話数単位で選ぶ、2022年TVアニメ10選

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「話数単位で選ぶ、2022年TVアニメ10選」への参加記事です。

現在は個人ニュースサイト「aniado」さんが集計されている企画で。
過去、2014年2017年2020年2021年と四回参加させて頂いています。

 

単位で選ぶ、2022年TVアニメ10選」ルール

・2022年1月1日~12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。

・1作品につき上限1話。

・順位は付けない。

 

規定に従い以下、順不同です。

 

1:『連盟空軍航空魔法音楽隊ルミナスウィッチーズ』第5話 「まっしろリボン」
2:『まちカドまぞく 2丁目』第6話 「夕日の誓い!まぞくたちの進む道」
3:『ぼっち・ざ・ろっく!』第12話「君に朝が降る」
4:『明日ちゃんのセーラー服』第7話「聴かせてください」
5:『Extreme Hearts』第12話「SUNRISE」
6:『虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』2期第6話「 "大好き"の選択を」
7:『Do It Yourself!! -どぅー・いっと・ゆあせるふ-』5話「DIYって、どこかに・いばしょが・ようやく」
8:『メイドインアビス 烈日の黄金郷』第12話  「黄金」

9:『86-エイティシックス-』22話「シン」
10:『プリンセスコネクト!Re:Dive Season 2』4話「駆け出しの名探偵
〜ミロワールに想いを寄せて〜」

 

 

1:『連盟空軍航空魔法音楽隊ルミナスウィッチーズ』第5話 「まっしろリボン」

監督:佐伯昭志
アニメーション制作:シャフト
脚本:山﨑莉乃
絵コンテ:徳野雄士、佐伯昭志、春藤佳奈
演出:白石道太
作画監督:浅井昭人、渋谷勤、細田沙織
放送日:7月31日

折り紙にあしらわれた青い花と亡き妻/母が愛した青い桔梗、自分を偽るお姫様とクーポラのだまし絵、差し出された白いリボンを付けた姿を鏡で見て慌てるシルヴィと夜の窓に映るまだ拙い自分の踊りを見つめ練習に励むジョー……終始、象徴の使い方が巧く、そして締めの品が良さが素晴らしい。

この挿話を通じて描かれ抜く、言葉にされずとも伝わる思い。今は伝われずとも確かに示され、いつかきっと伝わるだろうという思い……この5話ほどの構成美を誇るオリジナルTVアニメの話数は極めて稀だと思えるし、『ルミナスウィッチーズ』という作品全体についても同様に思う。


放送前は個人的に関心が強くなく「『放課後のプレアデス』『アサルトリリィ』佐伯昭志監督の作品なら」という興味で観始めた所、1話からだんだんと好印象が強まり、そしてこの5話で惚れ込んでしまって。
急いで未見だった過去作『ストライクウィッチーズ』1期2期3期、『ストライクウィッチーズ劇場版』、『ブレイブウィッチーズ』等々を配信で観ていったら……7話で『ストライクウィッチーズ』6話で描かれたエピソードと14年越しに物語が繋がるという展開にも出会うことに。


※5話の諸々の描写について、また、以降の話数や過去作絡みの諸々等についての細かい話はこちらで↓

『ルミナスウィッチーズ』6話以降も素晴らしいエピソードが最後まで描かれ続けいったことで、最初は5話について組んだまとめだったものが、結局作品全体の感想まとめともなった。
個人的に、得難い、幸福な出会いだったと思う。

 

 

2:『まちカドまぞく 2丁目』第6話 「夕日の誓い!まぞくたちの進む道」

監督:桜井弘明
アニメーション制作:AQUA ARIS
脚本:大知慶一郎
絵コンテ:岡本英樹
演出:野上良之
作画監督:上田彩朔、浅尾宏成、中熊太一、谷川政輝、大木良一、大塚舞

総作画監督大塚舞
放送日:5月13日

これまでの話の総決算を、キャラクターと、その暮らす街角と空と、1期主題歌と連動させて描く。
極めてハイテンポな演出でずっと進んできた作品が、その笑顔を見ての涙だけはこんなにもじっくりと描く。

物語としてもアニメとしてのこれまでの描き方全体も、全てがこの2期6話終盤で迎えた(ひとまずの)クライマックスに収束し描かれる様が圧巻だった。

 

