際派のあんたこそ、アメリカという国はともかく、その警察思想の良心的な側面の担い手だ。世界の終わりのようなあの惨殺現場で、よく指揮を執ってくれた」」
(『スプライトシュピーゲルIV テンペスト』p163-165)
応報を、報酬を、清算を、「報われざること一つとしてなからんことを」と捧げられる祈りとたゆまず続けられる歩みがある。
カオス、混沌を象徴する鳳の名を持つ少女が「警察」、秩序を志向する道を択ぶのも象徴的だったかと思う。
西UKO『となりのロボット』。人とモノとの間の「好き」を、関係性を見事に描いた傑作
以前から話題になってしばらく前に買っていたけど、なんとなく部屋の片隅に置いたままにしていた小説や漫画を後で読んでみて。
「なんでこれ、何日も放っておいたんだ!」となることがたまにある。
で。今朝、ようやく、今更、西UKO『となりのロボット』読んでびっくりした。なんだこれ!!
読んですぐ『宝石色の恋 西UKO作品集』『コレクターズ 1』も注文した。素晴らしすぎた。
- 作者: 西 UKO
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■『となりのロボット』冒頭試し読みはこちら
http://www.akitashoten.co.jp/comics/4253100554
■プロローグ版(単行本に収録されていないもの)
http://tap.akitashoten.co.jp/comics/tonarino
- 作者: 西 UKO
- 出版社/メーカー: 白泉社
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人とモノが、あくまでも人でありモノであることを互いに知り認めながら、それでも互いに自分の一番の場所である「となり」に在る/居ることを選び、信じる。
『BEATLESS』好き必読という話に百回重ねて同意。冒頭から素晴らしい描写、展開の連続。
中でも締めのp130、室長の「チカちゃん君は知らない」とp132「もう私は知ってる」「ちゃんと信じられる」の流れが完璧だった。
そして、西UKO『となりのロボット』が「冒頭から素晴らしい」という話についても、少し。
p5。
女子校で人間社会への実地適応試験を行っているロボットの身体測定。級友達が自己申告で書く体重データからデジタルに平均値を割り出しハッキングして体重計に偽の情報を表示させる。
でも、
「みんな実測値を用紙に記載する時に数値を書き換えているようなのです。これでは正しく推定できません」
一人一人がただ自己判断で書き換えるのでなく、それが集団の常識として共有され、組織内でも黙認されている、という把握が難しい「社会性」がいきなり見事に描写されてる。
この時点で「あ、この漫画、ガチだ。「SF好きも楽しめる」どころじゃない、SF好き大歓喜案件だ」と思い知らされる。
p11。
「チカちゃんの"友達しゃべり"が学習機能に入るようになってから学校でのステルス性能が格段に上がった と高い評価を受けるようになりました」
機能としてより目指す没個性の達成度が上がっていく一方、プラハ/ヒロは「チカちゃん」にとっての特別な存在になっていく。
p18。
1話終わりで14歳のチカに向けたプラハの笑顔。
「忘れないでね」
「データの保護は最優先事項だから大丈夫」
その笑顔の意味が後の4話(チカは高校二年)、p57で
「だがこれを参照にプラハは自分が笑顔であれば子供が笑顔になる可能性が高いと判定した」
と科学的にも分析、解説される(ここでも「子供」という一般化した見方と、その子供=チカという個別具体的な存在との対比が示されている)。
そして4話終わりp66、再度"変わらない"(とチカには見える)ヒロちゃん/プラハの笑顔を前に、3年の時間を経たチカはより苦しく
「ヒロちゃんがわからなくても苦しい わかってくれても苦しいよ 私どうしたらいいの」
と訴える。
確かにそこには「時間」が流れている。
その上でp61、室長に「僕が思っているほど簡単じゃないかもしれない」と語らせる。
光源氏も引き合いに出しながらのこの周辺の描写、提示はそれこそSF的にとても関心を惹かれ、かつ、面白い。
そして、1話ラスト「データの保護は最優先事項だから大丈夫」は最終話に繋がり、受けとめられる。
p128。
「チカちゃん わたし持ってないチカちゃんのデータがあるの」
「それ今 もらってもいい?」
「データの保護は最優先事項」と語ったロボットが「プラハシステムを更新するたびに確保されていた不自然な作業領域」をこの相手とのこの時のために空けておいていた。
ロボットだからこその、その価値観に基づいた「好き」のかたち。互いに異なる存在で異なる価値観を持つ同士がそれでも「好き」だと繋がる。互いの隣にいる。
「それは人間の恋人だって同じだよって もう私は知ってる」
(p132『となりのロボット』本編最終ページ)。
見事な構成だと思う。
他にも、特に好きな描写を二つ紹介。
人とモノ、チカとヒロだからこその6話の目隠しと掛け替えのない最初の体験。
緊張感、駆け引き、周囲の動き……互いに何を懸けるか、何を求めるか、それが周囲からどう見えるか、干渉されるか。
ある種定番のシチュエーションをこの作品でしか在り得ない形で書いてみせた凄さ。
p53の汎用向け男性ロボット「Liberec(リベレツ)」の階段昇降とエレベーターの話。
「メタボのおっさんみたいなことになってて」とユーモアに包み軽やかな語りで、手早く相当突っ込んだ話書いてるのも凄かった。
これだけ高いレベルの「人とモノとの話」を描いた漫画はちょっと記憶にないようにも思う。
『となりのロボット』、大傑作と思う。
■関連
○長谷敏司『BEATLESS』読了直後の感想をややまとまりなく。
http://d.hatena.ne.jp/skipturnreset/20121011/
○『BEATLESS』のあらすじ(ネタばれ)をまとめてみた。
http://d.hatena.ne.jp/skipturnreset/20121014/
○『円環少女』13巻再読。『BEATLESS』との相関についてもいろいろと。
http://d.hatena.ne.jp/skipturnreset/20121028/
○『BEATLESS』『円環少女』『あなたのための物語』関連のやりとり。
http://d.hatena.ne.jp/skipturnreset/20121029/
それぞれの「リベンジ」。アイドルマスターシンデレラガールズ13話感想
アイドルマスターシンデレラガールズ第13話「“It's about time to become Cinderella girls!"」感想です。
見事な大団円が描かれる中で行われた、過去の諸々を踏まえての幾つかの「リベンジ」について書いていってみたいと思います。
デレマス感想過去記事はこちらをどうぞ。
○アイドルマスターシンデレラガールズ各話感想まとめ記事&各記事案内
http://d.hatena.ne.jp/skipturnreset/20150406
ニュージェネレーションズのリベンジ
そして、ニュージェネレーションズのリベンジパートは、6話のコンテ・演出・作監を担当された長町さんが作監をされました。6話を制作していた時から、このシーンは自分でやりたいと仰っていました。きっと3人と同じ気持ちだったんだと思います! #imas_cg
— アイドルマスター (@imas_anime) 2015, 4月 10
再びニュージェネへの試練燃えるね! #imas_cg
— まがなん太P (@magana824) 2015, 4月 10
やっと笑顔のニュージェネのステージを描いて6話が終わった感 #imas_cg
— まがなん太P (@magana824) 2015, 4月 10
ひとまずお疲れ様でした!やれて良かった!
