『selector infected WIXOSS』8話では何が描かれていたのだろう?

※5/31(9話TV放映後)追記。
selector9話観ました。おー。
台詞と今話タイトル「その真実は無情」を額面通りに受け止めるとすると、個人的にいろいろツラいですね?(-△-)
まあ、それはいいとして。
EDの役名表記、そうなるんだ。面白いですね。


まず、一つの明らかに意図的な対比について取り上げたいと思います。


selector infected WIXOSS』8話において、夢幻少女となった「遊月」と香月のやりとり。
これは5話で緑子が消滅したあの場面に続いて描かれた、遊月と花代の口論、それを聞きつけた遊月と香月のすれ違いと対を成すものとして描かれています。
改めて以下のように並べると、あまりにも明らかだろうと思えます。

■5話の該当部分の会話。


昼に一代が自分のルリグである緑子に「いい天気」といって見上げ、東京に越してきてからこんなに空が青いことにきづいていなかったと語った空。
緑子が「降り始めたね・・・・・・」といってから伝えられなかった思いを呟きながら消えていった空。
今はざあざあと雨が降りしきる中、その場面は始まって。


遊月「花代さんが・・・・・・怖くなった。今まで・・・信じてたのに」
花代「捨ててもいいんだよ」「いいんだ、遊月・・・…私を捨てて」
遊月「黙ってて!」


(ノックの音)
香月「遊月?どうしたの?」
遊月「あ…いや、なんでも…」
香月「花代さんとケンカしてた・・・?」


香月「・・・…最近の遊月、何か変だ」
遊月「え・・・」
香月「前は・・・何でも話してくれたのに」
遊月「(小声で)何でもなんて違う……」
香月「いって欲しいよ、頼って欲しいよ、前みたいに」遊月「本当に言いたいことはいえなかった」
香月「僕たち、ずっと一緒だったろ?」遊月「今、言ってしまえば・・・」


香月「遊月・・・?」遊月「何でも・・・うん、ホント、なんでもない!」
香月「やっぱり・・・僕にはいえないんだね・・・」遊月「え・・・」
香月「僕さ・・・ちゃんと姉離れする」

■8話の該当部分の会話


遊月「違うのかも」
香月「・・・っ、双子だろ?」
遊月「全然違うところ・・・半分こして、生まれてきたのかも」
遊月「・・・・・・こうしてやっとひとつ」
香月「なんか・・・変だ」遊月「何が?」香月「遊月も・・・・・・みんなも」
遊月「みんなと、何かあったの?」
香月(沈黙)
遊月「なんでも、話して欲しい」
遊月「わたしは、香月の味方だから」
遊月「永遠に・・・・・・香月の」

そして、この場面に大いに絡む話として。
冒頭に「selector8話の夢幻少女となった「遊月」と香月のやりとりについて」と、遊月を「遊月」と括弧でくくって示した問題について。
以下、書いていきます。


selector infected WIXOSS』8話放送後。
よく「この話の中では何が起きたのか」について確定的に語る(よく見かけるのは特に「遊月」の声が花代の声(川澄綾子)に変わっていたことに注目しての「selectorであった遊月とルリグであった花代がそのまま入れ替わった」という解釈)感想を目にするのですが。
実は放送された内容からは、本当には「遊月が夢幻少女になったこと」によりどのような事態が起きていたのか「はっきりしたことは材料不足でおよそいえないのではないか」と思わされます。


その上で、以下は個人的な憶測です。


selectorである少女A(girl)は夢幻少女となる時、ルリグA(lrig)を取り込み一体化する一方で。
願いの妨げとなるものを自己(少女A)から切り離し、それが「願いを叶えるために少女Aが必要としなかったルリグAの要素」とも合わさり、新たなルリグBを産む。
そうして生まれたルリグBは、他の少女Bがその願いを叶える為に(かつて少女Aの願いの為には必要とされなかった彼女(ルリグB)を)必要とした時、彼女の前に現れて。
少女BはそうしてselectorBとなる。