なお『まちカドまぞく 2丁目』が好きな人は12/19日配信の

「「まちカドまぞく 2丁目」スタッフトークイベント~眷属たちの集い~」

ニコニコ動画のプレミアム会員向けタイムシフト視聴で観るのも(勿論、未見なら)お勧め。

以下の投稿から連投で、配信の感想メモも。気になる人はどうぞ。

 

3:『ぼっち・ざ・ろっく!』第12話「君に朝が降る」

監督:斎藤圭一郎
アニメーション制作:CloverWorks
脚本:吉田恵里香
絵コンテ:斎藤圭一郎
演出:斎藤圭一郎
作画監督:けろりら
放送日:12月25日

1つの話数の中でも全話を通じても精緻に構成され。
アイディアに溢れ凝りに凝った演出で、手描きにこだわるライブ作画で、素晴らしい楽曲の数々で……いつも最高に楽しませてくれた傑作。

 

その良さは1話から順に、原作とも細かく比較しつつじっくり観ていくと(例えば下記リンク先のまとめでも読んでいって貰えば……)絶対により良くわかるかとは思うのだけれど。

ともあれ、ここでは12話とそこに至る流れについて。

12話は最終回らしく、積み重ねられた様々な流れが結実した回であるといえるかと思う。

 

 

 

 

 

 

4:『明日ちゃんのセーラー服』第7話「聴かせてください」

監督:黒木美幸
アニメーション制作:CloverWorks
脚本:山崎莉乃
絵コンテ:Moaang
演出:Moaang
作画監督:川上大志
放送日:2月20日

この作品は1話から12話までどの話数でもこうした10選に含めるに相応しいだろう画、構図、物語、キャラクターの魅力に満ち満ちているだいぶ特異なアニメなのだけれど。

中でも7話は画と構図についてもトップクラスでありつつ、特に抜きん出た「音」の演出、そしてこの挿話で(蛇森生静と共に)クローズアップされる戸鹿野舞衣というキャラクターの発する圧倒的な引力のために特別な話数になっていると思える。

 

※7話及び他の話数についての詳しい感想等はこちら↓


5:『Extreme Hearts』第12話「SUNRISE」

監督:西村純二
アニメーション制作:Seven Arcs
脚本:都築真紀
絵コンテ:岩畑剛一、西村純二
演出:細田雅弘、深瀬重
作画監督:橋本貴吉、関根千奈未、鞠野黄英、ジョンヒジン、平田賢一

総作画監督:新垣一成、奥田泰弘
放送日:9月25日

12話で最も素晴らしいのはまずなんといっても、それまで挫けず揺るがぬ意思を示し続けてきた主人公・葉山陽和が、シンデレラ・ストーリーを成就させての喜びと誇らしさでいっぱいのはずの晴れ舞台で唐突に泣き崩れ立ちすくんで。

そして周囲を見回し、立ち直り、感謝の言葉を大きく叫んでまた歌い踊り出す場面。

12話前半では陽和率いるRISEの他メンバーは、彼女の泣いた所も怒った所も見た事がない、見せてくれていない……それは多くを背負わせすぎてる為だ、もっと支えられたら、支えていかないと、そうできる私たちにならないと……と話す場面があって。

更にステージ前MCで陽和は優勝し今ここにいる事を夢のようだと、メンバーの支えと観る人達の応援に感謝したいと口にしていて。

その上で、かつてない大きな舞台で歌い踊り会場全ての喝采を仲間たちと受けた時、はじめてその巨大な「実感」が襲ったことを描いた場面なのだと思う。

これまでに重ね続けてきた努力、耐えに耐えてきた諸々、出会った多くの人から受け取った思いと支え、抱き続けてきた夢、現実になった想像……多くの思いが複雑に混じり合い単純な言葉で表現などできないしすべきでもない在りかたを、こうして示す。

 

その時、RISEのメンバーはまさに今、陽和を支える時だと自然に悟り、泣き続け立ちすくむ陽和が戻るまで場を守るし、観客も温かく待つ。

これまでに得てきたもの、これから引き受けて更に歩んでいくものが鮮やかに示され、更に大きな舞台がRISEを待つ。

ここまで物語もキャラクターも見事に描き続けられ、描写が積み上げられてきたからこその美しいクライマックスだった。

 