— まがなん太P (@magana824) 2015, 4月 10
12話の各ユニットの思いがすれ違っていたあの夜にも未央が「リベンジ」と明言し、凛と卯月も同調した思い。
鮮やかで晴れやかな達成があまりにも見事でした。
「みなさーん、はじめまして。ニュージェネレーションズです!!」
まだ止まない雨、ぬかるんだ地面の客席を前にして。
画面に映るシンデレラプロジェクトのロゴと、流れる星々とを背負ってる画。
#imas_cg pic.twitter.com/cwooQDIATQ
— 相楽 (@sagara1) 2015, 4月 10
で、揃って最高の笑顔を見せ、客席も笑顔に元気にし、夢中で歌い踊り、自らの足で飛び上がったライブの途中、そしてやり終えた時、画面は溢れだす輝きと「new generations」のロゴが大映しになってる。
#imas_cg pic.twitter.com/D5JrLAW7ZU
— 相楽 (@sagara1) 2015, 4月 10
6話と13話、ラブライカ(とアーニャ&蘭子)、NG、それぞれの舞台があえて振り付けのどこを見せるかが重ねられて描かれてるの、改めて6話該当箇所も再視聴して見比べると、ちょっと簡単に言葉にならない感慨があるな……。素晴らしかったな……。
#imas_cg
— 相楽 (@sagara1) 2015, 4月 10
本田未央。
6話。そして13話。
「プロデューサー…」
「…?」
「ありがとう!……アイドル、やめなくて、良かった…!」
「いい…笑顔でした」
#imas_cg pic.twitter.com/TiDog6IFbw
— 相楽 (@sagara1) 2015, 4月 10
P「今日は、どうでしたか?」
凛「……」
凛「楽しかった……」
P(息を呑む)
凛「と思う…」
凛(笑顔)
凛&P(無言で並んで夜空を見上げる)
#imsa_cg pic.twitter.com/Fj0GO2c7Ad
— 相楽 (@sagara1) 2015, 4月 10
素晴らしく力の入った描写だったなあ。で、この後、1話では「いえ、今は、まだ」だった渋谷凛の笑顔を前にプロデューサーは言葉もなかった、という流れ。「夢中になれる何か、心を動かされる何か」。夢中にさせ、心を動かす笑顔。
#imas_cg https://t.co/bMAYgAIaMn
— 相楽 (@sagara1) 2015, 4月 10
13話終盤の未央、凛の「笑顔」とそれへの反応。
未央の喜びと笑顔も勿論この上ない素晴らしさだったんだけど、なんだかプロデューサーにとっての凛の笑顔、凛との関係というのは妙にプレミア感があるというか……まあ、よく言われる「正妻」という趣は否めないよな……。
#imas_cg
— 相楽 (@sagara1) 2015, 4月 10
なんとなく。
デレマス、6話ラスト⇔13話ラスト。
良かったなあ。
#imas_cg pic.twitter.com/xZuwoScXjz
— 相楽 (@sagara1) 2015, 4月 10
NO MAKE13話の島村さんが涙を溜めた笑顔で大事そうに抱えたファンレター、養成所の同期からのものなのか。
毎回思うけど、NO MAKEは本編補完というかもう、これも含めて本編という重みがあるよな……。
#imas_cg pic.twitter.com/AxSmIKXsg5
— 相楽 (@sagara1) 2015, 4月 10
今回、NO MAKEはいつものこととして、マジックアワーの方も本編と関わりまくりで、かつ、両方で(本編では正直最近影が薄めだった(でも、そこにいるだけでとても大きい))島村さんが大活躍だなー。
#imas_cg
— 相楽 (@sagara1) 2015, 4月 10
※養成所で同期たちが次々に止めていきただ独り残り、それでも「笑顔」を決して失わずに待ち続けて。そんな、天使ではなく実に一人の「人間」らしいものだったろう島村卯月の思いと不安とその上での輝きについては7話感想で諸々触れています。
裸足強調は全体的には『シンデレラ』の寓意で"ガラスの靴を脱いでも≒魔法が解けても今や彼女たちはアイドルだ”という話。
卯月「夢みたいです」凛「でも、夢じゃないんだね」未央「うん。今度こそ……」全員「夢じゃない!!」
#imas_cg https://t.co/RNlL7WsOzK
— 相楽 (@sagara1) 2015, 4月 10
続き)
全員「ファンレター…?」P「ええ、それと会場で配布していたアンケートと」
みく「ファンレター……」卯月「アイドルみたいですねー……」
(卯月以外の皆で笑う)
皆「「アイドルだよ!!」」
これもその流れの話。
#imas_cg pic.twitter.com/u97xVerx5f
— 相楽 (@sagara1) 2015, 4月 10
神崎蘭子の「リベンジ」
ラブランコのライブ前半も作監としてちょっと描きましたよ。ここも6話つながりとしてやっぱりやりたかった!
