2006-03-01から1ヶ月間の記事一覧

『マイ・フェア・レディ』DVD特典映像集〜なんなんだ、この刺々しさ!

思い返せば、『雨に唄えば』『イースター・パレード』『アニーよ銃をとれ』などのDVD特典は、実に明るく輝きに満ちたものとして編集された愉しい映像集だった。 ……しかし、なぜか『マイ・フェア・レディ』の特典映像はそれらとは随分趣きが異なるようだ。 まず…

映画『東京大学物語』〜最後の10分の怒涛の《四重オチ》は笑える。

SFマガジン1992年10月号収録、飛浩隆「デュオ」を初出の形で読む。 池袋シネマサンシャイン『東京大学物語』を、DVDで『マイ・フェア・レディ』の特典映像集を観る。 飛浩隆「デュオ」〜『象られた力』収録版と初出の形との比較をしてみる。 話の骨格はそのま…

「じゃじゃ馬ならし」〜《演技》による世界の反転を描いた作品。

フランコ・ゼッフィレッリ監督で音楽はニーノ・ロータ、そしてエリザベス・テイラー&リチャード・バートンという当時のハリウッドを代表する名物カップルが主役を演じた、1967年作のシェイクスピア映画。まず、初めに書いておきたいのは、この映画の幕切れ…

野阿梓『兇天使』〜なんだかえらく馴染みのある考え方だ……。

ところでやっぱり野阿梓氏の最高傑作は『兇天使』ですよねえ。飛の日本SFオールタイムベストワンはやっぱこれかな、今回のSFマガジンでは投票を棄権しましたけど。 野阿氏の文章力は飛の4億倍くらいある上に、『兇天使』はテーマ、アイディア、キャラク…

野阿梓『兇天使』、DVD「じゃじゃ馬ならし」

……と、いうわけで(2006/3/14の日記)、飛浩隆読み込み強化月間の第一弾、野阿梓『兇天使』(上・下)読了。 DVD『じゃじゃ馬ならし』(ゼッフィレッリ版)を観る。

飛浩隆『グラン・ヴァカンス』読了〜「飛浩隆読み込み強化月間」開始。

……これの感想をゴチャゴチャと-----例えば、他の作家と絡めて考えるなら、「SFのセンス・オブ・ワンダーと、山田風太郎の忍法帖ものの凄惨な鮮やかさのアマルガムのような異常な作品だ」とか、奈須きのこ『空の境界』や、TYPE-MOON『月姫』『Fate/stay night…

WBC二次予選:日本×アメリカ戦〜ああいう判定も、「お国の事情」だから覚悟しなくてはいけないんだろうな。

日本の3点リードから、3-4でアメリカの勝利。 何よりまず、面白い試合だった。 7回表ツーアウト一、二塁でのイチローの凡退(このときには「あーあ」と思ったけれど、1回に先頭打者ホームラン打ってたのか)と9回の敬遠のほか、薮田の力投(すごいスライダー…

My Favorite Things〜最近良く聴く楽曲集[ミュージカル篇]

No 名前 アーティスト アルバム 1 Singin' In The Rain Gene Kelly Original MGM Soundtracks Recordings: Singin' In The Rain & Easter Parade 2 Fit As A Fiddle Gene Kelly & Donald O'Connor Original MGM Soundtracks Recordings: Singin' In The Rain…

宮部みゆき『天狗風』〜作品としてはどうしても好きになれない。しかし、背景にある、《挑戦の精神》は、心から尊敬せずにはいられない。

"霊験お初"シリーズは、第一作『震える岩』も含めて、どうも今の自分にとって相性が悪いようだと思う。 宮部作品の中で非常に数少ない、あまり好きになれない作品。申し訳ないのだけれど、六割くらい読んだところで飛ばし読みでラストの対決まで見てしまい、…