いわば「自分」というデッキを構成する配られたカードたちをルリグのそれと混ぜ合わせることで。
願いを叶えるために最適化されたデッキ=「夢幻少女としての自分」として組みなおす(余ったカードが別のデッキ=ルリグとなる)。


そういう仕組みなのでは、と。
※この憶測は過去話の描写とルリグたちによる説明から、ある種のゼロサム(やそれより性質が悪い)と思われていたゲームの性質に対して、ある種互恵的な側面を見出す可能性に繋げられるところでもあり(勿論、より一層の酷さや厳しさに繋がる可能性も多いにあります)。そこも面白いポイントかと。


その仮説をあてはめると先掲の8話で香月を誘惑する「遊月」はかつてのselectorであった少女・紅林遊月ともそのルリグであった花代とも異なる者であり。
「夢幻少女・紅林遊月」という別の存在なのでは、と憶測することになるわけです。
その場合、

遊月「全然違うところ・・・半分こして、生まれてきたのかも」
遊月「・・・・・・こうしてやっとひとつ」

遊月「わたしは、香月の味方だから」
遊月「永遠に・・・・・・香月の」

は「遊月」が香月に話しかけている言葉ですが、そうでありながら同時に花代が遊月に改めて語りかけてもいる言葉であるようにも思え。
大変趣き深いのでは、と個人的には思えます。


また、これは憶測の上に憶測を重ねる形にもなるわけですが。
先述の仮説の上で「一衣が改めて抱く願いと、ルリグとなった遊月(の姿をしたもの)」について考えてみると、それもまたとても面白くはあります。


なお、selectorたちの願いがそれぞれ異なったように、ルリグたちの願いもまた各々およそ違うものなのでは、とも。
たとえば消滅、ある種の輪廻(先述の捉え方だとそれともまた違うかと思うのだけれど)からの解脱を願うルリグもいれば。
生々流転、時にselectorとして時にルリグとして。
無限の戦いの中に居続けることを願う存在もいたりするのでは。

以上の解釈をふまえると・・・・・・あるいは、そのある種の裏づけとして。
OP「killy killy JOKER」の映像及び、その歌詞が興味深い(勿論、ED「REALIZE-夢の待つ場所-」もいろいろ面白いわけですが)と思えたりもします。

killy killy JOKER (TVアニメ「selector infected WIXOSS」オープニングテーマ) (初回限定盤)

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※「killy killy JOKER」歌詞(Uta-Net)
http://www.uta-net.com/movie/163346/


たとえば、

最高の未来へ向かう世界へようこそ 真実は偏にカードの裏/表

そしてなにより…・…

何を選んで何を手放し一つになれば良いんだろう

あと、

Why don’t you want an ideal world?
Why don’t you play for foul yourself.
Why do you choose on your own for the future?
Why do you want to step into the world?

といったあたりも。



また、「ルリグとは何か」という話について。
関連する佐藤卓哉監督のtweetも引用しつつ、「緑子」という一衣のルリグの名前と、彼女が消えていくときの独白とは、大変に興味深い考えるための材料を提供してくれているのではないかと思います。
他の件とともに、こちらのまとめで触れています。