— まがなん太P (@magana824) 2015, 4月 10
「だ、第二形態より先は、未知の…」
「…っ…あの……合宿の時、私、三人で…スペシャルトレーニングで…その…」
「誰かと一緒に何かをするのって、すごく、ドキドキしました」
あえて蘭子語でなく語り「一緒に」と前に出る姿。
#imas_cg pic.twitter.com/VTQxSCMPst
— 相楽 (@sagara1) 2015, 4月 10
勿論それは、蘭子は蘭子らしく自分の曲で輝いて。
更にその上で、という描写。
「代役」の説得力として見事過ぎるくらいに見事な流れだった。
#imas_cg pic.twitter.com/bKxxILPDF4
— 相楽 (@sagara1) 2015, 4月 10
大歓声をBGMにしての蘭子のこの画も素晴らしかったな。
#imas_cg pic.twitter.com/42Lc3aYZ8w
— 相楽 (@sagara1) 2015, 4月 10
蘭子とラブライカ(特にアーニャ)の関係は12話、OP、4話の蘭子語翻訳をNGが新田さんに頼る、8話冒頭一緒に居る蘭子とアーニャなど色々あったけど。中でも、
#imas_cg pic.twitter.com/IjbnRWXAKF
— 相楽 (@sagara1) 2015, 4月 11
皆に「何か力になれますか」と手を差し伸べられ続けて来た蘭子が
https://t.co/8q4DxgFJ6a
https://t.co/brn4pSrcwe
今は強い思いを抱えつつ悩み惑う仲間に向けて自ら踏み出し手を差し伸べる、という構図でもあったんだな、と。
#imas_cg
— 相楽 (@sagara1) 2015, 4月 11
アーニャの踏み込み。 「ごめんなさい。難しい言葉ですね」 ここで"まずはもっと分かるように説明して下さい"ではなく。 そっと後ろで寄り添っていたのを前に回り優しく覗きこみ。 「蘭子、何か力になれること、ありますか?」 #imas_cg pic.twitter.com/aOtlaKjL3G
— 相楽 (@sagara1) 2015, 3月 8凛「言葉とかの前に、もっと蘭子に近づいてみたら」 みりあ(蘭子に向かって)「そっか、大変だね」 智絵里「気持ちを伝えるのって、難しいよね」 蘭子「プロデューサーっ!……言えた」 #imas_cg pic.twitter.com/K81BMJqxaA
— 相楽 (@sagara1) 2015, 3月 8
8話周囲のサポートの中でもアーニャの「蘭子、何か力になれること、ありますか?」は一際嬉しいものだったろうし。
NT5月号各ユニットインタビューでアーニャが語っているように同じ寮で生活している事からも仲が良かったりも。
#imas_cg pic.twitter.com/vPdzlUoryo
— 相楽 (@sagara1) 2015, 4月 11
ステージの順番として。
1:ローゼンブルグエンゲル
↓
(アスタリスクがトークで繋ぐ)
↓
2:アナスタシア&蘭子
↓
(雷雨中断)
↓
3:ニュージェネレーションズ
↓
4:キャンディーアイランド
↓
5:凸レーション
↓
6:アスタリスク。
他はデビュー順をなぞりつつ、蘭子が例外的にただでさえプレッシャーが大きいだろうトップバッターを務め。
更に、大急ぎで衣装も方向性も一転させ新田さんの代役として再びステージへ。
厳しい状況から一気に会場の盛り上がりを取り戻させたニュージェネレーションズの大活躍の一方、神崎蘭子の奮闘ぶりも特筆すべきものであったりもしました。
※4/13に公式に当日のセットリストが公開されたので追記。
シンデレラ公式サイトにて第13話あらすじ&場面写を更新!さらにWEB Newtypeにて第13話ライブのセットリストを公開中! http://t.co/SFG1Pc3wNm http://t.co/KtckLxc7K4 pic.twitter.com/Tp4AiHooA5
— アイドルマスター (@imas_anime) 2015, 4月 13
城ヶ崎美嘉の、新田美波の「リベンジ」
「風邪ではないそうですが、極度の緊張で発熱が…」
※心因性発熱(ストレス性高体温症)について
http://t.co/OKx6rtgd1V
皆のライブ成功を見て美嘉にも励まされ。
急回復も特に不思議ではないですね。
#imas_cg pic.twitter.com/yNv32xKUBv
— 相楽 (@sagara1) 2015, 4月 10
@sagara1 前回未央が陥ってた状態に美波がなり「やらなきゃ」から、みんなの頑張り、励まし等があって、みんな一緒のステージ、その先を見たい「やりたい」って気持ちが+になったとか。LL脳としては、ステージ成功してもアーニャがずっと不安そうな顔していたのを笑顔にしたかったからとw
— とーか (@yumetya_toka) 2015, 4月 10
@yumetya_toka パートナーのアーニャは何かおかしい美波の様子(画としても段々顔が紅潮していってる)に気づいて心配し続けてる一方、Pは6話まで未央がリーダーとして十二分にNGを引っ張りつつ抱えてしまっていた誤解や過剰な期待に気付けていなかったように、
#imas_cg
— 相楽 (@sagara1) 2015, 4月 11
@yumetya_toka 十分には新田さんに配慮できていなかった、という事でもあるんですよね。
ただ、今回は周囲が速やかにサポートし「代役」も含めライブを大成功させ、それでプレッシャーと緊張からやや解放された新田さんも「一緒に」最高のステージに立つことが出来、
#imas_cg
— 相楽 (@sagara1) 2015, 4月 11
@yumetya_toka そんな新田さんに7話で「部外者」だった美嘉も付き添い励まし続けたというのも素晴らしい構図でした。
城ヶ崎美嘉にとって、最愛の妹を含む大切な後輩たちに肝心な時に力になってやれなかったこと(7話)のリベンジという面もあったかと思えます。
#imas_cg
— 相楽 (@sagara1) 2015, 4月 11
美嘉が新田ちゃんを見舞うここ、美嘉はドアを閉める音すらできるだけたてないように気を遣っているんだよなあ。優しい子だよ、ほんと #imas_cg pic.twitter.com/HXVF4Cgwpr
— 朗読P, et al. (@Whitethroat) 2015, 4月 10
ニュージェネレーションズが6話ライブで抱え込んだ思いをこの13話のライブでようやく乗り越えきれた一方。
新田美波は晴れの舞台で発熱、自らのユニットのステージに立てないという痛恨を仲間たちの精一杯の頑張りに支えられ、(自分/自分たちだって大変だろう中にも関わらず付き添い続けた)先輩アイドル城ヶ崎美嘉の熱心な励ましと発破(彼女なりの先輩アイドルとしての「リベンジ」でもあっただろう)もあって。
このフェスの間に最高の「リベンジ」が出来たという構図になります。
