小松左京『果てしなき流れの果てに』読了。
自分にとって、非常に馴染みのある種類の思想・哲学が語られる作品。
ただ、《馴染みがある》というのは、むしろ、こうした作品が1965年という時点で書かれたことを一つの源流として、その流れを継ぐような作品が生み出されてきたこと。また、当時の《政治的な大実験と挫折の時代》の中で、より空間の横軸も時間の縦軸も遥かに壮大で、より普遍的なヴィジョンを描くことで、《当時の世界》にも深く切り込むだけでなく、数十年後の思想の流れにもまた、強力な力を振るうことが出来る作品を既に創っていた、ということだろう。
偉大なる元祖、ということか。
ところで、後半の展開については、途中で「アシモフの傑作短篇『赤の女王のレース』をより壮大に膨らませたようなものに落ち着くのかな」と予想させられたが、実に愉しくそれを裏切られ、とても興味深かった。
------なるほど、そこらへんが日米それぞれにおける大巨人の、《歴史》に関する姿勢の違いでもあるか。