※単なる理屈や言葉では片付かない「実感」を描いた事例といえば、TVアニメでは例えば『宇宙よりも遠い場所』12話(全13話)の報瀬の号泣場面が挙げられるかと思う。

目にしたのは、その時からずっと歩み続けてきた自分の道程と。
そして、それを見ることが、(どんなにか見てやりたかっただろうに)見てやることができなかった人の姿だったのかと思う。
喪失の実感……と言葉にすればそういうことなのかとは思うけど、簡単に言葉で片付け得るものでも片付けるべきものでもないから、こうした表現となり、それが完璧なまでに相応しかった。

作品の終盤においてこうした「実感」を描き切ることができる作品はそれだけで傑作の資格を得ているとすら言って良いのかもしれない。


そして『Extreme Hearts』12話においてもう一つ感嘆させられたのが、最後に立ちはだかったライバルMay-Bee(メイビー)がライブ場面で体現してみせたもの。

"負けてなお格上"という、貫禄と敗北でも決して折れず……勝って得るべきものを得ることはできずとも負けたことで何も失いなどしないし、負けたままでいるわけもないと、その魅力と意思と在り方を映像と歌で示し切った姿。

挫けることなきレイジングハート、そのセットアップ。"Stand Up and Fight"の魂。

上記の動画部分からでも明らかなように、曲名「HELLO HERO」の「HERO」とは他の誰かでなく「わたしの胸の中に 宿る勇気」(であると共に「誰しも胸の中に 宿るヒカリ」)。

フルバージョン(各種サブスクで配信。歌詞はこちら)では明快に

「わたしを救えるのは わたしなんだって

 明日にSay HELLO

 いつでも 胸を張っていたい」

とも歌い上げる。

その自力救済の志向は(「HELLO HERO」の作詞は別の人だけど)いかにも(『Extreme Hearts』の原案及び脚本を手掛けた)都筑真紀らしいとも思える。

都筑真紀さんは今は昔、エロゲー方面で『ONE』(1998)『KANON』(1999)『AIR』(2000)が大きな話題を呼んだりもする中でも……ヒロイン陣が主人公に"選ばれない"なら"選ばれない"で少なくないケースで自分のことは自分でなんとかして道を切り拓くし、各々のルートでも主人公は手助けでやっぱり基本は本人が自身と向き合うという『とらいあんぐるハート』(1発売=1998、2/1999、3/2000)のシナリオ・原画を務め。

その後『とらいあんぐるハート3』のスピンオフから人気アニメシリーズに発展した『魔法少女リリカルなのは』でも幼女(高町なのは9歳)や幼女(フェイト・テスタロッサ9歳)や幼女(八神はやて9歳)や幼女(高町ヴィヴィオ、転生後年齢推定4~5歳)が過酷な運命に時に挫けそうになり、差し伸べられる温かな手に支えられつつも、肝心要なところは自ら立ち上がり戦い自分は自分自身で救う姿が描かれ続けてきてもいた。

それで、そのあまりに幼女(または少女)に過酷な運命をぶつけていく在り方とそれへの幼女(または少女)たちの向き合い方についてはだいぶ昔にちょっとアレな形で触れたりもしたのだけれど。

そういった諸々を鑑みると。

「ああ、都筑真紀さんも己の魂はまず己自身で救う自力救済の輝きを鬼畜外道な幼女/少女虐待を交えずともこうしてここまで綺麗に力強く魅力的に描けるようになったんだなあ、素晴らしいなあ」

と思わずにはいられず、その意味でも大変感慨深い話数でもあった。

 

6:『虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』2期第6話「 "大好き"の選択を」

監督:河村智之
アニメーション制作:サンライズ
脚本:田中仁
絵コンテ:ほりうちゆうや
演出:横手楓太
作画監督石井久美、市原圭子、粕川みゆき、亀田朋幸、後藤望、永山恵、林央剛、三沢聖矢、吉田雄一

ダンスパート絵コンテ:神谷宣幸、中山直哉

ダンスパート演出:戸澤俊太郎

ダンスパート作画監督:久松沙紀

総作画監督:横田拓己、冨岡寛、山本亮

放送日:5月7日

 