新田さんはかつての未央と同じようにリーダーとしての務めを十二分に果たしつつも気負いすぎ、Pはアイドルの心情を捉え損ね……同じような失敗を犯しつつも、しかし、確かに「一緒に一歩ずつ階段を登って」来ている彼らはより良くそれを乗り越えてみせる。
CP14人とP、15人が登って行く、それぞれの「シンデレラ」像に繋がっていく螺旋階段。
なお。
CPのリーダーの新田さんが過度の緊張で発熱、倒れたという話が入ってくる直前。
346プロの看板アイドル(に見える)、いつもセンターを務めている飄々とした高垣楓も、控室で息も絶え絶えの様子が描かれている。
#imas_cg pic.twitter.com/EA2JqCQyi6
— 相楽 (@sagara1) 2015, 4月 10
という形で新田さんが直面した重圧を重ねて示してもみせれば、描く世界を拡げてもみせる演出(CPたち以外もフェスの会場で各々の思いを抱え、各々の精一杯をやりきっている。またあの高垣楓も裏にこんな姿を抱えている)、実に素晴らしかったと思います。Pにとっての「リベンジ」
やや「リベンジ」というには難があるかもしれませんが。
この3ヶ月の彼女たちの成長をご確認下さい pic.twitter.com/leus0w8WeW
— スタハノフ運動 (@stakhanov4) 2015, 4月 10
【第2話】
「プロデューサーさん、一緒にどうですか!?」「いえ、皆さんでどうぞ」
↓
【第13話】
;;;;;;;;;;; pic.twitter.com/RfmmWOBIjQ
— ふーみん (@fooooooomin) 2015, 4月 10
こういう話です。
追記(4/13)
13話終了時でも。
未央は観て応援し続けていてくれたファンの存在と思いを知り感極まり。
凛は「夢中になれる何か」の中にいた一日を振り返り「楽しかったよ」と語り。
卯月は「ずっと笑顔で」いられたことを喜ぶ。
一緒の舞台で歌い踊り、夜空を見上げながら、各々の星を見つめる。
それは他の仲間もPも同様。
12話の花火の夜に新田さんが「新しい景色が見えるチャンス」を「私自身が確かめてみたい」と語ったように。
「一緒に」という団結自体を目標としているアイドルはいなくて。
特にアニマス/765プロの天海春香と(括弧つきの)「無個性」「前向きさ」等で共通はするデレマス/シンデレラプロジェクトの島村卯月はまず、「自分が」笑顔でい続けることを心がけ、望んでいたりする。
なお、NO MAKE13話で養成所の同期からファンレターを受け取っての感激等でも繰り返し強調されるように。
諸々の思いを抱え「それでも」浮かべ続けるのが島村卯月の笑顔であることは、決して忘れるべきではないところ。
一つの星≒夢を皆が一丸となって追いかけ掴むのではなく。
各々自分の星を持つ面々が、競い合いも助け合いもする仲間として、そしてまず何より自分自身と向き合って輝きだし、その光を強めていく。
デレマス13話の全体曲「GOIN'!!!」でも一人一人やユニットに寄り続け。
最後の決めポーズくらいでしか全員を映さないライブ場面のカメラワークなどにもその在り方が反映されているようでもあったかなー、と。
#imas_cg pic.twitter.com/aUs3hMcESM
— 相楽 (@sagara1) 2015, 4月 13
いつもの。
ブログ向けに加筆&再編集した話の他、多方面の内容を随時、togetterでまとめています。
宜しければどうぞ。
○アニメ版『アイドルマスターシンデレラガールズ』(デレマス)感想
http://togetter.com/li/768711?page=1
↓13話分は下記リンク先から。
http://togetter.com/li/768711?page=85
各々の「シンデレラ」へ続く螺旋階段。/アイドルマスターシンデレラガールズ12話感想
アイドルマスターシンデレラガールズ第12話「“The magic needed for a flower to bloom."」感想です。
デレマス感想過去記事はこちらをどうぞ。
○アイドルマスターシンデレラガールズ各話感想まとめ記事&各記事案内
http://d.hatena.ne.jp/skipturnreset/20150406
7話で「一緒に、一歩ずつ…階段を登っていきましょう」とCP14人+P、15人の再出発が描かれ。
8話〜11話でNGの3人、ラブライカの2人に続いて9人も各々ユニットとしてデビュー。
そして迎えた12話。
まず、それぞれがユニットとして抱え育んだ思いや絆、気遣いが「全員」での挑戦を躊躇わせたり障害にもなりそうだった流れが一度は示され(Aパート)。
それが鮮やかに解消された(Bパート)挿話かと思います。
それと、(劇場版アイマスにも参加していた)絵コンテ:神戸守さんの特徴、凄みが目立った話数だったかとも思えます。
また、舞台となった合宿所の一致をはじめ、「劇場版『THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!』」との対比が目立った回でもありました。
各ユニットの固い絆と結束からの、ユニット相互の衝突。そしてその解決
各ユニットの絆と思いが、他ユニットとすれ違い、ぶつかってしまう
辛さを押し隠し、独り自分自身とだけ向き合うことで無理にでも輝くのでなく。
まずは信頼するユニットのパートナーと手を取り合い。
ユニット同士で競い合い支え励ましあい、シンデレラプロジェクトの仲間として皆で一歩ずつ進んでいく。
ススメ☆オトメ。12話はそういう挿話。
#imas_cg
— 相楽 (@sagara1) 2015, 4月 3
11話アバンでは向き合うべき自分に向き合わず相方と表面上の齟齬で争ってしまうアスタリスクを描き。
https://t.co/1SVQEGfXqd
12話Aパート終わりでは独り自分にだけ向き合ってしまう過ちからの脱却が描かれる。
「シンデレラ」へ続く螺旋階段。
#imas_cg
— 相楽 (@sagara1) 2015, 4月 3
「螺旋階段」という話には後で少し長く触れますが。
CP14人とPとはひたすらまっすぐに次へ、次へと「一緒に階段」を登って行くのでなく。
一度解決したはずのものと似たような問題に幾度も繰り返し悩み時に苦しみもしつつ、巡る螺旋のように少しずつ先(≒上)へと進んで行っている、といったイメージです。
ここからの連投でまとめて書きますが。
7話で「一緒に」と確認され、8話〜11話の各ユニットを巡る挿話でも中心となったその話数でデビューした面々だけでなく、いつも周囲の心身両面でのサポートが示され続けて順調な歩みが描かれていった一方で。
12話では「一緒に」といっても特に強い絆がもう芽生えている各ユニットが、それぞれ抱える思いやユニットの仲間を心配するがために「全員一緒に」という新たな試みとぶつかってしまう、築かれた絆が障害へと変わり「一緒に」が危うくなる……という流れが見事に描かれていたかと思えます。
