■関連
短編連作集。面白かった。以下、各篇の感想(※一部は感想スキップしてる)。
■「一 ◯の中身はなんだろな」
美玲宅での低音パート親睦会。
/良い話で、大いに面白いのだけど。なんというか……たこ焼きパーティーくらいそんな細かくあれこれ人間関係に気を回しまくらず、素直に無邪気に楽しんだら?
■「二 気がある気がする」
複数の男子部員たちに広まる「黒江さんってさ、俺のこと好きなんちゃうかな」という誤解。
塚本秀一「あほちゃう?」「その話、お前で五人目や」
/笑った。
■「三 ランチタイムにて」
あの高坂麗奈が黒江真由が放つ魅力に思わず少しよろめいてる。
/大分面白い。
■「~幕間・アジタート~」
久石奏、黒江真由への呼びかけ方を変える。
/とても面白い。
■「五 ドライブ」
楽しく幸せそうな鎧塚みぞれと、その隣でごく自然に気負わず振る舞っている傘木希美。
/まず何よりこの章が読みたかった。
■「七 賞味期限が切れている」
黒江真由はどのようにして、黒江真由になったのか。黒江真由・オリジン。
/怖くて、切ない。
■「~幕間・グラーヴェ~」
久石奏「貴方は誰より強欲なんですね」「黒江先輩は自分の欲望に忠実な方ですよ。ただ、その欲望の内容が『みんなの幸せを望んでいる』というだけで」
/その前の「七」と合わせて、黒江真由≒『WHITE ALBUM2』小木曽雪菜の同類説を唱えたくなる。
「自分のため」を切り捨てた自己犠牲はダメ、いいかえれば「正しいエゴのあり方」という話だと『WHITE ALBUM2』の小木曽雪菜のエゴの圧倒的な正しさは面白いと思う。自分の本当の幸せをしっかり知って、あらゆる手段を駆使してそれに向けて進む。自己犠牲なんかじゃないのがいいんだよな。
— 相楽 (@sagara1) 2012年10月12日
雪菜TRUEの方はと言えばあれは小木曽雪菜こそは作中最強の強烈極まるエゴの持ち主で、そのエゴの赴くままエゴを貫き通して二人の人間を一度とことん芯まで壊し自分の望む幸せな関係性の中に再生させてみせたという物騒極まる話なので、まあ、なんかすごい。
— 相楽 (@sagara1) 2018年2月16日
■「八 大人の肴」
滝昇、新山聡美、橋本真博、松本美智恵の全国大会優勝後のお疲れ飲み会。
/「そうですよ!」の一言、「思ったよりも声量が大きかった」と当人が思う、そこにこもった新山聡美の情念が怖い。
■「九 新・幹部役職会議」
引退する黄前久美子たち現幹部の指名により新幹部三人が決まる。選ばれたのは……。
/部長と副部長逆になるかと思ってたけど、なるほどなー。あとドラムメジャーはコントラバスから選ぶ線もあるかと思ってた。
■「十 旧・幹部役職会議」
選出の理由。
/なるほど。
■「十一 未来への約束」
卒業旅行の行先が決まる。同時に三年生の最後の演奏の機会も決まる。
/『そういうとこ! アンタさ、秀一君の優しさを蛇口ひねったら出る水みたいに考えてるとこあるよね』
この台詞に深く頷きながら「もっといってやってください、お姉さん」と塚本秀一のために願った。
/で、そんな塚本秀一も来ている旅行の中で。黄前久美子さんはホテルの浴室で高坂麗奈さんと一体なにをしているんですか???
■「~閉幕・パストラーレ~」
そして、次の曲が始まるのです。
/北内高校吹奏楽部の明るい未来に乾杯。