アニメ虹ヶ咲、特に二期のストーリーテリングは良くも悪くも

"過去がこう、今がこう、同好会の面々と関わっての足跡がこうであるからには、この人物がこの人物である以上そりゃあそうしますよね"

という徹底した詰ませ方、詰め寄り方が特徴と思う。
新しく加わったランジュ、栞子、ミアについては勿論、1期から続投の同好会の面々についても。


それは流れとして美しくもあれば作中人物としても、それを観る視聴者にしても納得の度合いが高いものになる一方、時にはやや"自分の意思で決断する"という趣きを損なっている印象もなくはない。
でも、例えばこの6話の優木せつ菜/中川 菜々(それに7話の三船栞子)くらい見事に決めてこられると感嘆が遥かに上回る。

それに至るお膳立ても含めて、実に見事な「選択」だと思わされる。

 

 

そして、下した「選択」の上での、それを宣言する様が。

1期2期通じた作中のキャラクターが作中世界において他のキャラクターたちに見せる演出としても、作品が視聴者に見せる演出としても屈指、あるいはベストのものだったかと思う。

このくだりの画、構図、流れ、楠木ともりさんの演技等々すべてに渡る良さがこの虹ヶ咲2期6話を選出した大きな理由になっている。

 

それと「選択」の上での演出といえば、勿論ライブ場面についても。

 

※6話及び他話数のより詳しい感想はこちら。↓

 

7:『Do It Yourself!! -どぅー・いっと・ゆあせるふ-』5話「DIYって、どこかに・いばしょが・ようやく」

監督:米田和弘
アニメーション制作:PINE JAM
脚本:筆安一幸
絵コンテ:伊礼えり
演出:伊礼えり
作画監督:新井博慧
放送日:11月3日

 

DIY関連のお仕事をされているというのはだいぶ前にご本人のtwitterで情報が出ていたので、以前から楽しみにしていた絵コンテ・演出=伊礼えりさんの回。

色々長くなるので細かな良さの紹介は幾つか挙げるに留めるけど、何よりまず「TVアニメ観るのって楽しくていいなあ」と改めて強く思わせてくれる傑作回だった。

 

※5話及び他話数のより詳しい感想はこちら。↓

 

8:『メイドインアビス 烈日の黄金郷』第12話  「黄金」

監督:小島正幸
アニメーション制作:キネマシトラス
脚本:倉田英之
絵コンテ:小島正幸
演出:小島正幸、垪和等
作画監督:伊藤晋之、大森理恵、川崎怜奈、小里明花、滝口浩喜、竹本未希、田中宏紀、谷紫織、寺尾憲治、福島勇三、橋妙子、山崎絵美
放送日:9月28日

「ファプタは…母のすべてを継いだ…と思っていた
だがヴエロエルコ お前がいた という記憶だけは
ファプタのどこにもなかった
ヴエコ
母は…たとえファプタであっても
お前だけは
お前だけは渡したくなかったのだ」

煎じ詰めればこの台詞、この場面を観たかった。

勿論言うまでもなく、そこまでが見事に描かれ抜いているからこそ輝いてもいた。

ファプタの久野美咲さんは勿論だけど、ヴエロエルコの寺崎裕香さんの演技がとにかく本当に素晴らしかった。

ありがとう、『メイドインアビス 烈日の黄金郷』。

 

またこのアニメが主役たちは勿論、描かれる世界や生き物たち、諸々の脇役たちも緻密に力強く描いていたことは、例えば成れ果てた後は一つ目の姿で描かれるパッコヤンさんを巡る描写からでも伺える。

パッコヤンさんについては他の人のだけれど、こちらのブログ記事をぜひどうぞ。

 

9:『86-エイティシックス-』22話「シン」

監督:石井俊匡
アニメーション制作:A-1 Pictures
脚本:大野敏哉
絵コンテ:石井俊匡

演出:石井俊匡
作画監督:成川多加志、真壁誠、伊藤美奈、波部崇、小川莉奈、稲田正輝、樋口香里、安田京弘
総作画監督川上哲也、杉生祐一
放送日:3月12日

概ね非常に陰鬱な空気の中、同じような展開が繰り返されもするライトノベルの原作1巻を1クールかけてじっくり描いていったアニメ1期は個人的にも全面的に好感が持てたとはいえず、twitterでのやはり個人的な観測範囲内での評判もそれほど芳しくはなかった。