12話ではただPが新田さんを不在時のリーダーに指名したというだけでなく。
彼女たちの間でも順に、今、リーダーとして立ち得るかが順番に問われていき、その中で新田美波がその在り方を自ら問い、自ら見出す流れになってる。
#imas_cg
— 相楽 (@sagara1) 2015, 4月 4
NG。本田未央は7話が明けて8話冒頭、あえて勢い良く扉を開いて笑顔で現れ、閉じこもっていた私室からクッションを持込み、皆の交流を促す意図で私物持ち込み提案……からずっと。"みんなに迷惑をかけた"思いからその挽回に皆の応援と配慮を全力で行ってきていて。
#imas_cg
— 相楽 (@sagara1) 2015, 4月 4
ただ、やはりCPの中で唯一、CDデビュー関連のライブで不本意、不完全燃焼に終わってしまったことは刺となって残っている。それへのユニットとしてのリベンジという思いは強くもあれば、それに囚われてもしまっている。その強い思いは凛と卯月には共有されるけども。一方で、
#imas_cg
— 相楽 (@sagara1) 2015, 4月 4
焦りにも繋がってしまっているそれは智絵里を怯え困らせたりもしている。本田未央は今の時点でNGのリーダーは務まるけど、(少なくとも彼女の、またユニットとしての挫折が次のライブで乗り越えられるまでは)CP全体のリーダーにはまだ成り得ない。
#imas_cg
— 相楽 (@sagara1) 2015, 4月 4
なお、大縄跳びで智絵里が失敗した時、真っ先に未央がフォローしたところで、焦りから怯えさせてしまってのギクシャクも修復されていたりする。
デレマスはそんなところも描写が丁寧。
#imas_cg
— 相楽 (@sagara1) 2015, 4月 4
アスタリスクの二人。李衣菜「今はユニットの方を大事にしたいんだよね。私たち、一番最後だったから」。こちらもライブ失敗の挫折を抱え続けるNG同様、「一番最後」だった烙印は今も重い。全体のリーダーとして立つにはそれが辛いし、「みんなで」という流れにも乗りにくい。
#imas_cg
— 相楽 (@sagara1) 2015, 4月 4
キャンディーアイランドの三人。
杏「無理に詰め込んで本番で失敗、なんてことに」。
杏自身は本番には滅法強く、振付も映像見るにマスターしてる(なので全体曲=Star!!だろうところ、OPでもここでもセンターを務める)。
#imas_cg pic.twitter.com/dXlfe2bSTg
— 相楽 (@sagara1) 2015, 4月 4
決してそうは言わないけど、杏はまずユニットの仲間、智絵里の様子がとても心配だったりしたのではないかと思う。
勢い込む未央を止めるような無気力発言もその流れの中にあったかと思う。
CI(杏)もリーダー役は勿論、全体の流れに乗れないでいる。
#imas_cg
— 相楽 (@sagara1) 2015, 4月 4
きらりは茶碗を割った智絵里に状況も心理もよくよく察した上であえて明るい声を掛けてみせたように。配慮は人一倍できる一方、コンプレックスも強く、望むノリに周囲を巻き込むのを強くためらわずにはいられない。目立たないように縁側で独り悩み、やってきた美波に思いを漏らす。
#imas_cg
— 相楽 (@sagara1) 2015, 4月 4
蘭子についても「みんなとうまく合わせられなかった。やっぱり、誰かと一緒にステージに立ったことないからかな」と呟くことで、リーダーは勿論、流れに乗れない苦しい思いが示される。
デビューと経緯が今回の流れで刺になっているのはNG、*と同じ。
#imas_cg
— 相楽 (@sagara1) 2015, 4月 4
秘めてきた個人のイメージが十全に理解され、見事に解放し演じきってみせた蘭子の大成功(CD売上も非常に順調とCパートでも言及)が、今度は「誰かと一緒にステージに立ったことがない」と悩みに反転。長所と短所は表裏一体というデレマスに一貫した描写がここでも繰り返されてる。#imas_cg
— 相楽 (@sagara1) 2015, 4月 4
正に初ライブ時のあの手をつないで向かったステージとその成功、その時の思いを糧にも核にもして、新田美波がCP全体のリーダーとして、また一人のアイドルとしての目指すべき、抱くべき思いを示してみせる。
実に綺麗で見事な回収、構造だったかと思う。
#imas_cg
— 相楽 (@sagara1) 2015, 4月 4
少し自分で補足すると。
未央の悔しさは未央だけのものでなく、ユニットのものでもあることが夜中のやりとりで確認されています。
でも、強い意気込みのあまり焦りも交じるそれは智絵里を怯えさせたり杏の反発も受けたり、翌日の新田さんの提案への反論(未央)や疑問(凛)にも繋がり、異なるユニットあるいは全員との間では齟齬となって立ち現れて来てしまってもいました。
同じ夜。杏の、
「今日やってみてわかったじゃん。全体曲今からやって、皆で合わせるなんて難しいんじゃない?」
「無理に詰め込んで本番で失敗…なんてことに」
は当人の省エネ主義からまず出ているものであるだろうと思えますが。
全体を冷静に俯瞰してのごくまっとうな判断とも言えそうです。
ただ、それがユニットの仲間の(かな子と)智絵里をひどく動揺させてしまったことには結構気にしていた様子も。
で、杏の失敗をきらりがフォローしに現れるのもなんとも良い関係です。
ここの…お皿が割れてるのとみんなの表情を見て…慌てず騒がず優しくちりとりとホウキを持ってくるって言ってくれて、そのあとで1人もの想いにふけってる…きらり……きらり… pic.twitter.com/Zg4kW7OXTa
— 愚女子 (@GOODjoshi) 2015, 4月 3
ちなみにキャンディーアイランドの三人のところに来た時に掛けた言葉は
「ん?どしたのぉ?」
であった一方。
きらりが縁側で身を縮めて「あのね…」と悩みを明かした時に(その間のやりとりをあえて時間経過飛ばして省いた上で)新田さんは
「そう…智絵里ちゃんとかな子ちゃんがそんなことを」
と返していて。
CIの三人に対しては「状況も心理もよくよく察した上であえて明るい声を掛けてみせた」ということが裏打ちされたりもしているかと思えます。
ここで、明けて翌朝。
未央「だから、もっと練習しなきゃ」
智絵里「ひっ…」
未央「じゃないとフェスに間に合わないよ!」
のすぐ後の
杏「このままやってもエネルギーの無駄遣いな気がする」
は本音でもあれば冷静な判断であると共に。
今度はよりはっきり智絵里をかばっての発言でもあったのでは、と個人的には思えます。
ちなみに、
「きらりはね、皆で歌うのって楽しいかな、って思ったんだけど。ユニットの練習も大変でしょ?両方うまくできるかどうか、不安な子もいるんだな、って思うと」
という思いは、ユニットの仲間であるみりあと莉嘉には、(みりあが)アスタリスクの二人に食って掛かったやりとりからも分かるように共有(「皆で歌うの楽しい」)されていたりもします。