selector infected WIXOSS』5話放映終了後のTL
http://togetter.com/li/662763


それと、この『selector infected WIXOSS』8話。
全体的に画も演出も過去最高であったかと思うのですが、特に。


■アヴァン後半、るう子の視界を手でふさぐ遊月〜OP開始。
■このブログでも取り上げた、「遊月」と香月のやりとりの場面


は、ぞっとするほど巧みだったと個人的に思えます。


また次回9話では「遊月」と「遊月の形をしたルリグ」のCV及び役名がどう表記されるのか、とても楽しみです。


なお、この日記で書いてきたselectorとルリグの関係をあきらっきーとピルルクたんにあてはめてみたりすると、なんだかひどいことになりそうで。
蒼井晶はごく表面の部分でしか他人も分析できないし、自分も見えていません。
だからバトルに負け続けもし、掲載誌のマネージャーから「うちのカラーじゃない」「読モとしてまともな自覚もない」とWIOSSの勝敗の効果と関係なく見捨てられようともしていたわけですね。
そんなあきらっきーを補う存在として現れたのがピルルクたんで、その冷静さと分析力を取り込んで一体となれば、願っていたように伊緒奈に勝てる少女になれた筈だった……のでは、と。
繰り返すように憶測ですが、ヒドイ話デスネ。


なお、実にスピーディーかつ悲惨な転落っぷりと、selector本編終了後の「提供」での大活躍につぐ大活躍で大人気のあきらっきーであるわけですが。
個人的には、後にガチで超絶可愛く健気で心優しい蒼井晶ご幼少の砌(みぎり)が描かれ、アニメ版『神様ドォルズ』7話「追憶の肖像」のような誰もが同情をせずにはいられないようなトラウマ話が展開されるのをわくわく期……じゃなかった、びくびく震えながら恐れていたりもします。
ところで『神様ドォルズ』OP曲「不完全燃焼」を熱唱するあきらっきーとか、ちょっと見てみたいですね。

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selector8話関連・番外編「なんであきらっきー、記憶失っていなかったの?」


また8話についてはもう一つ、大きな疑問が出てくるところかと思います。
「なんであきらっきー、selectorバトルの記憶をしっかりもったままなの?5話で花代さんがしてくれていた説明はなんだったの?」と。


これについても、勝手かつ適当に答えを考えてみました。


○回答1:
花代さんは嘘つきだった。don't trust your lrig.
⇒ひどいよ、花代さん!


○回答2:
五話を再視聴すると、流れとして「一衣はどうなるの?」に答える中で「(一衣の場合は)selectorバトルに関わる記憶をすべて喪う」と答えたととれなくもありません。
⇒詐欺的なレトリックでやっぱり酷いよ、花代さん!
なお、その場合「一衣にとってはそれが、晶にとっては覚えていることこそが願いの反転としてより悲惨で相応しいから」ということにもなりそうです。
⇒ひどいや、WIOSS!


○回答3:あきらっきーの元には既に新しいルリグが。それと共に記憶も取り戻したのだ!
⇒でも、その先にはより一層悲惨な明日しか待っていそうにないよ、花代さん!


○回答4:既に必要条件(の一つ)であったselectorバトル三勝は満たしていた蒼井晶さんには特典として記憶喪失が免除されていました。やったね、らっきー、らっきー、あきらっきー!
⇒回答2で書いたようにかえって悲惨だよ、どうして?花代さん!



※回答4関連として。
「どうしてあきらっきー、三勝(以上)してたのに夢幻少女になれなかったの?」について。
「緑子が嘘をついていました。緑子、悪い子!」という以外の回答も勝手に想定してみました。


a:願いと不可分に結びついた対象である浦添伊緒奈さんが人間もしくは読者モデルとして素で凄すぎて「その願いを叶えるには私の力が足りない」というドラゴンボール神龍状態だった。
b:伊緒奈さんは「誰にも負けない私でいたい」といったあきらっきーの願いと対立もしくは矛盾する類の願いを既に叶えていた(その勝利の上で更に他の願いをもって新たにselectorとなっていた)。そして「勝ち数などであきらっきーを上回っていたため、それを越さないと願いは叶わなかった」もしくは「後発のあきらっきーの願いは先着順で負けていた」。
c:夢幻少女となるには、あきらっきーの心がけなり人間革命の度合いなり、ピルルクたんとの信頼関係なりが不足していた。


○回答6:あきらっきーの黒く浅はかな魂の輝きはWIOSSの呪いを凌駕した!
⇒すごいよ、晶さん!