しかし、そうした密度の高い描写は2期まで終えてみれば相応の、あるいは相応以上の意味と意義があるものだった……そう証明するような"花火"を通じて密接に繋がり合う『86』7話&22話の描かれだったと思える。

 

アニメにおいて、花火は非常にしばしば象徴的な形で用いられる。

その中でも、『86 エイティシックス』7話「忘れないでいてくれますか?」&22話「シン」の一組の挿話ほど花火を多義的なイメージの象徴として描いている例はなかなかにないかとも思う(まず、22話で爆散したモルフォの色鮮やかな火花は7話での革命祭の花火のリフレインだ)。

22話は7話の画、場面、台詞、仕草等をしばしば反復しつつ(後述するようにここぞというところで数回、7話のカットが引用されもする)、シンとレーナ、二人の主人公のキャラクターと足跡の核心を見事に描き出している。そのイメージの鍵に花火がある。

何よりまずこの7話&22話の圧倒的な素晴らしさを味わえたから、このアニメ版『86』を観ることができて良かったと思う。

上記についての諸々、詳細は以下のリンク先で↓。

 

10:『プリンセスコネクト!Re:Dive Season 2』4話「駆け出しの名探偵
〜ミロワールに想いを寄せて〜」

監督: 金崎貴臣
アニメーション制作:CygamesPictures
脚本:金崎貴臣
絵コンテ:坂詰嵩仁
演出:坂詰嵩仁
作画監督:福元陽介、普津澤時ヱ門、坂詰嵩仁
放送日:2月1日

「今、TVアニメの一つの話数にこんな人たちをこれだけ集めてしまってもいいんだ。そんなことがあるんだ」

という素直な驚きを覚えた、いわゆるSAKUGA回。

ところで一説?によるとこの面子の幾らかは『ゲーマーズ!』OP(の終盤)と重なっていて、

プリコネ2期4話アクション場面最大の華も後半のゴーレム戦であったことからも"あの感じを更に進化させた形でもう一度!"という趣もあったのかもしれないし、別になかったのかもしれない。

なお、ガンガン激しく動きながらもどんな動きか観る側が結構しっかり追える、追いやすい見せ方になっていたり、話も面白いしキャルさんは最高にかわいいしで、作画の魅力以外にも質が高い素敵な挿話でもあった。

なお、アクション描写がしっかり追える感じのものである一方、日常パートで再視聴重ねる前提の詰め込みなり上乗せなりも時折していて、そこもちょっと面白かった。

 

■2022TVアニメOP/ED10選


■2022年TVアニメ10選に入れ切れなかった好きな話数・作品

1:『機動戦士ガンダム 水星の魔女』

2:『王様ランキング』21話&『チェンソーマン』8話

3:『ヤマノススメ Next Summit』7話(、5話)

4:『モブサイコⅢ100』8話(、6話、12話)

5:『BLEACH 千年血戦篇』6話

6:『かぐや様は告らせたい』3期5話、3期12話

7:『ヒーラー・ガール』3話

8:『サマータイムレンダ』15話

9:『パリピ孔明』6話

10:『よふかしのうた』11話-13話

11~:『スローループ』『ラブライブ!スーパースター!!』2期『Engage Kiss』『錆喰いビスコ』『ヴァニタスの手記』2期『であいもん』『ダンス・ダンス・ダンスール』『その着せ替え人形は恋をする』『異世界おじさん』『怪人開発部の黒井津さん』『アークナイツ [黎明前奏]』『転生したら剣でした』『阿波連さんははかれない』『ベルセルク 黄金時代篇 MEMORIAL EDITION』他

 

1:『機動戦士ガンダム 水星の魔女』

第一に『水星の魔女』は毎週放映を楽しみにしていた点でも今年のTVアニメ中で上位一桁に間違いなく入り、そして毎週期待に応えしばしば上回る面白さを見せつけてくれたし。感想を書いた量、投じた時間ではあるいは今年一番の作品だったかと思う。

ただどれか一つの話数を今年指折りのものとして挙げる……となると選択が難しい。

仮に何かしら一つの話数を「これだ」と決めて振り返ってみれば、いかにその話数が面白かったか卓抜だったかはきっとどんどん書いていけるに違いないのだけど、そういうわけにもいかない。