まとめるなら。
ニュージェネレーションズ、キャンディーアイランド、凸レーション、アスタリスクが各々ユニット間で積み上げてきたものや相性の良さで互いに想い合い結束しつつ。
例えばNGとCI、凸レーションとアスタリスク……といったようにユニット間で懸ける思いや熱意、懸念がすれ違ったりぶつかったりしまっている様子が描かれていたのかと思えます。
そして、ソロデビューした蘭子の孤独と不安も。
互いに競い合いつつも、助け合い応援し合い「心をひとつに」
そして、そのユニット間のすれ違いと衝突を、互いに競いあいつつも、助け合い応援し合い、「心をひとつに」(蘭子)するためのスペシャルプログラムを新田さんが打ち出し、毅然として実行し切って見せたのがBパートの流れです。
何をすべきか迷った時の支えも、やるべきことに気づくきっかけも、決意したことを実行している時も、ユニットのパートナーのアナスタシアが新田美波を言葉以上に心と行動とで支え続けてもいた12話でもありました(こちらはAパートからずっと)。
Aパートラスト、鏡を覗き笑顔を作り、頬を叩き気合を入れる。その手を見詰め何かに気づく。
独り自分の頬を張る感触と、仲間と握った手の違い、ということかな。
で、バトンでリレー、二人三脚。ソロの蘭子には自分達が手を繋ぐ。
#imas_cg pic.twitter.com/0erGxpJ84o
— 相楽 (@sagara1) 2015, 4月 3
つまり、一人一人で、独りでではなく。まずユニットの仲間と。そしてシンデレラプロジェクトの仲間でがんばろう、という気付き。
で、CM挟んでBパート幕開け、皆ユニット毎に固まってる。
額の「温故知新」が全員を見守ってる。
#imas_cg pic.twitter.com/FfE4XkI0YQ
— 相楽 (@sagara1) 2015, 4月 3
で、その流れで、三人一組でという構図からでもあるけど。
アスタリスクの二人には競技参加でなく、司会進行と盛り上げ役を割り振る新田さんの采配が愉しい。大丈夫だとは思っても、万が一ここで流れを壊されると困るからね……。
#imas_cg pic.twitter.com/SPqwwJsAEG
— 相楽 (@sagara1) 2015, 4月 3
勿論、積極的な意味合いとして、いつも皆の代弁者の役回りを演じてきた前川みく(と多田李衣菜)は盛り上げ役にも向いていて、リーダーの自分が環の中に入る一方、環の外周から流れを作ってもらう、適材適所という話もありそう。
#imas_cg pic.twitter.com/1yHKskcQmP
— 相楽 (@sagara1) 2015, 4月 3
@yumetya_toka 「アスタリスクは実は(三人四脚で圧勝した)NG以上に改めて合わせるまでもなく、呼吸が合い続けているユニットだから」
https://t.co/b0WeLHgo1d
という側面もありそうだったりもしますねー。
#imas_cg
— 相楽 (@sagara1) 2015, 4月 3
ユニットデビュー告知。
自分たちの楽曲(歌詞なし)を初めて聴く。
相性がいいと思ったと聞かされ。
ソロなら一人はCDデビュー後回しと聞かされ。
「お二人を、信じていいのですね?」「勿論!」
最初から完璧なユニゾン。
#imas_cg pic.twitter.com/MxPU8pwxUe
— 相楽 (@sagara1) 2015, 3月 27
ラブライカ+蘭子の急増ユニットを応援するCPの面々。杏もこの熱心さ。
そして、ゴールの後の喜ぶ皆の中でのこの表情が実に良い。
「必死」の輪の中に加わっていた自分とその気持ちとを改めて見つめている顔かな。
#imas_cg pic.twitter.com/Djm2KnqLqH
— 相楽 (@sagara1) 2015, 4月 3
ちなみに。
「みんなで、心を一つにすれば……」
(皆のどよめき)
「あぁ…あの、その……」
「蘭子の言うとおりです」
ここ、蘭子語じゃないんだよな。
#imas_cg pic.twitter.com/wnp3Y1tJWs
— 相楽 (@sagara1) 2015, 4月 3
ここは蘭子語ではないことと共に。
ソロデビューだったからこそ一際その前の夜にも独り孤独と不安を抱え込んでしまっていた蘭子が「みんなで、心を一つにすれば」と期待と希望ももって素直に口に出来ている、という描写が鮮やかです。
先述したように(その蘭子の呟きのすぐ前に)大縄跳びの智絵里の失敗をすぐに「ドンマイちえりん!」「焦ることないよ!」と未央がフォローしたように、他の誰よりもその流れでそのキャラクターが発するべき台詞がここでも割り振られている、という話かとも思います。
(5話&)6話のやり残しの回収。新田美波(あるいはラブライカ)とNG
5話。
「何もないから心配なのかな」
「それは自信とか…そういう」
「私たちにはプロデューサーさんが用意してくれた素敵な曲と、衣装しかないでしょう?まだステージに立ったこと、一度もないし」
「……美波」
「しっかりしなきゃね。選ばれたんだから、がんばらなきゃ」
#imas_cg
— 相楽 (@sagara1) 2015, 4月 3
この新田さんが6話のライブでアーニャと共に初ライブを成功させて。
その後、PとCPの仲間たちと一緒に一歩ずつ階段を登って行って。
そして、12話ラストではフェスに向けての皆のリーダーに。
素晴らしいなあ。
#imas_cg
— 相楽 (@sagara1) 2015, 4月 3
@yumetya_toka デレマスでは基本、なにかしら欠点として描かれたものは後に長所に反転して描かれますね(一方、その逆も)。それが幾度も幾度も繰り返し描かれています。
螺旋階段を一歩一歩登って行く、アイドル達とP。
#imas_cg
— 相楽 (@sagara1) 2015, 4月 3
「まとめ役だからじゃないの」
「今度はみんなと一緒に何が見えるのか、私自身が確かめてみたいの」
「いいなあ、何が見えるんだろう」
まず、未央に響く言葉に最初は見切れさせ、表情を見せない。
その後すぐにカラリと受ける。
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— 相楽 (@sagara1) 2015, 4月 3
見切れさせての引っ張りがいい感じだし、それをすぐにカラリと受けるというのが本田未央という少女/アイドルのキャラクター性を鮮やかに描いてもいる。横で島村卯月が穏やかに嬉しそうに寄り添っているのもいい。
で、一方、ここでもそれと対照的に描かれるのが渋谷凛。
#imas_cg
— 相楽 (@sagara1) 2015, 4月 3
ちなみに本田未央が「すぐにカラリと受ける」のは物を考えないからでなく、考え、把握し、よくよく分かった上であえてそう出来るのが彼女ならではこその素晴らしい美点だからで。
例えばそこを安易な掌返しだとか抜かすやつは、それこそ安易でアホだからな?