宮部みゆき『天狗風』/My Favorite Things

宮部みゆき『天狗風』読了。 amazonで注文していた『マイ・フェア・レディ』のサントラが届く。なんとなく、それがいい機会に思えたので、最近良く聴くミュージカル系の曲目のリストを作ってみる。一年後くらいになったら、どんな風に変わっていることだろう?…

ミュージカル『TOMMY』〜どうしようもないダメ公演。

まったくもって、ひどい出来のシロモノ。 歌も、演奏も、演技も、演出も、舞台美術も、歌詞の訳も、ともかく全てダメ。 それなりに楽しめるのは、《遂にトミーの三重苦の原因が両親にもわかり、名医の元に連れて行かれ、両親が遂に諦めてそれぞれのエゴを剥…

新宿末広亭三月中席夜の部〜主任・権太楼、仲トリ・さん喬

18時頃から入り、6列目くらいの真ん中辺りに座って聴く。 演目は、春風亭正朝「看板の一」 柳家さん喬「天狗裁き」 柳家三太楼「宗論」 古今亭志ん輔「野ざらし」 桂文生「人形買い」 柳家権太楼「立ち切り」など。 以下、簡単に感想を。 正朝「看板の一」〜…

新宿末広亭・三月中席夜の部、宮部みゆき『ぼんくら』ほか

新宿厚生年金会館でのミュージカル『TOMMY』来日公演、新宿末広亭・三月中席夜の部(途中から)に行く。 宮部みゆき『ぼんくら』(下)読了。志水アキ『怪・力・乱・神 クワン』四巻(この人の絵が好きだし、こういう感じの物語世界も好みに合う------例えば…

『巨星ジーグフェルド』〜ともかく、このスケールの馬鹿でかさを楽しまなくちゃ。

なんといっても、この映画最大のみどころは、「ジーグフェルド・フォリーズ」の再現部分になる。ウェディングケーキを象った巨大な舞台装置の回転に合わせ、幾十人も並んだ美女達の群れが次々に現れる。そして、階段状に並ぶ美女の列の終点、ケーキの頂上には…

『クラッシュ』〜優等生的によく出来た映画。

人物の交錯を手際よく描き、冒頭とラストが綺麗に繋がる。そして、その物語全体のイメージがオープニングの象徴的な光の明滅に収斂していく構成の巧さ。バランスの取れた作品としての主張。良くも悪くも、実に《優等生的》な出来の良さを誇る映画だと思える…

『ALWAYS 三丁目の夕日』〜どこまでもベタな展開も、ここまで突き詰めれば……

この映画には、深遠な思想や文学的・哲学的な深さなどは無い。言い換えれば、観る人によってあまり感想の種類が変わらず、そのイメージのディティールこそ違え、誰もが似たようなものを作品の中に見出すだろうとも思う。 しかし、この作品は、「で、それがど…

『ALWAYS 三丁目の夕日』『クラッシュ』ほか。

みゆき座(旧日比谷スカラ座2)で『ALWAYS 三丁目の夕日』、日比谷シャンテシネで『クラッシュ』、DVD『巨星ジーグフェルド』を観る。 ・・・・・・なんだか、アカデミー作品賞まみれだ。 宮部みゆき『ぼんくら(上)』読了。

神林長平『鏡像の敵』〜初期作品の掘り起こしの事情はわからないでもないけれど……。

初期の傑作集ということで、1987〜1989年頃発表の作品を集めた短篇集。 ……って、あれ?神林長平は1979年デビューなんだけど、この時期でも「神林長平初期傑作集」(裏表紙より)って言っていいのか?? で、内容に関しては……なんだかどれもこれも、これまで…

野尻抱介『太陽の簒奪者』〜これぞハードSF。その侠(おとこ)っぷりに惚れた。

「ブンガクな文章? 糞食らえだ。俺が書きたいのはそんなもんじゃねぇ!!俺のSF魂を見せてやる!!」と言わんばかりの男気溢れる態度が実に爽快な作品だ。ここまで割り切った姿勢は------断じて皮肉ではなく------清々しい潔さに満ちていて、はっきりいっ…