時にはそういう作品もあったりする。


2:『王様ランキング』21話&『チェンソーマン』8話

つまり御所園翔太さんの回。

御所園さんの絵コンテ(・演出)回にはユニークかつ圧倒的な構図の面白さがある。

なぜどちらか、特に『王様ランキング』21話が10選から漏れる羽目になったのか自分でも割と謎なのだけれど、入れたいのは山々であっても選んだ作品のどれかを外そうと思うと、どれも外せない。

どうも話数だけでなく、作品全体への思い入れも大きいらしい(自分のことだけど、なんだか「らしい」というくらいの表現になってしまう)。

 

『王様ランキング』はシンプルなデザインだからこその力強い表現を志向したアニメ版の映像の在り方に大いに惹かれ続けながらも。

キャラクターやストーリーには(面白く好ましい点も多々あると感じつつも、諸々引っかかることも少なくないことから)距離をおいてしまうところがあり。

 

チェンソーマン』は原作のファンで、アニメ版は豪華絢爛なスタッフを揃えた実写志向の挑戦的でリッチな作りを興味深く毎週観て、常に前のめりで意欲的なチャレンジをすごいなと感じつつ。

うまくいっていると思える部分への感嘆と共に、それはどうかと思える部分も数多くあって複雑な思いを抱えていたりする。

 

3:『ヤマノススメ Next Summit』7話(、5話)

 

 

 

4:『モブサイコⅢ100』8話(、6話、12話)

 

5:『BLEACH 千年血戦篇』6話

 

6:『かぐや様は告らせたい』3期5話、3期12話

 

 

7:『ヒーラー・ガール』3話

奇抜な設定を打ち出しつつ、本編はごくごく真面目に……そして"TVアニメとして革新的なミュージカル描写をやり続ける。各話、歌唱場面としても趣の違う良さを打ち出し続ける"というはっきりとした野心を表明もし、映像として見せつけていった在り方。

1話から連続で繰り出される一人作画回、そして全話の絵コンテを入江泰浩監督が担当し常に見事に三次元的な広がりとその中を動くキャラクターという、構図の良さを保ちきった質の高さが全般に非常に好印象の作品だった。

 

8:『サマータイムレンダ』15話

 

9:『パリピ孔明』6話

挿話として面白かったし、作品全体として「P.A.WORKS、これからはこういう路線も手掛けていくのかな。そうだとしたらかなり素晴らしい第一歩を新たな人気も獲得しつつ踏み出せていて、良い感じだな」という点でも興味深いTVアニメだった。

 

10:『よふかしのうた』11~13話

 

11~:『スローループ』『ラブライブ!スーパースター!!』2期『Engage Kiss』『錆喰いビスコ』『ヴァニタスの手記』2期『であいもん』『ダンス・ダンス・ダンスール』『その着せ替え人形は恋をする』『異世界おじさん』『怪人開発部の黒井津さん』『アークナイツ [黎明前奏]』『転生したら剣でした』『阿波連さんははかれない』『ベルセルク 黄金時代篇 MEMORIAL EDITION』他

2022年も前項までで挙げた他にも、こうしてざっと並べるだけでも他にも面白いTVアニメが幾つもあって。

 

例えば『スローループ』は地味ながらも堅実に原作漫画と向き合って描かれた佳作として、原作とアニメの描写を比較しつつ毎週とても楽しみに観ていた。

 

ラブライブ!スーパースター!!』2期は最終話の前までは時折引っかかるところはありつつ、なんだかんだ楽しく観ていた。

3期(以降)の制作公表も前提だったろうとはいえ、一応の結末を迎える2期最終話で澁谷かのんの留学話をほぼ茶番とも思える(詳細は宙吊りとなっているけど)扱いにしたのはなぜだろう。疑問でならない。

 

『Engage Kiss』は序盤は自分を含むきっと多くの人に「ああ、アクション作画とかが売りの、話はしょうもないやつかな」と思い込ませながら、徐々に記憶と契約を巡る見事な構成と仕掛けを見せつけていき。

全体を観ればボンクラで始まりそしてボンクラで終わるために必要な手続きをしっかり組み上げて踏んでいったという、ふざけるためにすごく真面目な良い作品だった。

 