#imas_cg
— 相楽 (@sagara1) 2015, 4月 3
「私ね、このプロジェクトに参加するまで、自分がアイドルになるなんて考えたことなかったの」
「本当に想定外で、私にとっては一つの冒険だった」
「一緒に不安を乗り越えて見えた景色は、とってもドキドキできるものだったから」
(続く
#imas_cg
— 相楽 (@sagara1) 2015, 4月 3
続き)
「冒険して、一歩踏み出してみて、良かった、って思えたから」
「次のライブもね、きっとまた新しい景色が見える、チャンスなんだろうな、って」
1話7話参照……と改めて言うまでもなく。渋谷凛に刺さる言葉の連発に継ぐ連発。
#imas_cg
— 相楽 (@sagara1) 2015, 4月 3
で、真っ先に反応を返した本田未央に対して。
他の面々を次々に映しつつ、最もそれに強く反応すべき彼女を最後に残し。
溜めに溜めてからの、渋谷凛のこの反応。
これも見事過ぎるほど見事なキャラクターの表現。
#imas_cg pic.twitter.com/mGxyFn1sOS
— 相楽 (@sagara1) 2015, 4月 3
ラブライカは6話でしっかり心を一つに重ねて観客と向き合い、初ライブを充実したものとしてやり遂げ感激に浸る……そうできなかったNGとの対比という役を振られた関係で。
8話以降それぞれ丸々1話ずつを使って描かれた他ユニットたちに比べればやや掘り下げが少な目、新田さんが口にした「何もないから心配なのかな」という不安と課題も乗り越え切られていなかった……と、12話放送後の今であれば振り返ることができるようにも思えます。
すれ違いの夜の翌日、「心をひとつに」出来てからの花火の夜の新田さんの告白とそれへの反応を通じてNGもまた掘り下げられ、それぞれ一歩階段を登るという6話に引き続いてのNGとの関わりの深さもすこし、面白いところかとも思えます。
なお、リーダーとしての新田さんの活躍が目立った一方で、大切なことなので二度言うと。何をすべきか迷った時の支えも、やるべきことに気づくきっかけも、決意したことを実行している時も、ユニットのパートナーのアナスタシアが新田美波を言葉以上に心と行動とで支え続けてもいたわけで。
12話の活躍も見事に二人の共同作業、という観があります。
ついに本編とOPがつながったねえ #imas_cg pic.twitter.com/fyBr3L8T9u
— 朗読P, et al. (@Whitethroat) 2015, 4月 3
よく見たら、この花火の色Cu・Co・Paじゃないかw #imas_cg pic.twitter.com/dMemb8YZmY
— 朗読P, et al. (@Whitethroat) 2015, 4月 3
どちらも「心がひとつに」なったことの象徴的な表現でもあるかな、と思えます。CP14人とPが一緒にひとつずつ登って行くのは(「シンデレラ」へと続く)「螺旋階段」
11放送時点(12話放送前)のやりとりなんですが、どこかで書いておきたい話なので、ここで載せてみます。
人の感想や考察記事を読んで、成長って言葉を使うのに慎重になってる自分を見つける。歳かな
— スクラップ残骸 (@scraped_t) 2015, 3月 30
@scraped_t ことデレマスに関しては「一人一人(とP)が自分自身に向き合い、各々が目指すアイドル像(シンデレラ)に向け螺旋階段を登り、アイドルとして輝いていく」構造が明確かと思うので、その文脈の中で階段を登る≒成長として書いていくのは悪くはないかな、と。
#imas_cg
— 相楽 (@sagara1) 2015, 3月 31
@scraped_t 目指すべき模範的な大人、ロールモデルが失われた中で昔ながらの成長物語を描くとか、安易にそのモデルを当てはめ解釈だか考察だかするのは実に危ういかと思いますが、デレマスに関しては割合衒いなくキャラクターの「成長」と捉えていってもいいのかな、と。
#imas_cg
— 相楽 (@sagara1) 2015, 3月 31
@scraped_t デレマスは14人(とP)各々に各々ならではの目指すべきアイドル像、登るべき階段≒成長の行先が多種多様、そしてそこの上下や優劣はなく、相互に尊重されるべき……というテーゼが示されてもいて。非常に「現代的」でもあれば素晴らしくもあるな、とも。
#imas_cg
— 相楽 (@sagara1) 2015, 3月 31
@sagara1 そうですね。人それぞれに成長がありますね。ビルドゥングスロマン的な人間的成長だったり、スキルの積み重ねで目標に到達するアスリート的な成長だったり、ただ成長という言葉で済ませるので無くキャラクタの変化の内実に迫る為に慎重になってはいます。
— スクラップ残骸 (@scraped_t) 2015, 3月 31
@scraped_t まず、「成長」って、多方面(様々なフィクションに対しても、それ以外に対しても)においてあまりにアレな扱い方をされているのを見かけることが多い(多すぎる)言葉・概念かと思うので。
「慎重に」というのはある程度わかるかな、とは思います。
#imas_cg
— 相楽 (@sagara1) 2015, 3月 31
@scraped_t ちなみにデレマスにおける「成長」は各々が「自分と向き合い、アイドルとして輝く」という方向性を常に持ち、アイドル≒個性の良き拡張という趣も持つことと合わせ、ビルドゥングスロマンにおける「去勢」とむしろ逆な傾向を持つのが面白いな、とも思えます。
#imas_cg
— 相楽 (@sagara1) 2015, 3月 31
@scraped_t 「一緒に一つ一つ、階段を登って」、正に「ステップアップ」なのでまあ「成長」でいいだろう、とも。
なお階段は直線ではなく螺旋階段(P執務室でいつも映る置物は恐らくその象徴)というのもいいな、と。
#imas_cg pic.twitter.com/w99dhqsMhx
— 相楽 (@sagara1) 2015, 3月 31
@sagara1 作品として、過去の似たようなシチュエーションに違う対応をするPを描写して「成長している」という事を視聴者に印象づけるという事はしてそうです。
— スクラップ残骸 (@scraped_t) 2015, 3月 31
@sagara1 一方で、ユニット回でアイドルがピンチを切り抜けるのは「覚醒的」で階段を一足飛びにしてしまってる感もあります。もちろん一足飛びにできる脚力は日頃の積み重ねだろうなと思うのですが。
— スクラップ残骸 (@scraped_t) 2015, 3月 31
@scraped_t まず、心理描写としてキャラクターを「一人の人間として描く」方向の迫真性に強くこだわる一方、設定とか社会環境とか、都合の良い(良すぎる)流れとか、状況についてのいわゆるリアリティ(?)は一貫して緩く扱っている観はありますね。
#imas_cg
— 相楽 (@sagara1) 2015, 3月 31
