『連盟空軍航空魔法音楽隊ルミナスウィッチーズ』5話「まっしろリボン」感想メモ

今期のTVアニメ『連盟空軍航空魔法音楽隊 ルミナスウィッチーズ』、佐伯昭志監督でシャフト制作と『アサルトリリィ BOUQUET』とも重なる雰囲気の作品らしいと聴いて観ていたところ、特に先日放送された5話「まっしろリボン」が素晴らしい。

 

『ルミナスウィッチーズ』は『ストライクウィッチーズ』をはじめとする『ワールドウィッチーズ』シリーズ、

魔力が存在する世界の20世紀初頭、突如出現した異形の敵「ネウロイ」の圧倒的な戦力と瘴気の汚染による大陸侵略が進んでいた。人類は唯一の希望として、魔導エンジンを搭載し、魔力によって駆動する「ストライカーユニット」を唯一駆ることのできる魔力を持つ少女「魔女(ウィッチ)」と、航空用ストライカーユニットで編成した初の統合戦闘航空団「機械化航空歩兵(ストライクウィッチーズ)」に望みを託した。

ストライクウィッチーズ - Wikipediaより)

という世界観の中で、ウィッチでありながら各々の理由で戦闘に適さず、音楽の力で戦禍の最中の人々の力になることを選んだ新設部隊の面々を描く物語。

 

4話までの間に、グレイス隊長が創設した音楽隊にメンバー9人が集い、初ライブと共に「ルミナスウィッチーズ」という通称も定まり、世界を巡り音楽の力を伝えるワールドツアーに出発するまでが語られて。

5話ではツアー最初の訪問地ロマーニャ公国を舞台にした、メンバーの一員・シルヴィを中心としたエピソードが描かれる。


ウィッチとして戦う十分な能力と意志がありながら高貴な生まれのために腫れ物扱いされ続け、一度も前線に出ることなく音楽隊に転属させられ、身分を偽り一兵卒として皆と接してきたシルヴィ。

そんな彼女が8人の弟を食べさせ学校に通わせるお金を稼ぐべく、どこであれそれが可能な軍隊暮らしに勤しんでいた同僚・ジョーをはじめとする仲間たちとの交流を経て、単に務めを果たすだけでない「ワクワクする」どうしても居たい場所として改めてルミナスウィッチーズを選び取り、シルヴィアーナ公女もシルヴィも、どちらも私だと見出す。

それと並行して、寄せられる期待に応えられていないと思い込みすれ違っていた父からも、今ここで正直な思いを込め生きる娘の姿を(亡き妻と共に)誇り、愛していると示されることになる。

 

そんな中での、

・折り紙にあしらわれた青い花と亡き妻/母が愛した青い桔梗で示される、すれ違ってしまっていた父娘の間に伝わる愛情と誇り。
・自分を偽るお姫様とクーポラのだまし絵を通じて描かれる、積み上げられてきた繋がり。

・差し出された白いリボンを付けた姿を鏡で見て慌てるシルヴィと、夜の窓に映るまだ拙い自分の踊りを見つめ練習に励むジョー。ふかふかの絨毯・ベッドと床……お姫さまと貧しい少女の境界と越境、友情。
・務めを果たすことを当然と思う二人が共に「仕事のはずなのに、なんかワクワク」してしまう「ずっとどうしても居たい」と願う場所。

一つの挿話の中で入り組んだ細やかな心情が、幾つもの象徴を巧みに用いて品良く美しく描かれる様が卓抜と思う。

 ※諸々の描写の詳細については記事冒頭に掲載したtogetter内で紹介