萩尾望都×三浦雅士「出生の秘密をめぐって」

この組み合わせを見た瞬間、もう、何がどうあろうと予定を空けて聴きに行こうと思った。 抽選に当たった時はどれだけ嬉しかったことか。とんでもない組み合わせだ。 なんせ、まず、萩尾望都といえば、あの超名作『銀の三角』を生み、『ポーの一族』『半神』…

ジュンク堂・萩尾望都×三浦雅士「出生の秘密をめぐって」

ジュンク堂でのトークセッション、萩尾望都×三浦雅士「出生の秘密をめぐって」に行く。 神林長平『鏡像の敵』、野尻抱介『太陽の簒奪者』読了。

『マイ・フェア・レディ』〜ああ、もう、本当にいい映画だなぁ、チクショウ!!

ストーリーは最高、キャスト文句のつけようが無し、カメラワークも万全、ファッションは高雅……そして音楽は名曲揃い------というより、傑作でない曲が一つもない。 ミュージカルの一つの理想を極めた『雨に唄えば』には一歩譲っても、『イースター・パレード…

飛浩隆『象られた力』〜凄すぎるな、これ……。

この本を買ったのは、「小川一水の『老ヴォールの惑星』を差し置いて、SF大賞をとったのは一体どんな作品だってんだ?おい」というあまり穏やかでない興味からだったが……収録作品のトップバッター、「デュオ」を読んだ時点でもう、すぐに土下座でもなんで…

飛浩隆『象られた力』、DVD『マイ・フェア・レディ』

DVD『マイ・フェア・レディ』を観る。 飛浩隆『象られた力』読了。 ……今日はいい日だった!!

DVD『キャッツ スペシャル・エディション』

アンドリュー・ロイド・ウェーバー自身が、オリジナル・ロンドン・キャストで手掛けた『CATS』の映像化。 あまりにも有名な名曲「Memory」を歌うグリザベラは、エレイン・ペイジ。 特にゴチャゴチャ考えずに、揃ってやたらと巧い猫達の群像劇に見入る。 グリ…

柳家三太楼・柳家三之助『オールフライト・ニッポン』

相手の話を聴き、プロの実感を込めた言葉を引き出す姿勢に徹していることが、いいなぁ、と思わされる。特にパイロットの岸本氏へのインタビューでの、 「女の子からも、「ちょっと温度を下げてください」とか(後略)」 といったあたりの扱いで、フライト・ア…

柳家三太楼・三之助『オールフライト・ニッポン』、DVD『キャッツ』

柳家三太楼・柳家三之助『オールフライト・ニッポン』読了。 DVD『キャッツ スペシャル・エディション』を観る。 古今亭志ん朝『落語名人会(27)』(「崇徳院」「御慶」)を聴く。 この感想は、3/4の文鳥舎寄席【サンタローdeナイト・フィーバー! vol.4】 で…

『ナルニア国物語』〜肝心な部分を落とし続けている映画。脚本も悪い。

脚本がいちいちうるさ過ぎて、その鬱陶しさのせいで面白みが損なわれている。 予告篇だけ観ておくだけの方が良かったかもしれない。 原作は小学生の頃に読んだか読まないか曖昧なくらいでよく知らないので、それとの比較は出来ないが、幕開けから長く続く兄…

エリザベス・フェラーズ『猿来たりなば』(訳・中村有希)

各人物へ向けられる視線がどこまでも辛辣で、振り返れば実に執拗に各々の登場人物のあさましさや業もしつこく描かれているのだが、それが陰惨にならない意地悪な中にも失われない品の良さは、まさにイギリス女流ミステリならではだなぁ、と思う。 仮説が構築…

映画『ナルニア国物語』、エリザベス・フェラーズ『猿来たりなば』

品川プリンスシネマで『ナルニア国物語』を観る。 エリザベス・フェラーズ『猿来たりなば』読了。