@scraped_t 「一足飛びにできる脚力」といえば、11話*はNGとの対比の上で、3、6、7話を一挿話で早回しでこなしてみせた観もあります。
それは積み上げあってこそ、という事も見事に描かれていたかと
http://t.co/qHWCxtQXNq
思えます。
#imas_cg
— 相楽 (@sagara1) 2015, 3月 31
@sagara1 おっしゃる通りですね。そもそもアイマス世界が346プロに限らず「アイドル多すぎ」なので、キャラクタのリアリティを追求していくと、そのうち世界と齟齬が出てくる懸念に気づく。今は3話に出てきた大物プロデューサーらしき人物などでリアリティの釣り合いをとってるけど
— スクラップ残骸 (@scraped_t) 2015, 3月 31
絵コンテ:神戸守
「今はユニットの方を大事にしたいんだよね。私たち、一番最後だったから」
アスタリスクと年少組二人の会話を聞いていた新田さん。
その背後にフェリー(?)の発着時刻表。
神戸守絵コンテらしい(?)表現だなー。
#imas_cg pic.twitter.com/93Z55GxQH6
— 相楽 (@sagara1) 2015, 4月 3
きらり「みんなで歌うなんて楽しそう!」
莉嘉「どんな曲なんだろう」
みりあ「わくわくするね!」
↓後ろ三人他に合わせられていた焦点が杏に合う(表情は最初から変わらない)
杏「はあ…また仕事が増える」
#imas_cg pic.twitter.com/7QFdq8dmxZ
— 相楽 (@sagara1) 2015, 4月 3
凛→開かれた障子、開いた窓。
卯月→閉じた押入れ
未央→開いたカーテン、閉じた窓、積まれた布団。
背景も一人の主要な登場人物であるかのように表情豊かに振る舞う絵面。
そこら辺も「ああ、神戸守絵コンテだ」って感じだ。
#imas_cg pic.twitter.com/ZFwNrP31dY
— 相楽 (@sagara1) 2015, 4月 3
12話の滴りと水。
重圧に苦しむ美波。涙を(見せず)止めるように水を止める。
事態を打開し、明るい日差しの下、階段の向こうに海が広がる。
楽しく水の掛け合い。
輝きを放ち一粒落ちる水滴。確認される団結とリーダー。
#imas_cg pic.twitter.com/BKTsljnB0d
— 相楽 (@sagara1) 2015, 4月 3
続き)
最上段の蛇口の向きが左向き、最下段が右向きで逆。
独りで鏡と向き合う孤独と辛さ(最上段右)と、
皆で課題と向き合う団結と喜び(最下段左)と。
例えば、そういう話でもある。
#imas_cg
— 相楽 (@sagara1) 2015, 4月 3
神戸守さんは劇場版アイマスにも関わり、特にその後半の合宿の場面に担当した箇所が多かったいう話などもあり、それもあっての起用だったのかな、とも。
ちなみに直近ではノイタミナ枠の二作品『四月は君の嘘』『冴えない彼女の育てかた』での大活躍(君嘘では全22話中、8話で絵コンテを担当、全てが神回という驚異の神戸守無双)が大変印象的だったかと思います。
君嘘での担当回についてはこちらで随時詳しく触れていますので、関心のある方はご参照頂ければと。
○『四月は君の嘘』感想まとめ
http://togetter.com/li/733123
○『四月は君の嘘』感想[二期]
http://togetter.com/li/768618
劇場版アイマスとの重なり・対比
ムビマス・デレマス双方において聖地化したあの民宿、ファンタジーものだったらあまりの清浄さに魔のものが近づけないレベルの結界を形成しそう。宝具だったら祝福儀礼の多重がけ
— 朗読P, et al. (@Whitethroat) 2015, 3月 30
ムビマス・デレマス双方において聖地化したあの民宿、ファンタジーものだったらあまりの清浄さに魔のものが近づけないレベルの結界を形成しそう。宝具だったら祝福儀礼の多重がけ
— 朗読P, et al. (@Whitethroat) 2015, 3月 30
同じ合宿所で、千早は昼に海を見て、凛は夜に星空を見るのか。美しい対称性だ #imas_cg pic.twitter.com/767Wnz4xs8
— 朗読P, et al. (@Whitethroat) 2015, 3月 30
合宿の夏、アイドルたちの夏 #imas_cg pic.twitter.com/fyzQP12RjU
— 朗読P, et al. (@Whitethroat) 2015, 4月 3
本当にムビマスとの対比と相似を盛りだくさんで入れてくるなあ #imas_cg pic.twitter.com/WtYP2yCZT7
— 朗読P, et al. (@Whitethroat) 2015, 4月 3
「一緒に不安を乗り越えて見えた景色は、とってもドキドキできるものだったから」、か。いつか来た道、誰かが行く道 #imas_cg pic.twitter.com/sb05ZfG5zR
— 朗読P, et al. (@Whitethroat) 2015, 4月 3
この対比な。765は再確認と再出発を夕焼けに見て、346はこれからの期待を青空に見てるような気がする演出好きです pic.twitter.com/zjnUpOj6c5
— 星空P (@starlightcarpet) 2015, 4月 3
良さ... pic.twitter.com/2pHrc9ll8c
— 氷月P@上陸準備中... (@hiduki_9) 2015, 4月 3
初めての大舞台に立つCPは左から右、今までの集大成の765ASは右から左というわけか pic.twitter.com/JYHTUuqfu0
— スクラップ残骸 (@scraped_t) 2015, 4月 3
ここまであからさまにあるいは重ね、あるいは対比を示してきているわけで。
おそらく、その意図も含め詳しく細かく追っていけばより一層面白いのでは、とは思えます。
いつもの。
ブログ向けに加筆&再編集した話の他、多方面の内容を随時、togetterでまとめています。
宜しければどうぞ。
○アニメ版『アイドルマスターシンデレラガールズ』(デレマス)感想
http://togetter.com/li/768711?page=1
↓12話分は下記リンク先から。
http://togetter.com/li/768711?page=82
例えばこんな話なども。
— 借金姉妹2 (@meidonomiyage) 2015, 4月 3
いや、まあ、そこは露骨過ぎるほど露骨な「灰かぶり(姫)(→シンデレラ)」の(9話のクイズで落下粉まみれに続いての)寓意だから。
だから……ベイマックス言うなwww
https://t.co/ddGa0PaBgy
#imas_cg
— 相楽 (@sagara1) 2015, 4月 3
他には挿入歌の使われ方とその意味についての検討など、まあ、いろいろです。