『錆喰いビスコは原作1巻を1クールかけてじっくり描く中でのビスコとミロ、主役コンビが世界を駆け抜ける圧倒的な魅力に惹かれ、

原作小説既刊8巻も手に取り、読み進めることになった(面白かった。下記ツイートから原作小説感想連投)。

 

ヴァニタスの手記』2期は画もアクションも構図も、必要な時に必要なだけ美しく華麗で、また、力強くもあった。

例えば19話。

岡村天斎さんが1期2期を通じて6話分絵コンテを担当、勿論アクション面でもその力を見せつけつつ。11話&20話でヴァニタス&ジャンヌのデート回をめちゃくちゃかわいく楽しく描いてみせたのも見どころだった。

また8、15、19、22話で絵コンテを担当した大ベテラン、望月智充さん絵コンテ回のキャラクターたちが激しく動く前の空間の提示の仕方がいつも際立って美しくもあった。

※上記tweetの中で「シリアス」を「シリアル」と誤タイプしている……。

 

老舗の和菓子屋を舞台に京都の四季に折々の和菓子を添え、移ろう季節と変わりゆく人の心、繋がれていく縁、繋ぎ直されてゆく縁をゆったり描いた愛すべき佳作『であいもん』。ここでも望月智充さん絵コンテ回で描き出される空間はとても綺麗だった。

 

ダンス・ダンス・ダンスール』の魅力はまずなんといっても圧巻のバレエ描写。

勿論、原作由来のドラマ部分も良い味が出ていた。

それとバレエを踊る、その踊りを見つめる視線を媒介に主観視点から主観視点へとゴリゴリ繋いでいくOP映像も圧巻であると共にまさにこの作品に相応しいものでもあった。

 

 

『その着せ替え人形は恋をする』は原作からして派手な衣装、装飾で飾られつつ、自分の好きなもの、他人の好きに向き合うというまっすぐな上にもまっすぐな主題を貫く話であるところ。

アニメ版も非常に充実した映像で楽しげに賑やかに彩られつつ、あくまでまっすぐな「好き」に向き合う物語が綴られていた。

時折「喜多川海夢は「オタクに優しいギャル」」だなどと言われているのも目にしたけれど。

あえていうならば喜多川海夢は「オタクに優しいギャル」でなくこちらがオタクの方で、五条若菜は「理解のある彼くん」でなく幼い頃に決めた生き方を理解されないトラウマを抱える彼の「理解のある彼女さん」が喜多川海夢だろう。

ただ、こうして定型をひねった(逆にした)類型を提示しておいて、早速それを自己否定する話をすることになり、なんなのだけど。
喜多川海夢は「理解のある彼女さん」でなく喜多川海夢で、五条若菜は「オタクに優しい彼くん」でなく五条若菜で。そう言えるに十分な在り方を描かれているかと思う。

キャラクターが類型的でしかないのか、観る側がそういう枠にはめてしか観れていないだけなのか、というのは気にするべき問いのようにも思う。

「〇〇に都合が良過ぎるキャラクター」という話もそう見るよりも。多種多様な人間がいる中、各々が自然に振舞うことがお互いにとってだけは限りなく都合が良いというか、他の誰にもおよそ期待できない文字通り「有り難い」ものである、そういう組み合わせの奇跡がオタクだとか陰キャだとかギャルだとか理解ある優しい彼くんとか、まあなんでもいいけど……喜多川海夢や五条若菜がそうであるように通り一遍の類型なんかに簡単に収まらない、自分にもどうにもし難いどうしたってこうある自分、みたいなのを持っているというか手放しようがない人にとってはある種の夢とか希望とか祈りとかに成り得たりもするのかな、それはごく素直に素晴らしいイメージではと。
そこまでのユニークさみたいなのとは良くも悪くも縁遠い身としては思えもする。

好きな話数、場面は数多いけど一つ挙げるなら、例えば11話のここ。

絵コンテ・演出の山本ゆうすけさんは(同じくCloverWorks制作でアニメーションプロデューサーを梅原翔太さんが務める)『ぼっち・ざ・ろっく!』では副監督として全体を支えつつ、3話絵コンテ・演出も手掛けている。

 

異世界おじさん』は画、構図、劇伴、演技を中心に手堅く常に良い感じの愉しい作品。

そして悠木碧さん演じるメイベルがすさまじく良いキャラクターで、かわいい。

 

『怪人開発部の黒井津さん』は土曜深夜、『その着せかえ人形は恋をする』『明日ちゃんのセーラー服』と続いていた誰の目にも明らかな質の高い映像とフェチと諸々の性癖に溢れかえったCloverWorksアワーの後、深夜3時前に毎週配給されてきてくれていた一服の清涼剤(?)。

 

『アークナイツ [黎明前奏]』はあまりにも厳しい世界で理想の灯火を掲げ歩むアーミヤさんと、支えあい共に歩むドクターの姿がゲームをやっていない自分から見ても非常に魅力的だった。

全8話を概ね陰鬱でつらく悲しいことばかりの空気で満たしつつ"しかし、だからこそその中で理想と希望を掲げ歩む魂が輝くのだ"と言わんばかりに描きぬいた気合と迫力が見事だったと思う。

アニメ続編制作も最終話放送直後に発表。楽しみに待ちたい。

 

『転生したら剣でした』は毎週確実に愉しませてくれた、安心感のある良い作品。

主人公の進化を目指す黒猫族のフランさんがひたすらにかわいく、戦闘場面のアクションも(中でも攻撃を回避し反撃する動きと流れが特に)毎回愉しい。

なろう系小説らしく(?)色々チート気味、成長もイケイケドンドンで進むのだけど。フランさんの性格が極めて強気で前のめり、貪欲で誇り高く、責任感も強い良い子で、進化を成し得ておらず差別されている種族の宿願を自ら抱え込んだりと積極的に危機に踏み込んでいくのでダレずに楽しく観ていけるのが原作からの特徴でもある。

また現代人がファンタジーない世界に意思ある魔剣として転生し、いろいろあってフランに拾われ彼女の成長を支えて生きることに決めた「師匠」の目線でフランを見つめるという視聴者の視点もはっきりと定めやすい、もてなしに満ちた佳作だったと思う。

 

『阿波連さんははかれない』は11話まで主人公二人を見守ってきた視聴者に対して、そうしてきて良かったと心から思わせてくれる素晴らしい最終回を見せてくれた佳作だった。

 

ベルセルク 黄金時代篇 MEMORIAL EDITION』はグリフィスとガッツの関係性について、原作を読んだときとはだいぶ違う印象に思えてきて(改めて原作を読み返してみても、やはりこのアニメ版とは大きく違う印象になる。こちらでも明記しておくけど、原作でのグリフィスのガッツへ向ける思いについては下記リンク先で書いている話とは(今も)だいぶ異なる)、そんなところも面白かった。


 

■2:今年の劇場アニメ&web配信限定で面白かったアニメ&OVA

※下記、赤字で記した作品についてはリンク先記事に感想も。

 

○劇場(アニメ)
THE FIRST SLAM DUNK
すずめの戸締まり
GレコⅣ
犬王
ぼくらのよあけ

かぐや様は告らせたい ファーストキッスは終わらない

マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!!
GレコⅤ
からかい上手の高木さん
鹿の王
ククルス・ドアンの島
私に天使が舞い降りた!

かがみの孤城
グッバイ、ドン・グリーズ!
ゆるキャン△
君を愛したひとりの僕へ
僕が愛したすべての君へ
オッドタクシー イン・ザ・ウッズ

 

○配信(アニメ)
漁港の肉子ちゃん
地球外少年少女
ARIA The CREPUSCOLO
ストライクウィッチーズ 劇場版
GレコⅠ
GレコⅡ
GレコⅢ
コードギアス 反逆のルルーシュI 興道
コードギアス 反逆のルルーシュII 叛道
コードギアス 反逆のルルーシュIII 皇道
コードギアス 復活のルルーシュ
雨を告げる漂流団地
バブル
海辺のエトランゼ
思い、思われ、ふり、ふられ

 

○今年これから観る予定(12/22時点)
アバター:ウェイ・オブ・ウォーター


OVA/ネット配信/ドラマ等
サイバーパンク: エッジランナーズ
ウェンズデー
戦闘妖精雪風
スプリガン
ヴァンパイア・イン・ザ・ガーデン
スーパー・クルックス
Tekken: Bloodline
TIGER & BUNNY: TIGER & BUNNY 2:
BASTARD!! ー暗黒の破壊神ー
戦闘妖精少女 たすけて!メイヴちゃん